Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

5128「いただけますよう」

 

酒井法子が、主催者側の都合でイベントに出られなくなったことを受けて、所属事務所がコメントを出しました。そのコメントは、

「何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます」

という一文で締めくくられていました。この中の、

「御理解いただけますよう」

が引っかかりました。本来これは、

「御理解いただきますよう」

なのではないでしょうか?つまり「いただ"け"ますよう」ではなく「いただ"き"ますよう」ではないか?という話です。

「いただ"き"ますよう」「通告」であると同時に「お願い」ですが、「いただ"け"ますよう」は、相手の行為ではなくまず「いただける」という「自分の利益」を主張。「ますよう」で一応「お願い」はしているようですが、その意識は薄いです。

「いただける」のは、そう発言している側の「利益」。「いただく」はそう発言している側の行動から見て「相手への敬意」。そこの違いが、へりくだっているように見えて実は自分のほうしか考えていないように感じられて、不愉快になるのではないでしょうか?

もし「いただ"け"」を使うなら、

「御理解いただけると大変助かります」

とするのなら納得できますが。そこを省略している所が「ズボラ」です。

「き」から「け」への微妙な変化は、

「相手を立てているように見えて、実は自分のことを第一に考えている」

という心理の変化を表しているように感じるのですが、いかがでしょうか?

(2013、6、13)

2013年6月14日 11:11 | コメント (0)