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『道浦TIME』

新・ことば事情

6204「酒林杉玉2」

「平成ことば事情5901酒林・杉玉」でも書きましたが、今回は、

「杉玉」

の読み方についてです。

2016年11月14日のNHKお昼のニュース(関西ローカル)の奈良放送局からのニュースで、大神(おおみわ)神社で「酒造り」のお祭りが行われたとのこと。なんでも「酒造り」が始まったのは、奈良・三輪地区(=酒造り発祥の地)なので、毎年11月14日は、その三輪にある「大神神社」に杉玉を奉納するのだそうです。

今西酒造のHPによると、

http://imanishisyuzou.com/history-miwa.html

「大神(おおみわ)神社」は日本最古の神社で、本殿を持たず、「三輪山」をご神体として祀っている神社だそうです。その「三輪山」は、古来、

「三諸山(みむろやま)」

と呼ばれるのですが、その「みむろ」とは、

「みむろ・・実醪=酒のもと」

の意味で、「酒の神様」としての信仰からの呼び名であるとも言われているそうです。

そういえば、映画「君の名は。」で、巫女さんを務める主人公がクチャクチャ噛んでお酒にする、

「口噛み酒」

というのが出て来ましたが、

「噛み=神」

につながるのかもしれませんね。

「大神神社」は「酒の神様」を祭っているので、毎年11月14日には全国から、蔵元・杜氏が集まり、

「醸造祈願祭(酒まつり)」

が行われ、多くの参拝客・観光客でにぎわいます。また、祭りの後には全国の蔵元へ『杉玉』が配られていくのだそうです。

この「杉玉」を、奈良放送局の男性アナウンサーは、

「すぎたま」

と『濁らずに』読んでいたのですが、違和感がありました。普通は『濁って』、

「すぎだま」

なのではないでしょうか?『広辞苑』でも、濁った「すぎだま」が空見出しで「『酒林』を見よ」になっていますが、濁らない「すぎたま」は載っていません。

しかし、ネット検索をしていると、全国の酒蔵の軒先にぶら下がっている「杉玉」は、この大神神社から頂いたものなのだそうです。(でも、京都でも作ってたよな、この前。)

というか、神様からもらうということで、もしかしたらこの「杉玉」の「玉」は、

「たましい(魂)」

につながるので、濁らずに、

「すぎたま」

と呼ぶのかもしれません。でも「魂」でも、

「○○だましい」

と濁ることもありますね。「魂」だからって連濁しないわけでもないと。だから、

「すぎだま」「すぎたま」

両方の読み方があるのかもしれません。

(2016、11、14)

2016年11月24日 11:53 | コメント (0)