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『道浦TIME』

新・ことば事情

5757「再稼働」

 

5月21日に北海道・札幌市で開かれた「新聞用語懇談会・春季合同総会」で出た「言葉に関する議題」に、

「『再稼働』の定義について」

というものがありました。西日本新聞の委員から出されたものです。それによると、

 

『九州電力の川内原発1号機について、九電は7月にも再稼働を目指す方針を明らかにしています。問題がなければ約2年ぶりに国内の原発が動きだすことになるわけですが、原子炉の起動から発電・送電に至る一連の流れの、どの段階を指して「再稼働」と言うのでしょうか。また「再稼働」と「営業運転」とは、どう違うのでしょうか。』

 

ということでした。これに対する各社の回答は、

 

【時事通信】2012年7月頃は(1)原子炉の起動(2)臨界(3)発送電網接続 の3段階に分けて、(3)の段階を「再稼働」としていた。「試運転」「営業運転」も(3)の段階で出て来る。しかしそれから3年が経って、現在は(1)制御棒を引き抜いて原子炉を起動させることをもって「再稼働」とする。

【朝日新聞】2011年7月の段階では「再起動」=原子炉の起動、「再稼働」=営業運転再開、と取り決めていた。しかし現在は「原子炉を動かすかどうか」に焦点が当たっているので、今年(2015年)4月に見直しを行い、「再稼働=原子炉の起動」に変更した。

【西日本新聞】電事連(電気事業連合会)は、「営業運転=再稼働」と規定している。それとはズレることになるが。

【NHK】科学文化部の原子力デスクに聞いた。マスコミの言う「再稼働」は「原子炉の起動」。「営業運転」は、出力を変えながら検査して、発電所としての認可を受けた段階。

 

日本テレビ系列(NNN)で、つい先日行われた「原発勉強会」の報告によると、

「(3)発送電をもって『最稼働』」

という定義だとのことです。

5月27日お昼の日本テレビ「ストレイトニュース」でも、「川内原発・再稼働」のニュースが出て来ましたが、ここでは、

「原発の起動=再稼働」

のようなニュアンスがあったように感じました。

5月27日の各紙夕刊を見たら、

【読売】「1号機を7月下旬に再稼働し、8月から営業運転」

これは明らかに「再稼働」と「営業運転」は「別物」です。ということは、

「再起動=再稼働」

ということのように見えます。一方、

【日経】1号機が7月下旬にも再稼働する」「九電は7月下旬にも1号機の運転を再開する」

 こちらは、「再稼働」と「運転」が同時期なので、

「再稼働=(営業)運転」

に見えます。ほかの新聞は、

【朝日】「7月下旬に1号機、9月下旬に2号機を再稼働させる方針」

【毎日】「1号機は7月下旬、2号機は9月下旬の再稼働を目指している」

【産経】「1号機は7月下旬にも再稼働する」

この3紙は、再稼働が何を示すのか、この記事の中の文章だけでは明確ではありませんでした。今後もこの基準に、注目していきます!

(2015、5、28)

2015年5月29日 21:27 | コメント (0)