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『道浦TIME』

新・ことば事情

6083「大丈夫じゃね」

ワイン漫画『神の雫』の続編で『コミック・モーニング』に連載されている、

『マリアージュ』

「マリアージュ」とは「フランス語」。英語で言えば「マリッジ」、つまり「結婚」ですが、この場合は、

「ワインと料理の相性・取り合わせ」

のことですね。その『マリアージュ』の51話。(『コミックモーニング』2016年7月14日号)で、主人公の神崎雫たちが「ラタトゥーユ」(野菜の煮込み)を作るための買い出しに行ったシーンで、材料を買い揃えて、

「これでオッケーかな?」

と聞かれて、

「うん、大丈夫じゃね」

と雫が答えています。

これ、文字面だけを見ると、金水敏・大阪大学教授が提唱されている「役割語」での、

「お年寄り・博士語の語尾『じゃ』」

に、「ね」が付いたように見えなくもないです。しかしこれは、「若者」である主人公・雫の発言であることを考えると、

「大丈夫じゃない?」「大丈夫じゃねえか?」

という意味の、アクセントは語尾が高く上がる、

「大丈夫じゃね」

ではないでしょうか。アクセントを書くと、

(博士語)=「ダ/イジョ\ーブジャ・/ネ」(中高アクセント系)

(若者語)=「ダ/イジョーブジャネ」(平板アクセント)

というように大きく異なります。しかし、文字だけを見て、音声を聞けなければ、間違ってしまうかもしれないなと思ったのでした。

(2016、7、4)

2016年7月 5日 12:37 | コメント (0)