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『道浦TIME』

新・ことば事情

5591「監視カメラか防犯カメラか?」

 

水泳の冨田尚弥選手が、今年9月の韓国・仁川で開かれたアジア大会で、報道カメラマンのカメラを盗んだとされる事件で、11月6日、冨田選手が「僕は盗んでいない」という会見を行いました。その会見で、冨田選手がカメラを盗んだ様子を記録した映像があるか、ないで論争になっていますが、そのカメラの映像を指して、

「監視カメラの映像」と呼ぶのか?それとも「防犯カメラの映像」と呼ぶのか?

11月6日の「ミヤネ屋」では、

「プールは物販などの商業施設ではないので、『防犯』ではなく『監視』で」

ということで、

×「防犯カメラ」→○「監視カメラ」

としました。しかし、翌7日の「ミヤネ屋」では一転、

×「監視カメラ」→○「防犯カメラ」

となりました。理由は、

「今回は、『カメラが盗まれた』わけで、その犯人を探るという意味では『防犯カメラ』ではないか」

というものでした。そういう見方もあるのか。

実は以前、「防犯カメラと監視カメラ」というタイトルで書きかけたままになっている文章があります。以下のような途中までのメモのようなものですが。

20091123日に書きかけました。そのときの番号は『平成ことば事情3918』でした。

『安心をPRする』なら『防犯カメラ』。『抑止力を重視する』なら『監視カメラ』。

『天網恢恢疎にして洩らさず』。

「監視カメラ」=監視の目が、監視網の人の目からカメラの眼に変わった背景は?イギリスは?他国は?また日本各地は!?

『監視の目』の『網の目』は、『広辞苑』に載ってる『目』の7つの意味のうちの4番目。『点状のもの。①縦横に並んだ線の交わる所。また、そのすき間。』

とある。『交わった点』を『目』というのはわかるが、『すき間』も『目』というのはなぜか??」

という本当にアイデアの「目モ」、いや「メモ」段階のものですが、要は、同じカメラを指して「監視カメラ」と呼ぶのか?「防犯カメラ」と呼ぶのか?に関しては、

「カメラの『防犯』というメリットを強調すれば『防犯カメラ』、監視される立場から不自由さを考えれば『監視カメラ』」

だと思っていたのです。しかし今回それとは別に、

「犯罪を監視したり、プールで溺れる人がいないか見守る」

という意味でメリットを強調して「監視カメラ」と呼ぶこともできるのだな、と思いました。そして「防犯カメラ」は「犯罪を未然に防ぐ」というメリットがありますが、

「犯罪が起きた際に、犯人を特定する(つまり、捕まえることにつながる)のに役立てる」

という面があって、「証拠写真」みたいな役割があるのだなと改めて感じました。

監視する対象が「犯罪」「悪事」なら役立つんですけど、「悪事ではない場合」は、

「自由を縛る」

ことになりますね。やはり両面あるんだなあ。

余談ですが、「防犯カメラ」とキーボードに打ったつもりが、出て来た文字は、

 

「棒ひゃんカメラ」

 

でしちゃ・・・。おお、吉本の諸見里みたいになってる!

(2014、11、7)

2014年11月11日 18:10 | コメント (0)