Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2015_105

『部落解放同盟「糾弾」史~メディアと差別表現』(小林健治、ちくま新書:2015、6、10)

 

ちょっと堅苦しい感じのタイトルだが、勉強になる一冊。メディアの一員として、知っておくべき内容である。読んでいると、これまでに学んだ「差別語」関連のことを思い出した。取り立てて珍しい話は、それほどなかったのだが、コンパクトにまとまっているので、「教科書」として学ぶことが出来ると思う。若い人にとっては、ほとんどが「生まれる前の出来事」なので「初めて知ること」が多く、「そうだったのか!」の連続かも。

1960年代~1970年代の「糾弾」によって、メディアが「自粛」して、表面に出なくなった差別語(差別表現)。私が入社した1980年代には、まさにそんな時代であった。ギリギリ、「糾弾」を受けた時代の先輩がいたので、「これは使ったらアカン」と教わった。しかし、ほとんど表面にそういった言葉・表現は出なくなった。それから20年も経つうちに、完全にそれらの言葉は「死語」となったが、本書の中にも出て来るように「無知によって再生産される差別」ということも、もちろん常に考えられる。知らなければ言わないだろう、ではない。教えなければ使わないだろう、ではない。「寝た子を起こすな」ということでは、ダメなのである。やはり「差別の歴史を知ること」は、少なくとも「情報の伝え手」としては絶対に必要なことだと思う。

「フムフム、そうか」というところのページの隅を折っていたら、また、ほとんどのページの隅が折れてしまいました。


star4

(2015、7、12読了)

2015年7月24日 16:03 | コメント (0)