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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_097

『笑福亭鶴瓶論』(戸部田誠<てれびのスキマ>、新潮新書:2017、8、20)

2016読書日記094 『1989年のテレビっ子』と、2016読書日記204『大人のSMAP論』(速水健朗・戸部田誠・みきーる、宝島新書)で、この著者の本は読んだことがある。去年からですね、読み出したのは。

巻末に「引用・出典一覧」があるのだが、かなりたくさんの引用がある。というか、主に直接本人に取材したものではなく、これまでに書かれた本や雑誌の文章や、番組での発言を集めて書かれた「笑福亭鶴瓶」論。少し「二次情報」に基づいている感じが強いが、それは、あえてそうしたのでしょう。しかし、物凄い量の資料を集めて来ているので、読んでいて感じたのは、何百・何千もあるジグソーパズルのピースを集めて「笑福亭鶴瓶」の肖像画を完成させたような感じですね。本人に会って、「パチッ」と写真を写したら出来るであろう肖像写真が、断片的なピース(その小さいピースもまた、鶴瓶の写真で出来ているような感じ)を組み合わせて出来た肖像画である。

最初の「第1章 スケベな男」から始まり「スケベな芸人人生」「スケベな家族」「スケベな縁」「スケベな哲学」まで、全5章がスケベ、いや"すべて"「スケベ」というキーワードでまとめられている。この「スケベ」は、いわゆる「エッチ」「わいせつ」という意味のストレートな「スケベ」ではない。「人間が好き」「人と人とのつながりを大切にする」「他人に対して好奇心が強い」という意味での「スケベ」である。著者は、まさにそれこそが「鶴瓶の本質である」と言いたいのだと思う。

本書の中で紹介された番組では、やはり「ぬかるみの世界」と「パぺポTV」が思い出深い。もっと詳しく書いてくれても良かったのにと思った。

一度だけ、まだ「パペポ」が読売テレビの旧社屋(大阪・南森町)で収録をしていた頃、先輩と一緒に行った小さな焼き鳥屋「美鳥亭」で、収録後に来られた鶴瓶さんに出会ったことがある。そのことを、次の週の「ぬかるみ」で話してくれたのは、うれしかったなあ。そんな風に「スケベ」なんですよね。一般的には「人たらし」と呼びますね。

で、「鶴瓶の家族に乾杯」を、今見てる。すごいな、鶴瓶さんは。自然なのに面白いです。改めて、スゴイと。


star4

(2017、8、24読了)

2017年8月28日 19:45 | コメント (0)