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『道浦TIME』

新・読書日記 2015_179

『「空間」から読み解く世界史~馬・航海・資本・電子』(宮崎正勝、新潮選書:2015、3、25)

 

これだけ世の中が混沌としていて、自分が何か出来ることはないものかと焦燥感に駆られる。何故こんな世界になってしまったのか、解決策はないものか?そう考えた時に頼るのは「過去の歴史」である。人は何処から来て、どこへ行くのか。「世界の歴史=世界史」である。これまでとは違う斬り口の世界史の本を見かけると、ついつい手が伸びる。

この本は、「空間」から世界史を読み解いている。つまり、まずは「陸地の時代」。その時代に重要だったのは、移動手段としての「ウマ」である。現代において「ウマ」というと「競馬」か「年賀状のエト」ぐらいのイメージしかないが(私にとっては)、当時は、最重要の生き物・ツールであった。

そして、大航海時代を迎えて「海洋の時代」、「陸」の限界は「海」に乗り出すことによって飛躍的に広がった。

さらに「資本主義」の発展で(そのためには、「キリスト教=カトリック」という"宗教のしばり"から逃れることが必要であったのだが、それは「プロテスタント」が果たした)、人々の生活の世界は広がり、前世紀末から今世紀にかけてのコンピューターの発展・インターネットの普及という「電子」の空間への広がりで、さらに世界は膨張していった。

さて。

この後、どうなるんだろう?というような「宇宙の果て」を知りたいのと同じような疑問が生じるが、現在、「陸の帝国」である中国が「海」へ乗り出そうとしている。地球の7割の面積を占める「海」は、まだまだ開発の(広げられる)余地を残している。これからは「海」を支配することが重要だ。

そして、こうした局面で出て来た「国」は「帝国」であり、それを支配しようとすることは「帝国主義」であると。このあたりは、佐藤優の主張と全く重なると感じた。

 

 


star4

(2015、11、17読了)

2016年1月11日 17:09 | コメント (0)