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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_183

『日本農業への正しい絶望法』(神門善久、新潮新書:2012、9、20)

 

辛口の「名著」との誉れが高く、購入して「読まねば」と思っている間に1年がたってしまった。「これはいけない!」と頑張って読んだ。勉強になった。

そして、先週の阪急阪神ホテルズのメニューの"誤表記""偽装"発覚に始まった問題は、日本列島全体に広がっているが、ふと思い出して、改めて本書をひもといた。

すると、農業者(つまり生産者)が技能習得に専念しにくい状態にある原因として記されていたのが、

「『能書き』やら生産者の顔写真やらの演出・宣伝が偏重されるようになり、消費者が舌で農産物のよしあしを判定する習慣を失った結果、よい農産物を作るよりも演出や宣伝に力を入れたほうがトクという状態にある」

という文章が。ドキッ!まさにそのとおり。今回の一連の出来事を予見していたかのような一文。そして、我々民放も、広告業界と密接に関連している。そういう風潮を助長したことは間違いない。そして・・・消費者を結果として"だました"ホテル・レストランはたしかに悪いが、7年もの間、味の違いに気付かなかった我々も、そういった風潮に加担していたのではないか・・・と改めて考えさせられた。


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(2013、10、6読了)

2013年10月31日 16:15 | コメント (0)