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『道浦TIME』

新・読書日記 2011_152

『旅人~ある物理学者の回想』(湯川秀樹、角川ソフィア文庫:1960、1、15初版・2011、1、25改版初版・2011、5、3改版再版)

 

日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士が、朝日新聞で2年ほど連載されて、朝日新聞社から単行本で昭和33年(1958)ごろに出て、さらに1年以上経って角川文庫から出たものが、今年、改版されて出た。この本に出会えて、湯川博士と出会えてよかった。うれしかった。

湯川さんが京阪電車に乗って京大に通っていたと感じると、同じ(?)京阪電車に乗って会社に通うのも楽しくなる気がする。

表紙の絵も良い。村尾こう「数字の階段」と題されたもので、天へと続くブロックの階段の側面が、よく見ると「数字」になっているのである。気に入った!

理論物理学への道にどうやって入って行ったのか、もし得意な「数学」の道に入っていたら?なんと、湯川博士は、数学を岡潔に習ったことがあったのだ!こうやって、人と人との人生は、時空上の「点」で交差している。

トビラの略歴を読んでいると、1907年生まれの湯川博士は1939年にはもう京都帝大教授になっている。まだ32歳だ。文化勲章を受章した時(1943年)にはまだ36歳である。若い!そしてノーベル物理学賞受賞は1949年、42歳のときだった・・・早熟の天才、なのか?兎に角スゴイ!1981年、74歳で没。

この本はぜひ、若い人にも読んでほしい。高校から大学2年ぐらいまでに読むといいのではないかな。☆5つ!

 

 


star5

(2011、8、23読了)

2011年8月30日 18:50 | コメント (0)