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『道浦TIME』

新・読書日記 2011_071

『緊急改訂版<原子力事故>自衛マニュアル』(桜井準監修、事故・災害と生活を考える会著、青春出版:2011、4、14)

 

1999年刊の本をベースに、「2011、3、25現在」の情報を加えて「緊急改訂版」として出版された。今、本屋さんの店頭では「原子力コーナー」が作られている。これはそこに並んでいる一冊。この原子力コーナー、玉石混交のように思えるが、需要があるのはたしか。監修者は、理学博士・物理学者・技術評論家。1976年から日本原子力研究所で炉心安全解析に、84年から88年まで原子力発電機構・原子力安全解析所で原子力発電所の安全解析に従事したという。なぜ今回の地震・津波に伴う原発事故を防げなかったのかということに関しては、最初の方に書いてある。一言で言うと、

「冷却装置が稼動しなかったから」

・・・それは分かっています。そして「大きな教訓」として、

「いくら発電機の置き場所を工夫したり、建屋を頑丈にしても、万全には成りえません。重要なのは、トータルのシステムで考えること。ほんの些細な一部が壊れるだけでも、全体が機能しなくなるおそれは十分にあるのです」

と書いているが、その「発電機の置き場所に工夫」もしていなかったから、今回の事故は起きたのではないか?そのあたりはどう考えているのだろうか?

また、著者の「事故・災害と生活を考える会」って、一体誰?これは実名で書いてくれないとちょっとなあ。信用できないな、と読み終えてから改めて思った。

この本は「事故発生時」「退避の時」「避難所での生活」「被曝から身を守る」「事故に備えて」「原子力大国・日本に生きる」の6章からなり、一つ一つの質問に、(ほぼ)見開き2ページでコンパクトに答えが書かれている。希望を言えば「もう少し詳しく書いてあっても・・・」という気はするが。

 

 


star3

(2011、4、28読了)

2011年5月 9日 20:27 | コメント (0)