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『道浦TIME』

新・ことば事情

5387「ほな待っとり」

 

2月20日のNHKの朝ドラの中で、

「まず、ご飯にしよか。」

「うん。」

「うん。ほな、待っとり。」

という会話がありました。この、

「待っとり」

がちょっと気になりました。ここは、

「待っとき」

の方が大阪弁としてはしっくり来るような気がしたんですが・・・。「待っとり」は、

「待っとります」「待っとりました」

のようにつながるなら、不自然さはありませんが、言い切りの形だと、

「待っとき!」

のほうが自然な気がします。なぜだろう?

「待っとき」の語尾の「き」は「命令形」のように思います。

「待っときなさい」

の「なさい」が落ちた形。そしてこれを元の丁寧な形で言うと、

「待っておきなさい」

ですね。これに対して「待っとり」を丁寧に言うと、

「待っておりなさい」

になるか。「待って」の部分は同じだから、違うのは、

「おきなさい」か?「おりなさい」か?

ということになり、結局は「終止形」としては、

「おく」と「おる」の違い

ということになりますね。「おる」のほうが「西日本っぽい感じ」もするから「待っとり」も「あり」なのかなあ。でもまだ違和感があるなあ・・・。

2014年2月28日 21:42 | コメント (0)

新・ことば事情

5386「リフトオフ」

 

2月28日、鹿児島県の種子島から「H2Aロケット」の打ち上げが行われ、見事成功しました!以前、旅行で種子島に行った時に、このJAXAの打ち上げ場を見学したことがあります。広い敷地内の、発射台から何百メートルか横に「組み立て工場」のような背の高い建屋があって、そこから発射台へレールが敷いてあって、レール上を横に移動するようになっているんですね。あれは行ってみないと、なかなかわかりません。

ニュースを見ていたら、きょうの発射の際、中継の記者が、

「いま、『リフトオフ』しました!」

と言っていました。これって専門用語なんですかね?これまでは、

「打ち上がりました」

と言うことが多くて、この「他動詞(打つ)」と「自動詞(上がる)」が混ざった形が不自然に感じます。『放送で気になる言葉2011』の36ページにも、

「違和感を持つ人も多く、放送で使うにはまだ不適切であろう」

と記されており、「他動詞」+「他動詞」の、

「打ち上げられました」

「普通の言い方であろう」と記されています。そういったコンフリクトを避けて、「リフトオフ」という言葉を使ったのでしょうか?

英和辞典でliftを引くと、「原義」は、

「天まで持ち上げる」

だそうですから妥当かな。「lift off」は、

「(通例、重い物)を持ち上げる、引き上げる」

とありました。ロケットは、そりゃあ重いですからね。

ところで、「H2A」の読み方ですが、『放送で気になる言葉2011』の101ページには、

「えいちニ」

とあります。そして注釈として、

「宇宙開発事業団では『型』がつかない場合、『Hツー』のような英語読みを希望しているが、放送では原則として『ニ』と読む」

と記されていて、放送各社の報道ニュースでは、そう読んでいるはずです。

 

(追記)

ちなみに、

「リフトアップ」

と言うと、美容整形で、

「顔の皮膚を持ち上げて、たるみ(シワ)をなくすこと」

H2Aロケットは関係ありませんね。

(2014、3、4)

 

(2014、2、28)

2014年2月28日 19:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5385「ティモシェンコかチモシェンコか?」

 

ウクライナで事実上のクーデターが起き、国民議会はヤヌコビッチ大統領の解任を発表。ヤヌコビッチ大統領の政敵で職権乱用の罪で投獄されていた、

「ティモシェンコ元首相」

が、収容先の病院から現地時間の2月22日に釈放され、車いす姿で演説をしました。

この金髪の女性元首相の名前の表記が割れています。

「日本テレビ」は「ティモシェンコ」で、私もそう認識していましたが、新聞は2通りの表記があるようです。2月24日の朝刊を見ると、

(読売)チモシェンコ

(朝日)チモシェンコ

(毎日)ティモシェンコ

(産経)ティモシェンコ

(日経)ティモシェンコ

ということで、「読売・朝日」の二大新聞が、

「チモシェンコ」

でした。

これを調べ終わったら、夕方の『関西情報ネットten.』のSチーププロデューサーが、

「道浦さん、これ、あげます」

と言って、一枚の手書きの紙をくれました。

「ありがとう」

と言ってもらって見てみると、各新聞・放送局の「ウクライナの人名の表記一覧」が記されていました!やっぱり気になるんだ!書き写してみると、(***は確認できず)

(読売) トゥルチノフ  チモシェンコ   ヤヌコビッチ

(朝日) トゥルチノフ  チモシェンコ   ヤヌコビッチ

(毎日) トルチノフ   ティモシェンコ  ヤヌコビッチ

(産経) トゥルチノフ  ティモシェンコ  ヤヌコビッチ

(日経) トゥルチノフ  ティモシェンコ  ヤヌコビッチ

 

(NHK)トゥルチノフ  ティモシェンコ  ヤヌコービッチ

(NTV)******  ティモシェンコ  ヤヌコビッチ

(フジ )トゥルチノフ  *******  ヤヌコビッチ

(TBS)トゥルチノフ  ティモシェンコ  ヤヌコビッチ

(テレ朝)******  *******  ヤヌコビッチ

ということでした。つまり、他社と違う(少数派)なのは、

読売・朝日の「チモシェンコ」と、毎日の「トルチノフ」、NHKの「ヤヌコービッチ」ということですね。そういえば、ロシアの作曲家の

「ショスタコービッチ」

も、30年か40年前は、

「ショスタコビッチ」

と伸ばさなかったのに、いつの頃からか伸ばすようになりました。伸ばすというか、そこに「アクセントが来ている」ということなんでしょうけどね。

今後ウクライナのニュースが増えれば、もしかしたら統一されていくのかもしれませんね。

(2014、2、28)

2014年2月28日 17:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5384「そもそも、ですから、いずれにしましても」

 

2月25日の二ニコ生放送「道浦俊彦のことばのことばかり」ではゲストとして、竹中平蔵さんの秘書を務めた兵庫県立大学の真鍋雅史准教授をお迎えして、「政治のことば」について話しました。

「真鍋に学(まな)べ!」

ということですね。真鍋先生の話によると、

「衆議院と参議院では、"質問の持ち時間の勘定の仕方"が違う」

のだそうで、「衆議院」の質問者の持ち時間は、

「質問と答弁の時間を合わせて、持ち時間に数える」

のに対して、「参議院」は、

「質問者の質問の時間だけを、持ち時間とする」

のだそうです。この「ルール」によって、答弁の仕方も変わってきたり「駆け引き」が行われることになるんだそうです。それは知りませんでした。大変勉強になりました!!

そしてその中で真鍋先生が、

「衆議院の答弁の際によく使われる便利な言葉が『3つ』ある」

として紹介されたのが、

「そもそも、ですから、いずれにしましても」

でした。

「そもそも」

は、「イエスか?ノーか?」と質問されたときに、「時間を稼ぐため」「そもそも・・・」ととき起こして初めから話す場合に使い、質問者が、

「そんな話を聞いてるんじゃない!イエスか?ノーか?で聞いているんです!」

と突っ込んで来たら、

「ですから・・・」

と言ってから、またゴニョゴニョと回りくどい話に持ち込む。そしてラストに、

「いずれにしましても・・・」

でまとめるというのが、

「永田町文学の手法」

だというのです。うーむ、「いずれにしましても」でまとめるなら、これまでの論争は全く無意味ではないか!「いずれ」でもいいんだから。まさに、

「結論ありき」

なんですねえ・・・。それだと「議論」ではなく、

「議論の真似事」「議論もどき」

なのではないでしょうか?「永田町の言葉」はその「文法」をよく学んでから、聞かないといけませんね。

真鍋先生、ありがとうございました!

(2014、2、27)

2014年2月28日 14:38 | コメント (0)

新・ことば事情

5383「レンタカー店」

 

2月23日に名古屋でレンタカーが歩道に突っ込み、13人がけがをするという事件が起きました。それを伝えた2月24日朝の日本テレビ『スッキリ!!』で、容疑者が自動車を借りたところを、

「レンタカー店」

と表現していましたが違和感がありました。

「自動車を『売っていない』のに『店』というのは不自然」

だと感じたのです。自動車を「貸している」のですからね。ここは、

「レンタカー会社」

のほうが「スッキリ」するのではないかな?と思いました。

しかし、よく考えたら、

「レンタルビデオ店」

という言い方はありましたね。ここは「慣れ」で違和感を覚えなかったのでしょうか?

「レンタルのお店」「レンタルの店舗」

という言い方も違和感はありません。

「クリーニング店」

も、洗濯物を売っているのではない「サービスを提供している」のに、「店」で違和感はありませんね・・・。

こんなことを考えていたら、2月のニコ生「道浦俊彦のことばのことばかり」にゲスト出演して下さった、兵庫県立大学の真鍋雅史准教授から、

「『レンタカーを借りる』って重複表現ではないですか?」

と質問を受けました。そんなに私は気にならなかったのですが。その場では、

「そうですねえ」

と答えるにとどまりましたが、よく考えると、この場合の「レンタカー」は、

「貸し出し用の自動車」

で、それを「借りる」のですから、特に問題はないように思いました。それと、

「レンタルショップ」

という和製英語と思われる表現もありますよね。これもそんなに違和感がないなあ。

(2014、2、27)

2014年2月28日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

5382「自分事」

2月24日、日本テレビ『ZIP!!』の人気コーナー「モコズ・キッチン」。視聴者からのリクエストに応えた料理の作り方を紹介するコーナーですね。

この日は、「タカシ29歳」という人からのリクエスト。その文章の初めに、

「自分事ですが、最近、料理を始めました。」

と書かれていたのが気になりました。

「自分事(じぶんごと)」

という言葉は、聞き慣れません。意味はもちろん、

「私事(わたくしごと)」

のことだろうとは思います。「私事」は、

「私事で恐縮ですが、このたび結婚することになりまして・・・」

等と使いますよね。この「私(わたくし)」という改まった言葉になじみがないので、同じような意味で使い慣れた「自分」に置き換えたのが「自分事」なのではないでしょうか?この言葉は、国語辞典には載っていません。新しい言葉をいち早く採用することで有名な、去年12月に出たばかりの『三省堂国語辞典・第7版』には載っていないので、他の辞典にも載っていないと判断します!(ちょっと手抜き)

グーグル検索では(2月27日)、なんと

「自分事」=31万8000件

も出て来ました!うーむ、多い!

「自分事」について書かれたものを読んでいると、「私事」の使い方とは微妙に違って、

「『他人事(ひとごと)』ではないこと」=『自分事』

というニュアンスで使われているようです。中には、

「『自分事の問題解決』を目指す理科授業」

という「教師用のテキスト」と思われる本や、

「『自分事』としてのまちづくり」

といったタイトルのコラム、

「他人事とせず、自分事として取り組む」

といった用例も出て来ます。なんか、違和感があるなあ。

「自分のこととして」

ではだめなのか?「名詞」にすることで、

「商品化されたことば」

のように感じてしまいますね、私は。私事ですが。

ついでに検索。

「私事」=339万0000件

「僕事」=  8820件

「俺事」=2万6900件

でした。

(2014、2、27)

2014年2月27日 12:01 | コメント (0)

新・ことば事情

5381「アメション」

 

「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、ソチ五輪フィギュアスケートの、

「エキシビション」

のことを、

「エキシビジョン」

と書いてあったので、

「『ジョン』じゃないよ、『ション』だよ!」

と注意しました。その際に「『ション』と言えば・・・」と思い出したのが、

「アメション」

という言葉。私の理解では、

「ちょっとの間だけアメリカに行ってきて(洋行して)、対して何も学んで来なかったくせに、アメリカに行ったという事実をひけらかすやつを、見下して言った言葉」

だと思っていたのですが、辞書を引くと、『三省堂国語辞典・第7版』には載っていませんでした。もう死語かなあ。でも、『新明解国語辞典』には載っていました。

「アメしょん」=「(「アメ」はアメリカ、「しょん」は「小便」の俗語形「しょんべん」の略)わざわざ遠くまで出かけておきながら小便をしただjけで帰ってくる、の意味を揶揄した表現」

また、『精選版日本国語大辞典』には、

「アメしょん」=(「アメリカ」の略に「しょんべん(小便)」の略が付いた語)アメリカ合衆国へ短期間渡って、何も得るところなく帰国すること。また、その人。大正の頃よりいわれた」

大正時代かあ、じゃあもう100年ぐらい経つから、「死語」になっても仕方がないかなあ。

グーグル検索では(2月24日)

「アメしょん」=6380件

しかありませんでした・・・。

しかし、さすがに『日本俗語大辞典』(米川明彦編)は詳しく載っていました。全部載せると分量が多いので抜粋すると、

「アメリカへほんのわずかの期間行って帰国する事。またその人を冷かして言う品のない言葉。大正時代から使われ、戦後、海外渡航が規制されていた時代に、アメリカに行って帰った人を指して流行語として使われた。女優の田中絹代がその例」

おお、大正時代だけでなく、戦後も使われた流行語だったのですね!それならまだ完全には「死語」になっていないかもしれませんね。でも、さらに読み進むと、1996年に朝日新聞の「素粒子」欄で「海外渡航者1000万人突破」のニュースに関連して、

「赤ゲット、アメション、洋行帰りなんぞという言葉は遠く」

と書いたら、

「『アメション』とはどういう意味か?」

という質問が殺到したそうですから、やはり「死語」なんでしょうかね。

アジャパー。

(2014、2、24)

2014年2月26日 10:11 | コメント (0)

新・ことば事情

5380「ダントツ1位」

福岡放送(FBS)の同期・古賀ゆきひとアナウンサーから、もう一つ質問が来ていました。

「『ダントツ』という言葉に関して、『ダントツ トップ』は『断然トップ トップ』という重複表現でダメかもしれませんが、最近『ダントツ 1位』という表現は、意味の並立と文法上からすれば、使っても問題ないとも思えますが、いかがでしょうか?」

というものです。

過去に「ダントツ」については書いた気がするな。調べてみると、

「平成ことば事情2172断突」「平成ことば事情ダントツ最下位」

で書いていました。しかし、

「ダントツ1位」

については触れていませんでした。そこでこんなメールで返事しました。

「おっしゃる通り『ダントツ』は『断然トップ』の略から生まれた言葉ですね。ですから『ダントツ最下位』は間違いだと言えます。『ダントツ・トップ』も、『トップ』という言葉が重複していて違和感があります。『ダントツ1位』は『ダントツ・トップ』と意味上は同じで、『ダントツ』を『単なる形容詞』として使っている点では『間違い』かもしれません。しかし『ダントツ』の語源がそれほど意識されなくなっている現在、『ダントツ』だけでは『1位』ということが分かりにくい。そこで『1位』で意味を補い強調していると考えれば『許容』かなと思いました。」

といったところで、いかがでしょうか?

(2014、2、24)

2014年2月25日 22:09 | コメント (0)

新・ことば事情

5379「創業」

 

福岡放送(FBS)の同期・古賀ゆきひとアナウンサーから、言葉の質問が来ました。

「『創業』という言葉を使う際には、基本的には『明治5年 創業』と言う使い方が正解で、『創業100年』は間違いだと聞いたことがありますが、最近はとてもあいまいです。どう対処しているか教えてください。」

へえー、それは気付きませんでした。改めて考えてみましょう。

「創業」=「事業を始めること」

なので、名詞でありながら「動詞」の要素の強い言葉ですね。ですから、

「明治5年創業」=「明治5年に事業を始めた」

で、もちろん本来の使い方でOKですが、「創業100年」の場合は、

「創業」=「創業以来」

の意味になっています。『新明解国語辞典』では2番目の意味として、

「営業を始めること」

として載っていて、用例は、

「創業(=創業以来)三十年」

となっています。『明鏡国語辞典」も同様で、用例は、

「創業三十周年記念」

です。『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『三省堂国語辞典』には、最初の意味し

か載っていなかったので、それをとらえて、

「『創業100年』という使い方はダメ」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか?でも、

「使ってもOK」

でしょう。そのように回答しました。

(2014、2、24)

2014年2月25日 20:08 | コメント (0)

新・ことば事情

5378「西陣織のアクセント」

 

2月25日NHKのお昼の番組を聞いていたら、広島からひな人形の話題を中継で放送していました。その中で若い女性タレントさんが、ひな人形が着ている着物の説明で、

「西陣織」

のことを、

「ニ/シジ\ンオリ」

「中高アクセント」で言っていましたが、スッゴク違和感がありました。知らんのやなあ。横にいるアナウンサー、教えてやれよ!と思いつつ。これはやはり、

「ニ/シンジンオリ」

「平板アクセント」で言ってもらわないと。本当は全部高さが同じ「関西風平板アクセント」が望ましいのですが。

(2014、2、25)

2014年2月25日 18:07 | コメント (0)

新・ことば事情

5377「スマホでやけど」

 

先日、新聞を見ていたら、こんな見出しが目に入りました。

「スマホでやけど」

ふーん、「スマホ」で、何があったんやろ?と思って本文を読んでみたら、ビックリ!この見出しは、

「スマホでヤケド」

だったのです!「スマホ」が発熱して熱くなって、それが原因で、

「火傷(ヤケド)」

をしたという見出しでした。

しかーし!

関西人にとっては「やけど」という平仮名の前に「で」が付いたら、

「~でやけど・・・」「ふんふん、それで?」

となるのが自然だと思いませんか?関西人の皆さん!

「そのお店まで、何で行ったん?」「電車でやけど」

というような感じです。決して「電車でヤケドをした」わけではありません。

そういった間違いを防ぐためには、

「火傷」

漢字で書いて「やけど」「ヤケド」などとルビを振るか、助詞の「で」と区別するためにカタカナで、

「ヤケド」

と書いてほしいなと思いました。もしくは、「で」の後に少しスペースを空けて、

「スマホで やけど」

とするか。これでも間違うかなあ・・・。

いずれにせよ、関西版の新聞だけで結構なんですけど。そうじゃないと、こんな具合に。

「やけどしてん!」

「なんで?何でやけどしたん?」

「スマホでやけど。さらに詳しく言うと、スマホでやけどやけど」

となってしまういうことですね。ご注意ください。

(2014、2、25)

2014年2月25日 15:06 | コメント (0)

新・ことば事情

5376「犠牲」

 

2月23日、名古屋駅前で自動車が故意に歩道に突っ込むという事件がありました。それを伝えた他局のある番組で、

「この事件で13人が犠牲となった」

とナレーションで読んでいたそうです。(私は聞いても見てもいないのですが)

でも、実はこの事件件では、

「亡くなった方は、一人もいなかった」

のです。

「無謀に突っ込んで来た自動車に轢かれてけがをした」=「犠牲になった」

という表現には無理があると思います。普通、こういった場合の「犠牲になる」の意味は、

「亡くなる・死亡する」

です。

『三省堂国語辞典・第7版』には、

「犠牲」①(文)いけにえ。②ほかのものの利益のために損害を(引き)受けるもの。また、その損害。(例)「自分を犠牲にする」「犠牲をはらう」③(災難に遭って)死ぬこと。(例)「戦争で市民が犠牲になる」

とありまして、このケースでは、③のことですね。

(2014、2、24)

2014年2月25日 12:19 | コメント (0)

新・ことば事情

5375「『変える』と『換える』」

 

2月23日に行われた「東京マラソン2014」、我らが宮根誠司さんも参加し、見事、目標の4時間30分を切る、「4時間15分57秒」でゴールしました!すごいなあ、もうちょっとで「サブフォー」、4時間を切るようなタイム、もう「アスリート」ですよね、これ。しかも1キロ6分、5キロ30分のペースでずっと最後まで行ったというのがすごい!

さて、その模様を伝えた2月24日の「ミヤネ屋」で、

「声援を力にかえる」

という表現が出て来ました。この「かえる」は、「変える」か?「換える」か?

普通、「かえる」と言うとすぐに「変える」を使ってしまうのですが、「交換する」という意味であるならば、「換える」ですよね。

読売新聞の校閲OBのOさんとKさんに伺ったところ、

「自然とそうなる場合『変える』、人の手が入った場合は『換える』」

というご意見でした。つまりその変化が、

「『自動詞的』な場合は、『変わる』」

となり、

「『他動詞的』な場合は『換える』」

だというのです。なるほどね。結局、今回は、

「換える」

にしました!

(2014、2、24)

2014年2月25日 10:18 | コメント (0)

新・ことば事情

5374「彼女さん」

 

2月24日の日本テレビ「スッキリ!!」を見ていたら、「キャイ~ン」の天野ひろゆきさん(43)の結婚を伝えていました。それに関連して、天野さん主催の飲み会によく出ているというお笑い芸人の「三瓶」さん(37)が、こう答えていました。

「"彼女さん"のことは、全然知らなかったです」

この中の、

「彼女さん」

という言葉が気になりました。普通は「彼女」でいいはずです。でも、最近ちょくちょく耳にする表現です。

なぜ「さん」を付けるのか?それは、

「先輩の『彼女』だから」

ですね。

「『先輩』に敬意を払うのと同じように、見知らぬ"彼女"にも敬意を表している」

のでしょう。そして「彼女」を直接は知らないということも関係しているかもしれません。

先輩が結婚している場合は、

「奥さん」

と呼ぶところですが、結婚していないので「彼女さん」となるということだと思われますが、これまではあまり聞きませんでした。これが男女逆の場合は、

「彼氏さん」

というのでしょうか?グーグル検索してみると(2月24日)

「彼女さん」=54万1000件

「彼氏さん」=60万0000件

もありました。「彼女さん」に関しては2004年9月の「ヤフー知恵袋」に、

「最近よく耳にするが、気持ち悪い」

と書かれているものがありました。それに対する答えとしては、

「昔からそういう言い方はあった」

でした。「彼氏さん」のトップに出て来た「ヤフー知恵袋」は2013年2月のもので、やはり「彼氏さん」という呼び方に違和感を覚える人のものでした。

(2014、2、24)

2014年2月24日 23:17 | コメント (0)

新・ことば事情

5373「『受け止める』と『受け入れる』」

「ソチ五輪」も終わりましたね。その「ソチ」を振り返るVTRを作っていたディレクターから質問を受けました。

「浅田真央選手が、ショートプログラムで失敗した直後のインタビューで、うつろな表情だった時のことを指して言うなら、『現実を受け止められなかった』でしょうか?それとも『受け入れられなかった』でしょうか?」

うーむ、難しい質問をしてきやがって。

知恵を絞ると、当時の浅田選手の様子は、4年間をかけてやってきた集大成の五輪での失敗という現実を、

「受け止められないでいる」

感じがしました。

「受け止める」と「受け入れる」の違いに関しては、

*「受け止める」=現実の現象を現実として、客観的に認識する。

*「受け入れる」=現実を認識した上で、それを自分の考えとして好悪にかかわわらず認める。

という違いがあるように思います。ですから、順番で言うと、まず「受け止め」て、その次の段階で「受け入れる」となると思います。

競技直後の真央ちゃんの様子は「受け入れるかどうか」というところまで達していない、そういった出来事があったことすら、

「信じられない」

段階で、「受け止める」ことすらできていなかったのではないかと思いました。

フリーの演技は、そういった経験があったからこそ、開き直って本来の力を出すことができたのではないかと思いました。

(2014、2、24)

2014年2月24日 19:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5372「コイに塩素を入れた?」

 

2月23日の夜9時前のテレビ朝日のニュース番組で、「さいたま水族館」の魚が800匹死んだというニュースを放送していました。水族館の水の塩素濃度が普段よりも上がっていたことから、原因は、

「何者かがコイに塩素を入れたものとみられ・・・」

という原稿を読んでいました。私はそれを聞いて、一瞬、

「え?コイ(鯉)?鯉だけ?ほかの魚も死んだのでは?」

と感じ、次の瞬間、

「あ、『故意』か!」

と理解できましたが、これは同音異義語だけにわかりにくい。

「何者かが"わざと"塩素を入れたものとみられ」

にすれば、そういった誤解を避けられますね。しかし、もしこれが、

「濃い塩素を鯉の水槽に入れた」

ならば、

「何者かが、故意に鯉の水槽に濃い塩素を入れたとみられ」

というようになって、「アナウンサーの滑舌練習」の文章のようになってしまいます。

あ、それと気になったのは、女性アナウンサーが「水族館」を、

「スイゾクカン」

「ク」を有声音で読んでいたことです。これは「ク」は「無声音」で読むべきです。その結果、「促音」(小さいッ)のようになって、

「スイゾッカン」

となるのが普通ではないでしょうか?『NHK日本語発音アクセント辞典』には、促音の「スイゾッカン」も載っています。

たとえば「小学校」という言葉は、文字通りであれば、

「ショウガクコウ」

ですが、「ク」が無声音になるので、聞こえ方としては、

「ショウガッコウ」

「促音化」に進み、いまや「表記」も「しょうがっこう」と「促音表記」です。

一方、「熱気球」は、「熱」「気球」のそれぞれの意味がまだ強く残っているので、「ネツ」の「ツ」は無声化せずに、

「ネツキキュウ」

と読みますが、「水族館」の場合は「水族」と「館」が、それぞれ意味を強く持っているというよりは「水族館で1語」という結びつきが強いと思います。

(2014、2、24)

2014年2月24日 16:18 | コメント (0)

新・ことば事情

5371「イカ徳利」

 

2月21日の読売テレビのお昼のニュースで、今生産が最盛期を迎えている、

「イカ徳利」

について伝えていました。その際に本野アナウンサーは、

「いかとっくり」

「徳利」を「濁らずに」読んでいたのですが、私の語感と違うので「おや?」と思いました。私なら、

「いかどっくり」

と濁ります。これまでそのように読んできた気がします。

『NHK日本語発音クセント辞典』を引きましたが、この言葉は載っていません。

『三省堂国語辞典・第7版』を引きましたが、「いかすみ」「いかそうめん」は載っていましたが、「イカ徳利」は載っていませんでした。

『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『大辞林』には、いずれも、

「いかどっくり」

という「濁った形のみ」載っていました。

複合語の後部要素が「濁る」か「濁らない」かは、「その複合語の結びつき」が「強い」か「強くないか」で決まると思います。つまり「複合語」として熟成して「一語」と認められるようになって来たら「濁る」ようになる。これはアクセントでも、

「コンパウンド」

という形で現れます。

そして、「一語」と感じるかどうかは、

「その言葉をよく使うか、あまり使わないか」

によって変わりますから、かなり「属人的」な部分があります。

本野アナウンサーは、入社10年程になりますが、

「『イカ徳利』のニュースを読んだのは初めて。この言葉もきょう初めて知った」

と言っていました。現地の記者にも確認したそうですが、その時の聞き方が、

「これ、『イカトックリ』でいいんですよね?」

というような聞き方で、

「濁るか?濁らないか?」

については聞かなかったそうです。

おそらく、以前はよく使われて「濁っていた」ものが、あまり使われなくなってきた(つまり、言葉として伝わらなくなってきて)ことで、「濁らない」ようになってきているのが現状ではないか?と感じました。

 

 

(追記)

2月25日の朝日放送(ABC)のお昼のニュースでも、「今、生産がピークを迎えている」というニュースを放送していました。いわゆる「ひまネタ」と呼ばれる種類のニュースなので、「ストック」しておいて、事件や事故のニュースが少ない時に放送されるからですね。

ABCのニュースでも、「濁らない」、

「イカとっくり」

で放送していました。その商品が入った袋に、どう書いてあるか注目したら、

「徳利いか」

漢字で書かれていて、しかも順番が逆で、私の期待には答えてくれませんでした・・・。

(2014、2、25)

 

 

 

 

(2014、2、21)

2014年2月22日 12:00 | コメント (0)

新・ことば事情

5370「地球ロック」

 

いつも「新語情報」を教えてくれる、M若アナウンサーが、また「新語情報」を仕入れて来てくれました。

「道浦さん、『地球ロック』って言葉、知ってますか?」

「『地球ロック』?ロックンロール?」

「いえ。自転車やバイクにチェーンのカギを掛ける時に、自分の自転車やバイクの車輪のところに巻いてカギをかけるのではなく、電柱とか何かの柱とか、しっかりと地面から立っていて動かない物に巻き付けるカギのかけ方について、言うようなんです。」

「へえー、初めて聞いたな」

ということで、インターネットでグーグル検索をしてみたら(2月20日)、

「地球ロック」=5万2500件

でした。あるサイトには、こういう記述がありました。

「地球ロックとはロックの固定方法のこと。移動出来ない、破壊出来ないような物とバイクをロックで繋ぐ事です。地球ロックする対象は、自宅の駐輪場なら専用のアンカーなどを買って駐輪場にアンカーを埋め込むのが一番良い。外出先などでは電柱、標識、ガードレールなど、破壊したら罪に問われる物。太い木の幹、強固な柵、鉄の柱など破壊するのが難しい物とロックをするのが良い。」

とありました。また、こういう記述も。

「地球ロックとは、自転車を歩道や公園などの駐輪場に止めておくとき、地面に設置されている鉄の棒などの構造物にワイヤーをくくりつける方法のことで、この方法を採れば、工具などでワイヤーを切断しない限り自転車を盗まれることはまずありません。」

ふーむ。高価な自転車やバイクをお持ちの方は、とっくに知っている言葉なのかもしれませんね。当然、まとめは、

「『地球ロック』でロックンロールだぜ、ベイビー!」

(2014、2、20)

2014年2月21日 16:03 | コメント (0)

新・読書日記 2014_023

『漂流者~野球さえあれば、世界のどこでも生きていける』(マック鈴木、三交社:2014、2、1)

 

「マック鈴木」が、日本のプロ野球を経ずにメジャーへ行くと聞いた時、もう20年ほど前になりますが、かなり衝撃的でした。野茂秀雄投手のメジャー挑戦が1995年、それに先立つこと3年です。遂に「大リーグ」ではなく「メジャーリーグ」が、日本人選手の視野に入って来たか、それも高校を途中でやめた若者がメジャーへと言うのは「ビッグニュース」だと思ったものです。その後、いつブレークするか?と期待していたのですが、あまり噂を聞かなくなったなあ・・・と。

日本に戻って来てからも、それほどブレークしないまま「もう引退したんだろう」と思っていました。その辺の当時の状況が、本人の口から語られているので、興味深い。

アメリカからプエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ、メキシコ、台湾、カナダ、そして日本。今は、兵庫・淡路島に住んでいるという。

サブタイトルの「野球さえあれば、世界のどこでも生きていける」というのは、「実力があれば」ということと「野球をやっている国であれば」とういう制限はあるが、高校中退の少年が、力強く世界を股にかけて生きて来た、そしてもう、あと1年ちょっとで「不惑」を迎えようとしている、その数奇な半生を、じっくりと読んでみてほしい。



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(2014、2、17読了)

2014年2月21日 11:55 | コメント (0)

新・読書日記 2014_022

『ミツバチの大量死は警告する』(岡田幹治、集英社新書:2013、12、22)

ミツバチが不足しているという話は、以前聞いた気がしていた。だから「ミツバチ泥棒」(ミツバチの巣箱を盗む)のニュースも、何度か耳にし目にし、

「そんなものを盗む人がいるんだ」

と思っていたが、事態はもっと深く静かに深刻に進行していたのだ。

これが若いライターさんが書いたのだったら「へえー」程度だが、1940年生まれ、70歳を超えた超ベテランのフリージャーナリストの方が書いているので、

「え!そうだったの」

と思ってしまった。

ミツバチが減った原因は「ネオニコチノイド系」の「新しい農薬」にあったというのだ。ミツバチの減少は、受粉・授粉ができなくなるので、作物の減収につながる。しかもこれは日本に限った問題ではなく、世界的規模の話だと。私たちに今、できることは?

うーむ、深い問題である。

 


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(2014、1、25読了)

2014年2月20日 18:54 | コメント (0)

新・ことば事情

5369「パラレル」

 

竹内智香選手(30)が4度目の五輪出場で、初めて「銀メダル」を獲得!

ワールドカップで2位の実力からしたら「当然」かもしれませんが、当然の実力がなかなか発揮できないのがこの「五輪」という舞台ですから、やはり、すごいなあと思います。おめでとうございます!

さて、その竹内選手が出場した種目というのは、

「スノーボードパラレル大回転」

それを見て素朴な疑問が出て来ました。

「スノーボードの板は1枚しかないのに、なぜ『パラレル』なの?」

という疑問です。「スキー」で「パラレル」と言うと、

「2枚の板をそろえて滑ること」

のことを指します。「パラレル」は、

「並行・平行」

という意味ですよね。それなのに「1枚の板」で「パラレル」ってどういうこと?という疑問です。

それは、すぐに解決しました。この「スノーボードパラレル大回転」は、

「2人の選手が並んで競技する」

という意味での「パラレル」だったのですね。納得です。

(2014、2、20)

2014年2月20日 15:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5368「岩辺」

 

インドネシアのバリ島でダイビング中に行方不明になった日本人女性7人の捜索で、5人は無事救助されましたが、1人が遺体で発見され、もう1人の行方はまだ分かっていません。(日本時間2月20日正午現在)

そのニュースを伝えた219日の「ミヤネ屋」の中で、現地を取材している記者のコメントの音生かしのフォロースーパーで、

「あ、あそこの岩辺に4人がいます!」

というのがあり、そのままOKで通していたところ、読売新聞校閲部OBのOさんから、

「『岩辺』という言葉はおかしい。『岸辺』ではないか?」

と指摘がありました。たしかに!「岸辺」は聞いたことがありますが、「岩辺」は初めて聞きました。見逃していたんだけど。

「岸辺」のように「○辺」となる言葉は、

「岸辺」「浜辺」「海辺」「磯辺」

などですが、いずれも、

「水と陸地が接する部分で、人が入り込めるところ。みぎわ(水際)。遊水地的な場所」

を指します。「岩場」は、人が入り込めますが「水」とは断絶しているので、「岩辺」とは呼ばないのではないかと思います。

今回の場所は「岸辺」と呼ぶにはふさわしくなく、いわば「岩場」と読んだ方がよい所でしたが、

「岩場+岸辺=岩辺」

となってしまったんでしょうか?実際のVTR映像で音声を聞くと、確かにその記者は、

「いわべ」

と言っていました。

実際の放送では、その「岩辺」をカットして、

「あ、あそこに4人がいます!」

としました。それで全然、問題なかったな。

グーグル検索では(2月20日)

「岩辺」=4万7200件

出て来ましたが、「一般名詞」というよりは、「人名」「地名」のようです。岡山県美作市に「岩辺」という地名があるようです。

 

 

 

(2014、2、20)

2014年2月20日 12:28 | コメント (0)

新・ことば事情

5367「台湾出身」

 

2月19日放送の「ミヤネ屋」で、女優の香里奈さんが電撃結婚か?というニュースを報じました。その際に、相手の男性が、

「台湾国籍」

というテロップを1か所だけ出してしまいました。

我が国・日本は現在、「台湾」=「中華民国」を「国」として認めていない(国交のある「中華人民共和国」の一部という認識)ので、「台湾国籍」という表現は正しくありません。同じように国際的には「国」として表向き認められていないような場合、しかしながら、例えば「オリンピック」には参加を認めるというような場合には、

「『196か国』ではなく『196の国や地域』」

というように「地域」という表現が使われるのは、こういった事情があります。

この問題に関しては、以前も何回か書いています。

「平成ことば事情638 台湾籍」

「平成ことば事情775 台湾人」

「平成ことば事情1226 台湾人医師」

それらを改めて読んでみると、

「台湾籍」

なら使ってもいいのかな?という感じでしたが、今回、このニュースを最初に報じた2月19日付「東京中日スポーツ」は、

「台湾出身の年下の一般人男性」

という表現を取っています。知り合った場所が、

「ハワイ・オアフ島の語学学校」

ということもありますし、

「台湾出身」

という表現はふさわしいのかもしれないなあと思いました。

(2014、2、19)

2014年2月19日 23:36 | コメント (0)

新・読書日記 2014_021

『辞書になった男~ケンボー先生と山田先生』(佐々木健一、文藝春秋:2014、2、10)

著者はNHKのディレクター。去年この本の元となった作品『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男』を撮り、BSプレミアムで放送、「第30回ATP賞・最優秀賞」を受賞した。番組のその書籍化。

実は、その作品を私は見ていない。年末に再放送があったが、これも見逃がしてしまった・・・。著者の佐々木さんとは一度お会いしたことがある。以前、『みんなでニホンGO!』という番組を彼が作っていた時に、その番組のブレーンでもあった飯間浩明さんとのつながりで、居酒屋で会った。その後、彼は「ニホン語」の魅力に取りつかれたらしい。

本書にも飯間さんは頻繁に登場するし、その意味でも、とても親しみを持って読むことができた。

本書の内容は、同じ三省堂から出ている『三省堂国語辞典』(三国)と『新明解国語辞典』(新明解)。その編者は、「三国」が見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)、「新明解」が山田忠雄。二人は東大の同級生であった。その二人が、最初は協力して辞書の編集をしていたのに、なぜ袂を分かつことになったのか?「1月9日」という日付に隠された謎は?用例に潜んでいる思いとは?ドキュメンタリー番組のように(って、元が「ドキュメンタリー番組」なんだから当たり前なのですが)丹念に関係者に話を聞き取りながら話が進む様子は、推理小説のようでもある。

「国語辞典なんて、どれでも同じでしょ?」

と思っている人には、ぜひ読んでほしい一冊。なんと人間臭いドラマが、辞書の中に潜んでいるか、辞書とは「人間」が作っているものであるということが感じ取れる一冊です。

これを読んだら、武藤康史さんの『明解物語』も読んでくださいね。(と書いてネット検索したら、今品切れらしい。古本だと結構高い。6000円以上の値も付いている。もともと定価が3400円(プラス税)と高かったし。図書館で捜してくださいね。)


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(2014、2、9読了)

2014年2月19日 21:18 | コメント (0)

新・ことば事情

5366「新生と新星」

 

2月19日の「ミヤネ屋」で、ソチ五輪の女子フィギュアスケートSPを控えての特集を放送しました。その中で紹介した選手の「修飾句」に、

「新・浅田真央選手」

「新・ユリア・リプニスカヤ選手」

というのがありました。

「新生」と「新星」、どちらも読みは、

「しんせい」

ですね。この違いは、

「新生」=「新しく生まれ変わる」=「リ・ボーン」

「新星」=「新たに表れた星」=「ニュー・カマー」

です。

ジュニアでは実績があって、去年からはシニアアーでも実績を上げているリプニツカヤ選手の、驚異的な柔軟さでの「キャンドルスピン」は本当に驚きの技ですが、この「同音異義語」での対決、浅田選手にはぜひ、「円熟味」で素晴らしい演技を見せてほしいですね。ガンバレ浅田選手!

【スノボ・アルペン女子パラレル大回転・竹内智香選手銀メダル、

おめでとう!!】

(2014、2、19)

2014年2月19日 20:35 | コメント (0)

新・読書日記 2014_020

『すべてのJ-POPはパクリである。~現代ポップス論考』(マキタスポーツ、扶桑社:2014、1、30)

マキタスポーツという「人」をご存知ですか?私がこの人の名前を知ったのは、半年ほど前です。「ミヤネ屋」に出演してもらった時に「ふ-ん、こんな人なんだ」と知った。

その「マキタスポーツ」さんが、刺激的なタイトルの「音楽」に関する本を出した!たまたま出張で出かけた東京で、神保町の東京堂書店で見つけて購入。芸名は、山梨の実家が営む「スポーツ店」の名前なのだそうだ。PRも兼ねた芸名か。(これは今週の『週刊文春』の水道橋博士の連載「藝人春秋」で知った。)

さて、本の内容は、4つの章立て。「ヒット曲の法則」「なぜCDが売れなくなったのか?」「モノマネから発するオリジナリティー」「日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ」という、かなり「マジ」な内容。特に第1章の「ヒット曲」の分析で、ヒット曲は「カノン進行」が取り入れられているという指摘は鋭い!「目からウロコ」である。「カノン進行」の例に挙げているヒット曲は、「クリスマス・イヴ」(山下達郎)、「ひこうき雲」(荒井由実)、「大阪で生まれた女」(BORO)、「愛は勝つ」(KAN)、「壊れかけRadio」(徳永英明)、「浪漫飛行」(米米CULB)、「真夏の果実」(サザン・オールスターズ)「何も言えなくて・・・夏」(J-WALK)、「TOMORROW」(岡本真夜)・・・・・。うーん、たしかに、全部「似ている!」。だんだん音階が下がってくる感じが!それが「カノン進行」なのか!

まあ、「カノン進行でヒットした曲」を集めたのであって「カノン進行であれば必ずヒットする」訳ではない。これにプラス「J-POPらしい言葉」も分析している辺りがスゴい。これと同じような分析は、言語学的にも行われたことがあるが、「どうやったら売れるか」という視線からのこれほど詳しい分析というのは、なかったのではないかと思う。すごいです。一読をお勧めします。


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(2014、2、9読了)

2014年2月19日 18:17 | コメント (0)

新・読書日記 2014_019

『その日本語、ヨロシイですか?』(井上孝夫、新潮社:2014、1、15)

 

著者は新潮社校閲部・部長さん。マンガも挟み込まれたこの本、そのマンガも書いているとい器用さ!著者略歴をみると、マンガの賞をいくつも取っている本格派だ。中身も大変わかりやすくまた、興味深い。

新潮社の校閲ということは、小駒さんとも同僚なわけですね。1954年生まれと言うから、私よりは7つ先輩だ。

大変勉強になったし、読みやすい。誰でも手軽に読めて、勉強になる一冊です!


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(2014、2、6読了)

2014年2月19日 15:16 | コメント (0)

新・読書日記 2014_018

『余生返上』(大谷晃一、ノア工房:2014、1、10)

 

「情けない男」の話である、「素晴らしい"夫の愛"」の話である。こんな夫婦は滅多にいない。貴重な記録である。「連理の比翼」という言葉、よくわかんないけど、こういうことか。(調べたら、白居易の「長恨歌」でしたか。)

大谷晃一先生、90歳。今から20年ほど前に『大阪学』という書物を出されたときに、初めて取材に行った。それ以降も何度か取材に伺った。最後にお邪魔したのは、今から13年前。はっきり覚えている。2001年の9月12日に、兵庫県伊丹市のお宅にお邪魔したのだ。そう、アメリカの同時多発テロ「9.11」の翌日だったのである。今は亡き奥様が、2階の書斎まで、お茶を持って来てくれた。暑い日だった。

その後、奥様が亡くなって、大谷先生は「老人ホーム」に入られた。毎年、年賀状を頂いていて、それは知っていた。老人ホームに入られた時に、「筆を措く」決意をされたようだが、奥様を亡くして、その心の空白を埋めるためにか、また筆を執った。この本は、大谷先生の自叙伝である。そしてご本人いわく、「最後の著作」だそうだ。奥様を失って、本当に魂が奪われたようになる大谷先生。しかし、「余生を返上」して書き上げた一冊である。心して読むべし。

(☆5つ)


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(2014、2、6読了)

2014年2月19日 10:15 | コメント (0)

新・読書日記 2014_017

『言葉と歩く日記』(多和田葉子、岩波新書:2013、12、20)

 

芥川賞作家の多和田葉子さんは1982年早稲田大学卒ということで2年先輩。1980年代初期の2年間ほどは、同時期にキャンパスの空気を吸っていたのだ、面識はなかったが。その後、多和田さんは渡独して31年。日本語とドイツ語で作品を物している大作家である。改めて奥付を見たら、芥川賞の後も、泉鏡花文学賞、ドゥマゴ文学賞、谷崎潤一郎賞、伊東整文学賞、紫式部文学賞、読売文学賞、文部科学大臣賞、野間文芸賞と、まあ、賞という賞を"総なめ状態"ではありませんか!スンゴイ!その多和田さん創作の秘密を垣間見ることが出来るかも・・・というこの「日記」、言葉についてのことが、たくさん記されているが、「1年間の物」ではなくて、

「1月1日から4月14日まで」

のもの。ということは、この後、続編が「4月15日から8月末まで」「9月~12月まで」が出るのではないか?と期待してしまう。季節と文章は、やはり関係あるでしょう?

多和田さんは、とにかくいろんな本を読んでるのだなということも感じられた。その中の何冊かは、私も読んだことがある本で、「やはり言葉に興味のある人は、読んでいるのだなあ」と共感。また、講演などで世界中を飛び回っているというのも驚きだった。「作家」というと、あまり外に出ないイメージが、どうしてもあったので。「そんなに忙しいのに、よく創作が出来るなあ」というのも驚きである。

「2月11日」(91ページから92ページ)に書かれていた出来事、ある大学の雑誌から頼まれて書いた文章の、

「普通高校で教える視覚障碍のある高校教師が遭遇する様々な『事件』は、大変痛い思いをながら読んだ」

という一文に対して、その雑誌の編集者が、

「『大変痛い思いをしながら読んだ』ではわかりにくいので『心が痛んだ』という表現にしてはどうか、と言ってきた」

という出来事が記されている。多和田さんは苦笑しながら「心が痛い」では通俗的過ぎて伝わらないと。そしてこの「視覚障碍のある高校教師」は、多和田さんの学生時代の友人なので、「読んでいて本当に痛かったのである」

と記している。この雑誌の編集者、勇気があるのか、身の程知らずというか、よく多和田さんに対してそんな提案をしましたねえ・・・。そしてこの「視覚障碍のある高校教師」とは、私の大学時代グリークラブの先輩である。その「雑誌」での多和田さんの書評も、去年、私は読んでいました。裏でそんなことがあったとはねえ・・・などと思いながら、読み進めました。多和田さんが、

「ある表現が頻繁に使われると、その表現は身体から離れていく。そんな時は、ずらすしかない」

と書いているのは、つまり「常套句」の扱い方ですね。「文学者」「クリエイター」としては当然だと思います。そういう意味では「編集者」は「クリエイター」ではなく「エディター」だから、「枠の中に収めよう」とするのが「プロ」なのかもしれないな。でも。本当のプロのエディターであれば、「クリエイター」の想像力をきっちりと認めて収める度量が必要なのではないかと思いますけど。

228ページの記述も面白かった。

「トルチェロ(イタリア・ベネチア)のビザンチン教会を見てびっくりした。これは(中略)イスタンブールの聖ソフィア教会そっくりではないか。ちょっと目眩がした。つながっている。イスタンブールとベネチアがつながっている。鏡のこちら側と向こう側。東ローマ帝国と西ローマ帝国。東側諸国と西側諸国。東日本と西日本。東洋と西洋。世界をそのようにとらえてしまうところをみると、ひょっとしたら脳には右脳と左脳がある訳ではなく、東脳と西脳があるのかもしれない。」

この飛躍はさすが作家!と思いましたが、目眩はしたんでしょうね。

あ、私は、知り合いに「宇野君」と「佐野さん」がいます。右脳と左脳。


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(2014、2、1読了)

2014年2月18日 23:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5365「ジャンプの数字のアクセント」

 

2月18日、ノルディック複合個人ラージヒルの中継を、NHKEテレビで見ていました。

その際に、男性アナウンサーの数字のアクセントが気になりました。

「126メートル50」

を、

「ヒャ/クニジューロクメーターゴジュ\ー」

と、「全部コンパウンドする」のです。たしかに、日本のジャンプ会場での「場内アナウンス」はこんな感じでコールするのを聞いたことがありますが、アナウンサーもこんな風に言うのかな?これは普通は、

「ヒャ/クニ\ジュー・ロ/ク\メーター・ゴ/ジュ\ー」

と読むのではないでしょうか?

ちなみに、この男性アナウンサーは「15位」も、

「ジュ/ーゴ\イ」

と、コンパウンドした「中高アクセント」でした。これも、

「ジュ\ーゴイ」あるいは「ジュ\ー・ゴ\イ」

ではないでしょうか?気になったアクセントでした。

(2014、2、18)

2014年2月18日 22:55 | コメント (0)

新・ことば事情

5364「跳ぶと飛ぶ」

 

ソチ五輪、スキーにスケート、雪や氷の上のスポーツが展開されていますが、ここによく出て来る言葉に、

「とぶ」

があります。しかし、この言葉を漢字で書くときには、注意が必要です。

氷の上を滑る「スケート」の場合に「とぶ」あるいは「ジャンプ」ということを漢字で書くと、

「跳ぶ」

です。しかし、同じ「ジャンプ」という言葉を使っても、飛距離を競う「スキー」の「ジャンプ」の場合は、

「飛型点」

という言葉が示すように、

「飛ぶ」

を使いますね。本当はジャンプ台から、ずっと下の方まで限りなく

「落下している」

ように見えるのですが・・・。

この「とぶ」の使い分けを間違うと、「飛んだこと」になります。

(2014、2、17)

2014年2月18日 21:52 | コメント (0)

新・読書日記 2014_016

『邪悪なものの鎮め方』(内田樹、文春文庫:2014、1、10)

 

「内田樹氏の文章は、なんとなく好きではない」とさんざん書いておいて、それでも読んでしまうのは、やはり内容が興味深いからだとしか言いようがない。今回はタイトルにも惹かれた。気の短い私は、「どうやったら、我慢することなく怒りを鎮めることが出来るのか?」に常に興味を持っていて、「怒らない」とかいうタイトルがあるとついつい読んでは、「また騙された!」と怒ることが多いのだが、今回は「怒らない」のではなく「邪悪なものの鎮め方」。「邪悪なもの」とは「自らの内にあるもの」なのか?はたまた「周囲の人にあるもの」なのか?その辺りも興味があった。なんか「宗教的」な臭いもするしね。

「まえがき」によると、

「『邪悪なもの』をめぐる物語は古来無数に存在します。そのどれもが『どうしていいかわからないときに、正しい選択をした』主人公が生き延びた話です。主人公はどうして生き延びることができたのでしょう。私自身がみつけた答えは『ディーセンシー(礼儀正しさ)』と、『身体感度の高さ』と『オープンマインド』ということでした」

とありました。なるほど。「世の中の大衆の流れに流されずに、高貴な精神を持つことが大切」ということかな?

また「被害者意識」について書かれた「被害者の呪い」には、

『「本来私に帰属するはずのものが不当に奪われている。それを返せ」とうのが権利請求の標準的なありようである。それで正しい。困ったことに、私はこの『正しさ』にうんざりし始めているのである』(91ページ)

とあった。たしかに「被害者意識の蔓延」は、ちょっと困った風潮である。正当ではあるが、詩人の吉野弘が『祝婚歌』の中で言うように、

「正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 

正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい」

なのであろうなあ。また、こんな一節も。

『以前、精神科医の春日武彦先生から統合失調症の前駆症状は『こだわり・プライド・被害者意識』と教えていただいたことがある。『オレ的に、これだけはっていうコダワリがあるわけよ』というようなことを口走り、『なめんじゃねーぞ、コノヤロ』とすぐに青筋を立て、『こんな日本に誰がした』というような他責的な文型でしかものごとを論じられない人は、ご本人はそれを『個性』だと思っているのであろうが、実は『よくある病気』なのである。』(93ページ)

『健全な想念は適度に揺らいで、あちこちにふらふらするが、病的な想念は一点に固着して動かない。その可動域の狭さが妄想の特徴なのである。病とはある状態に『居着く』ことである。私が言っているわけではない。柳生宗矩がそう言っているのである。(澤庵禅師も言っている。)』(93ページ)

ふーんなるほどとも思いつつ、過激だなあと。それに「個性」=「病気」でもあるなら、問題ないのではないか?それも「平凡な個性」なんだから。「病気で」片づけられるのか?とも思うし、「病とはある状態に『居着く』ことである」という「着地の言葉」が「本人の言葉」でなく「借り物」であるというのは、ちょっとキツイことを言ったので「私じゃないもんねー、言ったのは昔の偉い人だもんねー」と逃げているようにも見えるのだが、いかがなものか。たとえ柳生宗矩や沢庵和尚が言ったとしても、それをわざわざここに引っ張り出してきて持論の補強に使ったのは内田さん案なのだから、

「私が言いたいことと同じ」

なのであるからして、なんだか最後で逃げた感じがあるのは嫌だなあ・・・そう!ここなんです、私が「なんとなく好きではない」という部分は。言ってる内容はすごく「へえ、なるほど!」なのに、そこで逃げちゃってるところが「残念!」と言うしかないのです。わかったわ、今回。


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(2014、2、4読了)

2014年2月18日 21:12 | コメント (0)

新・ことば事情

5363「トップバッター」

2月18日の「ミヤネ屋」で、スキージャンプ男子ラージヒル団体で、「銅メダル」を獲得した日本チームを紹介しました。

その「団体」の最初に飛んだ選手を紹介するスーパーで、

「トップバッター」

と出ていました。うーん、「バッター」

「野球」

ですよね。野球用語であっても比ゆ的に他のスポーツに使うことも、「ないことはない」と思いますが、最初に飛ぶんですから、それを言うなら、

「トップジャンパー」

ではないかと思います。そう出すのも、なんとなくためらわれました。そこで、きょうは、

「1番手」

とシンプルに出しました。

(2014、2、17)

2014年2月18日 20:51 | コメント (0)

新・ことば事情

5362「凱旋2」

 

「平成ことば事情679」で書いた「凱旋」の続きと言うか、関係ないと言うか・・。

2月18日、ソチ五輪スノーボードのハーフパイプで見事、銅メダルを獲得した、雪のない奈良県御所市在住で、大阪・上宮高校3年生の平岡卓選手が、「ミヤネ屋」に生出演してくれました。

「おっとり」

という表現をされるんだけど、まあ、こう言ったら失礼ですが、見かけは、

「どこにでもいそうなフツーの若者」

ですねえ。どちらかというと、あまり表情に変わりがないのですが、そこが、

「彼なりの味」

なのだなあと感じました。ソチの五輪会場でも、マイペースでプレーできたからこそ、メダルを獲得できたんでしょうね。でも、4年後はまた、ずいぶん変わっているかもしれませんね。

その平岡選手が帰国したことを、

「凱旋」

と表現していいか?とデスクが聞いてきました。というのは、

「『凱旋』は、『勝って帰国すること』だから、『銅メダル獲得(3位)』は『勝った』と言えるのか?」

という疑問を、担当ディレクターたちが話していたというのです。

たしかに!

厳密に言うと「駄目」なのかもしれません。でも今回、

「『メダル獲得』というのは、『凱旋』に値するのではないか?」

一方でまた、「金」が期待されていて「銀」あるいは「銅」のメダルしか取れなかった場合は、「凱旋」は使いにくいなあ、ということはありますね。

今回の平岡選手に関しては、心から「おめでとう」と言えるし、「凱旋」を使ってもいいのではないか?と判断しました。

なお、「平成ことば事情3572凱旋帰国」「平成ことば事情4485『凱旋帰国』は重複表現か?」もお読みくださいね。

(2014、2、18)

2014年2月18日 19:51 | コメント (0)

新・読書日記 2014_015

『おつまみワイン100本勝負』(山本昭彦、朝日新書:2013、12、30)

 

ありとあらゆる食材に「これでもか!」とマリアージュ(=ワインと料理の組み合わせ)を求める100本は、まるで「ワインの武者修行」のようにも感じられる。「そんなものにワインを合わせなくても、日本酒でええやん!」「ビールでええやろ」と思わないこともないが、これはつまり「ワインの可能性を追求したもの」であると考えれば、「なるほどなあ」とも思える。以前「キムチに合う赤ワイン」というのを飲んでみて「たしかに合わなくもない」と感じたが、「でも、ビールの方がいいし、マッコリなら、なおさら」と思ったものだった。

こんな本を読んでいると、ついつい、またワインを飲みたくなるのだ。


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(2014、1、16読了)

2014年2月18日 18:19 | コメント (0)

新・読書日記 2014_014

『ビッグコミックオリジナル~「あぶさん」最終話』(水島新司、小学館:2014年第4号)

 

41年の長きにわたる連載が遂に終了した。もう「あぶさん」も70歳近いのだから仕方がないか。最後は、お世話になった人たちのところへ、一生分を以てお礼に回る。佐埜前の会は、草野球。シーズンオフだからというのもあるが、静かにバットを置いたという感がる。一般紙の社会面にも「あぶさん連載終了」の記事は出ていたが、思っていたより小さな扱いだったなあ。子どもの頃「南海ホークス」のファンだった私としては、感無量である。いつ見ても載っている、という安心感があったなあ、「あぶさん」には。水島新司さん、お疲れ様でした!


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(2014、2、7読了)

2014年2月18日 16:18 | コメント (0)

新・読書日記 2014_013

『ファビラス・パーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光』(町山智浩・柳下毅一郎、ちくま文庫:2013、11、10)

単行本は、1999年1月に洋泉社から出ていて、それの文庫化。

これまで町山さんの本は、その深い知見と在野の精神のコメント、実地で仕入れた知識など、深い尊敬の念とともに読んでいるのだが、この本はちょっと・・・あまりにもグロな世界、オタクすぎる世界に、共感を得ることはできなかった。「ちくま文庫」はこういうのも収録するのか。奥が深い。


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(2014、1、25読了)

2014年2月18日 14:17 | コメント (0)

新・読書日記 2014_012

『ポエムに万歳!』(小田嶋隆、新潮社:2013、12、5)

 

ピンクに銀色の文字と派手な表紙!

小田嶋さんと言えば、舌鋒鋭い評論家として胸のすく文章を書かれるが、この「ポエム」とは一体、何なのか?そもそもこのド派手な表紙は、小田嶋さんらしくない気がする。なぜ???そういう興味でもって購入、読んでみた。

私の解釈では、「偽善的なにおいのするもの」を「ポエム」と呼んでいるようだ。「偽善」と言い切ると「悪い」イメージがあるが、それはちょっと違う。

「世の中の多くの人たち(=大衆)に好まれる心温まる、でも無責任な言葉や事象」

のことで、これを真っ向から否定するのは、一般的には、はばかられる。しかし、客観的・冷静に、シニカルに考えると、

「そんなの無理だろ。できるもんなら、みんな既にやってるよ」

というように、斜に構えた者は見てしまうようなもの。まあ、ちょっと思い切って言っちゃうと、「世の中の『あいだみつを』的な物もの」が「ポエム」的であると。たしかに「あいだみつをの言葉」は、本来の意味で「ポエム」そのものだよなあ。そういうポエムを「否定」するのか?それとも、それを実現すべく、力を注ぐべきなのか?タイトルの「万歳」の意味は、そのまま取っていいのか?悪いのか?本書をお読みください。

1月の半ばぐらいに、NHKの「クローズアップ現代」で、小田嶋さんをゲストに呼んでこの問題を取り上げていたが、その番組終了直後に流れた「花は咲く」のVTRは、まさに「ポエム」的なものであった。わざとああいう編成にしたのか?たまたまか?もしくは、そういったことに反発した「クローズアップ現代」のスタッフが、ああいうネタを取り上げたのか?その辺りは謎です。


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(2014、1、3読了)

2014年2月18日 12:16 | コメント (0)

新・ことば事情

5361「寒ビラメは濁る」

2月8日放送の日本テレビ『青空レストラン』で紹介していた、

「寒ビラメ」

これは「ヒラメ」ですが、頭に「寒」が付くとその後は、

「ビラメ」

と濁っていました。

「舌ビラメ」

も濁りますから、「ヒラメ」は頭に何か修飾の言葉が付くと「濁る」のでしょう。

「魚の名前」には、頭(前)に言葉が付いた場合、「魚の名前の頭が濁る」場合と「濁らない」場合があります。たとえば、今見たように「ヒラメ」は「ビラメ」と濁りますが、「サンマ」は、

「ザンマ」

とはなりません。濁らない。「サバ」も濁らない。「秋サバ」ですね。「サケ」は、「濁る場合と濁らない場合」があります。「フグ」は濁りません。濁ると「ブグ」になって「武具」と間違う。間違わないか。これは一体なぜ、差があるのでしょうか?

「濁音」ですから、魚の名前の中でも「カ行」と「サ行」「タ行」「ハ行」で始まる名前ですね、問題となるのは。思いつく魚の名前は、

<カ行>カジキマグロ、カマス、コチ、キンメダイ、カンパチ、クロマグロ、クエ、

カツオ、キンキ、クロダイ、カサゴ、クマノミ、キス、カワハギ、キビナゴ、

カレイ

<サ行>サンマ、サバ、スズキ、サケ、サワラ、サメ

<タ行>タイ、タラ、トビウオ、タコ、タチウオ、タナゴ

<ハ行>ハマチ、フグ、ヒラマサ、ヒラメ、ヒラソウダ、ハタハタ、ハゼ、ハタ、

ホウボウ、ボラ

この中で、

*「濁る」のは、

コチ、カツオ、キス、カレイ、サケ、サメ、タイ、タラ、タコ、ヒラメetc.

 

*「濁らない」のは、

カジキマグロ、カマスキンメダイ、カンパチ、クロマグロ、クエ、キンキ、クロダイ、カサゴ、クマノミ、カワハギ、キビナゴ、サンマ、サバ、スズキ、サワラ、トビウオ、タチウオ、タナゴ、ハマチ、フグ、ヒラマサ、ヒラソウダ、ハタハタ、ハゼ、ハタ、ホウボウ、ボラetc.

 

といったところでしょうか。なぜこの違いが出て来るのか?うーん、わからんなあ。

ひとつ、言えることは、

「ヌメリゴチ」「トカゲゴチ」

のように「コチ」は濁ります!つまり、

 

「ゴチになります」

 

といったところですね。

(2014、2、17)

2014年2月18日 04:44 | コメント (0)

新・ことば事情

5360「ソチ五輪の外国人選手の名前」

 

ソチ五輪のジャンプの外国人選手の「カタカナ表記」に揺れがあります。

葛西選手を抑えて金メダルを取ったポーランドの選手は、

「ストッフ」か?「ストッホ」か?

「ミヤネ屋」では「ストッフ」で放送しました。

グーグル検索(2月17日)では、

「ストッフ」「スキージャンプ」=5万7700件

「ストッホ」「スキージャンプ」=8万7700件

でした。

また、オーストリアの選手は、

「ハイベック」か?「ヘイベク」か?

「ミヤネ屋」では「ハイベック」で放送しました。

グーグル検索(2月17日)では、

「ハイベック」「スキージャンプ」=878件

「ヘイベク」「スキージャンプ」 = 40件

でした。

(2014、2、17)

2014年2月17日 23:00 | コメント (0)

新・ことば事情

5359「レジェンド」

 

41歳・葛西紀明選手がやりました!ソチ五輪スキー・ジャンプ男子ラージヒルで、遂に遂に「銀メダル」を獲得しました!

1992年のアルベール五輪から、1994年リレハンメル、1998年長野、2002年ソルトレークシティー、2006年トリノ、2010年バンクーバー、そちて・・・いや、そしてソチ2014と、冬季五輪史上最多の7大会連続出場で、遂にメダル獲得です!

41歳という年齢もスゴイ・・・と言いますが、私なんかより10歳以上若いんですからね、三浦カズよりも大分、若い。

その葛西選手は、スキーの本場・ヨーロッパでも有名で、

「レジェンド」

と呼ばれていると。この「レジェンド」の意味は、

「伝説(の人)」

ですが、「日本語」として定着しているのでしょうか?

私がこの言葉に初めて接したのは、リドリー・スコット監督の映画のタイトル、

「レジェンド・ 光と闇の伝説」

でした。1985年の作品ですね。

国語辞典で「レジェンド」を引いてみたところ、

「広辞苑」「明鏡国語辞典」「新明解国語辞典」「精選版日本国語大辞典」「新潮現代国語辞典」「岩波国語辞典」には載っていませんでした。「三省堂国語辞典・第7版」には、

「レジェンド」=伝説(の人)(例)「その選手はチームのレジェンドになった」

と、まさに葛西選手のことを指しているかのようです。

しかもこの語には「☆☆」というマークが付いていて、どういう意味かを見てみると、なんと、

「社会常識語」

なのだそうです・・・。そうだったのか。

このほか、「デジタル大辞泉」にも、用例はないですが、

「レジェンド」=伝説。言い伝え。

と載っていました。比較的最近、「日本語」となった言葉だと思われます。

いずれにせよ、葛西選手、団体も頼んまっせ!

(2014、2、17)

2014年2月17日 21:31 | コメント (0)

新・読書日記 2014_011

『昭和十年生まれのカーテンコール』(鴨下信一、幻戯書房:2013、12、15)

 

元TBSプロデユーサーの著者は、1935年=昭和10年の早生まれ。「昭和ヒトケタ」にかぎりなく近い「フタケタ」。うちの両親も「昭和十年生まれ」なので興味を持って読んだ。奥付には「1925年」と書いてあるが、誤植であろう。そうでなければ、タイトルが意味をなさない。最近しばしば、こういった誤植を見つけてしまうのは「職業病」か。あまり、うれしくない。

内容は・・・言葉に関する話なども満載のエッセイ集で、読みごたえがある。タイトルに「カーテンコール」とあるのは、「もうそろそろ現役も引退して、表舞台からは去ったけれども、好評にお応えして、また登場してしまいました」というような感じだろうか。そのあたりに「謙虚さ」が感じられて、好ましい。


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(2014、1、18読了)

2014年2月17日 21:15 | コメント (0)

新・ことば事情

5358「予熱する」

 

2月13日の日本テレビ「ZIP!!」の人気コーナー「モコズ・キッチン」で、

「200℃に予熱したオーブンで」

という言葉が出て来ました。この、

「予熱(する)」

という言葉、知りませんでした。同じ音を持つ、

「余熱」

ならば知っていましたが。「予熱」の意味は、

「予め熱しておく」

と、字を見ればわかりますが、音だけで

「ヨネツシタ」

と聞くと、ちょっとわかりにくい気がします。

国語辞典を引いてみると、『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』には載っていました。

『明鏡国語辞典』は「第1版」には載っていませんでしたが、「第2版」には載っていました。

ということで、私の手元にある辞書には全て「予熱」が載っているということです。私が知らなかっただけ、ということかもしれません・・・勉強します!

(2014、2、17)

2014年2月17日 18:30 | コメント (0)

新・読書日記 2014_009&010

『暗殺者の森(上)(下)』(逢坂剛、講談社文庫:2013、9、13)

 

逢坂剛の「イベリア・シリーズ」。これまでに全て単行本で読んできた。しかし、『暗殺者の森』は、単行本が講談社から2010年9月に出ていたのに、気付きませんでした・・・。

遅ればせながら、正月休みに読みました。大分、これまでの流れは忘れていたけれど、読んでいくうちに、記憶がよみがえるというか、きっちりその辺りも著者がフォローしてくれているので、それほど違和感なく、登場人物の人物像(顔かたち)をイメージしながら読むことが出来ました。読み出すと一気に読んじゃうね。タイトルは「カチンの森」を思い浮かべそうな感じです。さあ、最終章へ!(これも買ったけどまだ読んでいません。)

☆3つ半


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(上・2014、1,4読了)(下・2014、1、6読了)

2014年2月17日 18:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5357「液卵&割卵」

 

「液卵」

と書いて、

「えきらん」

と読みます。2月16日放送の読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』で紹介していました。

ケーキやパン、カマボコなどに使われているのが、この「液卵」。

牛乳パックのような物の中身は「卵」、これが「液卵」。「液卵」には、

「全卵」「卵黄」「卵白」

の3種類があるのだそうです。紹介されていた会社の工場では、1日40トン、70万個の卵を液状にしていくんだそうです。年間8億個!

『三省堂国語辞典第7版』に「液卵」が載っているかなあと思って引いてみたら、載っていませんでした。業界用語だからね。

そして、卵を割る作業をする部屋(機械で)には、

「割卵室」

というプレート表示が。「割卵」は、

「かつらん」

と読むそうで「割卵器」は、

「かつらんき」

と、ナレーションで森アナウンサーが読んでいました。これも「三国」に載っているかなあと思って引いてみたら、なんと「割卵」は載っていました!

「かつらん(割卵)」=(文)たまごを割ること。「割卵機」「割卵工場」

さすが!です。

(2014、2、16)

2014年2月17日 16:10 | コメント (0)

新・ことば事情

5336「レンジアップ」

 

いつも「新ネタ」を提供してくれるM若アナウンサーからの情報です。

「『レンジアップ』という言葉を雑誌(サイトだったかな)で見つけました。電子レンジでチンして料理を作ることらしいんですが、これって新しい言葉じゃないですかね?」

私は耳にしたことも目にしたこともありません。英語なのか?それとも和製英語なのか?調べてみましょう。

国語辞典にはまだ載っていない言葉だろうなあ。『三省堂国語辞典・第7版』を引きましたが、載っていませんでした。ネット検索(2月16日)してみましょう。

「レンジアップ」=6万2200件

その中で「知恵袋」としてトップに出て来たのは、この言葉に関する疑問です。2010年4月の時点ですね。それによると、

「『レンジアップ』なる和製英語が、何の説明もなく、また意味不明のまま使用されている。おそらくは『食品を温める』という意味で使用しているものと思われるが、あえてそう言う意味があるのか?」

という疑問が提示されており、これに対する回答(ベストアンサー)は、

「『レンジアップ(=電子レンジによる加熱)』も、『電子レンジで加熱する』という文章よりは一単語にまとめることで、より簡潔に内容を受け手に伝えることができ、商品の利点(簡単に食べられる)をアピールする際にも便利なため、広まった。」

「『レンジアップ』という単語自体は消費者側からでてきたものではなく、食品業界や流通業界で使われ始め、それが企画書や現場、商品での説明書き等に降りてきて一般でも使われるようになってきたという経緯がある。」

というもので、これは食品業界か、それに近い専門家の方が書かれたのではないかなという感じがしました。

これよりはるか前、2002年8月にはこんな記述も。

「『レンジアップ』というのは コンビニで『弁当を温める』というようなニュアンスで使われている言葉。サイトの管理者は、『変な英語だ、店員は使ってないぞ、いやそのうちアメリカに輸出されるに違いない』という風だった。」

と取り上げていました。既に10年以上の歴史があったのか、「レンジアップ」には。

そのほか、

「レンジアップ商材」「レンジアップ商品」「レンジアップサラダ」「レンジアップケーキミックス」

など、いろいろ使われていました。「チンする」では、余りに使い慣れた言葉なのであんまりかっこよくないから、ちょっとカッコよく言ってみたのかなあ。

(2014、2、16)

2014年2月17日 12:09 | コメント (0)

新・読書日記 2014_008

『カネを積まれても使いたくない日本語』(内館牧子 、朝日新書:2013、7、12)

 

~でよろしかったですか」「~なカタチ」など、 違和感のある日本語が巷に溢れている。

いまや、キャスターや政治家・企業幹部も無意識で使うこれらの言葉について、内館牧子さんが、その「おかしさ」を正しく喝破! "美しい日本語"を指南する。

目次と前書きを読んだら、大体、内容は分かる気がします。ちょっと抜き書きすると、

「ら抜き」「~させて頂く」「さん、様」「歴史上の人物への敬語」「教え子に敬語」「品物に敬語」「マジ」「ヤバイ」「やっぱ」「チョー」「ぶっちゃけ」「()()()」「全然オッケー」「メイン」「思いっきり」「イケメン」「あげる」・・・

もう「撫で斬り」ですね。

そのほか「あいまいにぼかす言葉」として挙げられた、「かな」「みたいな」「感じ」「とか」「かも」「~のほう」「~というふうに」「~してみたいと思います」「~したいと思います」に関しては、私も全く同感なので、きっちり読んでください。

おなじく、あいまい表現で「ピンポイントで言わない」傾向についても厳しく追及。「ある意味」「結構~します」「~ですかね」「~とは思う」・・・これは使っちゃダメではないが、あんまり連発されると、イライラしますね。何を恐れているのだ!と。

そして「ジョークめかして逃げる」のも「あいまい表現」「自信のなさ」「周りに気を使いすぎ」の表れだと思います。たとえば「()」「~だったりして」など。

「へんな問いかけ」は、「やはり、そうだったか!」と膝を打った言葉。「大丈夫ですか?」「普通に」「よろしいですか」。「大丈夫ですか」は、私も大っきらいです。

さらに「ヘンなあいづち」も、ここ10年ほどでよく耳にするようになりました。

「ホントですか」→疑ってんのか!

「そうなんですね」→そうなんだよ!

「ですよね~」→媚び、売っとんのか!

「はあー?」=あ、これ、私も時々使います・・・。

政治家や官僚の言葉にも、厳しい鞭(ムチ)を。

「汗をかく」「遺憾」「しっかり、きっちり」「を」「~してございます」「認識しております」「把握しております」「緊張感をもって」「スピード感をもって」「重く受けとめる」「不退転の覚悟」

もうね、この本を読んだら、みんな「怖くて、しゃべれなくなる」こと、請け合いです!

いかに普段、無自覚にしゃべっているか。自らの言葉を見直すための一冊です!


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(2014、1、11読了)

2014年2月17日 09:08 | コメント (0)

新・読書日記 2014_007

『怒らないで生きるには』(アルボムッレ・スマバサーラ+しりあがり寿、宝島新書:2013、12、23)

 

この著者「スマナサーラ」さんの本は、これまでに似たタイトルの本を読んだ覚えがあるが、いつも肩透かしを食らわされた気がする。

今回は、漫画家の「しりあがり寿」さんが、我々に代わって疑問点を聞いてくれるというので、期待して読んだ。

前半のしりあがりさんの漫画は、まあそれなりに楽しめた。後半の「1問1答式」の部分は、質問はいいんですが、答えは、やはり肩透かし感が・・・うーん、怒るに怒れないですう。


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(2014、2、2読了)

2014年2月16日 22:58 | コメント (0)

新・読書日記 2014_006

『ラジオマン~1974~2013僕のラジオデイズ』(吉田照美、ぴあ:2013、11、28)

ラジオパーソナリティー・吉田照美さんの自叙伝のような本。真っ白い表紙に、縦書きの明朝体で「ラジオマン」というタイトル。ここに、吉田さんの「信念」が表れていると思う。40年にわたる「ラジオマン人生」をここに全て・・・とは言わないが、かなりの部分の思いをぶつけた一冊。

「ラジオマン」とはいえ「テレビ」の仕事もやってきた吉田さん。「放送人」「アナウンサー」としての大先輩の話なので、興味津々で読んだ。中に、現在やっている番組の出演者として、「ミヤネ屋」にも出演してもらっている「春香クリスティーンさん」の名前も出て来たので、「ミヤネ屋」終了後に、コピーして春香さんご本人に「吉田照美さんの本の中に出て来てますよ」とお渡ししたら、喜んでいた。

文化放送のアナウンサーとしてスタートした吉田さん。先輩には「みのもんた」さんや「土居まさる」さん、「梶原しげる」さんがいる。そういった先輩に、もまれながら、自分のやるべきこと、得意なことを見つけていく過程が、つぶさに記されていて、勉強になりました。


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(2014、1、9読了)

2014年2月16日 19:56 | コメント (0)

新・ことば事情

5355「ドロップイン」

 

ソチ冬季五輪、真っ只中です!冬季五輪のほとんどの競技は、

「私たちには絶対にできない」

ものばかり。「モーグル」にしたって「ジャンプ」にしたって、スタート地点に立つだけできっとギブ・アップです。

唯一「できるかも・・・」と思わせるのは「カーリング」ですが、それも高度な作戦を練ってその通りにストーンを導かなくてはならず、「わしゃ、無理」状態です。

いろんな競技を見ていると、聞き慣れない専門用語がたくさん出て来ます。

例えば、「フィギュアスケート」の技では、

「フリップ」「ルッツ」「サルコウ」「トーループ」「アクセル」

などなど。(「トゥーループ」という表記も見られますが、「ミヤネ屋」では「トーループ」という表記っを用いています。)

言葉もわからないし、見ていても、

「一体、何回 回ったのか」

も、わからない。よく目が回らないなあと感心します。分かるのは、体がよろめいたとか尻餅をついたとか、そんな失敗したときだけというのが、せいぜい素人がわかることではないでしょうか。

そんな中で、平野歩夢選手(15)が銀メダル、平岡卓選手(18)が銅メダルを取ったスノーボードの「ハーフパイプ」を見ていたら、実況アナウンサーが、あの「ハーフパイプ」に入る時のことを、

「ドロップイン」

と言っていました。高さ6m近い雪の壁を滑り下りるのですから、

「ドロップ゚=落とす」

という言い方は「なるほどなあ」と思いました。語感としては、

「ポトリと水滴を落とす」

ような感じですが、選手は「さあ、始めるぜ!」というような勢いとともに「ドロップイン」していきます。

「○○・イン」

と聞くと、私などがすぐに思い浮かべるのは、

「ズーム・イン!」

ですが、「ドロップイン」した若き選手たちの頑張りに、「ズーム・イン!」ですね。

(2014、2、14)

2014年2月16日 12:08 | コメント (0)

新・ことば事情

5354「吉兆のアクセント」

 

「良い兆し」のことを「吉兆」と言います。NHKの「アクセント辞典」を引くと、

「キッ/チョー」

という「平板アクセント」しか載っていません。

「虹は吉兆だ」

という文章語あるとすれば、その場合は確かに「平板アクセント」で読みますが、同じ「吉兆」と書くものでも、関西では異なるアクセントで言うものがあります。

1月10日の「えべっさん(十日戎)」の際、戎神社で、笹に(有料で)つけてもらう

「吉兆」

は、「頭高クセント」で、

「キッ\チョー」

と言います。これまで我々は「頭高アクセント」で読んで(呼んで)来ました。

しかし、アクセント辞典には、この「頭高アクセント」の「キッ\チョー」は載っていないのです。「方言」という認識なのでしょうかね?

先日、横浜出身のYアナウンサーが、この「吉兆」を「平板アクセント」で下読みしていたので、

「アクセント辞典はそうかもしれないけど、関西では『頭高』だよ」

と指導して、本番では「頭高アクセント」で読ませました。

しかし、1月30日のABC(朝日放送)のお昼ニュースで、熊野速玉大社で「吉兆作り」がピークを迎えているという話題を伝えていましたが、その際は「吉兆」を、

「キッ/チョー」(ABC

「平板アクセント」でアナウンサーは読んでいました。

 

他社のアナウンサーにも聞いてみたところ、今宮戎神社の「福娘」の経験があるMBS(毎日放送)の古川圭子アナウンサーは、

「昭和のミス福娘としては、『頭高』の『キッ\チョー』しかありえません。っこの『吉兆』は、『縁起物の飾り』で、『よい兆し』とは別物と考えます。」

ときっぱり。一方、同じMBS(毎日放送)の柏木宏アナウンサーは、

「個人的には『平板』ですね。『頭高』はなんとなく大阪弁的な気がするのと、"ボソボソ呟き女将"のお店っぽいような気がするからですかねー。」

というご意見。たしかに、そんな気がしないでもありません。

(2014、2、10)

2014年2月15日 13:07 | コメント (0)

新・ことば事情

5353「たわわ」

 

2月11日の読売テレビ・夕方の番組「関西情報ネットten.で、気象予報士の蓬莱さんが、和歌山県みなべ町のイチゴ農園から中継していました。その際に、蓬莱さん、

「ご覧ください、この『たわわ』に生(な)ったイチゴ」

と言っていたのに、違和感がありました。「イチゴ」は「たわわ」に生るのか?

私が持っている語感では「たわわ」は、

「枝がたわむほど実が生る様子」

に使うと思います。たしかに、そのイチゴハウスでは、イチゴの実がいっぱい生っていましたが、イチゴは「木」ではなく「草」ですから「枝がたわむほど」という表現は当てはまらないのではないか?と思いました。その様子を指すのであれば、

「鈴なりに生ったイチゴ」

ではないでしょうか?「たわわ」が似合う果実は、

「リンゴ(林檎)、ナシ(梨)、モモ(桃)、ミカン(蜜柑)、カキ(柿)」

等の果実ではないかなあと思いました。それと、

「果実が空中に浮いている状態」

で、風で果実が揺れると枝がしなう(しなる)、そんな状態が「たわわ」ではないでしょうか?ですから、「木の枝」ではなく「草の蔓」だと、

「空中には浮かず、地べた」

なので、「たわわ」とは言えないですね。

しかし、今回のイチゴ園では、イチゴを地べたから1メートルほどの高い所で、土が付かないように栽培していました。つまり、

「ちょっと、空中にぶら下がる状態にあった」

ので、つい「たわわ」という表現が出てきてしまったのかもしれませんね。

『精選版日本国語大辞典』で「たわわ」を引くと、

「(木の枝に多くの実がなったりして)枝がしなうさま。たわ。」

とありました。この記述は、大体、私の語感と同じですね。

「たわわ」で自分のパソコンを検索してみたところ、ちょうど10年ほど前の2003年12月に、NHKの原田邦博さんに、

「野菜に『たわわ』は使うか?」

という質問をしていたようで、原田さんから、こんなお返事を頂いていました。

「『たわわに実る』という形容が、野菜などにも使えるかというお話です。

本来の用法は『"枝"もたわわに実る』ですので、『柿、栗、リンゴ』などに使えるのは当然ですが、『稲穂がたわわに実る』とか『メロンがたわわに実る』まで認めるかということです。つまり茎や蔓(つる)など"枝"以外でも"たわわ"になるものがあれば許されるかという問題です。

どうも最近は、たくさん・大きく実がついていると、何にでも安易に使ってしまう傾向があるようです。NHKでは、一応『木になる果実』を原則にしていますが、『ブドウ』は境界線上かと思います。また『たわわな~』という形容はまだ認めていません。そのうち、『皿にたわわに盛られた果物』なんて言い方が出てくるかもしれませんね。」

ということでしたので、やはり「木になる果実」が本来の使用法でしょう。

原田さんのメールにあった、

「稲穂がたわわに実る」

も、言ってしまいそうだけど、なにか違和感が。

「稲穂」は「米粒の集合体」ですね。小さい。たとえ「集合体で大きくなっている物」でも、あまり小さなものは「たわわ」とは言わないのではないか。「一つで、ある程度の大きさがあるもの」に使う気がします。その意味では「ブドウ」にも使えないかなあ。「ブドウの房」は「小さなブドウの実の集合体」ですからね。

「稲穂」の場合は、「『たわわ』を使わずに、どう言うか?」と言うと、

「豊かに実った稲穂」

などと具体的に言うしかないんじゃないでしょうかね。

(2014、2、11)

2014年2月14日 22:06 | コメント (0)

新・読書日記 2014_005

『迷わない。』(櫻井よしこ、文春新書:2013、12、20)

 

必ずしも櫻井さんの主張に賛成というわけではないが、芯のしっかりした、人間としては素晴らしい人だと思う。

しかし、その昔「きょうの出来事」で、水中カメラマンの中村征夫さんがゲスト出演した時に、「このお魚はなんとおっしゃるの?」「まあ、かわいい」と言っていた櫻井さんが、今のようなバリバリの愛国活動をされるようになったのはどういった経緯があったのか?興味のあるところだが、この本は「自叙伝」のように、その辺りの経緯についても包み隠さず記されている。櫻井さんの生き方の芯にあるのは、この本のタイトルどおり「迷わない」なのだなあ。


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(2014、1、16読了)

2014年2月14日 15:34 | コメント (0)

新・読書日記 2014_004

『かないくん』(谷川俊太郎・作 松本大洋・絵:東京糸井重里事務所・ほぼにちの絵本)

 

発行日が書かれていない絵本。あの『ピンポン』の漫画家松本大洋が絵を描いているが、絵本に合う。前半は懐かしいタッチの絵本だが、後半は日本画のようなイメージの絵になっていて、驚いた。帯には、

「谷川俊太郎が、一夜で綴り、松本大洋が、二年かけて描いた」

「死ぬとどうなるの」

とキャッチコピーがある。赤いマフラーをした主人公の見つめる先にあるものは?


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(2014、2、5読了)

2014年2月14日 10:33 | コメント (0)

新・読書日記 2014_003

『勇者たちへの伝言~いつの日か来た道』(増山実、門川春樹事務所:2013、12、15)

 

西宮市民と阪急ブレーブスファンは、すべからく読むべし!「フィールド・オブ・ドリームス・オブ・ブレーブス」!

 

「ビーバップ・ハイスクール」「探偵!ナイトスクープ」や「ミヤネ屋」等、関西を中心にテレビ番組の構成を担当してきた放送作家・増山実(ますやま・みのる)氏が先月、初めての著作である小説『勇者たちへの伝言~いつの日か来た道』を上梓しました。この作品は、第19回松本清張賞の最終候補(4作品)に残った小説です。

舞台は、兵庫県西宮市。そしてタイトルからも想像されるように、「勇者」というのは、

「阪急ブレーブス」

のことを指しています。

少年の頃、「阪急ブレーブス」ファンだった、五十路に入った放送作家である主人公が、たった一度だけ父に連れて行ってもらった「西宮球場」の思い出の地を歩くうちに、不思議な記憶のつながりの中で、自らと家族、父の初恋の人などのルーツをたどることになり、意外な歴史の荒波にもまれて波瀾万丈の人生を送ることになった人たち、同じく歴史の波間に消えていった「ブレーブス」の魅力に改めてはまっていくという、ファンタスティックな物語です。おそらく、一度読み出すと、読み終わるまで眠れないことでしょう。

本書は12月中旬の発売以来、舞台となった西宮球場の跡地に建った「西宮ガーデンズ」の書店(「ブックファースト」)では、文芸部門ランキング2位を記録。また、「ジュンク堂西宮店」でも、文芸部門1位を記録するなど、「地元小説」として、西宮ではブームとなり始めています。

この小説は、単なる「地元・西宮」や「阪急ブレーブスファン」のみならず、「昭和」の時代に青春を過ごし、その後の平成の時代を生き抜いてきた人たちへの「応援歌」として、強く心に響く、良い作品だと思います。


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(2014、1、13読了)

2014年2月13日 21:28 | コメント (0)

新・読書日記 2014_002

『英国のOFF~上手な人生の休み方』 (入江 敦彦、とんぼの本:2013、9、20 )

 

新聞の書評で見つけて購入。手にとって、「あ、とんぼの本か」と。久々だなあ。一時よく、スペイン物とかガラスの本とか買って楽しみました。著者は京都出身で、私と同い年ですね。イギリス在住だったとは知りませんでした。これまでに「京都本」を何冊か読んだことがありましたので。

OFF」の考えが、日本とイギリスでは、全然違うんだなあと。「豊かな生活」とは何かについて、改めて考えさせられる、写真も美しい一冊です。


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(2013、1、12読了)

2014年2月13日 15:26 | コメント (0)

新・読書日記 2014_001

『養老孟司特別講義 手入れという思想』(養老孟司、新潮文庫:2013、11、1)

 

養老先生の8つの講義録。単行本は2002年11月に白日社から『手入れ文化と日本』というタイトルで出ているもの。2014年の1冊目。大変勉強になりました。

「知る」ことなく、一度も自分が変わったことがない人が多くなっている。その根本にあるには「都市化」「情報化」だと。養老先生は、その流れに疑問を呈しています。疑問を呈しつつ、

「人間というのは、固まったもの、固定したもの、安定したものを非常に欲しがる。文明社会になると、なんだか知らないけれども、カチンカチンに固まったものを好むようになる」

と指摘しています。東大で教えていた頃に尋ねて来た学生が「オウム」の信者で、東大の、それも医学部の学生であるにもかかわらず、「空中浮遊」やら「水の中で何分も息を止めて死なないでいられる」ということに何の疑問も持っていない様子に、養老先生は驚き、

「これは時代が(人間が)変わってきているのだ」

と、危機感を抱いたそうです。

養老先生の話は、脳の話から文明の話、歴史の話へとつながっていきます。大変おもしろい、知的好奇心を刺激する本でした。


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(2014、1、2読了)

2014年2月13日 10:10 | コメント (0)

新・ことば事情

5352「ローマ法王フランシスコ」

 

「ローマ法王フランシスコ」

の呼び名は、イタリア語からラテン語、「1世」を付けるか付けないかと、

「フランチェスコ1世」→「フランシスコ1世」→「フランシスコ」

と、短い期間に二転三転しましたが、結局、各社どのような表現に落ち着いたのか?ということに関して、去年(2013年)4月の新聞用語懇談会放送分科会で質問しました。それに関して各社の委員からの意見は、

(NHK)「バチカンのフランシスコ法王」

(TBS)「ローマ法王フランシスコ」。2回目からは「ローマ法王」。「フランシスコ法王」は"すわり"は良いが、使わない。

(フジテレビ)「ローマ法王フランシスコ」

(テレビ朝日)当初「ローマ法王フランシスコ1世」としていたが「ローマ法王フランシスコ」に。理由は、日本カトリック中央協議会からの要請や、外務省が「フランシスコ」としたこと、欧米メディアも「1世」を付けていないことなどから。

(テレビ東京)「フランシスコ法王」

(日本テレビ)テレビ朝日と同じく3月下旬に「ローマ法王フランシスコ」とした。原則は「2世」が出て、初めて「1世」と呼ばれるから。2回目以降は「法王」。

(共同通信)日本カトリック中央協議会にようると、当初は、イタリア語読みで「フランチェスコ1世」だったので、朝日・読売・外務省も伝えた。ところが教皇庁は「ラテン語」なので「フランシスコ1世」となった。ところが本国では「1世」は付いていないというので「フランシスコ」に訂正された。共同では「ローマ法王フランシスコ」。2回目以降は「法王は~」というようにした。新聞は全て同じ。朝日新聞は最後に変更した。

とのことでした。

 

「なんで今頃、こんなことを書くか?」

というと、既に書いたつもりが検索できなかった(まだ書いていなかった)から。

もう一つ、直接的な原因は、

「宇多田ヒカルさんの婚約者のイタリア人の名前が『フランチェスコ』だったから」

"フランチェスコ"と"フランシスコ"の違いについて考えた時に、

「あれ?フランチェスコって、ローマ法王と同じじゃないの?」

と思ったからです。

(2014、2、11)

2014年2月12日 22:06 | コメント (0)

新・ことば事情

5351「国会の安倍首相の答弁」

 

2月4日の国会の答弁で、安倍首相がこのように話しているのを、NHKのお昼のニュースで流していました。

「国民の6~7割が賛成していても、国会議員の3分の1が反対して、憲法が変わらないというのはいかがなものか」

だから、憲法96条を改正して「憲法改正の手続き」を変えようという趣旨ですね。

現状では、憲法改正には、

「衆参両院の国会議員の3分の2以上の賛成が必要」

です。それを「過半数」にハードルを下げようというわけです。

確かに、安倍首相の発言、そこに数字上の嘘はないのですが、

「あれっ?」

っと思いました。というのは、この文章が成り立つのなら、逆の文章も成り立つはずだからです。もし「過半数」に改正のハードルが下がると、

「国民の6~7割が反対していても、国会議員の半数を少し超える人が賛成して、憲法が変わるのはいかがなものか」

ということですよね?この手の数字を用いた話はしっかりと聞くことが大切です。一種の「詭弁」であることもあるからです、「答弁」ではなくて。

明らか「詭弁」だったのに反論できなかった(あきれてしなかった)ものでは、小泉元首相の、

「自衛隊は戦闘地域には派遣しない。だから、現在、自衛隊の派遣されている所は戦闘地域ではない」

というトートロジーがありました。

たとえば、6割の投票率の選挙で、その中の6割の得票率で当選した人は、

「全体の36%の支持しか得ていない」

ということ。残りの64%は、「少なくとも、支持はしていない」ということに気を付けないといけません。民主主義は万全ではなく、欠陥がある。それをちゃんと分かった上でフォローする姿勢が、政治家に求められるのではないでしょうか。

(2014、2、4)

2014年2月12日 20:04 | コメント (0)

5350「モクズショイ」

 

いやあ、世の中には知らない生き物がたくさんいますねえ。

きょうのお昼のニュースに出て来た、和歌山県すさみ町の水族館(「エビとカニの水族館」!)で飼っているカニの名前が、

「モクズショイ」

漢字で書けば、

「藻屑背負い」

です。「藻屑」を「背負う」習性があると。英名は、

Decorator Crab

つまり「装飾ガニ」ですか。敵から身を守るために「カムフラージュ」して藻屑などを背負うというか被るようですね。その習性を利用して、水族館では「バレンタインデー」を控えたこの時期に、

「ハート形のスポンジ」

を背負わせて展示するのだそうです。アクセントは、

「モ/クズ\ショイ」

でいいんだろうなあ。

それにしても、世の中にはいろんな、知られていない動物がいるんだなあ。でも、そんな動物にも、ちゃんと名前が付いているのが、またすごいなあという話でした。

(2014、2、11)

2014年2月11日 11:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5349「フリーダイヤル0120の読み方」

 

「フリーダイヤル」と言えば、皆さんご存じの通り、

「0120」

で始まる電話番号ですね。この「0」をどう読むか?という問題があります。

放送のニュースなどでは、電話番号の「0」は、「ゼロ」ではなく、

「レイ」

と読むのが原則です。なぜならば、

「『ゼロ』は『英語読み』であり、『レイ』は『日本語読み』だから」

です。しかし、この「フリーダイヤル」に関しては、コマーシャルなどで、

「既に『ゼロ』と読むことが定着している」

ことから、例外的に、

「ゼロ」

と読むことを認めています。それは、日本新聞協会用語懇談会放送分科会が出している、

『放送で気になる言葉2011』

にもそう載っています。

先日から、

「実際にコマーシャルでは『ゼロ』と言っているのか?」

が気になって、ちょっと気を付けて聴いていると、ほとんどのコマーシャルではやはり、

「ゼロイチニーゼロ」

と言っています。そんな中で、

「『ジャパネットたかた』と『551の蓬莱』」

に関しては、

「レイイチニーレイ」

と言っていました。ほかにも、もしかしたらあるかもしれません。また注意して聞いてみます。でもたいていは、何の気なしに聞き逃してしまうのですが・・・。

(2014,2,6)

2014年2月 7日 12:20 | コメント (0)

新・ことば事情

5348「どうもこうも・・・」

 

3の娘が熱を出しました。病院で診てもらったら、インフルエンザでした。彼女の小学校では、かなり学級閉鎖や学年閉鎖も行われているようです。

その日は、やはり熱が出ていてしんどいのか、ぐったりしていましたが、夜には平熱に戻ったようです。

翌朝。

私が起きていくと、既に彼女は起き出して、リビングでテレビを見ていました。

「どう?具合は?」

と聞くと、マスクをして、おでこに熱を冷やすためのシートを貼りつけた彼女が、こちらを見てひとこと、

 

「どうもこうも、このザマよ」

 

いや、あのね。それは「家庭教師のト○イ」さんのコマーシャルの見過ぎでしょ、クララ!

まあ、そのぐらい元気が戻っているということで、ちょっと安心しました。

(2014、2、6)

2014年2月 6日 18:56 | コメント (0)