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『道浦TIME』

新・読書日記 2015_090

『ヘイトスピーチ~「愛国者」たちの憎悪と暴力』(安田浩一、文春新書:2015、5、20)

 

著者は、『ネットと愛国』で知られる「ヘイトスピーチ」と闘うフリージャーナリスト。いや「闘う」というか、

「こんな理不尽な"愛国者"たちの行動が起こる原因・心理は何なのか?それを生み出した社会情勢は何なのか?」

ということが知りたくて、取材を続けて来たのだと思う。帯にも、

「なぜ彼らは暴発するのか?」

とある。こういった連中はいつの時代にも、ある程度の数(少数だが)はいたと思う。それが、これほどの数になったのは何が原因なのか?またそれを"培養"してしまう"大衆"へも、著者の矛先は向かう。この本を読んでいる読者で、「ヘイトスピーチ」を容認している人たちに対して、

「あなたたちが、ヘイトスピーチを育ててしまったんですよ!」

と指摘しているようにも思う。

「『ヘイトスピーチ』といえども、憲法が保障する『言論の自由』の範囲内」

という主張も聞こえるが、「言論の自由」といえども、他人の生存権・基本的人権を侵してはいけないのは当然。欧州各国では「ヘイトスピーチ」は法律で禁じられている。自由は、「他人の自由を侵さない」ということが、その大前提にあるのだ。


star4

(2015、6、1読了)

2015年6月21日 11:41 | コメント (0)