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『道浦TIME』

新・ことば事情

5138「空気感」

 

2013年4月12日の読売新聞夕刊で、女優の宮﨑あおいさんが紹介されていました。映画『舟を編む』のPRですね。その文章の中に、

「宮﨑あおい独特の空気感を漂わせているのだろう」

とありました。この、

「空気感」

という言葉、それほど違和感はないのですが、「ちょっと待てよ」と立ち止まりました。これは、これまでは、

「雰囲気」「オーラ」

と言っていたものではないか?「空気感」って、辞書に載っているのか?載っていなさそうだけど・・。「くうきかん」で打ち込んで変換したら、

「食う期間」

って出て来たし・・・。グーグル検索では(6月19日)、

「空気感」=324万件

も出て来たぞ!トップで出て来た「ウィキペディア」には、

「空気感(くうきかん)とは芸術表現に用いられる形容の一つ。そのものが直接的に表現されていなくても、間接的な情報のみで存在することが示唆されている様子を表す。写真表現で用いられる場合は、二次元である写真がまるで立体のように見えることを指す。(以下略)」

とありました。もともとは「芸術表現」、「写真」等の世界で使われていたのか?

同じくネットの「実用日本語表現辞典」には、

「空気感(くうきかん)=空気の存在を感じさせる様子などを意味する表現。芸術の側面では、空気や雰囲気をかもし出している表現技法を指すことが多い。また、髪型や服装などが広がりを持ち、多量の空気をはらんでいるような様子を指すことも多い。」

とありました。「髪型」や「服装」、つまり「ファッション分野」にも進出しているのですね。

『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』 『新明解国語辞典』『新選浅国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には、「空気感染」や「空気銃」「空気枕」等は載っていましたが、「空気感」は載っていませんでした。

『現代用語の基礎知識2013年版』にも載っていませんでした。・・・・・ということは、「2014年版」には書かかねば!

(2013、6、19)

2013年6月20日 11:50 | コメント (0)