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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_216

『帰れないヨッパライたちへ~生きるための深層心理学』(きたやまおさむ、NHK出版新書:2012、7、10第1刷・2012、9、25第3刷)

懐かしい名前「きたやまおさむ」。フォーク・クルセイダーズの「帰ってきたヨッパライ」が流行ったのは、私が小学生の頃。あのラッキー・パンチのような大ヒットと、「放送禁止歌」になってしまった「イムジン河」、"有頂天"と"どん底"の落差を経験した中で、北山さんはイギリスに留学し、「精神科医」という道に進んだ。これはある意味での「逃避」だったのかもしれないと、自らも分析している。

やはりストレスの原因があるときに、それと真正面から取り組まずに「逃げる」「避難する」ということは大事だ。その「逃げ場所」「生きる場所」が必要なのだが、「帰る場所」が精神的にも物理的にも「ない」場合に、人は追い詰められる。自らを追い詰めてしまう。そんなとき、たった一言の客観的なアドバイスが、その窮地から救い出してくれることもある。「逃げ場所」は、網野善彦の言う「アジュール」であろう。そして追い詰めるものには「男の嫉妬」もある。これは実は「エディプス・コンプレックス」に起因すると。

タイトルから予想した内容ではなかったので、その点はちょっと残念であったが、興味深い点もところどころに見られた。すでに3刷。売れているようだ。


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(2012、11、21読了)

2012年11月30日 20:08 | コメント (0)