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『道浦TIME』

新・ことば事情

4678「倍ぢかく」

 

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(石井好子、河出文庫:20117201版・20117302版)62ページに。

「大通りの肉屋はたしかに品物が上等だったが、値段も角の肉屋の倍ぢかくするので、私はふだんは安い店で買っていたのだった。」

という文章が出てきました。この本の単行本が出たのは1963年(昭和38年)。「三丁目の夕日」の時代。東京オリンピックの前。もう50年近く前です。

そのころは、「倍ちかく」ではなく、濁って、

「倍ぢかく」

という言い方があったのか!?

Google検索(410日)では「倍ぢかく」で出てきたのは、

「倍痔核」

という漢字の並び。「痔核」の前の「40倍」とかの言葉がくっついていただけで、本来の意味での「倍ぢかく」は見当たりません。

石井さんだけが使っていた言い方なのかどうか、わかりませんが、文字には残っているんですね。

 

(2012、4、10)

2012年4月10日 20:28 | コメント (0)