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『道浦TIME』

新・ことば事情

4081「シャンソンと中島みゆき」

 

7月17日、シャンソンの大御所(日本のシャンソン会の草分け)石井好子さんが亡くなりました。87歳でした。お亡くなりになったことは、21日に一般に知られました。お名前はもちろん存じておりましたが、実際に歌ってらっしゃるところなどは拝見したことがなかったように思います。

インタビューでお悔やみのコメントを述べる加藤登紀子さんのお姿も拝見しました。

「シャンソン」って、私なんかは少し縁が遠い感じがしますが、知っている曲といえば『枯葉』とか『シェルブールの雨傘』とか、そんなイメージ。あとは越路吹雪さん『ろくでなし』や『愛の讃歌』、あれ?結構、知ってるな。そのほか加藤さんの『百万本のバラ』なんかは「シャンソン」なんでしょうか?違う?

あらためて「シャンソン」に思いを馳せると、加藤さんも歌われましたが研ナオコさんの歌でヒットした、

『この空を飛べたら』

も、なんだか「シャンソン」ではなかったのか?という気がしてきました。そして同じく研さんのヒット曲、

『あばよ』

「シャンソン」ぽいぞ。そしてこの2曲はともに、

「中島みゆきの作詞作曲」

ですよね。さっそく家で、『この空を飛べたら』が入ったCDアルバムを探しましたが、見当たりません。

「もしかしたら・・・」

LPレコードを探したら・・・ありました!アルバム『おかえりなさい』の中に『この空を飛べたら』が!おそらく何十年ぶりかでレコードに針を落としました。

うーん、いいんじゃないですか。これ、「シャンソン」やで。

「そうだったのか!中島みゆき(C)池上彰」

といった新鮮な驚きが!

桜田淳子さんも歌った『しあわせ芝居』も入っていたので聴いてみましたが、これもちょっと「シャンソン」ぽいです。このアルバム『おかえりなさい』1979(昭和54)年11月発売。当時私は高3で、大学受験直前。ということは、受験勉強をしながら聴いていたのか、私は。同じアルバムに入っている『世迷いごと』も、やはり「シャンソン」ふう。日吉ミミのような感じの曲です・・・って、日吉ミミさんも歌ってました。イメージどおり!

初期の中島みゆきは、もちろん「フォークソング」の分野だったと思うのですが、この時期は「シャンソン」にはまっていたのか?根っこがずっと「シャンソン」だったのか?

ついでに聞いた、やはり桜田淳子さんが歌ってヒットした『追いかけてヨコハマ』も、アルバムに入っていたので聴きました。イントロが中国風。「横浜中華街」を意識したのか?またなぜかシンセ音が「キューン、キューン」と入っていますが、これはあきらかに当時流行った「インベーダーゲーム」の音だと思われます。「YMO(イエロー・マジック・オ-ケストラ)」の流行る前年ぐらいでは?

『声と日本人』(米山文明、平凡社選挙書:1998223という本を読んでいたら、163ページに、「シャンソン」について書かれた部分で、

「シャンソンであるから語りに近い曲が多い」

というくだりがありました。つまり「語りに近い」という部分において「中島みゆきはシャンソン的である」と言えるのではないでしょうか?もちろん全部の曲ではなく、「ごくごく一面だけ」ですが。中島みゆきさんの音楽の多様性というのは、そんな一つの方面だけで捉えられない気がします。ポルトガルの「ファド」なんか、絶対歌えると思います。もう歌っているか?

「石井好子→加藤登紀子→中島みゆき」

という連想で、シャンソンが中島みゆきさんに結びつきました。

(2010、7、25)

2010年7月26日 11:43 | コメント (0)