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『道浦TIME』

新・ことば事情

5752「機雷掃海」

 

5月21日に北海道・札幌市で開かれた「新聞用語懇談会・春季合同総会」で出た「言葉に関する議題」に、西日本新聞の委員から、

「機雷掃海」

という言葉が挙がりました。それによると、

『安保法制を巡る議論で「ホルムズ海峡の機雷掃海」がしばしば取り上げられますが、言葉の使い方に若干、疑問があります。「掃海」とは海中の敷設機雷、浮遊機雷などを取り除く作業のことであり、「機雷」は不要だと思いますが、「機雷掃海」としているのはなぜでしょうか。「掃海」がなじみのない言葉であること、また国会の論戦などで「機雷掃海」と言われるためでしょうか?』

というもので、これに対して産経新聞の委員から、

『「大辞林・第3版」=機雷など水中の危険物を取り除くこと。「デジタル大辞泉」=機雷や不発弾などを水中から取り除くこと、とある。自衛隊の掃海隊のHPには「機雷や水中爆発得物を取り除くこと」とあり、これらから考えると、「掃海」は「機雷のみ」を取り除くとは言えないので、「機雷掃海」としても、重複にはあたらないのではないか?』

という意見が出て、各社、概ねそれと同じというような態度・雰囲気でした。

会議では、この件に関して私は発言しませんでしたが、5月14日の安保法制の会見を見ていたら、安倍首相も、

「機雷掃海を行っています」

と「機雷掃海」を使っていましたし、同じく14日のNHKの夜7時のニュースでは、

「機雷の掃海という後方支援が出来ます」

というように「機雷掃海」を使っていました。

5月20日のグーグル検索では、

「機雷掃海」=13万2000件

「掃海」  =42万9000件

でした。また、5月27日付の「読売新聞・朝刊」1面トップの見出しは、

「機雷掃海 海外派兵の例外」

とあり、リード部分でも、

「自衛隊が行う機雷掃海について」

と、「機雷掃海」を使っていました。手元の国語辞典で「掃海」を引くと、

*「機雷敷設のおそれのある海域を捜索し、処分あるいは除去する作業」(精選版日本国語辞典)

*「海中に敷設された機雷を取り除き安全にすること」(新明解国語辞典)

*「海中に敷設された機雷を取り除くこと」(新潮現代国語辞典)

*「機械水雷が敷設してある海面や海中をさらって、安全にすること。」(岩波国語辞典)

*「海中の敷設機雷・浮遊機雷などを取り除いて公海の安全・自由にさせる作業」(広辞苑)

*「海中を捜索して機雷などの危険物を取り除くこと」(明鏡国語辞典)

*「航路の安全を確保するため、海中に敷設された機雷や不発爆弾などを捜索して除去すること」(デジタル大辞泉)

*「海の中の機雷などを取り去ること」(三省堂国語辞典)

という具合に、ちょっと古めの辞書は「機雷」と"限定"していますが、新めの辞書は「機雷など」と「など」を使って含みを持たせてあるようです。

それにしても、「機雷」は「機械水雷」の略語だったとは知りませんでした。

(2015、5、27)

2015年5月28日 18:28 | コメント (0)