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『道浦TIME』

新・ことば事情

5381「アメション」

 

「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、ソチ五輪フィギュアスケートの、

「エキシビション」

のことを、

「エキシビジョン」

と書いてあったので、

「『ジョン』じゃないよ、『ション』だよ!」

と注意しました。その際に「『ション』と言えば・・・」と思い出したのが、

「アメション」

という言葉。私の理解では、

「ちょっとの間だけアメリカに行ってきて(洋行して)、対して何も学んで来なかったくせに、アメリカに行ったという事実をひけらかすやつを、見下して言った言葉」

だと思っていたのですが、辞書を引くと、『三省堂国語辞典・第7版』には載っていませんでした。もう死語かなあ。でも、『新明解国語辞典』には載っていました。

「アメしょん」=「(「アメ」はアメリカ、「しょん」は「小便」の俗語形「しょんべん」の略)わざわざ遠くまで出かけておきながら小便をしただjけで帰ってくる、の意味を揶揄した表現」

また、『精選版日本国語大辞典』には、

「アメしょん」=(「アメリカ」の略に「しょんべん(小便)」の略が付いた語)アメリカ合衆国へ短期間渡って、何も得るところなく帰国すること。また、その人。大正の頃よりいわれた」

大正時代かあ、じゃあもう100年ぐらい経つから、「死語」になっても仕方がないかなあ。

グーグル検索では(2月24日)

「アメしょん」=6380件

しかありませんでした・・・。

しかし、さすがに『日本俗語大辞典』(米川明彦編)は詳しく載っていました。全部載せると分量が多いので抜粋すると、

「アメリカへほんのわずかの期間行って帰国する事。またその人を冷かして言う品のない言葉。大正時代から使われ、戦後、海外渡航が規制されていた時代に、アメリカに行って帰った人を指して流行語として使われた。女優の田中絹代がその例」

おお、大正時代だけでなく、戦後も使われた流行語だったのですね!それならまだ完全には「死語」になっていないかもしれませんね。でも、さらに読み進むと、1996年に朝日新聞の「素粒子」欄で「海外渡航者1000万人突破」のニュースに関連して、

「赤ゲット、アメション、洋行帰りなんぞという言葉は遠く」

と書いたら、

「『アメション』とはどういう意味か?」

という質問が殺到したそうですから、やはり「死語」なんでしょうかね。

アジャパー。

(2014、2、24)

2014年2月26日 10:11 | コメント (0)