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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_021

『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』(河野英太郎、ディスカヴァー・トゥエンティワン:2012、3、10第1刷り・2012年10月5日第9刷)

 

なんと24万部以上も売れているそうです。そう書かれていた帯を見て「じゃあ、買ってみるか」と。タイトルの勝利だな。

中身は・・・50歳のサラリーマンが読む内容ではなく、20代のサラリーマンが読むべき一冊ですね。いくつか改めて「そうそう」と思ったのは、「議事録は当日出す」「ポイントは3つにまとめる」「小職・当職・弊職等の一人称は使わず、一人称は『私』にする」「相手には動いてもらう」「相手が大切にしているものを知る」など。あんまり書くと、読まなくても済んでしまうので、この辺にしておきます。


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(2012、1、26読了)

2013年2月 4日 10:29 | コメント (0)
2013_020

『仏教漢語50話』(興膳宏、岩波新書:2011、8、20)

著者は1936年福岡県生まれ。京都大学教授、京都国立博物館館長を歴任した京都大学名誉教授。専攻は中国古典文学。日経新聞の土曜か日曜の最終面に、漢字のコラムを連載していた時は読んでいた。

ちょっと難しい感じであるが、大変勉強になる一冊!呉智英さんと宮崎哲弥さんの本よりは簡単・・・というか、とっつきやすかった。

キリスト教は直線的、仏教の輪廻は螺旋的だと思った!

(2013、1、20読了)

2013年2月 3日 22:25 | コメント (0)

新・読書日記 2013_019

『底抜け合衆国~アメリカが最もバカだった4年間』(町山智浩、ちくま文庫:2012、3、10)

 

以前、購入していた「町山」本。読みました。2000年から2004年に書かれたものをまとめたもの。その時代は、例の「9・11」があった「2001年」を含んでいるが、要は、「ブッシュJR」の1期目の大統領の時代。「9・11」の報復で、なぜかイラクに戦争を仕掛けた。「アフガニスタンはわかっても、イラクはなんでやねん?」と、皆が思っていたが、なぜか攻めたという・・・。なんだかおかしい流れになっていた「ゼロ年代」前半のアメリカの動きを、裏も表も読めます。日本は「小泉時代」ですよね。そろそろ、その時代を清算して、前に進まなくては!と思わせましたね。


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(2013、1、22読了)

2013年2月 3日 18:23 | コメント (0)

新・読書日記 2013_018

『福岡ハカセの本棚』(福岡伸一、メディアファクトリー新書:2013、12、31)

 

サブタイトルは、ちょっと長いが、「思索する力を高め、美しい世界、精緻な言葉と出会える選りすぐりの100冊」。

で、本を一冊ずつ紹介しているのかと思ったら、そういう形の紹介ではなかった。福岡ハカセの話の中に、流れるようにその読書体験に基づく「本」が挟み込まれていく。絵画の紹介をしているような感じ。

これまでに、福岡ハカセのいろんな著作の中で、すでに紹介されたものもあったが、ちょうどその後に読んだ成毛眞さんの『面白い本』という、やはり100冊の本を紹介する本に、「同じ本」が紹介されていたので、その本は「必読」ですね。え?何の本か?って?ジェームズ・D・ワトソンの『二重らせん』。遺伝子の秘密について。面白いらしいですね。読―もうっと!


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(2013、1、17読了)

2013年2月 3日 13:20 | コメント (0)

新・読書日記 2013_017

『学び続ける力』(池上彰、講談社現代新書:2013、1、18)

 

「学び続ける力」について「勉強する」ために読む人は20代~30代の方、そして40代以上の方はは「若い人にどのように教えるか?」という「先生側」のテキストとして読むといい本ですね。池上さんがどんなことを考えながら、東工大で大学生たちに教えているかがよくわかって、参考になりました。ありがとうございます。


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(2013、1、26読了)

2013年2月 3日 10:16 | コメント (0)

新・読書日記 2013_016

『建築探偵 東奔西走』(文・藤森照信、写真・増田彰久、朝日文庫:1997、1、1)

 

『ぼくらの近代建築デラックス!』(万城目学・門井慶喜、文藝春秋)を読んでいたら、この本のことが出て来たので、勢いで読みました。

いやあ、早く読めば良かった。赤瀬川原平、南伸坊らの「路上観察学会」のメンバーとして藤森先生のことは知っていたが、文章を読んだのは、おそらく初めてかも。写真も美しいし、良い本ですね、文庫だけど。「刑務所」も近代建築になるんですね。そして美しい刑務所も。それを設計した人が、なんとジャズピアニストの山下洋輔さんのおじいさん(だっけ)とは!?全然知りませんでした。三菱財閥の岩崎小弥太の熱海別邸、スゲー!ひと山全部が持ち物。その中に建てられた洋館は・・・。いやあ、すごいですねえ。歴史ですねえ。


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(2013、1、24読了)

2013年2月 2日 22:14 | コメント (0)

新・読書日記 2013_040

『国の死に方』(片山杜秀、新潮新書:2012、12、20第1刷・2012、12、21第2刷)

 

奥付を見てビックリしたのだが、「12月20日に第1刷」が出て、「翌21日に第2刷」って、ものすごくないか?そんなの、見たことありません。

「緊急地震速報」の不気味な2つの音の「作曲者」が、あの「ゴジラ」の曲を作った「伊福部昭」の「甥」であるというのは、意表を突かれた。その「ゴジラ」とは、水爆、第五福竜丸、放射能災害、自然災害の象徴であると。なんだ、「今の日本」と引き写しではないか・・・。

歴史を遡り、あきらかに「過去の歴史」に学びながら、「現在」の姿が「そっくり」に進んでいる様を、丁寧にオーバーラップさせる。大東亜戦争に突っ込んでいったときの「政党政治」の終焉、「独裁者」なき「独裁」、1918年、第一次世界大戦が終わった後の「米騒動」に始まる「食糧問題」・・・TPPとどう違うのか?しかもその犠牲になったのが「東北地方」とは・・・。

最後の方の章で「国体」とは何かについて論じている。(まさか間違わないと思いますが、

「国民体育大会」の略称ではありません、一応。)「国体」とは・・・そうだ、「この国のかたち」と司馬遼太郎が書いたのは、まさに「国体」のことではないか?そして、数年前から政府が有識者を集めて行っている「新しい公共」についての会議というのも「国体」の事を話し合っているんじゃないか?そして「国体」とは・・・

「命を懸けてでも守るべき理想」

と言いますか・・・具体的には、戦前は「天皇()(→国体護持)であったが、「現代の国体」というのは、

「日本国憲法」

なのではないか?そうすると、 いわゆる「護憲」というのは、現代の「国体護持」なのか?そんなことを、通勤電車の中で考えさせられました。


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(2013、2、28読了)

2013年2月28日 20:58 | コメント (0)

新・ことば事情

5004「みぞれ混じりの雪」

最近、

「みぞれ混じりの雪」

という表現をよく耳にします。

しかし、「みぞれ」というのは、

「雨混じりの雪」

のこと。『広辞苑』によると、

「雪がとけかけてまじりに降るもの。氷雨」

ですから、「みぞれ混じりの雪」というと、

「『雨混じりの雪』混じりの雪」

となってしまって、なにが何やらわかりません。

おそらく、「みぞれ」だけではなかなか理解できなくなって、それを強調しようという気持ちが、

「みぞれ混じりの雪」

という言葉を生んだのかもしれません。グーグル検索(2月27日)では、

「みぞれ混じりの雪」=17万3000件

「みぞれまじりの雪」= 9万1500件

「雨混じりの雪」  =11万1000件

「雨まじりの雪」  = 8万7600件

「雪混じりの雨」  =41万8000件

「雪まじりの雨」  =26万0000件

でした。やはり「みぞれ」の代わりに、

「雪混じりの雨」「雪まじりの雨」というのも使われているようです。

 

 

(追記)

NHKの原田邦博さんからメールを頂きました。

『3月1日のグーグル検索では、

「みぞれ混じりの雨」が、42万4000件

「みぞれ交じりの雨」が、25万9000件

「みぞれまじりの雨」が、24万1000件

と、いずれも「みぞれまじり(混じり・交じり)の"雪"」を上回って使用されています。』

とのこと。

なるほど、「雨」の使用が多いときょう(33日)検索してみたら、

「みぞれ混じりの雨」が、42万5000件

「みぞれ交じりの雨」が、26万0000件

「みぞれまじりの雨」が、24万2000件

でした。これらを見ると、同じ天気のことを指すのに、ネット上でよく使われている表現としては、

「みぞれ混じりの雨」=42万4000件

「雪混じりの雨」  =41万8000件

「雪まじりの雨」  =26万0000件

「みぞれ交じりの雨」=26万0000件

の順で使われていえるようです。

(2013、3、3)

 

(2013、2、27)

2013年2月28日 16:55 | コメント (0)

新・読書日記 2013_039

『中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?』(NHK_PR1号、新潮社:2012、10、25)

 

タイトルの「中の人」につられて購入。

NHKの広報局がツイートを公式に始めて3年なんだと。それにはあまり興味はない。

文体は、さくらももこ。好きかと言われると微妙・・・。おそらく年代は「さくらももこ」と同じ40代半ばの女性。今は広報局だけど、制作現場経験が長い独身者・・・などと、勝手に失礼な想像をしてしまうので、匿名に近い「NHK_PR1号」

というペンネームは(本にするときには)どうかと思う。でも、名乗れないもんなあ。

真面目に参考になったのは、東日本大震災の時のツイッターでの対応。

やはり、たとえ一人でも、多くの命を救える可能性があることは、私たちの仕事に就いている人は、ためらわずにやるべきなのだと、改めて感じた!

それにしても「中の人などいない」という言葉は、吉田戦車の「かわうそ君」の言葉だったとは!もう忘却の彼方にあったが、確かにそうだったような気がする。そうすると、もう20年ぐらい前から言われていたのだなあ・・・。


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(2013、2、24読了)

2013年2月27日 10:05 | コメント (0)

新・読書日記 2013_038

『ザ・卍固め』(万城目学、ミシマ社:2013、2、20)

 

マキメのエッセイ集。かなり、身を削って書いている感じがして好感が持てる。特に、東電株1000万円分(!!)が、まるで紙屑のよう(でもないか・・・)になった後の「株主総会潜入リポート」は、ドキドキした。「瓢箪の栽培」も意外であった。台湾のサイン会の様子も新鮮でした。総じて面白かったです!


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(2013、2、23読了)

2013年2月26日 23:01 | コメント (0)

新・読書日記 2013_037

『神の雫36』(作・亜木直、画・オキモトシュウ、講談社:2013、2、22)

 

この本の出版元が『宇宙兄弟』と同じ講談社だったと、いま気付いた!

第十一の使徒は、スペイン!楽しみだなあ!僕もいまスペインワインは実地で勉強中?だし。最近、スペイン風バル、増えてますよね。えらそうな言い方になるけど、時代が15年ぐらい遅れてやってきている感じがします。たはっ!


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(2013、2、24読了)

2013年2月26日 20:59 | コメント (0)

新・ことば事情

5003「ケミストリー」

 

訪米した安倍首相が、オバマ大統領との首脳会談を終えての会見で、

「お互いに『ケミストリー』を感じた」

と。その「ケミストリー」に、

「相性」

という訳が。辞書を引くと確かに「相性」が載っています。

「ケミストリー=化学」

だと思っていたら、「相性」という意味があったんですねえ・・・。勉強になりました。

きっと「気持ち」に「化学反応」が起きるということなんでしょうね。

音楽デュオの「ケミストリー」も、二人の間に「化学変化」が起こって新しい音楽が生まれるということかな?それとも「相性」の意味かな?

ちなみに、江戸時代後期から明治時代にかけて、「化学」と平行して、

「オランダ語のchemi

の音を漢字で写した、

「舎密(セイミ)」「舎密(セイミ)学」

と表記・発音もされていたということです。

(2013、2、25)

2013年2月26日 18:01 | コメント (0)

新・読書日記 2013_036

『宇宙兄弟20』(小山宙哉、講談社:2013、2、22)

 

やっとつかんだ信頼、仲間の輪、アクシデントと冷静なプロの対応、成功へのステップ、支えてくれる人と、妬み、単なる人の好き嫌いで判断するイヤな奴、でも権力を持っている・・・「このバカヤロー!!」と思わず叫びたくなる気持ちで拳を握りしめて、21巻が出るのを待つ!

あ、そうだ!4月から「宇宙兄弟」のアニメが、朝早い時間の放送から、なんと、

 

「土曜の夕方5時半から」

 

に枠が移動します!

これで見やすくなるね!

見てね!!

 


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(2013、2、23読了)

2013年2月26日 16:56 | コメント (0)

新・読書日記 2013_035

『穏やかな死に医療はいらない』(萬田緑平、朝日新書:2013、2、28)

 

タイトルが、そのまま主張したいテーマを伝えています。

あとはその具体的な例が記されている。

医者は「治療」するもの。そうすると、「余命○か月」となった段階で、本来は静かにその「命」を燃焼させてあげればいいが、「何としてでも治療する」のが医師しての役目、と皆が思っているし、「治療以外のことを、医者はしない」のだから、抗がん剤使って「1分でも1秒でも長く生かす」方向に行ってしまう。しかし「QOL(クォリティー・オブ・ライフ)」を考えると、それは違うのではないか?枯れるようにだんだん痩せて死んでいくのが「自然」。それをお手伝いする医療関係者とは?というような視点。

この本の前に読んだ『看取り先生の遺言』に共感して読み終わった直後に、本屋さんで目に入った一冊なのですぐに購入、読み終えた。これからの「看取り医療」の方向性を示す一冊。


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(2013、2、21読了)

2013年2月26日 10:54 | コメント (0)

新・ことば事情

5002「チェーンを着ける?付ける?」

 

雪道で「チェーンをつける」「つける」は、

「付ける」か?「着ける」か?

で迷いました。「チェーン」のイメージとしては、

「装着」「着脱」

ということで「着ける」でいいかな?と思ったのですが、

「タイヤに付着させる」(あ、「付」と「着」だ)

だと「付ける」のようでもあるし・・・と迷った挙句、結局「平仮名」で、

「つける」

にしてOAしました。

その後調べてみると、以前、「火をつける」で同じように「付ける」か「着ける」か、はたまた「点ける」かで悩んだことがあることが判明!しかも2度も!!

(平成ことば事情3498「火を付ける?着ける?点ける?」と平成ことば事情4973「火を『付ける』か?『着ける』か?」)

「着火」という言葉があるので「着ける」で良さそうだけど、「火付け強盗」などは「付ける」だし、「聖火(ローソク)に点火」では「点ける」もいけそうだし・・・と悩んで、この時も平仮名で、

「つける」

にしていました。

ま、悩んだら「平仮名」というのが正解なのかもしれません。

(2013、2、25)

2013年2月26日 06:10 | コメント (0)

新・読書日記 2013_034

『看取り先生の遺言~がんでやすらかな最期を迎えるために』(奥野修司、文藝春秋:2013、1、25)

 

3000人の最期を看取った肺がん専門医が、がんにかかったとき・・・これまでにもそういった手記はいくつか読んだことがあった。30歳前後の時に、日本で臓器移植が注目され、生体での移植手術が京都大学病院を中心に行われた頃、臓器移植の本と共にその関連で「終末医療(ターミナルケア)」の本をよく読んだ。あれから20年、私も50代に入り「知命」の年を過ぎると、また、こういったことに興味が出だした感じがする。

この本は著者の名前で読んでみようかなと思った。これまでにも奥野氏の本は、何冊かノンフィクションを読んだことがあったから。

主人公・岡部医師の「遺言」という形で語られていくノンフィクション。ただ途中で著者・奥野氏の「語り(説明)」も入るという形式は、最初のうちは慣れなくて、ちょっと違和感があり読みにくかったが、100ページを超すあたりから入っていけるようになった。

抗がん剤等の治療は(最初は)行わずに、医者から言うと「奇跡」のように余命が伸びた。少しずつ、枯れるように「死」に近づくが、苦しみはない。痛みの緩和ケアは行いつつ、篠直前まで食欲はある。エネルギーをためられないので、その日生きるカロリー(熱量)をその日の食事で摂っているような感じで、「そんなに痩せているのに、そんなに食べるの?本当にがん?」というような感じだったそうだ。病状は、人それぞれなのだ。

それと、岡部医師は「死に向かうがん患者にとって必要なのは『治療』ではなく『心の安らぎ』だ。そのためには『チャプレン』の導入が必要だ」と説く。「チャプレン」は、宗教的な支えを必要とする患者や家族への精神的サポートを行う、牧師に準じた職業をいう。実はこの耳慣れない単語を、私は知っていた。「チャプレン(仏教の坊さん)兼外科医」という男を主人公にした漫画を読んでいるからだ。どうも世の中は、そういったものを欲しているようである。といっても、これが一般化するのは、おそらく10年から15年後になるような気がするけど・・・なんとなく。岡部医師自身は、2012年9月に死去。

 


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(2013、2、16読了)

2013年2月25日 18:51 | コメント (0)

新・読書日記 2013_033

『一週間はなぜ7日になったのか』(柳谷晃、青春出版社:2012、6、15)

大変興味深いタイトル。サブタイトルは「数学者も驚いた、人間の知恵と宇宙観」。たしかにすごい。どれだけ詳しく鋭く観察して、また深い洞察力をもって「暦」を作っていったのか。数字と演技を担ぐ話やらアラビアのすごさやら、まあ、大変勉強になる一冊であることは間違いありません!オススメです。


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(2013、2、9読了)

2013年2月25日 15:39 | コメント (0)

新・ことば事情

5001「西尾維新」

「西尾維新」

というペンネームの作家がいます。作品を読んだことはないのですが、行きつけの本屋さんのレジカウンターのところに、よく本がおいてあります。去年の7月に、他の本を買うときに、その名前のローマ字表記が目に入って「あ!」っと思いました。

 

「NISIO ISIN」

 

ローマ字の回文だ!

きっと、読者やファンの方は最初から気付いていたんでしょうけど、こんなところに遊び心があるんですね!

「二葉亭四迷」が「くたばってしまえ」から取ったとか、そんなのにも通じる遊び心だなあ。

ちょっと気に入りました。

ネットで見ると、もう皆さん、よくご存じの話だったようで・・・。私は読まなかったから、知らなかったけど。西尾さんって、1981年生まれ、若いんですね!

これが「大阪維新」では、回文になりません。でも、大阪市はその昔、

「大阪咲かそ」(OSAKA SAKASO)」

という「回文」のキャンペーンコピーを使っていましたから、言葉遊びが好きな地盤は、あるんですよねえ。今はなさそうだけど。

(2013、2、25)

2013年2月25日 12:31 | コメント (0)

新・ことば事情

5000「七冠の読み方」

 

ことしの1月16日の「関西情報ネットten!」で、林マオ・アナウンサーが、将棋の

「七冠」

を、

「ななかん」

と読んでいました。まあ、間違いとまでは言えないけど・・・メールしました。

「将棋の『七冠』は、正しくは、『シチカン』ですよ。」

すると、林アナウンサーから返事のメールが。

「しちかん・・・知りませんでした、以後気をつけます。また、御指導よろしくお願いいたします!ありがとうございました。」

礼儀正しいですね。えらい、えらい。

実は偉そうに指摘している私が「七冠」が「ななかん」ではなく正しくは「しちかん」であることを知ったのは、つい数年前。柳瀬尚紀さんの『日本語は天才である』(2007年・新潮社)を読んでからです。その本の、

「第七章 シチ派VSナナ派 真昼の決闘」

という章の冒頭に、

「ナナと読むかシチと読むか」

が出てきます。この本が出たのは「2007年」。これも「ナナ」と読むか「シチ」と読むかで悩むところ。「第七章」も「ナナショウ」か「シチショウ」か悩む・・・悩まないか。「ナナショウ」ですね、普通。

柳瀬さんが「七」の読み方にこだわり始めたのは、1996年2月14日に将棋の羽生善治さんが、七つのタイトルを独占したとき以来だそうです。その際にテレビ局はこぞって、

「ナナカン、ナナカンオウ」

と大合唱だったと。「冠」を「カンムリ」「カムリ」と「訓」で読むなら「ナナカンムリ」「ナナカムリ」で良いが、「カン」と「音」で読むなら「シチカン」であろうというのが柳瀬さんの主張。そこから「シチ」と読む言葉を"鬼のように"並べていくさまは「お見事!」としか言いようがありません。まさに圧巻です。

そして、「七」を「ナナ」というのが一般的になってしまったきっかけは、なんと、

「安保闘争であった」

と。詳しくは本を読んでください。関西人は「ナナ」ということが多いんですけどね。

 

さて、ということで、「平成ことば事情」は、おかげさまで、

「連載5000回」

を迎えることができました!!パチパチパチ!

まだ「20世紀」だった1999年7月に書き始めて以来、13年と8か月、仕事もちゃんとやりながら(これも仕事と言えば仕事なんですが)ほぼ「毎日1項目」ペースで書いているというのは、もう自分で自分をほめたいです。

今後も、1万回」目指して(無理か)頑張ります!

ご声援、よろしくお願いいたします!

 

 

 

(追記)

NHKの原田邦博さんからメールが届きました。

「競馬の世界では『7冠』は『ナナカン』のようで、シンボリルドルフなどの『七冠馬』は、『ナナカンバ』です。島根県にはシンボリ牧場の親戚の酒蔵が、許可をもらって、『七冠馬(ナナカンバ)』という酒を造っています。」

ということで、業種(?)によっては、必ずしも「シチカン」ではないようですね。

原田さん、ありがとうございました。

(2013、2、20)

 

(2013、2、18)

2013年2月20日 16:42 | コメント (0)

新・ことば事情

4999「両脚か両足か?」

 

パラリンピック金メダルでロンドンオリンピックにも出場した南アフリカの陸上選手、オスカー・ピストリウス選手が、自宅で交際相手の女性を射殺したとして逮捕されたニュースで、ピストリウム選手を説明するにあたって、

「両脚義足」

と書くべきか、

「両足義足」

と書くべきか、迷いました。なぜならば、

「義足」

として出てくる字が「足」だから、「両脚」と書くと整合性がないように感じたからです。

「足」と「脚」の使い分けは、『新聞用語集2007年版』によると、

*「足」=一般用語。主として足首から先の部分。

*「脚」=主として太ももから下の部分、動物の脚部、物を支える部分。

とありました。英語で言うと、

*「足」=「foot

*「脚」=「leg

のように思います・・・昔、習ったような気が・・・・。

今回のピストリスウ選手両足の、

「膝から下が義足」

ですから、「足首から先の部分(=足)だけが義足ではない」ですから、

「脚」

でよさそうです。でも「足首から先」だけを指すわけではないのに、なぜ

「『義脚』ではなく『義足』なのか?」

という疑問が出ますが・・・。

「脚」と「足」の熟語の語違いは?思いつくものを挙げてみると、

「二人三脚」「脚本」「馬脚」「脚立」「立脚」・・・

「蛇足」「不足」「充足」「満足」「片足」・・・

「脚」の方が本当の「あし」を指しているような気がするのに対して、「足」は「たりる」という意味で使われているような気がしますね。

結局、今回の表記は、

「両脚義足」

としました。

(2013、2、17)

2013年2月20日 10:11 | コメント (0)

新・ことば事情

4998「『グアム』のアクセント」

 

大変痛ましい事件が起き、日本人3人の命が奪われた「グアム」。

その「グアム」のアクセントですが、

(1)「グ\アム」(頭高)

(2)「グ/ア\ム」(中高)

(3)「グ/アム」(平板)

(4)「ガ\ム」(頭高)

皆さんはどのように発音されるでしょうか?

『NHK日本語発音アクセント辞典』には、実は、(2)の

「グ/ア\ム」(中高)

しか載っていません。しかし、現在、一般的には、(1)の、

「グ\アム」(頭高)

と言う人が多いのではないでしょうか?中には(4)の、

「ガ\ム」(頭高)

と言う人も結構多いかもしれませんが。

読売テレビアナウンス部でアンケートを取ったところ(複数回答)

(1)「グ\アム」(頭高)=11人

(2)「グ/ア\ム」(中高= 0人

(3)「グ/アム」(平板)= 0人

(4)「ガ\ム」(頭高) = 1人

という結果になりました。意見としては、

「(1)の頭高だが。(4)の『ガム』という方が多いなぁ、と思っていました」(20代女性アナ)。

「正式には(2)なんでしょうが、スタジオ展開などでは(1)で言ってしまいます。」(30代男性アナ)

「私は(1)だが、『グアム島』と『島』を付けて聞くことも多く『平板』の印象がある。『グアム本島』となるとやはり(1)です。ちょっとカッコつけて言うときには(4)『ガ\ム』(頭高)もある。なぜ『カッコつける』かはわからないが・・・」(50代男性アナ)

「(1)の『頭高』で読んでいる。たとえ『正解』でも(2)は少し抵抗がある」(20台女性アナ)

といって意見もありました。

ここからは私の推測ですが、もともとは原音主義で(1)の「グ/ア\ム」(中高)だったものが、1970年代、海外旅行が盛んになり、「グアム」へ行く人が増えた時期、極め付きはジャアイアンツの「グアムキャンプ」。この時期に「グアム」の表記を、「ァ」が小さい、

「グァム」

だと思った人が増えて、言いやすさも手伝って、

「ガ\ム」

と言う人が増えたのではないか?

その後また「グァム」ではなく「グアム」であることが認識されたものの、発音は、「ガ\ム」を引きづった「頭高」で、

「グ\アム」

となったのではないか?その間、NHKアクセント辞典は微動だにせず「中高」の「グ/ア\ム」を守って来たのではないか?ということではないでしょうか?どうかな?

(2013、2、18)

2013年2月19日 23:10 | コメント (0)

新・ことば事情

4997「一寸の虫にも五分の魂」

 

1月12日の日経新聞夕刊のコラム「プロムナード」で、歌人の小島ゆかりさんという方が、「犬も歩けば」というタイトルのコラムを書いていました。小島さんの下の娘さんが最近「ことわざ辞典」を熟読しているそうです。娘さんの勤務先の上司がことわざ好きで、よく「ことわざ」で注意されるが、意味がよく解らないんだそうです。それで熟読を・・・えらい!それに小島さんも付き合わされるとのこと。

その様子の中で出て来た、

「一寸の虫にも五分の魂」

について娘さんが質問を。というか、そもそも「五分の魂」の「五分」を、

「ごふん」

と読んだそうで、小島さんが、

「"ごふん"じゃなくて"ごぶ"。昔の長さの単位。一寸が三センチぐらいで、五分はその半分だから、一、五センチぐらい」

と教えたそうです。それを聞いた娘さんは、

「三センチの虫にも一、五センチの魂?魂、大きすぎない?身長一六0だったら、魂、八0センチだよ。」

その答えに小島さんもグッと詰まって、たしかに大きすぎると。

ところが私はこのやり取りを読んで、「あれ?」っと思ったのです。

小島さんは「五分」を、

「その半分」

と答えています。つまり「五分五分」の「五分」、

「五割=50%」

ですね。私はこのことわざの「五分」は、「五割五分」の「五分」、つまり、

「5%」

だとずっと思っていたのです!「五分」が「半分」なんて、小島さんの娘さんじゃないけど、確かに多すぎないか?

そこで、手元にあった『ことわざ成句使い方事典』(大修館書店)を引くと、なんとしっかりと、

「五分=一寸の半分」

と記されているではないですか!間違っていたのは私か!?

そこで、アナウンス部のメンバーにも、

「『一寸の虫にも五分の魂』ということわざの『五分』の意味は?」

(1)半分

(2)5%

と聞いてみたところ、回答は、

(1)三浦・萩原・本野・五十嵐   =4人

(2)虎谷・牧野・森若・植村・小澤 =5人

で、ほぼ半々で、私と同じく(2)=5%と答えた人の方がわずかに多かったのです。

これって、どうなんでしょうか?

皆さんは、どっち派ですか?

 

 

(追記)

アメリカ在住のI先輩からメール。

「『一寸の虫にも五分の魂』の場合の『分』は、1%とか半分とか、割合の意味ではなくて、

『尺貫法で、一寸の10分の1』(広辞苑)という長さの単位ではないでしょうか。ま、この場合は指す長さは一緒になりますけど。」

とご指摘いただきました。そうでしたね。ありがとうございます。

(2013、2、25)

 

 

 

(2013、2、18)

2013年2月19日 20:57 | コメント (0)

新・ことば事情

4996「いん石か?隕石か?」

 

2月15日、ロシアに落下した隕石(いんせき)。すごいですね、こんなことがあるんですね。まさに「ディープインパクト」。100年に1度ぐらいの規模だそうですが。

さて、その「隕石」の表記、表外字である漢字を使って熟語を「隕石」と書くか、平仮名を交ぜた「交ぜ書き」で書くか?を調べてみました。

2月17日のNHKの19時のニュースはルビを振って「隕石(いんせき)」

同じ日の日本テレビ『バンキシャ!』では交ぜ書きで「いん石」でした。

新聞は、読売・朝日・毎日・産経・日経と全紙、

「隕石」

という漢字の熟語での見出し、本文では「いんせき」とルビを振ってありました。

「隕」は「表外字」なので、これまでの新聞や放送のニュースのルールでは、「平仮名」で書くことになっていました。しかしここ10年ほど、

「熟語が、漢字と平仮名の交ぜ書きになると、かえってわかりにくい」

ということで、できるだけ「交ぜ書き」はやめようという動きになって来ています。

今回、新聞がすべて漢字で「隕石」と書くようになったのは、そういった背景があるのではないでしょうか。

(2013、2、17)

2013年2月19日 16:56 | コメント (0)

新・ことば事情

4995「p、fは表情記号か?音量記号か?3」

 

「平成ことば事情4700」と「4701」で書いた、

pfは表情記号か?音量記号か?」

「パート3」です。

「p、f」は「表情記号」であり、「強弱記号」であって、

「音量記号ではない」

と考えた場合に、我々が「松葉」とも呼ぶ「クレッシェンド」「デクレッシェンド」もまた「音量の増減を示すものではない」

ということでしょうか?

しかし「強弱」を「徐々に強くする」「徐々に弱くする」手法はどうすればいいのでしょうか?「強」は、周りとの「差」が際立つから、

「強」=ストレス=アクセント

と分かるのではないでしょうか?「だんだん」で、どうやって「強弱」が表せるのか?「音」に関して「強い」と「大きい」の違いは何なのか?という問題です。

たとえば、「fp」(フォルテ・ピアノ)を「音量」以外の方法で「強弱」を表すには具体的にどういう方法があるのでしょうか?

この答えは「記号」ではなく、

「言葉」

でした。

「音楽用語である『イタリア語』で『表情』を書き表す」

ということのようです。

去年(2012年)9月、たまたまご一緒する機会のあった、作曲家の千原英喜先生に伺ったところ、そういうことでした。

作曲者や編曲者は、演奏する者に伝わりやすいスコアの書き方をしないといけないのではないでしょうか?それって「演奏者側の傲慢」なのでしょうか?

(2013、2、18)

2013年2月19日 11:53 | コメント (0)

新・ことば事情

4994「動的平衡と『都の西北』」

 

福岡伸一さんの本を読んでいたら、「生命とは何か」という著書でDNA、二重らせん構造の解明に影響を与えたシュレジンガーの言葉が出てきました。そこには、

 

「生命とは秩序を保つものである」

 

という一言が。それを読んでハッ!と思い浮かんだのは、なんと母校・早稲田大学校歌・「『都の西北』の3番の歌詞」である、

 

「集まり散じて人は変われど 仰ぐは同じき理想の光」。

 

です。これって、福岡さんが常日頃主張している、

 

「動的平衡」

 

ではないか?と。人間個体も「動的平衡」を保っているけれども、「組織」も常に同じメンバーではないが「同じ一つの学校」であるとか「会社」であるとか、そして私たちで言えば「番組」であるという形を持っている。それはメンバーが変わっても「スピリット」が変わらないという部分で、常に変化していてしかも一定であるということではないか。そう思ったのです。

個体も組織も「秩序」というものがあるのだなと、改めて思った次第です。

(2013、2、18)

2013年2月19日 05:49 | コメント (0)

新・ことば事情

4993「日差しが強ければ影も濃くなる」

 

去年の9月半ば、朝の出勤時に感じたこと。

残暑の厳しい折りでしたが、ふと足元の「自分の影」の濃さが、真夏に比べて薄くなっている気がして、思ったのです。

 

「日差しが強ければ、影も濃くなる」

 

と。世の中の「陽」と「陰」の背中合わせのさまざまな出来事も、そういった一面があるのではないか?そんな思いがしたので、この一言だけを書き留めておいたのでした。

もう半年ほどたっちゃったけど。また今年の夏にも感じることでしょう。

(2013、2、17)

2013年2月18日 21:53 | コメント (0)

新・ことば事情

4992「光と音」

 

2月15日、ロシア・チェリャビンスクなどに落下した隕石(いんせき)。2月17日の日本テレビ『バンキシャ!』を見ていたら、ロシアからの記者のリポートで、目撃者の話によると、

「まず、明るい光が見えて、3分後ぐらいに凄まじい衝撃波があった」

というのです。フジテレビの『Mr.サンデー』では、

「2分20秒後」

と言っていました。

そうか、「光」の速は、小学校の時の覚えたように「1秒間に地球を7周半」、つまり

「光速」=秒速30万キロ

ですが、「衝撃波」は、

「空気の伝わる速さ」

だから、

「空気の中を音の伝わる速さと同じ」

ということは、

「音速と同じ=秒速330メートル=秒速0,33キロメートル」

ということですね。「時速」では「かける60かける60」で「約1200キロ」。

光と音の速さの関係は、

「光速=音速×3×30万=音速×90万」

つまり、光の「90万秒後」に音は、やって来る?いやいや、それでは3分とか2分20秒とかと計算が合わない。今回の「隕石のスピード」は、

「時速6万4000キロ」

だそうですから、「音速」よりもずっと早い。

「マッハ50以上」

ですね。それで計算すると、

「90万÷50=1万8000秒=300分=5時間」

になりますが、そんなに後にやって来るのではない。なぜなら「音」と「衝撃波」は、

「隕石と共にやって来たから」

ではないでしょうか?2月17日の朝日新聞の記事「衝撃波」の説明を読むと、

「衝撃波=空気の振動として伝わる現象で、物体が空気中を音より早く動いたときなどに生まれる。飛行中の超音速機『コンコルド』から出た衝撃波が地上の窓ガラスを割る被害を出したことが知られている。国内では米軍機による衝撃波の被害が問題になっている(以下略)」

とありました。なるほど、「音より早い物質」の時に起きるのか。

なお、フジテレビの『Mr.サンデー』でも

「音と衝撃の波動が同時にやってくる」

とのことでした。どっちも「空気の動き」だからね。光は違うけど。

(2013、2、17)

2013年2月18日 18:50 | コメント (0)

新・ことば事情

4991「作者買い、著者買い」

 

「作者買い」「著者買い」

という言葉があるそうです。Mアナウンサーが教えてくれました。

つまり、本を買う場合に書評など頼らず、

「お気に入りの作者(著者)の作品であれば、即、買う」

ということですね。これって、

「ジャケ買い」

と同じようなもの?とMアナウンサーは言っていますが、ちょっと違うような気がする。

「ジャケ買い」は、気に入ったジャケットであれば、アーティストが誰であれ、中身にかかわらず買うのですが、「作者買い」は、その「作者」のことを知っていてお気に入りだから、作品の内容は確かめずに「この作者なら大丈夫」(気に入る)という安心感で購入するんですよね。ある種の、

「信用買い」

のようなものです。あ、でも「ジャケ買い」も、ジャケットが気に入ったこともあるけど、「このジャケットのアーティストであれば、きっと音楽も素敵な(気に入る)はず」

と信じて買うのであれば、おんなじことか。

こんな言葉は昔はなかったけど、大体私の読書傾向としては、一人お気に入りの作者が見つかると、その作者の作品は、即、買いますね。普通の本好きはそういう傾向があるのではないでしょうか?グーグル検索では(2月18日)

「作者買い」=5万8000件

「著者買い」=  4260件

「作家買い」=7万7700件

でした。

(2013、2、18)

2013年2月18日 15:46 | コメント (0)

新・ことば事情

4990「国技とお家芸2」

 

「平成ことば事情4977国技とお家芸」を書いた後に、今度はオリンピック種目から「レスリング」が外される危機が!このニュースでも盛んに「レスリング」のことを、

「お家芸」

と表現していました。

どうも日本は「格闘技系がお家芸」と評されることが多いようですね。「相撲」と「柔道」は「発祥の地が日本」であるということでしたが、「レスリング」の発祥は「日本ではない」にもかかわらず「お家芸」と言われます。あ、そうそう、格闘技ではないですが、

「体操」

しばしば「お家芸」と言われます。それは、

「オリンピックでたびたび(金)メダルを獲得していること」

が、その根拠のようですね。つまり、

「得意分野」

を指して「お家芸」というのではないでしょうか。

ちなみに、先日の新聞用語懇談会放送分科会で、

「放送で、『相撲』を『国技』と言いますか?」

という質問をしたところ、「国技」と認めている社は1社もありませんでした。ただ、

「国技として親しまれている相撲」(NHK)

だとか、

「いわゆる"国技"」(フジテレビ)

といった表現はすることがあるということでした。またフジテレビの委員が、相撲担当のアナウンサーに聞いたところによると、

「明治時代に、新聞記者が『相撲』を『国技』と書いたことから広まった表現らしい」

という話もあると、披露してくれました。

(2013、2、17)

2013年2月18日 11:45 | コメント (0)

新・ことば事情

4989「報道声明」

 

2月13日の「ミヤネ屋」で、

「国連安保理の『報道声明』」

に関してパネルで紹介しました。しかしちょっと待った!安保理の、

「共同声明」

というのは聞き慣れていますが、

「報道声明」

というのは聞いたことがありません。スーパーと原稿は、

「北朝鮮に対する『非難声明』」

に変えたのですが、パネルはそのまま出ました。

ところが放送後にもう一度調べてみたところ、

「『報道声明』というものもある」

ことがわかりました。

「大辞林」によると、安保理の「報道声明」とは、

「報道声明=国連安全保障理事会による問題対応策の一つ。当事国に自制を求めるなど、事態の改善を促す声明を報道向けに発表する。採択には全理事国の合意が必要だが、拘束力はなく、非公式な意思表明とされ、重要度は安保理決議や議長声明よりも低い。」

とのことです。つまり、安保理の生命の中の重要度は、

「安保理決議」>「議長声明」>「報道声明」

ということですね。

「議長声明」は、『知恵蔵2013年版』(ネット)によると、

「議長声明=連安全保障理事会(安保理)の慣行。ある事態に対する安保理の意思表明として示される、文字どおり議長の声明だが、議長が独自に行うのではなく、安保理の意思を間接的に伝えるもの。公式資料にも『安保理議長は......と判断する』といった文章ではなく、『議長は安保理に代わって以下の声明を行う』という文章を添えた上で、『安保理は......と判断する』といった、安保理決議と同じ文章が続く。安保理決議にしたのでは意思表明が強すぎるような場合によく用いられる。北朝鮮ミサイル問題の際に突然現れたのではなく、ふだんからよく用いられ、例えば05年の場合、決議71本に対し議長声明は65本である。法的拘束力(守るべき義務)はない。」

ということでした。

では「共同声明」との違いは何か?これがよくわかりません。「共同声明」は、

「2か国あるいは3か国以上が共同で発表する声明」

としかわかりません。グーグル検索では(2月13日)

「安保理共同声明」=6万4500件

「安保理報道声明」=  2290件

でした。

(2013、2、17)

2013年2月18日 03:43 | コメント (0)

新・読書日記 2013_032

『京都ここだけの話』(日本経済新聞社京都支社編、日経プレミアシリーズ:2012、9、10第1刷・2012、12、6第5刷)

出張の際に、JR京都駅の改札内の本屋さんを覗いた際、たくさん平台に並んでいました。「ご当地本」として新幹線の中で読むために購入。結局、家に帰ってから読んだのですが、なかなか役に立ちそうな感じ。しかも、日経新聞の京都支社の3人(部長、男性記者、女性記者)の会話の形式で話を進めるのは、日経の日曜紙面の「探偵事務所の話」に構成が似ているけど、割と読みやすかったです。一度また、京都に行ってみようかなと思わせる内容でした。


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(2013、2、17読了)

2013年2月18日 01:00 | コメント (0)

新・読書日記 2013_031

『「30分遅れます」は何分待つの?経済学』(佐々木一寿、日経プレミアシリーズ:2012、12、10)

ユニークなタイトルが気になっていたが、「買っても、そんなに大したことないんじゃないかな・・・」と、手を出すのをためらっていたが、出張に行く時の京都駅の書店でみかけて、つい買ってしまいました。内容は、読みやすい文体で、興味深い項目がいくつもあるんだけど、実は「ちょっと難しめの経済学解説本」といった感じ。

奥付の後ろの「日経プレミアシリーズ」の出している本の広告を見たら、結構、このシリーズ、私、読んでました。


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(2013、2、13読了)

2013年2月17日 20:59 | コメント (0)

新・読書日記 2013_030

『吉本隆明という「共同幻想」』(呉智英、筑摩書房:2012、12、10)

難しゅうて、やがて悲しき吉本隆明。

亡くなってから、こんなにケチョンケチョンな弔辞を読まれるのは、悲しい。でも、正しい見方であれば仕方ないという感じか。本書の最後に、

「言論にとって義とは何か。如上の倫理を世に問うてみたい。擬制の終焉を迎えるためにである。」

とある。終章のタイトルは、

「吉本隆明って、どこが偉いんですか?」

つまり「裸の王様の告発」が、呉智英のやりたいことであり、真骨頂なのだ。


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(2013、2、11読了)

2013年2月17日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

4988「CRとPR」

 

『看取り先生の遺書~がんで安らかな最期を迎えるために』(奥野修司、文藝春秋:2013、1、25)という本を読んでいたら、

「CR」「PR」

というアルファベットの略語が出てきました。

「CR」

というのは、

「コンプリート・レスポンス」

の略で、

「完全寛解、著効、すべての病変の100%縮小、消失が4週間以上継続」

の状態を指すのだそうです。

「PR」

というのは、

「パーシャル・レスポンス」

の略で、

「部分寛解、病変の50%以上の縮小が4週間以上持続」

の状態を指すのだそうです。

先日亡くなった市川團十郎さんが、最初の白血病治療を終えられた時に、

「寛解・・・と言うんだそうですが」

と会見でおっしゃってたことが思い出されました。がんの場合は、

「完治」

という言葉ではなく、「寛解」という言葉を使う。「完治」は「5年以上生存」して初めて口にできる言葉だということでしょう。

まだこの本を全部読んだわけではないのですが、医者は「健康な状態に戻す」のが仕事だが、「がん」で余命がわずかという場合にはもう医者は「健康」な状態に戻すことはできない。生き物は生まれて来ていつかは死ぬ。その時期に来ている時に、「自然」に任せる仕事は「医者」の仕事ではないが、それをやってくれるのは「治療」ではなく「介護」の仕事になる。そう悟った「看取り先生」は、「在宅医療」に取り組むことになるという話。しかもその先生が「がん」であることが分かった・・・。考えさせられる本です。

あれ?「読書日記」みたいになっちゃいました。

(2013、2、15)

2013年2月16日 15:22 | コメント (0)

新・読書日記 2013_029

『シルバー川柳~誕生日ローソク吹いて立ちくらみ(社団法人全国有料老人ホーム協会、ポプラ社:2012、9、11第1刷、2013、1、23第15刷)

話題の本。88句しか載ってなくて1000円は高いと思うが、イラストがかわいいのと、帯に「25万部突破」とあるのに惹かれた。

「シルバー川柳」は、201212回目を迎え、応募総数は11万!6歳から100歳まで幅広い。でも、「台所・お風呂の川柳」の平成19年最優秀作品が31ページに載っていて、最後のところに小さな字で「入選取り消し」って書いてあるけど、それって「チェックが甘かった」ということか?

88句しかないから、ここで紹介してしまうと、商売のじゃまをすることになるといけない。タイトル以外の1句だけ、気に入った句を紹介して、お茶を濁す。

「できました 老人会の 青年部」

超高齢化社会ですから。

 


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(2013、2、11読了)

2013年2月16日 13:26 | コメント (0)

新・ことば事情

4987「まなかい」

本を読んでいたら、

「まなかいに比良の稜線」

という文章が出てきました。「まかない」ではありません、「まなかい」です。

この、

「まなかい」

「まな」は「まなこ=目」でしょう。すると、残りの「かい」は何?似た言葉としては、

「はすかい」

が思い浮かびます。ほかには、

「行き交う」

という動詞も思い浮かびます。その「交う」が「かい」と、

「連用形の名詞化」

したのでしょうか?辞書を引いてみましょう。『精選版日本国語大辞典』

 

「まなかい(眼間・目交)」=(目(ま)の交(か)いの意)目と目の間。転じて、目の前。まのあたり。

 

やっぱり、想像通り!用例は、なんと8世紀後半の「万葉集」です!

さらに「補注」として、

 

「かひ」については、「山のかひ」「潮かひ」といった上代語があるところから、「交ふ」という動詞とは無関係な「間」の意の名詞と考える説もある。

 

え!そうなの「交ふ」ではなく「間」の意味という説もあるのか!それは勉強になりました。でも「交ふ」とする説もあるんですね。両方、覚えておきましょう。

(2013、2、14)

2013年2月15日 18:21 | コメント (0)

新・ことば事情

4986「ラブラブぶり」

 

「○○ぶり」とか「○○っぷり」という言葉を、よく目にするのですが、昨日の「ミヤネ屋」で、こんな言葉が出てきました。

 

「ラブラブぶり」

 

・・・もう、なんでも「ぶり」になるんですねえ・・・それにしても、意外とこれ、言いにくいですよ。皆さんも、口に出して言ってみてください、さん、はい!

「ラブラブぶり」

ラ行の次に「ブ」が出てくるパターンが3回続くのが言いにくいのだなあと、改めて思いましたが。ラブラブぶり・・・。日本語?これ?

グーグル検索してみました。(2月14日)

「ラブラブぶり」=12万1000件

も出てきましたよ。

あ、そうだ!これも言いにくいな、きっと。

 

「ブラブラぶり」

 

とっても"所在無げ"にブラブラしている感じが目に浮かびますね!ブラブラぶり・・・。ヘンな言葉!こんな言葉は、ないだろうな。

「ブラブラぶり」=303件

でした。ないな、これは。そう言えば、

「長崎ぶらぶら節」

という、なかにし礼さんの小説がありましたね。

(2013、2、14)

2013年2月14日 23:15 | コメント (0)

新・ことば事情

4985「ラブソン」

「ミヤネ屋」で、放送前のテロップのチェックをしています。

きのうは、そこで見つけた間違いの内、「危ない!」と思ったものの中に、

「カタカナの間違い」

が目立ちました。原因は、手書きで発注しているカタカナの文字を、テロップを打つオペレーターが読み違えたのです。つまり、

「カタカナの手書き文字が汚い」

ことに由来します。まず、歌舞伎俳優「片岡愛之助」さんの愛称が、

「ラブソン」

になっていたのですが、正しくは、

「ラブリン」

です。「リ」を「ソ」と読み取られてしまったのです。

「『ラブソン』って、『ラブソングの省略形』か!」

と思わず突っ込んでしまいました。

また、韓国の外交通商相の名前のルビが、

「金星煥(キム・リンファン)」

となっていましたが、これも正しくは、

「金星煥(キム・ソンファン)」

で、今度は逆に「ソ」を「リ」に間違ってしまったわけです。

さらに、グアムでの無差別殺人事件の容疑者の名前が、

「デソト」

とあったので、

「『デント』ではないのか?」

と確認したところ、これは、

「『デソト』でOK」

でした。「ソ」と「ン」も、手書きではわかりにくい。

そんなことがあった翌日、今度はまた「多分間違われるのではないか?」と思われる手書きの発注書を発見!そこには、

「マースケ・サンタマリア」

と読める文字が書かれていました。正しくはもちろん、

「ユースケ・サンタマリア」

です。「ユ」の字が歪んで斜めに書かれていたので、「マ」に見えたのです。

「カタカナ」は構造が簡単なだけに、ちょっと歪んで書いたりすると、ほかの字と間違われる恐れがあるので、より丁寧に書く必要があるなと感じたのでした。

(2013、2、14)

2013年2月14日 21:39 | コメント (0)

新・ことば事情

4984「表れると現れる」

「ミヤネ屋」のスタッフから質問です。

「脳梗塞や血圧の上昇などの症状が"あらわれる"という場合には"表れる"でしょうか?それとも"現れる"でしょうか?」

うーん、難しい。『新聞用語集2007年版』を開くと、

*「表れる」(表面に出る。表示・表明)=顔色に表れる、結果に表れる、効果が表れる

*「現れる」(隠れていたものが出てくる。出現・示現)=怪獣が現れる、太陽が現れる、皮膚に湿疹(しっしん)が現れる

とあります。大体の意味は分かるのですが、ここで問題は、

「皮膚に湿疹が現れる」

です。これって病気の症状が出て来たんですよね。そうすると「症状」は「現れる」なのか?でも、「症状」の用例が『新聞用語集』には載っていないんです。

そこで、読売新聞社の『読売スタイルブック2011』を開いてみたところ、

*「表れる」(表面に出る、表現される)=影響が現れる、顔色に表れる、結果に表れる、効果・兆候が表れる、症状・副作用が表れる

*「現れる」(隠れていたものが出てくる、出現、示現)=太陽が現れる、皮膚に湿疹が現れる、目撃者が現れる

ということで、こちらにはちゃんと、

「症状・副作用が表れる」

という用例が載っていました!

『NHK漢字表記辞典』は、あっさりと1例ずつしか出ていませんし、『共同通信社記者ハンドブック』は、かなり用例も多く載せているのですが、肝心の「症状」については例に出ていないので、『読売スタイルブック』は助かりました。

(2013、2、12)

2013年2月14日 16:48 | コメント (0)

新・ことば事情

4983「強行・強硬・強攻」

同音異義語の話です。先日の「アルジェリア人質事件」の時に、

「きょうこう策」

という言葉が出て来て、この際は、

「強行策」

としました。人質を取られているのに、アルジェリア政府はテロリストたちへの攻撃を「強行」したからです。

一方、きのう(11日)の北朝鮮のニュースで、核実験を行おうとする北朝鮮に対して、アメリカ政府は、

「きょうこう姿勢」

を示したというスーパーと原稿が出てきました。この際は、

「強硬姿勢」

としました。これは「強硬な姿勢」「強い態度」という意味です。

このほか「強攻」というのは、野球で「送りバント」をするシーンで、「ヒッティング策」を取った場合などに、

「強攻策に出た」

などと使います。「強行」「強攻」は「する」が付いて「強行する」「強攻する」と「動詞」になりますが、「強硬」は「な」が付いて「強硬な」と「形容動詞」になります。「強硬する」という言葉はありません。

(2013、2、12)

2013年2月14日 11:41 | コメント (0)

新・ことば事情

4982「ハラール」

 

2月10日の読売新聞(大阪版)の1面に、

「大阪国際医療ネットワーク~阪大病院が外国人患者窓口」

という記事が出ていました。重い病や高度な手術など、自分の国で治療を受けられないで来日する外国人患者の窓口となる「国際医療センター(仮称)」を、大阪大学病院が今年の春に設置するという記事でした。その中で、

「宗教食」

という言葉が出てきました。菜食主義者など、宗教によって食物に制限のあるものをそう呼ぶそうです。中でも、

「豚肉など食品や加工法に制限があるイスラム教徒」

の食事のことは、

「ハラール」

と呼ばれているそうです。初めて知りました。グーグル検索(2月12日)では、

「ハラール」=14万7000件

「宗教食」 = 1万1700件

でした。そういった食事に対応している病院としては、

「淀川キリスト教病院(大阪市)」

があり、大阪大学病院の今回のネットワークでは、食事面を支えるそうです。「淀川キリスト教病院」は、関係者の間では、

「淀キリ」

と呼ばれているとのことです。グーグル検索(2月12日)では、

「淀川キリスト教病院」=10万8000件

「淀キリ」      =   5830件

でした。

(2013、2、12)

2013年2月12日 18:12 | コメント (0)

新・読書日記 2013_028

『なんらかの事情』(岸本佐知子、筑摩書房 :2012、11、8)

 

なぜ評判がいいのか?というところに"何らかの事情"が存在するのかも。

純文学的なエッセイ。詩的なエッセイ。好きな人は好きなんだろうなあと。でも、わからない人は「それで、何を言いたいの?」と結論を求めて、「意味が解らない」となるかも。そういう世界じゃないんだけどなあ。


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(2012、2、9読了)

2013年2月12日 13:07 | コメント (0)

新・ことば事情

4981「完熟に実った」

 

おそらく新商品としてコンビニに並んでいた

「白桃&カルピス」

つい、手に取って購入しました。そのペットボトルに、

「完熟に実った白桃果汁使用」

とあったのですが、これが気になった。「完熟」は、

「完全に熟している状態」

ですから、イコール「実っている」んですよね。そうすると、

「『完熟に実った』は『重複表現』ではないか?」

と思ったわけです。

「完熟の白桃果汁使用」あるいは「完熟白桃の果汁使用」

でいいのではないでしょうか?カルピスさん。

ちなみにこのフルーツカルピス、お味はそれほどくどくなく、甘さ抑えめで、おいしかったです。あ、「くどくなく」「甘さ抑えめ」って、重複表現かな?

(2013、2、11)

2013年2月11日 12:57 | コメント (0)

新・読書日記 2013_025

『壬生狂言』(壬生寺/編・写真/井上隆雄、淡交社:2000、3、27)

 

2月2日、3か月ぶりぐらいでニュース当番でした。そこで読んだニュースが、「節分」を翌日に控えた京都・壬生寺の「壬生狂言」のニュース。その原稿に、「普段演じられるのは『30曲』だが、この時期は『"節分"という演目だけ』を演じる」と書かれていました。その「『曲』という助数詞の表現はそれでいいのか?」とデスクに聞くと、「取材記者が、そう書いてあるので」と言うので、そのまま読みました。家に帰ると、10年ぐらい前に、壬生寺の松浦俊海貫主から頂いた、まさにその名も「壬生狂言」の本が。カラー写真がふんだんに使われ、日本語と英語で、「30曲」の演目の解説が載っている本でした。もらった時(平成12年だから13年前)にはパラパラと見ただけでしたが、今回は、もうちょっとしっかりと読みました。松浦貫主、お元気ですか!?


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(2013、2、3読了)

2013年2月10日 10:05 | コメント (0)

新・読書日記 2013_024

『面白い本』(成毛眞、岩波新書:2013、1、22)

このところ、「岩波新書」が頑張っているような気がする・・・というか、まあ、私好みの本を多く出している感じがするだけなのだが。

この「本の本」は、目次の後に「そのあと紹介される100冊」プラス「鉄板すぎて紹介するのも恥ずかしい定番の本9冊」のリストがさっそく載っている。それを眺めてみると、「読んだことがある本」が7冊、「持っているがまだ読んでいない本」が3冊、「その本が原作の映画で見たことはあるが、原作の本は読んでいないもの」が4冊でした。

まだ読んでいないけど「読んでみたいな」という本もたくさんありました。

白黒の写真で「その本の表紙」が全部紹介されているのは良かったのだけど、「値段」を書いておいてほしかった。結構、高そうな本もあったので。ま、自分で調べればいいのですが。


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(2013、2、1読了)

2013年2月 9日 17:04 | コメント (0)

新・ことば事情

4980「上下両院」

昨年末、他局のお昼のニュースを見ていたら、キー局の30歳ぐらいの中堅の女性アナウンサーが、アメリカの、

「上下両院」

のことを、

「ジョーゲ・リョーイン」

と読んでいました。それも2回。アチャー、ヤッテモタ・・・。

怒られるだろうなあ、先輩アナに。もちろんこれは、正しくは。

「ジョーカ・リョーイン」

と読むべきです。なぜならば、

「上院(ジョーイン)と下院(カイン)」

なのですから。「ゲイン」ではありません。

まあ、高速道路の「上り線」と「下り線」を合わせて、

「ジョウゲセン」

と読んだりすることもあるので、もしかしたら「ジョーゲ両院」も「あり」なのかな?

あまりテレビのニュースで耳にしたことはありませんが。

(2013、2、6)

2013年2月 9日 10:02 | コメント (0)

新・ことば事情

4979「おもたせ」

 

会社のK先輩からこんなメールをもらいました

「最近ネットなどで、『お土産&おもたせランキング』とか『おもたせに最適』といった

『おもたせ』

の表現がよく出て来てすこし違和感を覚えていましたが、『広辞苑』には『人が手ずから持ってきた贈り物。おみやげ。多く、持参のものを...』とあるので、お土産の意味で『おもたせ』を使っても、誤りではないのですかね。私などは『"おもたせ"でごめんなさいね』と言って、客が持ってきた土産をその場で客に出す時に使うものだと思っていましたが、以前からお土産のことにも使っていたんですかね?少し疑問に思いましたので・・・どうなんでしょうか?」

というもの。私はあまり、

「おもたせ」

って言葉は聞いたことがなかったんですが、と調べてみました。

『明鏡国語辞典』によると、

「おもたせ」=「おもたせもの」の略。客が持ってきた「土産物」の尊敬語。

▽客が持参したものをその客に供してすすめるときなどに使う。〔例)「おもたせで恐縮ですが・・・」

とあります。

「土産物」の尊敬語であれば、別に使っても間違いではないのかもしれませんが、これまでの使用例は、用例にあるようなものが圧倒的だったのでしょうから違和感があるのでしょうね。

ネット検索で引っかかったのがYOMIURI ONLINEの「発言小町」(2007121日)で、『ええっ!「おもたせ」って?』というタイトルで、千葉県在住の40代の女性が、実母がお客様が持ってきてくれたお菓子を、

「おもたせで申し訳ないけど...」

と出しておもてなしをしていた記憶があり、「おもたせ」とは、

「本来ならお客様用にお菓子を用意しておくべきだが、いただいたおみやげを出すことを言う言葉」

だと思っていたが、最近ネット検索で出てきたものが、

「○○のおもたせベスト3」「通のおもたせ」「オススメのおもたせ」「おもたせオンラインショップ」「おもたせの定番」「お友達に差をつけるおもたせ

など、

「ちょっと高級でお洒落なオトナの手みやげ」

という意味合いで使われているようで違和感があると指摘しており、まさにK先輩が持った疑問と同じものです。

さらにこの千葉の40歳の女性は、

「京のおもたせ」

というのが結構ネットで出て来たので、発祥の地は「京都」ではないか?と類推しています。

さっきも書いたように、私は全然気づかなかったので、この言葉は女性の方が接する機会が多いのかもしれません。「意味が分化」してきているんですかね?

(2013、2、6)

2013年2月 8日 22:00 | コメント (0)

新・ことば事情

4978「小児脳死移植」

2年前に書きかけてそのままでした。当時の番号は「平成ことば事情4350」)。

2011年4月13日、改正臓器移植法に基づいて、15歳未満で初めての脳死移植が行われました。その前日の12日、各紙に、

「初の小児脳死移植へ」

という見出しが出ました。

それを見た『ミヤネ屋』スタッフのIさんが、

「小児って言うと、23歳の小さな子供のイメージがあるんですが・・・」

と言ってきました。

「たしかにそうですね。でもこれはおそらく、医学用語としての『小児』で、15歳未満の脳死移植がこれまで認められていなかった。その意味での小児だから、15歳未満のことを指すんじゃないでしょうか?」

と答えました。『広辞苑』「小児」を引くと、

「小さな子ども。幼児。」

とあって、これではたしかにIさんの感覚と同じです。せいぜい「未就学児」になるでしょう。しかし、風邪薬の表記などで、

6歳未満1錠、15歳未満2錠、成人3錠」

というように、15歳を一つの境」にしているのを見たことがあります。今回の「小児」はそちらの「小児」ではないかと思われます。

ネットで「小児」を検索してみたら、こんな説明を見つけました。

『主に医学用語として使われます(小児科や小児ぜんそく等)。言葉の意味としては下記の「子供」と同じような扱いで曖昧ですが、小児科受診としての年齢は1520歳程度まで(小児科特有の慢性疾患を有している場合は例外)が一般的とされています。』

また「小児区分」について書かれたサイトでは、

「小児区分には一般的に以下の分類が用いられることが多い。

新生児(Neonate, Newborn infant) 生後28日以内

乳児(Infant) =生後1年未満

幼児(preschool children) 生後1~6年

学童(school chirdren) =生後6~12

青年(Adolescent) =生後12年以降

※狭義の小児(child)とは幼児と学童を含む範囲と考えられる。」

ちょっと今回の「小児」には、これはあてはまらないかな。そのほか、小児科の先生が答えているサイトもありました。

「小児のはっきりした定義はありません。一般的には、義務教育が終わる15歳をさすことが多いようです。」

やはり15歳」ぐらいというのが、医学的には「小児の上限」なのではないでしょうか。大体の人の「子ども」としての成長が完了する時期だということなのではないでしょうか。あとは個人差ということで。

「脳死移植」もそういう意味で「小児」という言葉を使っているのではないでしょうか。

(2013、2、6)

2013年2月 8日 20:01 | コメント (0)

新・ことば事情

4977「国技とお家芸」

柔道女子の全日本代表選手15人が、監督の暴力行為とパワーハラスメントについて異例の訴えを起こしたことに関して、「ミヤネ屋」で「街の声」を聴いた(街頭インタビューの)中に、

「やっぱり『国技』なんで、こんな問題を起こさないように頑張ってほしい」

と言った人が2人もいました。

え?国技?柔道が?

始めて知りました・・・っていうか、「柔道」は「国技」ではないでしょ。

日本で生み出されたということで「発祥の地」は「日本」ですが、「国技」ではないよな。

よく「相撲」を「国技」と言うと、

「相撲は国技ではない」

と言ってこられる方がいらっしゃいます。でも、大相撲は、

「国技館」

でやってるし、これこそほかの国では(「モンゴル相撲」とかは別にして)やっていない競技だから「国技」と呼んでもいいのかなと思う人が多いと思いますが、「柔道」は日本の、

「お家芸」

ではあっても、「国技」ではありません。ではいったい、

「日本の国技」

とは何なのでしょうか?まさか「蹴鞠」とか?じゃないよね?

『精選版日本国語大辞典』「国技」を引くと、

「その国を代表する、特有な技芸、武芸、スポーツ。日本の国技は相撲とされている」

と書かれていました!『デジタル大辞泉』も、

「その国を代表する特有の武芸・競技・技芸。日本では相撲」

「相撲」になっていますね。『明鏡国語辞典』も、

「その国を代表する伝統的な武芸・競技。日本では相撲」

断言しています。『広辞苑』は、

「その国特有の技芸。一国の代表的な競技。日本の相撲など」

と書かれています。『三省堂国語辞典』は、

「その国の代表的な競技・武術。例、日本のすもう」

平仮名だけど「すもう」になっています。『新明解国語辞典』は、

「その国を代表する(伝統的な)武術・技芸・スポーツなど。日本ではすもう。」

と、やはり平仮名で「すもう」。

どうも「国語辞典」では「日本の国技は相撲」と断定しているようですね。

結局、この2人のインタビューは使ったのですが、スーパーでのフォローは「国技」という部分を外して放送しました。

(2013、2、6)

2013年2月 8日 16:57 | コメント (0)

新・ことば事情

4976「トウフォレ上田」

 

2011年7月26日、円が、

「1ドル=77円台」

をつけました。これまでの最高値は76円台だそうです。それも気になりますが、それよりも気になったのは、映像にかかっていたスーパーです。そこには、

「トウフォレ上田」

とありました。あれ?これってその昔、よくニュース映像に出ていた、

「トウキョウフォレックス」と「上田ハーロー」が合体したのかな?

 

 

・・・とここまで書いて、1年半ほどほったらかしにしていました。

いまは2013年2月6日。

その間に民主党政権が倒れ、自民・安倍政権に。アベノミクスで円高は急激に修正されて円安が進み、また株価も急騰を続けています。

きょう、2月6日の円相場は、

「1ドル=93円台」

に。1年年で16円(20%)も「円高」が進みました。一方、株価の終値は、

「1万1463円75銭」

まで上がっています。20117月当時の株価は、

「9833円」

ぐらいでしたから、こちらも17%ぐらい上がっています。円高と株価は、やはりほぼ連動しているのですね。

それで、「トウフォレ上田」ですが、調べてみると、正式名称は、

「トウキョウフォレックス上田ハーロー株式会社」

で、199910月」設立、東京外為ブローカーの最大手である「トウキョウフォレックス」と「上田ハーロー」が外国為替売買取引および外貨資金貸借取引の媒介部門を合体して誕生した会社だそうです。

それに10年以上気付かなかったと、まあ、そういうことです。

(2013、2、6)

2013年2月 8日 11:16 | コメント (0)

新・ことば事情

4975「異臭と悪臭」

 

2013年1月16日、ANAの「ボーイング787」の機内で"異臭"がして煙が出たため、高松空港に緊急着陸した事案がありました。その後、電池が、

「熱暴走」

したという報告がされていました。「熱暴走」も聞き慣れない言葉ですが、それよりも、その時に「どっちかな?」と思ったのは、

「『異臭』と『悪臭』の違いは?」

ということでした。

「異臭」は、「変わったにおい」ですね。いつもなら、そこでするはずのない臭い。

一方の「悪臭」は、まさに「臭いにおい」。「悪臭」もまた「異臭」でしょう。

ただ、ごみ処理場(清掃工場)などでは、常にごみの「悪臭」がしていますから、特にそれがいつもと異なっているわけではないので、「ごみの臭い」を「異臭」とは呼ばないでしょう。いつもはごみ処理場にいない人が、そこに行った場合には、その臭いを、「悪臭」であり「異臭」であると感じるかもしれませんが。

「集合論」の「ベン図」で書くと、「異臭」の大きな円(○)の中に「悪臭」の○が含まれるのではないかなと感じました。

(2013、2、6)

2013年2月 7日 22:15 | コメント (0)

新・ことば事情

4974「無間地獄」

 

2月3日に66歳で亡くなった十二代目・市川團十郎さんが、2004年に白血病の治療に入り、そこからの復活会見で語った、治療中の感想の中に、

「無間地獄のようだった」

という言葉がありました。最初この字幕スーパーを、

「無限地獄」

と書いてあったので調べてみたら、正しくは、

「無間地獄」

だったので、あわてて直しました。この感想を、父亡き後、息子の海老蔵さんなども「思い出」として語っていましたが、それらの発音は、

「ムゲンジゴク」

と濁っていました。ところが!この「無間」の読み方、正しくは、

「ムケン」

と濁らないのです。意味は、

「八大地獄の第8。五逆・謗法の大悪を犯した者が、ここに生まれ、間断なく剣樹・刀山・かく湯(とう)(「かく」は金へんに「護」のつくり部分)等の苦しみを受ける、諸地獄中で最も苦しい地獄。阿鼻地獄。無間地獄。阿鼻叫喚地獄。阿鼻大城」(「広辞苑」)

で、そもそも「無間」は、

「梵語Avici (阿鼻)を訳したもの」

だそうです。「阿鼻叫喚」の「阿鼻」は、サンスクリットの「アビ」をそのまま音訳していたのか!

仏教語の世界は奥が深いですねえ。

(2013、2、6)

2013年2月 7日 17:14 | コメント (0)

新・ことば事情

4973「火を『付ける』か?『着ける』か?」

 

俳優の宍戸錠さん(79)の家が火事で全焼しました。宍戸さんは調べに対して、

「誰かが火をつけた」

と話しているそうなんですが、この「つける」は」「付ける」でしょうか?「着ける」でしょうか?『新聞用語集2007年版』を引いてみると、

「火が付く」

とあるので、「付ける」でいいのでしょう。江戸時代の「放火」を表す罪名は

「火付け」

でしたよね、たしか。

しかし、その「火が付く」状態を、

「着火」

とも言います。ここから考えると、

「火が着く」

でもいいのではないか?と。グーグル検索してみると(2月6日)

「火が付く」=  948万0000件

「火が着く」=   85万5000件

「火がつく」= 1950万0000件

「火を付ける」=1590万0000件

「火を着ける」= 106万0000件

「火をつける」= 135万0000件

でした。その中の「ヤフー知恵袋」で、3年ほど前に「困っています!【火は着ける?点ける?】」という質問がありました。まさに今の私だ!

『「火をつける」と書くときは、正解は「点ける」ですか?「着ける」は間違いですか?

着火とも点火とも書きますよね?早急に教えてください!」

これに対する「ベストアンサー」は、

『訓読みは全部当て字なので、いずれでも構わないのです。当て字なので正解などありません。「火を付ける・火を点ける・火を着ける・火を灯ける」全部正しく、全部間違ってもいます。正しさにこだわるなら、「火をつける」が一番正しいでしょう。』

ふーむ、「それを言っちゃあ、おしめーよ」的な「ベストアンサー」ですね。正しいけど・・・。

また、たしかに質問者が言うように「点火」もあるから「火を点ける」という表記もあるか。「聖火」なんかは「火を点ける」としたいところ。グーグル検索してみましょう。

「火が点く」 = 84万8000件

「火を点ける」=244万0000件

とこれもかなり使われていて、「ベストアンサー」さんが言うように、状況に応じてどれを使っても構わないのでしょうね。

ただ「放送(新聞)でどれを使うか」ということになると、いわゆる「用字用語」の観点からは、一般的な「火をつける」は、「付ける」でいいということになるのかな。それか、どの漢字を使うか迷うか、違和感があったら、

「平仮名で『つける』と書く」

のが、一番納得がいくということになりますね。

 

 

(追記)

なんと!「平成ことば事情3498」で「火を点ける?着ける?点ける?」というタイトルで同じ問題について考えていました!2009年の1月27日に書いているので、4年前・・・4年たつと忘れるんですよ、皆さん!!

(2013、2、25)

 

 

(2013、2、6)

2013年2月 7日 11:45 | コメント (0)

新・ことば事情

4972「過去問」

 

私が学生時代・・・30年以上前にはなかったが今は学生(受験生)たちが普通に使っている言葉の一つに、

「過去問」

があります。「カコモン」と読みます。意味は、

「大学(高校・中学・小学校)受験で、過去に出題された問題」

と私は理解しています。この言葉は、国語辞典に採録されているのでしょうか?

調べてみると、『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には載っていませんでしたが、『広辞苑』には載っていました。

「過去に出題された試験問題」

また、『三省堂国語辞典』には「俗語」として、『広辞苑』と全く一字も違わない(まったく同じ)説明が載っていました。『新選国語辞典』にも、やはり「俗語」として載っていました。

「以前に出題された入学や資格の試験問題。」

なるほど「入試」だけでなく「資格試験」でも「過去問」は使われているということですね。

さらに、米川明彦先生編『日本俗語大辞典』にも載っていました。

「過去の試験問題。(用例)『現代用語の基礎知識2003年版』より「過去問(かこもん)=過去の入試問題、資格試験、定期試験などの問題のこと」

ということで、「定期試験」も含まれるのですね。そして、すでに2003年(もしくはそれが売り出された2002年)には、使われるようになっていたということですね。

また、アクセントに関してですが、関西では「カ/コ\モン」と「中高アクセント」で呼ばれますが、おそらく共通語では「カ/コモン」と「平板アクセント」になるのでしょう。なんか、「ポ/ケモン」みたいだな。余談になりますが、関西で「ポケモン」は、

「ポケモ/ン」

最後の「ン」だけが上がるアクセントです。

(2013、2、6)

2013年2月 6日 22:44 | コメント (0)

新・ことば事情

4971「1021」

大阪・京橋の会社に出社する途中、向こうからやってきた若い女性に声を掛けられました!

「すいません、このへんで『1021』っていうタワーをご存じですか?」

「『1021』?タワー?・・・いやあー、聞いたことがありませんね」

「そうですか。すみませんでした」

京橋に、そんな「番地」みたいなビルが最近できたんだろうか?聞いたことないなあ。最近、昼飯も外には出ずに会社の食堂で済ませてるし。食堂にさえ行けない日もあるし・・などと考えながら、30メートルほど歩いて、

「あ!」

と思い当りました。質問をしてきた彼女が捜しているビルは「1021」ではなく、

 

「ツイン21」

 

だったのではないか?と。「ツイン21」なら、最近ではなくもう25年以上前から大阪ビジネスパークにそびえ立っています。

「セン・ニジューイチ」

「ツイン・ニジューイチ」

もしかしたら、このビルの事を文字で伝えられたのではなく、電話か何かの「音声」だけで聴いたので、「ツイン」が「セン」に聞こえたのかもしれません。そして、もしかしたら・・・彼女は「ツイン」と言ったつもりが私の耳には「セン」としか聞こえなかった可能性も否定できません。もう少し考えてあげればよかったかなと、思いました。でも出社時間も迫っていたしね。

(2013、2、5)

2013年2月 6日 18:11 | コメント (0)

新・読書日記 2013_025

2013読書日記025『ていねいなのに伝わらない「話せばわかる」症候群』(北側辰夫・平田オリザ、日経ビジネス人文庫:2013、1、7)

 

同じ文化、同じ風土の中に住んでいて、文化的に単一だから「話せばわかる」、あるいは「話さなくてもわかる」だが、前提となる文化が違うと、話してもわからない。"国際化"とはそういうこと。相手の文化を理解して、それはそれとして受け入れるか受け流す。それがないと、話は伝わらない。世代間でも同じ。そんな話を、フィンランドでの経験がある北川達夫さんと、劇作家の平田オリザさんが対談で。でもこの対談でさえ、それぞれの言葉が、それぞれ一方的に述べられているような気がしてしまった・・・。


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(2013、2、5)

2013年2月 6日 17:27 | コメント (0)

新・ことば事情

4970「斎場は火葬場か?」

 

1月22日、映画監督の大島渚さんの告別式の模様を「ミヤネ屋」でお伝えしました。その際に「告別式の会場」のことを、リポーターが、

「斎場」

と言っていたことに対して、コメンテーターの松尾貴史さんがCM中に、

「『斎場』というのは『火葬場』をイメージするのでふさわしくない。『式場』『会場』と言うべきではないか?」

と指摘を受けたと、スタッフが伝えてきました。たしかに松尾さんがおっしゃる様に「斎場」という言葉には「火葬場」のイメージがあります。

一応辞書で「斎場」を引いてみました。『広辞苑』では、

「斎場」

  祭りを行う清浄な場所

②葬儀をする場所。(例)青山斎場

③(ア)大嘗祭の時、神饌を調えるために設ける建物。(イ)京都の吉田神社の境内にある吉田神道の神殿の称。

この中の「②葬儀をする場所」というのが、今回の「告別式会場」ですから、間違いとは言えなさそうです。

『精選版日本国語大辞典』にも同じような記述がありました。その4番目に、

「④近代以降、葬儀を行う場所をいう。葬儀場。」

とありました。つまり、もともとは「斎場」というのは、『広辞苑』の①③の意味で、清めて神に祭事(まつりごと)をする場所を指したのが、近代以降に「葬儀場」の意味が加わったと。『精選版日本国語大辞典』の用例は、1909年の『煤煙』という森田草平の作品から採録しています。

ネットで「火葬場、斎場」を検索してみると、全国の多くの自治体で、「葬儀場を併設した火葬場の名前」が、

「○○斎場」

となっているのが目立ちます。そうか、そういうことか!

もともとは「斎場」は「葬儀場」のことを指し、必ずしも「火葬場」を意味することではなかったが、「火葬場」サイドが「火葬」という言葉の持つ重み・呪縛を嫌って、自らを「○○斎場」と名付けるようになった。それが全国に広がったことで、一般の人も「斎場」と聞くと「火葬場」を連想するようになったのではないか?ということではないでしょうか?まだ国語辞典には載っていないみたいですけどね。

(2013、2、4)

2013年2月 6日 10:10 | コメント (0)

新・ことば事情

4969「『インビトロ』と『インビーボ』」

これも薬剤師の77歳の母の話。先日、文字が大きい版の『現代用語の基礎知識2013年版』をあげたのですが、それが使いやすいと。まず字が大きいのがいい。次に、他の辞書に載っていなことちゃんと載っていると。その具体例が、

 

「『インビトロ』と『インビーボ』」

 

だったのというのです。何、それ?と聞くと、

「薬の試験には『生物の体内で行うもの』と、『試験管の中で行うもの』があるんやけど、どっちがどっちの名前か忘れてしまったんでそれを調べようとした」

とのこと。ふーん。で、わかったん?

「生物の体内で行うのが『インビーボ』で、試験管の中で行うのが『インビトロ』やった」

ということでした。この言葉が何語なのか?おそらくラテン語系統と思いますが、「イン」は英語と同じ「~の中」という意味だと思いますが、「ビーボ」は「ラテン語」で「vivo」。あ、ラテン語の「甘い生活」(dolce vita)の「生活」が「vitaだし、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』の「ヰタ」も「生活」=「vitaだし、音楽用語(イタリア語)の「元気よく」は「vivaceだし、ラテン語の「vi―」と言うのは「生きる」という意味がありそうですね。

それにしても『現代用語』が役に立ってよかった!

(2013、2、4)

2013年2月 5日 21:09 | コメント (0)

新・ことば事情

4968「エイコサン、ドコサン」

 

薬剤師の母(77)からの質問。

 

「薬の名前で『エイコサ』とか『ドコサ』とかいうのは、ギリシャ語か何かでC(炭素環)の数を表すんやけど、いくつのことやったか、あんた知ってる?ほら、『ドコサヘキサエン酸』の『ドコサ』よ。」

 

は?いきなり何を質問するの?知るわけないやん!俺は文系や!

「最近、物忘れがひどい」とかなんとか言いながら、質問が高級すぎる!

「じゃあ、調べて」

最近こういった場合に、スマホでグーグルの音声認識機能で検索をしています。

すると・・・すごいですね、すぐに出てきました。

「ドコサン」

というのは、

「Cが22」

のことだそうです。ほかにも、いくつも載っていました。

イコサン=C20

トリコサン=C23

テトラコサン=C24

ヘキサコサン=C26

オクタコサン=C28

トリアコサン=C30

ヘントリアコンタン=C31

ドトリアコンタン=C32

トリトリアコンタン=C33

テトラトリアコンタン=C34

ペンタトリアコンタン=C35

 

こんなところでよろしいでしょうか?

でも、最初に聞かれた「ドコサ」はありましたが「エイコサ」がありません。

しかし、「イコサン」のところをよく見ると、

「エイコサン、アイコサンとも」

と書かれているではありませんか!ということは、「エイコサ」は、

「C20」

ということですね。

「アイコン」

が、元はロシア正教の、

「イコン」

から来ているのと同じように、発音の違いで同じものを指しているのですね。

なんとなく、

「英子さん」「愛子さん」

日本語の女性の名前に聞こえてしまいますが・・・。

高校の化学で習った化学式で、ギリシャ語の数の数え方で「1から10」までが、

「モノ、ディ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ」

というのは覚えていますが、やはりその数え方の延長線上にあるものですね、これは。

(2013、2、4)

2013年2月 5日 17:30 | コメント (0)

新・読書日記 2013_023

『よりぬきサザエさんNO.4』(長谷川町子、朝日新聞出版:2013、1、30)

 

『よりぬきサザエさん』の復刻板(?)が13巻シリーズで出た。1冊1000円。それが、予約段階で大変な人気という記事を読んだ。よく行く本屋さんに出ていたので、1冊買った。なぜか「NO.4」からしか、置いてなかったので、とりあえず第4巻を。どこから読んでも同じでしょうから。

読んだことがある4コマもあったが、今読んで感じるのは、やはり時代を感じさせるネタが多い。家の中にネズミが出たり、ちゃぶ台や、町内のごみ箱。タバコ屋のおばあさんに、旧式の電話。火鉢や、そう「きょう刑務所から出て来たんだ、ゴムヒモ買ってくれ。買ってくれないと帰らないぜ」という「押し売り」だって、昭和の文化遺産ではないか。先日、昭和の大横綱・大鵬が亡くなったが、作者は亡くなってもいまだに生き続ける「サザエさん」も、昭和の文化遺産だ!長谷川町子に国民栄誉賞が出たのなら、王貞治に国民栄誉賞が出たのなら、大鵬幸喜に国民栄誉賞が出て当然だろうと思う。話が横にそれたが。

いま小学生の娘にも、ぜひ読ませておきたいと思う。私が子供のころに『のらくろ』の復刻本を買ってもらって読んだが、あれは後々、勉強になった気がする。旧仮名遣いの読み方も覚えたし。


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(2013、2、2読了)

2013年2月 5日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

4967「市川團十郎か団十郎か」

 

2月3日午後9時59分、十二代目・市川團十郎さんが肺炎のため亡くなりました。66歳でした。成田屋。まだまだお若いのに・・・。

そのニュースを報じたテレビ各社の「團十郎」の表記ですが、旧字体の「團」を使う社と、新字(略字)の「団」を使う社がありました。私が見た限りでは、

(日本テレビ)團十郎

(TBS)  團十郎

(NHK)  團十郎

(テレビ朝日)団十郎

(フジテレビ)團十郎

と、テレビ朝日だけが、簡単な「団」を使った「団十郎」でした。

新聞は、2月4日の朝刊各紙は、

(読売新聞)団十郎

(朝日新聞)団十郎

(毎日新聞)団十郎

(産経新聞)團十郎

(日経新聞)団十郎

と、テレビとは逆で、産経新聞だけが「團」で、残りはみんな簡単な「団」でした。

その後、4日の午後になって、日本テレビ系列では「松竹」から要請があったので、

「團十郎」

に統一することになりました。

実は2年前にもこの話、書いていました。「平成ことば事情4237団十郎か?團十郎か?」です。その時点で「ミヤネ屋」では、難しい方の

「團十郎」

に統一していました。そちらもお読みください。

(2013、2、4)

2013年2月 5日 11:44 | コメント (0)

新・読書日記 2013_022

2013読書日記022『大鵬幸喜追悼号~相撲2月号増刊』(ベースボールマガジン社:2013、1、31)

 

1月19日、第48代横綱で"昭和の大横綱"大鵬さんが亡くなった。

その追悼号。言うまでもなく「巨人・大鵬・卵焼き」に代表される、高度経済成長期の日本、昭和の日本の象徴的なヒーロー・大鵬さん。72歳で永眠。

実は、私が物心ついたころ・・・というか相撲にハマッたのは、柏戸・大鵬よりも少し後、大鵬引退のきっかけとなった、昭和46年夏場所5日目、大鵬の現役最後の土俵となった対戦相手「貴ノ花」の時代。輪島と貴ノ花、そして北の湖、千代の富士につながる時代である。それでも、燦然と輝く「優勝32回」を知らないわけもなく、45連勝ももちろん(後追いで)知っている。王貞治さんと同い年。一つの時代が終わったのだと、感じざるを得ない。記念に購入。大鵬と幕内で対戦した81人の力士全員が載っているのは見もの。大鵬から10勝以上あげているのは柏戸と北葉山の2人だけ。でも、朝潮太郎は4勝4敗の五分、栃錦は1勝0敗、福田山(知らない・・・)は2勝0敗!32回の優勝についても詳しく書かれているし、貴重な資料です。50ページの冊子なのに840円もしたのには驚いたけど。


star4

(2013、2、1読了)

2013年2月 4日 19:30 | コメント (0)

新・ことば事情

4966「巨星逝く」

 

2月3日午後9時59分、歌舞伎役者の市川團十郎さんが、肺炎のため亡くなりました。66歳でした。そのニュースを伝えた2月4日のテレビ朝日のお昼前のニュースを見ていたら、右上のサイドスーパーに、

「巨星逝く」

という文字が出ていて、ちょっと違和感が。「巨星」とくれば、やはり「墜つ」ではないでしょうか?つまり、

「巨星墜つ」

「おつ」と読みますね。

以前、やはり大物の訃報を伝えた「ミヤネ屋」のパネルで、こういうふうに書こうと思ったのでしょうが、なぜか出て来た文字は「堕落」の「堕」で、

「巨星堕つ」

となってしまって、確かに「おつ」と読めますが、それじゃあ、相手を貶めています。恥ずかしかったです。

「墜つ」というのは、もちろん、常用漢字表に読み方(訓読み)が載っていない「表外訓」なので、普通はルビを振るのですが、小さいサイドスーパーにルビを振るのを嫌って、違う表現を模索して「逝く」になったのかもしれません。しかし、これはやはり「成句」として成り立っているものですから、そのまま「巨星墜つ」にした方が良かったと思います。

もしかしたら、谷村新司さんの名曲『昴』で、

「われはゆく さらば昴よ」

という歌詞の「ゆく」と、「昴=星」というような連想があったかも?・・・ないな、これは。

この話を他の人にしたら、

「巨星・・・だったんですかねえ・・?」

と言う人がいました。たしかに「名優」でしたが、「巨星」というには、まだお若かかったような気がしないでもありません・・・。歌舞伎界にとってはとても大切な方だったことは、もちろん、間違いありません。2月4日の日本テレビの『ニュースevery.』では、

「歌舞伎界の大黒柱」

という表現をしていました。合掌。

(2013、2、4)

2013年2月 4日 18:26 | コメント (0)

新・ことば事情

4965「年パス」

 

いつも新しい言葉を見つけると報告してくれる、ママさんアナのMさんから、また新しい言葉が。

 

「もう、書かれたかもしれませんが、『ネンパス』ってご存じですか?」

「いや、知らない。まだ書いてない。それ何?」

「『年間パスポート』のことです。USJとか東京ディズニーリゾートとか水族館とかの。省略して『年パス』って言うみたいです」

「へえー」

 

省略されるということは、結構この言葉が使われているということですね。言葉が使われるということは、それだけ普及している、「年間パスポート商法」が広まっているということですね。

グーグル検索(2月2日)では、

「年パス」=61万件

もありました!もうかなり使われている言葉のようですね。

(2013、2、2)

2013年2月 3日 23:47 | コメント (0)

新・ことば事情

4964「カンガク」

 

小2の娘との会話。

「きょうは宿題、カンプリもカンガクもあってん」

この

 

「カンプリ」

 

は、平成ことば事情4940「かんど、けいど」で書いたように、

 

「漢字プリント」

 

のことだとわかりましたが、

 

「カンガク」

 

って何?


「関西学院大学(関学)」

 

のこと?そんなわけないな。

 

「カンガクって何?」

 

と聞くと、娘は「何を当たり前のことを聞くのか」という顔で、こう答えました。

 

「『漢字学習帳』やんか!」

 

そうですか。なんでも省略するのね、最近の小学校は。

 

(2013、2、2)

2013年2月 3日 15:43 | コメント (0)

新・ことば事情

4963「学級休業」

 

インフルエンザ、流行がピークを迎えているようですが・・・。

去年(2012年)107の夕方のニュースで、大阪市内の小学校で2年生のクラスで嘔吐などの症状の児童が多数出たので、109日・10日の2日間、

「学級休業」

すると発表しました。これを読むNアナウンサーが、

「これは『学級閉鎖』ではないんでしょうか?」

と聞いてきました。ネットで調べてみると、「学級休業」という言葉を使っている自治体は、

大阪府箕面市、大阪市、栃木県、栃木県宇都宮市、大阪府泉佐野市、

大阪府泉南市、大阪府堺市

といったところで、なぜか

「大阪府と栃木県」

では「学級休業」という用語を使っているようです。

文部科学省は「学級閉鎖」(臨時休業)のようです。

グーグル検索では(2月2日)、

「学級閉鎖」=123万0000件

「学級休業」=    3070件

ネット上では圧倒的に「学級閉鎖」が使われていて「学級休業」は、かなり限定的のようです。

(2013、2、2)

2013年2月 2日 23:41 | コメント (0)