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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_206

『64(ロクヨン)』(横山秀夫、文藝春秋:2012、10、25)

647ページもの分厚い警察小説。一息に、とはいかなかったが、一気に読んだ。

冒頭出てくる警察の「匿名発表」事案は、現在、問題になっていて(マスコミ側で)、今後の状況など注目の出来事なので、一気に引き込まれて読んだ。

14年前の誘拐殺人事件が未解決の中、刑事から広報官になった三上が主人公。県警の中で「刑事畑」と「刑務畑」の対立、そこに本庁のキャリア組も絡む警察内部の抗争、誘拐事件に絡む報道協定の問題、記者クラブとの鬩(せめ)ぎ合いなど、著者は元新聞記者なので、さすがにそのあたりの描き方はお手の物だ。

『クライマーズ・ハイ』など以来、久々に横山秀夫モノを読んだが、ドキドキさせられた。中に出てくる「漆原」とかいう名前は、「漆間」元・警察庁長官を彷彿させた。

なお、タイトルの「64」は(早いうちに出てくるから、ネタばらしすると)、未解決の誘拐殺人事件が起きた「昭和64年」を意味する。たった1週間しかなかった「昭和64年」です。


star4

(2012、11、10読了)

2012年11月12日 17:59 | コメント (0)