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『道浦TIME』

新・ことば事情

5343「炒まったら」

 

「ミヤネ屋」の名物コーナー林先生「愛のスパルタ料理塾」のレシピを事前にチェックをしていたら、

「炒まったら」

という表現が出て来ました。これに違和感が。

「炒める」

他動詞です。目的語を取ります。つまり、

「○○を炒める」

となるわけです。それが「自動詞」だと、

「炒まる」

ですが、その「○○」が、自分で勝手に「炒まる」ということはありません。必ず「炒めた」結果「炒まる」わけですから、「炒まる」を単独で使うのは、やはりおかしいはずです。

『三省堂国語辞典・第7版』を引くと、見出し語として載っているのは「炒める」だけ。その中に「自動詞」は「炒まる」は載っていましたが、見出し語としては載っていない。ということは、実際には流通していない、これまでは使われていなかったということでしょう。『精選版日本国語大辞典』にも「炒める」は載っていても、「炒まる」は載っていませんでした。

では、炒めた結果、「炒められた状態になったこと」を、どう言えばいいのか?

 

「火が通ったら」

 

で、いかがでしょうか。

実際の「炒める」は、「油で炒める」ので、「火が通ったら」だけでは表現が足りないかもしれませんが、なかなか言い換えが難しいのも事実ですね。

(2014、1、29)

2014年1月30日 14:37 | コメント (0)