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『道浦TIME』

新・読書日記 2016_205

『SMAPと平成ニッポン~不安の時代のエンターテインメント』(太田省一、光文社新書:2016、12、20)

本を買ってから気付いたのだが、この本著者が描いた本は、以前『紅白歌合戦と日本人』という本をおもしろく(興味深く)読んだことがあった。「大衆音楽」という視点から見る日本人論を本筋としている社会学者のようである。(著者の紹介文では「テレビと戦後日本の関係が研究および著述のメインテーマ」とある。)1960年生まれ。同世代。「2016読書日記203」で読んだ『SMAPと平成』(朝日新書)の著者・中川右介さんと同い年。

「"世界に一つだけの花"=オンリーワンであるSMAP」を求め続けるファンは、「平成ニッポン=不安の時代」を生きる人々。これまでの「カッコイイアイドル」ではなく、団塊ジュニア世代にあたる「等身大のアイドル」を求めた人々。「作り物」ではなく「自然体」。「アイドル」が出演する「音楽番組」がなくなっていった「90年代=平成」。彼らSMAPが、「ジャニーズの本山」である「ステージ=ミュージカル」ではなく「テレビ」で、タレントとして生き抜いていくためには、歌・踊りができ俳優にもなれるアイドルであるだけでなく「お笑いもできるテレビタレント」としての道を選ばざるを得なかった。そして彼らはその道が性に合っていたということだ。

85ページあたりに、服部良一&笠置シヅ子とジャニーズ・SMAPとの関係が記されているが、11月1日から30日まで日本経済新聞『私の履歴書』で連載していた作曲家・編曲家の服部克久氏の自伝(2016読書日記200『私の履歴書~服部克久』で書きました)を読んでいたので、「そう繋がって来るか!」とより深く読み込むことができた。

「あとがき」では、解散発表後の「SMAP×SMAP」に登場した2人のゲスト、松任谷由実(10月31日放送)と谷村新司(11月7日放送)とのコラボにも触れている。

「SMAPとともにあった日常が、このまま続くことを願う気持ち」

が著者にもあった、と。

それを読んで思ったのは、生物学者・福岡伸一氏が著作で述べる、

「動的平衡」

という言葉・概念だ。それは、

「同じであり続けるために、変わり続ける」

ということである。SMAPの中の多くのメンバーは、

「動的平衡」

を求めたが、ジャニーズ事務所側は、

「静的平衡」

を求めたということではなかったのだろうか。

かくして「平成」という時代を象徴する一つの偉大なグループは、その歴史に幕を閉じるのである。


star4

(2016、12、23読了)

2016年12月30日 17:47 | コメント (0)