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『道浦TIME』

新・読書日記 2010_210

『もぎりよ今夜も有難う』(片桐はいり、キネマ旬報社、2010、8、12)

 

片桐はいりさんと言うと、「ミスタードーナツ」のCMのイメージが深く刻まれているが、それ以上のイメージがなかった。しかし今回この本を読んで、その文才に、そして「映画」と「映画館」をこよなく愛す心根に惚れてしまった・・・と言うと、言い過ぎであろうか。いやいや、これは素晴しい一冊。

「キネ旬」で連載されていたそうだが、エッセイの1篇1篇がギュッと濃縮されている感じがするのは、そのせいか。俳優(女優)という職業柄培われた人間観察の眼で「取材」したものを、分析して熟成させて文章として紡いでいる気がする。

それにしても、片桐さんが女優になる前に、映画館で「もぎり」をしていたとは知らなかった(有名な話みたいですが)。そして、「女優」をして「顔がさす」現在も、時々「もぎり」をやらせてもらっていると・・・変わってるなあ・・・それだけ「映画館」と「映画」が好きなのだろう。

先日、たまたま「くべる」という言葉に関して、

「『ストーブに石炭をくべる』か『風呂に薪をくべる』ぐらいしか使わないから、『石炭ストーブ』や『薪で焚くお風呂』がなくなってきたら、『くべる』という言葉(動詞)も死語になるのかな」

と考えていたのだが、その「くべる」が、この本の中の「巴里の空の下ケムリは流れる」というエッセイで使われていた。

 

『学校時代ストーブにコークスをくべた記憶があるのは、何歳から何歳くらいまでの世代だろうか。』

『日直がバケツでコークスを取りに行き、休み時間に少しずつくべてゆく。』

 

片桐さん、私より年上だと勝手に思っていた(もたいまさこさんと勘違いしていたかも・・)が、実は1963年生まれ、2歳年下・・・というか、同世代であった(学年は1つ下)。


star5

(2010、10、30読了)

2010年11月 6日 12:18 | コメント (0)