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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_006

『あさ美さんの家さがし』(黒野伸一、河出書房新社:2016、11、30)

このタイトルを見ただけでは食指は動かなかったと思うが、著者が「黒野伸一さん」ということで、「おっ」と思って手に取った。黒野さんの作品は、以前『限界集落株式会社』という本を読んで(続編も)「おもしろいな」と思ったことがあったからだ。

本作は、ひょんなことからOLを辞めて、食べて行くために「場末のキャバ嬢」となった主人公と、その周辺の人たちの「家」にまつわる話。でもこれを読んでいてわかりました。「限界集落~」もそうでしたが、黒野さんは単に「今の世の中の世相」を描いているのではなく、そして単なる「家」さがしではなく「家族さがし」をテーマにしているんだと。人と人とのつながりの最少単位である「家族」。その多くが崩壊している現代において、「家族」とは何かを考える小説を書いているんだなと。「家族」が住む場所が「家」なんだからね。


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(2017、1、9読了)

2017年1月19日 12:06 | コメント (0)