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『道浦TIME』

新・ことば事情

4329「つべこべ」

ふと疑問が。

「『つべこべ言わずに』の『つべこべ』というのは、一体どういう擬態語なのか?」

つべこべ言わずに、辞書を引きましょう。『精選版日本国語大辞典』です。

「つべこべ」=(多く「と」を伴って用いる)出しゃばってあれこれとしゃべりたてるさまや、不平・理屈・へつらいなどをうるさく言うさまを表わす語。つべつべ。つべらこべら。」

うーん、なんだかすごく「不快」を現す「罵倒語」の一種のようにも思えてきたなあ。「つべらこべら」、いい感じですねえ、「ら」が。「えっちら、おっちら」みたいな。

用例は『浄瑠璃・信濃源氏木曾物語』(1698年ごろ)というから古い。

「姉に向ふてつべこべとあた弁口な異見立て」

とありました。

あ、そうか、もしかしたら「つべこべ」は、

「つべし、こべし」

「し」が脱落したのではないかな。「つべし」を引くと、

「つべし」=(完了の「つ」に推量の「べし」のついたもの)

(1)  あることがまさに実現しそうである、ある事態の完了が当然予想される、などの強い推量を現す。...にちがいない。...てしまいそうだ。つべい。つべしい。

(2)あることが実現可能だという判断を表わす。きっと...できるだろう。たしかに...できそうだ。...てもとさそうだ。つべい。つべしい。

 

どうでしょう、この「つべい」の「い」が落ちたと考えては。「こべし」「こべい」は、それに該当する語は見当たらないけど、語調を合わしたということで。

え?なんです?「つべこべ言うな」?ヘイヘイ・・・・。

あ、それと方言の語尾の「~だ(ん)べ(い)」は、もしかしたら「~だべし」から来ているのかもしれないなと、ふと感じたのでした。

(2011、3、7)

2011年3月13日 10:15 | コメント (0)