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『道浦TIME』

新・ことば事情

4146「『ねぶた』と『ねぷた』」

「青森では『ねぶた』と濁音、弘前では『ねぷた』と半濁音」

ということを知ってから10年以上

「なぜ違うんだろう?」

と、ことあるごとに考えていました。

先日ひらめきました!数年前にもひらめいたような気がするけど。

こういう考えです。

「ねぶた」「ねぷた」の山車を担ぐ人を、

「はねびと」(「はねと」)

と呼びます。この「はねびと」の「と」が訛って「た」(0aの音韻転化)になり

「はねびた」「はねぴた」

そして最初の「は」が脱落して、

「ねびた・ねぴた」

さらに「び」「ぴ」が「ぶ」「び」に訛ってuiへの音韻転化して)、

「ねぶた」「ねぷた」

となったのでは?

「はねぴと」の「ぴ」は「何人(なんびと・なんぴと)たりとも」の「ぴ」と「び」の関係にも通じるのでは?

また、「ねぷた」という半濁音は、「アイヌの言葉」が由来ではないだろうか?とも考えました。

 

そして今日、古いスクラップを整理していたら、2008年8月13日の日経夕刊のコラム「あすへの話題」作家の長部日出雄さんが書いた、「『ネプタ』考」というのが出てきました。それによると、長部さんが旧制弘前高校時代に国語を学んだ鳴海助一先生が独力で完成させたという、方言辞典にして百科辞典『津軽のことば』(正続20巻)で「ネプタ」を引くと、青森と弘前は、それぞれの土地での呼び名の違いを、お互いに一歩も譲らない「ジョッパリ(強情っぱり)」気質だと紹介。さらに、祭事の源流について、

「真夏の日中に襲ってくる睡魔を追い払うためネムノキの枝を水に流す・・・全国各地の『ネムリナガシ』に通じていて、そのネムノキを、土地によってネブタノキ、またはネプタノキと呼んだ。したがってどちらが正しいというものではないので、もし聞かれたら『この土地では「ネプタ」と呼んでいます』と答えて、それで済む話ではなかろうか・・・。」

と説明しているそうです。「ネムノキ」が「ネブタノキ」「ネプタノキ」かあ。確かに「ねむい」「ねむたい」ことを大阪でも、

「ねぶい」「ねぶたい」

濁って言ったりします。でも半濁音で、

「ねぷい」「ねぷたい」

とは言わないので、100%納得という気はしません。やっぱり「アイヌ語起源」じゃあないかなあ。なんて考えている間に、今年も「ねぶた(ねぷた)祭」、終わってしまいました。

あ、そうだ。こないだ放送していたア・カペラで歌うコンクール番組「ハモネプ」(他局ですが)の「ネプ」は、司会のお笑いトリオ(?)「ネプチューン」の「ネプ」でしょうから、関係ないな。「ねぷた」の「ねぷ」が、「海の神・ネプチューン」と関係が・・・あるわけないな。

 

(2010、9、8)

2010年9月10日 13:30 | コメント (2)

コメント

アイヌ語では濁音・半濁音を発音上、区別しないそうです。
アイヌ語話者にとっては「ネブタ」も「ネプタ」も同じ単語としてとらえられるわけですね。
「ねぶた」の起源がアイヌ語かどうかは不明ですが。

投稿者: かくた 日時:2010年09月10日(金) at 19:30

道浦さんこんにちは。地方によって同じものでも読み方違う料理はありますね。ふぐは下関では「ふく」、てっちりは関西の言い方で全国的には「ふぐ鍋」ではないでしょうか。(ちなみに僕はてっちりは一回しか食べたことがありません)地方によって読み方が変わるところは方言同様日本の文化ですね。では失礼します。

投稿者: 小原正裕 日時:2010年09月13日(月) at 19:50