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『道浦TIME』

新・ことば事情

6127「了解しました」

最近、

「了解しました」

という返事の言葉が、

「敬語ではないので、使ってはいけない」

という意見が出て来ているみたいで、正しい返事は、

「承知しました」「承知いたしました」

だとかいう論があるようです。

これに対して、早稲田大学非常勤講師で『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんは、

「そんなことはない」

という論陣を張っています。私も、

「使ってもいいんじゃないの」

と思っていたのですが、最近読んだ『隠蔽捜査6 去就』(今野敏、新潮社)という「警察」を舞台にした本の中に「了解しました」が何回か出て来て目に留まったので、書き抜いておきます。

*『竜崎は田端課長に言った。「殺人のほうの指揮をお願いします。私と加賀管理官は、略取・誘拐のほうを追います。」田端課長が言った。「了解しました」』(90ページ)

*『「いいところに来た。殺人のほうの捜査について説明してくれ」「りょ、了解しました」』(184ページ)

*『「これからすぐに、ここを出る」「了解」戸高の発音は、「りょーーかい」というふうに間延びして聞こえた。竜崎が電話を切ると、すかさず伊丹が質問して来た。』(201ページ)

*『「近くで待機していてくれ。必要になったら連絡する」「了解しました」』(204ページ)

*『伊丹が加賀管理官に言った。「(中略)事態は急を要するんだ。あらゆる手段を講じてくれ」(中略)加賀管理官の表情が引き締まった。「了解しました」彼は、管理官席に戻った。』(246ページ)

*『竜崎が言った。「(中略)母親に、彼が無事だということを知らせてやってくれ」「了解しました」』(248ページ)

*『一方、根岸はやる気満々だった。「了解しました。お任せください」』(253ページ)

ということで、警察では上司に対する返事として「了解しました」は、普通に使われていると考えてよさそうですね、この小説によるとですが。

(2016、8、10)

2016年8月12日 12:13 | コメント (0)