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『道浦TIME』

新・ことば事情

4928「耶蘇」

 

呉智英『吉本隆明という「共同幻想」』という本を読んでいたら、吉本隆明は、「イエス」をなぜかフランス語読み

「ジェジュ」

と、また「マタイ伝」を、

「マチウ書」

としている。その理由は、

「フランス語の聖書を読んだから」

と書いてありました。なんじゃ、そりゃ・・・。それを読んでハッ!と思い浮かんだのが、

「耶蘇」

という漢字で書かれている、いかめしい言葉。

「ヤソ」

と読むのですが、これって「耳から入った外国語」もしくは、それが「中国語化」されたものではないか?と思いつきました。つまり、「イエス」と「ヤソ」は同じ音の聞こえ方の違い!「ヘボン」と「ヘップバーン」みたいなものなんですね!漢字で書かれているから全然イメージが湧かなかったけど、「耶蘇=イエス」ならわかりやすい。

『精選版日本国語大辞典』で「耶蘇」を引くと、やはり想像通り、

(一)(ラテン・ポルトガルJesusの近代中国音訳語『耶蘇』を音読みしたもの)イエス・キリストの通称。日本では昭和初期の頃まで用いられた。

(二)(一)から転じて、キリスト教。また、キリスト教の信者。

とありました。イエース!という気持ちになりました。アーメン。

(2013、1、7)

2013年1月 8日 10:57 | コメント (0)