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『道浦TIME』

新・読書日記 2016_202

『私の履歴書~服部克久』(日本経済新聞:2016、11、1~11、30)

11月1日から30日まで日本経済新聞『私の履歴書』で連載していた作曲家・編曲家の服部克久氏の自伝。面白かったですね。著名人が次々と出て来るから。

「ブギウギ」「タンゴ」の曲を多く作った、お父さんの作曲家・服部良一の発言、

「古賀(政男)先生の歌は首を横に振るが、おれの歌は縦だ」

とおっしゃっていたというのは興味深い。

「父の作る曲はリズムの乗りが洋楽的だった」

"縦ノリ"なんですね。演歌の源流と言われる「古賀メロディー」に対して、「ビート」の効いた「服部サウンド」。

そのお父さん(良一)が、1950年に笠置シヅ子さんと一緒にハワイを振り出しに、ロサンゼルスやニューヨークで公演をしたというが、ロスで通訳を兼ねてお世話をしてくれたのが、何と現在のジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんと、姉で副社長のメリー喜多川さんだという。66年前は、まだ20代の若者だったのですね。その後、姉弟が日本に移住した際には、

「しばらく我が家に入り浸っていた時期がある。僕や妹はすっかり彼らと仲良しになった。その後も笠置さんの誕生日になると、必ずジャニーさんが遊びに来ていた。」

著者の服部克久さんは、1969年のジャニーさん企画・演出のフォーリーブスのミュージカル『少年たち』で音楽を担当、1993年の父・良一さんの葬儀では、ジャニー喜多川・姉弟共に親族席に座ってもらったと。父・良一さん愛用のピアノをジャニーさんにプレゼントしたらとても喜んでくれて、ジャニーズ事務所の歌手の舞台で使ってくれたそうだ。また、

「今もよく電話でやりとりをする仲」

なのだそうだ。意外な、というとおかしいが、そんな交流・つながりがあるんですねえ。勉強になりました。本になったら、また、買って読むと思います。

なお、後で読んだ『SMAPと平成ニッポン~不安の時代のエンターテインメント』(太田省一、光文社新書)の85ページあたりに、服部良一&笠置シヅ子とジャニーズ・SMAPとの関係が記されているほか、『ジャニーズと日本』(矢野利裕、講談社現代新書)でも143ページあたりで服部良一に触れており、ジャニーズの各グループの曲の中に笠置シヅ子「買い物ブギ」や美空ひばりの「お祭りマンボ」へのオマージュの曲があり、ジャニーズ全般に漂う「ジャマネスクへの憧れ」的な空気は、アメリカで幼少期を過ごしたジャニー喜多川さんの「日系人的なモノの見方」に由来するというようなことが記されている。

この「私の履歴書」を読んでいたので、「なるほど」と思えた。


star4

(2016、11、30読了)

2016年12月28日 19:58 | コメント (0)