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『道浦TIME』

新・ことば事情

4604「『新明解第7版』の『本格的』」

 

7年ぶりに改定された『新明解国語辞典・第7版』、ぱらぱらと見ていて目に留まったのは、「本格的」

という言葉。その用例、たしか「第6版」には、

「『新明解国語辞典』は本格的な小型辞書だ」

という自負とも宣伝とも取れる用例が載っていたなあと思い、7版を見ると・・・ない!消えています。「第6版」では、

「本格的な学術論文」「本格的に復旧工事を始める」

という例文も載っていましたが、これはそっくりそのまま「第7版」にも載っています。でも「新明解国語辞典は」・・・の例文は消えている!さらに!「第6版」では、

「本格的なフランス料理を出す店」

という用例が載っていたのですが、「第7版」では、

「本格的な懐石料理を出す店」

と、和風に変化しているではないですか!

これは編集委員の「料理の好み」なのでしょうか?

「フランス料理」を「懐石料理」に変える必要がどこにあったのか?と思ってよおく見てみると・・・あ、そうか、

「字数の問題」

だな。「フランス料理」は6文字、「懐石料理」は4文字。これで「2文字」削減が可能なのですね。道理で、「第7版」の「懐石料理」の用例は、行の一番下のところまで使っています。もし、これを「フランス料理」にしていたら、2文字分、次の行に食い込んでしまうところだったのでしょう。「第6版」の「フランス料理」は、「行の半分ぐらい」で止まっていて空白(余裕)がありましたが。でも別に「懐石料理」じゃなくて、

「中華料理」(もしくは「中国料理」)「台湾料理」「韓国料理」「印度料理」

でも良かったのかな?

というか、「本格的」の用例の数が、一つ減ってもまだ三つもあるというのは多すぎない?

 

(2011、1、29)

2012年2月 5日 18:21 | コメント (0)