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『道浦TIME』

新・読書日記 2011_194

『不祥事』(池井戸潤、講談社文庫:2007、8、10第1刷・2011、9、1第17刷、単行本は実業之日本社2004、8)

 

けさ(11月9日)の朝刊1面に、オリンパスが1000億円を超えると見られる損失穴埋めを隠していた問題が大きく取り上げられているが、これこそ「不祥事」ですよね。なぜ監査機能が働かなかったのだろうか?しかも20年の長きにわたって。不正は隠せば隠すほど「ウソが大きくなる」ということでしょうね。

本書は、銀行が舞台で、その各支店を臨検してまわる調査官の男女コンビの短編連作。痛快、勧善懲悪、カタルシス。おもしろい!でも池井戸作品を読むのはこの2週間ほどでこれが4作目、ちょっと慣れてきた感じも。しかし「こういったテイストの作品を文学とは呼ばない(文学に値しない)」といった、直木賞の選考委員がいたと新聞で読んだが、「えー、何言ってんの?」という感じ。(その委員と私との)「年の差」による感覚の違いかもしれない。気になるのは私より年下の重松清が「こんなことを言うと、おまえはどうなんだといわれそうだが...」「池井戸ワールドの支持者はたくさんいるだろうけど...」と断りつつも、「なんか違う」と、年輩の直木賞選考委員と同じような意見を言ってるようなところ。うーん、あえて言うなら、勧善懲悪、カタルシスが「お手軽すぎる」ということか?これで失敗を織り交ぜると、深みとコクを出るということかな。

 

 


star4

(2011、11、08読了)

2011年11月13日 12:42 | コメント (0)