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『道浦TIME』

新・ことば事情

4926「人間」

 

iPS細胞でノーベル賞を受賞した、京都大学の山中教授の言葉を「ミヤネ屋」で紹介した時に、

「人間万事塞翁が馬」

という言葉の「人間」を、

「じんかん」

とナレーターが読んだ(原稿にルビが振ってあった)ところ、

「『にんげん』ではないのか!?」

というお問い合わせを、多数受けました。

たしかに、青島幸男さんの直木賞受賞作、

『人間万事塞翁が丙午』

では、読み方は

「にんげん」

でしたし、一般的には「にんげん」の方が通りが良いですね。

しかし、もともとはこれは、

「じんかん」

と読んだそうです。意味は「ヒューマン」の意味の「にんげん」ではなく、

「世間、世の中」

という意味です。その意味で使うときは「じんかん」。たとえば、

「人間 到る所に青山在り」

という成句の「人間」も「じんかん」と読み「世間、世の中」の意味。

ちなみに「青山」は、「あおやま」ではなく、

「せいざん」

と読み、

「墓所、墓地」

の意味。「青山墓地」は「ボチボチ」になるのかどうかは知りませんが・・・。それと、「紳士服」は関係ありません。いや、ちょっと関係あるかな。というのは、私が読売テレビに入社したころの

「青山」

という名字の社長の名字が、入社試験で受験性(大学生)にこの「人間到る所に青山在り」という文字を見せて、「これを何と読む?」と質問し、受験生が、

「にんげん・・・」

と答えると、

「ブアッカモーン、そんなことも知らんのか!」

と叱っていたのは有名な話です。その青山社長の弟さんが、紳士服の社長さんだったそうですから、まあ、関係なくはないと・・・。あ、関係ないですね。

なんだか懐かしい思い出です。

(2012、12、27)

2013年1月 7日 17:36 | コメント (0)