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『道浦TIME』

新・ことば事情

5118「民営化」

 

ことし(2013年)4月、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相が亡くなりました。87歳でした。

先年、認知症を患っていることが娘さんから発表され、また去年は自伝のような映画も公開され、話題になりました。サッチャー元首相を演じた女優・メリル・ストリープが「よく似ている」と評判でした。そういえば、アウンサン・スー・チーを描いた映画も、主演女優が「似ている」と評判になりました。存命の人の映画をやるときは、やはりかなり「似ていない」と問題があるというか、真実味がないと思われるのでしょう。その意味では吉田茂を描いたテレビドラマは・・・あ、横道にそれすぎたので、この辺にしておきましょう。

そのサッチャー元首相の「葬儀」が「国葬」になると聞いたスコットランドの人たちの中には、

「葬儀も民営化しろ!」

という声もあることを、電車の中で読んだ4月10日読売新聞朝刊で知り、電車の中であるにも拘わらず、思わず笑い声をあげてしまいました。

たしかに!

しかし、よく考えると彼女の半生が映画化されたときにも、イギリスの元炭鉱労働者たちは、かなり批判的でしたし、「中興の祖」的に称える国民が多い一方で、英国の復活のために犠牲を強いられた人たちは、ひとかたならぬ恨みを持っているということでしょう。

そして、そういった称賛と怨恨の両方を甘んじて受ける覚悟がなければ、「政治家」なんていう職業は、やっていけないのですね。因果な商売ですな、政治家も・・・。

(2013、6、6)

2013年6月 8日 11:42 | コメント (0)