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『道浦TIME』

新・ことば事情

4006「超合金のアクセント」

531日の読売テレビの夕方の番組『情報ネットten!』で、視聴者の皆さんからのファックスやメールをご紹介するコーナーを担当していた小林杏奈アナウンサー(今月30歳になったばかり!)が、お便りの中にあった、

「超合金」

という言葉を、

「チョ\ー・ゴ/ーキン」

という2語に分けたアクセントで読んだところ、1拍の間合いをおいて、パネリストの皆さんから、

「『チョ/ーゴ\ーキン』やろ」

一斉にツッコミが入りました。たしかに。わたしたち世代・・・つまり、まあ30代後半から40代後半ぐらいまで、50代前半も入るか?ぐらいの世代の男性(=男の子)にとって、「超合金」は、「1語感覚」のコンパウンドしたアクセントで、

「チョ/ーゴ\ーキン」

しかありえない!そしてその「超合金」とは、

「マジンガーZ」

です。それ以外にありえません!と断言。それを2語に分けて、「超・合金」、つまり、

「チョ\ー・ゴ/ーキン」

と読むなんて!なんてモノを知らないんだ!と非難めいた気持ちがフツフツと湧き上がりましたが、ちょっと冷静になって考えてみると、

「彼女の世代(1980年生まれ)の、しかも女性だと、そう読んでしまうのも仕方がないのではないか?」

と思い始めました。だって、マジンガーZの超合金のおもちゃが流行ったのなんて、1970年代の半ばだけでしょ。まあ、そのあと「ガンダム」も超合金だったの?そのあたりになると、全く私は知識がありませんが。とにかく、

「『超合金』は男の子のおもちゃ」

だったのですから、女の子が知らなくても仕方がないかもしれない。でも、わたしたちにとって、「超合金」は、

「超特急(チョ/ートッ\キュー)」

と同じぐらい1語」で、一つの言葉だったのです。

それで辞書を引いたりネット検索してみると、なんと「玩具の超合金」以外に、「本物の超合金」があるようなのです!『広辞苑』によると、

「超合金」=セ氏1000度近くの高温でも耐食性・耐酸性や強度を保つ合金。主にニッケル・コバルト・鉄を主成分とするものをいい、ニッケル基合金、コバルト基合金などと呼ぶ。航空機のエンジンや発電用ガスタービンなどに使用。スーパーアロイ」

そうなのか、飛行機のエンジンは「超合金」だったのか!「アロイ(alloy)」は「合金」です。アロイ、いきま-す!これのアクセントは当然、

「チョ/ーゴ\ーキン」

ですよね!よっしゃあー!・・・何を張り切っているんだか。

 

(2010、5、31)

2010年5月31日 23:44 | コメント (0)

新・ことば事情

4005「クロ現代」

新聞の衛星放送のテレビ欄を見ていたら、おや?と思う言葉が出ていました。それは、

「クロ現代」

という言葉、というか番組名・・・・・あ、そうか、NHKの衛星だし、これは、

「『クローズアップ現代』の省略形か!」

と気付くのに2秒ぐらいかかりました。衛星だし、ちょっと時間差が・・・。

大胆な略仕方しますねえ。「クロ」が「クローズアップ」の省略形だとはちょっと、気付きにくいですよね。

これを見て思ったのは、おそらく他の皆さんもそうだと思いますが、

「『クロ現代』があるのなら『シロ現代』もあるの?」

というもっともな疑問。「クロ」と言えば「シロ」でしょう!で、その「シロ現代」ってぇーのは、

「シローズダウン近代」?

の略かい?おまいさん。

そんなもん、ありまっかいな。

「平成ことば事情2205 クローズアップ現代です」もお読み下さい!

 

(2010、5、31)

2010年5月31日 22:39 | コメント (1)

新・ことば事情

4004『なぜ職場で「喜んで!」はダメなのか?』

なんだか最近ありがちな「(本の)書名=タイトル」のようになってしまいましたが・・・

先日見かけた4コマ漫画の話。新入社員にコピーを頼んだら、新入社員が、

「喜んで!」

と答えたので、頼んだ上司が、

「会社では、その返事はするな!」

と叱り、周りで見ていた人が新入社員をさして、

「学生時代に、居酒屋でバイトしてたらしいよ」

というものがありました。

この漫画では、なぜ新入社員の「喜んで!」は嫌われたのでしょうか?それについて考えてみました。(単に笑っておけば、それで済んだのですが)

(1)「喜んで!」は、居酒屋の店員用語として定着しているから。場が違うと認識されるから。マニュアル敬語だと思われたから。

(2)「喜んで!」のあとが省略されているのが、軽い感じ。丁寧さが無い。 

(3)「喜んで!」と言ってるのに、表情が喜んでいない。言葉が単なる合図!・記号・あいさつの呪文になってしまっている。

(4)「喜んで!」は、自分個人の自発的な気持ちを言っているはずの言葉なのに、みんなが画一的に発することで、あきらかに「言わされている感」があり、自発的な気持ちの表明に思われない。つまり「本当は無理やり言わされているだけで、喜んでいないのではないか?」と裏読みされるような言葉になりさがってしまった。共産主義のスローガンのよう?オーウェルの『1984』の「ニュースピーク(New speak)」のように感じられるからではないか?

というようなことを考えました。(「ニュースピーク」に関しては、「平成ことば事情457ニュースピーク」をお読み下さい。)

とにかく、そんなことを感じさせる「ファミコン敬語」(NHK放送文化研究所の塩田雄大さんが、ファミリー・レストランやコンビニのアルバイト店員が使う「マニュアル敬語」を、こう名付けた)に対する反応でした。

(2010、5、27)

2010年5月31日 18:38 | コメント (0)

新・ことば事情

4003「保活」

以前「妊活」(平成ことば事情3926)という新しい言葉を教えてくれた『ミヤネ屋』の森若アナウンサーが、「義理の姉から仕入れた情報です!」とさっき教えてくれた言葉は、

「保活」

です。「ホカツ」と読むそうです。お察しのとおり、

「保育所探しの活動」

なんだそうです。

「ちょっと前の『AERA』にも載っていたみたいです」

とのこと。調べてみると、20103月8日号(あの浅田真央ちゃんのフィギュアの写真が印象的だった表紙の号)でした。「『保活』に『勝った人』『負けた人』」という特集です。

もう、最近は「就職活動→就活」以来、何でもかんでも「活」を付けて「婚活」とか「妊活」とか、流行ってますなあ。

Google検索(526日)では、

「保活」=60900

もありました!最近では2010430日に朝日新聞で、

「保活の時代――待機だけでも契約金」

という記事を福井悠介記者が書いています。

ホントになかなか保育所、入れないんです。少子化をなくそうとして、子どもを産んでも、子どもを預けられないんじゃ、(一緒に住む親がいないような都会などでは)働くお母さんが増えるわけもなく、「じゃあ、子どもはやっぱり持てない」となってしまう。

私も、子どもを保育所に入れるときには、市役所の保育課と闘いました保育所の申し込みの締め切りが11月末なんですが、うちの子の誕生予定は年が明けた1月。しょうがないので、「誕生予定日」を書いて、名前も「仮」で書いて申込書を持っていったら、

「生まれてから来てください」

と言われたので、

「でも、締め切りは11月でしょ、誕生予定は1月なんですよ。生まれてから持ってきても受け付けてくれるんですか?」

「締め切りは11月ですから、受け付けられません」

「じゃあ、受け取ってくださいよ」

「それはできません」

「あのね、じゃあ4月から11月に生まれた子には申し込みの権利があって、12月から3月に生まれる子は申し込みの権利がない、ということですよね。これは日本国憲法が保障している『法の下の平等』に反するのではないですか?保育課長も市長も、憲法違反の運用をしている事実を認知した上、放置してるんですか?」

「いままで、そういうことを言われたことがないので・・・」

「みんなおかしいと思っても文句を言うと面倒くさいので、言わないだけどおかしいと思っているんですよ。そういうところにまで気を配って配慮するというのが市民サービスではないのですか?市の職員はそういう意識の教育はされてないのですね?それは、していない上司の責任ですね。すぐに責任者を呼んでください!」

以下略。

その上司の課長は20分で支所から戻ってきました。やればできるじゃん。

でも結局、やる気がないんです。

「言われたら、言われた時だけやるが、言われないとやらない」

どうも市役所にはそういう気質があるんではないか?と感じざるを得ない対応でした。(すべての市役所がそうだとは言いません。よそは知りませんから。)

話し合いで、課長からは、

「おっしゃるように、確かに12月から3月生まれのお子さんへの配慮が足りなかったと思います。その人たちへの保育所入所枠について、考慮いたします」

という回答を引き出しました。

闘わないと得られないんです、皆さん。闘う前にあきらめないことです。

市役所職員、公務員は全体への奉仕者なんです。その基本の姿勢を思い出させるためには、一つ一つの闘いを避けずに進むことです。「保活」もそういう面を持ってほしいと思います。私だけがやっても、喉元過ぎれば・・ですから、直面している皆さんが「闘う」こと、それが継続すれば、状況は打開されると思います。逃げるな!

おお、思い出したら体が熱くなってきた!!

 

(2010、5、26)

2010年5月28日 14:30 | コメント (2)

新・読書日記 2010_101

『北朝鮮難民』(石丸次郎、講談社現代新書:2002、8、20、)

 

読売テレビの『たかじんのそこまで言って委員会』で「これは見るべきだ!」と勝谷誠彦さんが言っていたので、「見たい!」と思い、ゴールデンウイークに見に行った映画『クロッシング』。大阪ミナミの「ビッグ・ステップ」の中の映画館。1220からの上映直前に着いたら、なんとその回の上映チケットはもう売り切れ。その次の回1420も売り切れ。仕方がないので、その次の1620の回のチケットを購入して、4時間、時間を潰すために中之島の「ルノアール展」を見に行き、そのあと「ほたる街」のバーで、ピッツアとグラスワイン(赤)を昼間から戴いて映画館に戻ると、ちょうど上映10分前。客席数が120席ぐらいしかない狭さというのが一番の原因だと思いますが、超満員です。在日の方も多いように見受けました。子どもからおばあさんまで、一家を挙げて見に来ている人たちも。

映画は、思っていたほど、どぎついものではなく、ごく普通の生活をしようとしているのに出来ない中で、妻の命を救うために脱北して薬を買って帰ろうとして、結局、家族離散になって妻も子も死んでしまう、元・有名サッカー選手が主人公。善意の主人公を取り巻く北朝鮮・韓国・中国そしてモンゴルの現状を、冷静に描いているように思えました。あの大連の日本大使館に「脱北者家族」が逃げ込もうとしたシーン、あれからもうそんなに月日が経っているなんて・・と驚きました。

そう言えばこの本、買ったけど読んでなかった・・・と思い出し自宅の本棚を探したら、ありました。2002年、もう8年も前になるのか。著者は・・・おお、『そこまで言って委員会』でゲスト出演していた石丸さんではないか。全部「つながっている」んだね。

 


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(2010、5、23読了)

2010年5月28日 10:07 | コメント (0)

新・読書日記 2010_100

『二大政党制批判論~もう一つのデモクラシーへ』(吉田徹、光文社新書:2009、10、20)

もう2か月前に読んだのですが、なかなか感想を書けなくてそのままになっていました・・・。そうこうするうちに、参議院選挙も近づいてきて・・・。

去年の夏ぐらいでしょうか、民主党が政権交代をする前だったと思いますが、私は「もう政党政治(二大政党)という枠組みは、今の日本では機能しなくなってきているのではないか?」という疑問を持っていました。そんな中で出会ったのがこの本。ここ2030年は、日本は「二大政党制こそ、望ましい政治体制である」として選挙制度改革を行って、ようやく「政権交代」を出来るような二大政党制になってはみたものの、(そもそも「二大政党制」がいけなかったのか、2030年もかかっている間に世の中が変わってしまったのかとにかく)思っていたほど二大政党制が、わたしたち国民に「良い成果」をもたらしてはくれていないなあ・・・というのが、国民の実感ではないでしょうか。

そこに出てきたこの本!サブタイトルは「もうひとつのデモクラシーへ」。おお、なんだか期待を持たせるタサブタイトルではありませんか!

「民主主義」は「ベスト」のものではなく「ベター」であるという意識を、つい忘れがちになるというか、最初から「ベスト」だと思っている人も多いということも、本書を読むと改めてわかる気がする。第3章「二大政党制の誤謬」は読み応えがある。これからの日本に必要な政党政治とは何か?そのあたりを考える材料になる一冊。なお、81ページの「敷居値」は、「閾値」の誤植でしょう。

 

 


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(2010、3、21読了)

2010年5月27日 22:51 | コメント (0)

新・読書日記 2010_099

『アメリカから<自由>が消える』(堤未果、扶桑社新書:2010、4、1)

『ルポ貧困大国アメリカ』の著者。『ルポ貧困大国アメリカ』の「2」は、買ったけどまだ読んでいない。その前にこっちを読んじゃった。あんまり字が詰まってないのに、会話の使い方のせいか、なんだか読みにくく、なかなか読み進まなかった。

「扶桑社」からこんな本が出てるのは不思議。「反米的」なところが共通?でも目指す方向・ベクトルは"真逆"(全くさかさま)だと思うけど。

私は1998年以来、アメリカ本土には行ってないから分からないけど、「9・11」後のアメリカ政府が、こんなに「自由」を奪い続けているとは知らなかった。それが、「オバマ政権」に変わって「さらに強化」されているとは!現地でないと分からない話が、次々に出てくる。これではアメリカが「リパブリック・オブ・リバティー(Republic  of Liberty)」でなくなってしまう。「リバティー(Liberty)」の反対語は何だろう?(調べたら「captivity」でした。意味は「とらわれの身(状態)、監禁状態(期間)、束縛」。そうか「自由と束縛」ですね。)

ちょっとでも政府の趣旨に反することをしたら、誰でも「テロリスト」と定義付けてしまうのは、なんでもかんでも「非国民」とされた戦時中の日本と同じか?

それにしても著者が、この間亡くなった「ばばこういち」さんの娘だったとは知らなかった。新聞の訃報欄を読んで、初めて知ったのですが。


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(2010、5、22読了)

2010年5月27日 19:50 | コメント (0)

新・読書日記 2010_098

『私のみつけた京都歩き』(羽田美智子、集英社:2009、10、31第1刷・2009、11、17第2刷)

カラー写真もふんだん。1400円と消費税。でも、なんとなく「うーん」と思ってしまうのは、京都のお寺やお店の紹介のように見えて、実は羽田美智子さんの交友関係を自慢しているように見えてしまうからか。純粋に、第三者の立場からの主観的意見が記されているように見えず、書き手も羽田本人だけではなく、ライターさんが構成している感じがありあり。普通の女性向け雑誌はこんな感じなんだろうなあ。パラパラっと雑誌感覚で"見る"にはよい本かも。写真、きれいだし。雑誌感覚でどうぞ。喫茶「ソワレ」のゼリーポンチ、ほんとにきれいでした。食べたくなりました。

ゴアテックスの「雨コート」(99750円)は「雨ゴート」と濁らないんだ。

 


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(2010、5、23読了)

2010年5月26日 19:41 | コメント (3)

新・ことば事情

4002「パワ盛り」

女性用化粧品でまつげに関するもののコマーシャルを見ていたら、

「まつげパワ盛りで」

というセリフが出てきました。人気アイドルグループ(こんな説明、いらない?)「嵐」のマツジュンこと松本潤君が出ているCMです(コーセー)。この中の、

「パワ盛り」

という言葉、もちろんコマーシャル用に作られた言葉なんでしょうけど、初めて耳にしました。Google検索(524)では、

「パワ盛り」=33500

でした。最初のほうに出てくるいくつかの「パワ盛り」を見ると、ほとんど全部このコマーシャルのこと。つまりこの新造語、キャッチコピーとしては成功なんじゃないでしょうか?

この言葉の背景には、女性の髪型などで、

「盛り」「盛る」

という表現が使われていることがあるのでしょう。うまいこと作りましたね。

(2010、5、24)

2010年5月26日 12:56 | コメント (0)

新・ことば事情

4001「種牛のアクセント」

 

宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題のニュースで出てきた、

「種牛」

という言葉のアクセントを、私は先日の「ミヤネ屋」で、迷った挙句、

「タ/ネウシ」

「平板アクセント」で読みましたが、521日の『ズームイン!!SUPERを見ていたら、池上彰さんが、

「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)

5回言い、

「タ/ネウシ」(平板アクセント)

1回だけ言いました。

NHK日本語発音アクセント辞典』に「種牛」のアクセントは載っていないのですが、『新明解国語辞典』でアクセントを見ると、

「タ/ネウシ」(平板アクセント)、「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)

の順で、両方載っていました。

524日夜の日本テレビ『ニュースZERO』の女性アナウンサー松尾英里子さん?鈴江アナじゃない方)は、

「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)

で読んでいました。『ミヤネ屋』の森若アナウンサーも、

「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)

ですねと話していました。

『関西情報ネットten!』の三浦アナウンサーにもトイレでコソッと聞いたところ(別にコソッとトイレで聞く必要はなかったんだけど、たまたまトイレで一緒になったので)、彼は、

「ああ・・・平板の『タ/ネウシ』ですかねえ・・・でもボクは中高の『タ/ネ\ウシ』で読んでいたような気がします。でもほら、馬の場合は、平板で『タ/ネウマ』でしょ?中高の『タ/ネ\ウマ』とは言わないですからねえ・・・ま、馬は『種牡馬(しゅぼば)』と言えば済みますが」

とのことでした。

たしかに「種馬」は「タ/ネウマ」(平板アクセント)しかありませんね。と思ってはみたものの、一応『NHK日本語発音アクセント辞典』を引くと、なんと、

「タ/ネウマ、タ/ネ\ウマ」

2種類、載っているではありませんか!『新明解国語辞典』でも「平板」「中高(2音目にピーク)」の2種類載っていました。うーん、両方あるのか。

「牛」の場合、「~牛」の「~」部分には「肥育された地域名」(松阪、但馬、宮崎など)が入るので、「○○ウシ」の「ウ」の前でアクセントが下がる、下記のような形が一般的で、

「マ/ツサカ\ウシ」

「タ/ジマ\ウシ」

「ミ/ヤザキ\ウシ」

これにつられて「種牛」も、そのアクセントパターンを踏襲して、

「タ/ネ\ウシ」

となる傾向があるのではないかと感じますが、いかがでしょうか?

                    (2010、5、25)

(追記)

526日の「ミヤネ屋」では、大田良平アナウンサーと宮根さん「中高」で、

「タ/ネ\ウシ」

ナレーション担当の萩原アナウンサーは、最初「平板」で、

「タ/ネウシ」

2回目からは「中高」の、

「タ/ネ\ウシ」

でした。

 

 

 

 

(2010、5、25)

2010年5月26日 10:52 | コメント (0)

新・ことば事情

4000「『くびちょう』か?『しゅちょう』か?」

遂に4000回達成です!やったー!!去年の7月に満10年で3652回を達成してから、10か月あまりで350回近く、「11つ」ペースを今年も守っています。「連載3000回を迎えて」で書いて以来、回数は書いてなかったな。その時のページを写しますと、

  1 回   1999年 7月14日

100回   2000年 3月13日

200回   2000年12月 6日

300回   2001年 5月22日

400回   2001年 8月 9日

500回   2001年12月 7日

600回   2002年 3月 4日

700回   2002年 5月18日

800回   2002年 8月27日

900回 2002年10月31日

1000回    2003年 1月17日

1100回  2003年 3月12日

1200回  2003年 5月23日

1300回  2003年 7月26日

1400回  2003年 9月16日

1500回  2003年12月17日

1600回    2004年 2月15日

1700回    2004年 5月 5日

1800回    2004年 6月30日

1900回    2004年 9月15日

2000回  2004年12月 3日

2100回  2005年 3月 3日

2200回  2005年 6月15日

2300回  2005年10月 1日

2400回  2005年12月15日

2500回  2006年 2月22日

2600回  2006711

2700回  2006113

2800回  2007130

2900回  2007614

3000回  2007年9月16

で、

4000回  2010525

この1000回は2年8か月ほどかかりました。その前の1000回達成ペースを見てみると、

1 ~1000回=3年 6か月

10012000回=1年11か月

20013000回=2年 9か月

ですから、20013000回とペースは変わっていませんね。ここ5、6年同じペースで書いていると。大したもんだな、我ながら。他の仕事も増えているのに。

さあ、次は5000回を目指して頑張りますので、よろしくおねがいします!!

さて、本編です!>

 

大阪府の橋下徹知事や東京都の山田宏・杉並区長「地域政党」を設立したことで、このところにわかに注目を浴びている「地方自治体の長」。この「地方自治体の長」をさして、

「首長」

と言いますが、本来これは、

「しゅちょう」

と読むものです。しかし、当の「地方自治体の長」の方々が、

「くびちょう」

と言うことが多く、放送でもどう読むか、問題になりました。しかし正しくは「しゅちょう」であり、「くびちょう」は「首長(しゅちょう)」と「市長(しちょう)」を混同しないための、いわば「業界語」的な呼び名であると。「市立」と「私立」を区別するために「私立」を「わたくしりつ」なんて言い換えたりすることがありますが、あれと同じですね。放送(ニュース)では原則「わたくしりつ」とは読みません。それに倣うと、やはり「首長」は「しゅちょう」です。

これに対して、やはり視聴者や読者の中にも疑問を持ってらっしゃる方がいるようで、430日の読売新聞夕刊の「教えて!」というコラムに寄せられたのは、

「テレビの討番組で、出演者が何度も『くびちょう』と言っていました。手元の辞書には見当たりません。『くみちょう』の聞き間違えでしょうか?」

という質問が。それに答えて校閲部の人が、

「『しゅちょう』で辞書を引いてみてください。『首長=地方公共団体の長』といった項があると思います。『くびちょう』は『首長』のことなのです。」

で始まり、「行政や新聞社内の業界用語」としては「首長」を「くびちょう」と呼ぶことが古くからの習わしになっていることや、発音が似ている「主張」「市長」「首相」などとの混同を避けるために「くびちょう」と呼ぶようになったこと、だから公の席で「業界用語」の「くびちょう」を連発するのは考え物で、それを「組長」と聞き間違えられるなど、もってのほか。会話では、

「(自治体の)トップ」

のようなわかりやすい表現を工夫したい、とまとめています。

でも・・・今度は「トップ」が「ストップ」と聞こえたりして・・・。

(2010、5、25)

2010年5月25日 12:20 | コメント (3)

新・ことば事情

3999「絢香の歌詞の歌い方は」

去年の大晦日の「NHK紅白歌合戦」を最後に、病気治療のため活動を休止した歌手の絢香さん。

年が明けてから(いまごろになって)、改めて彼女の歌の魅力にはまっています。自動車に乗るときは、必ずCDをかけています。

で、彼女の歌は"何が"こう惹きつけるのか?運転しながら考えてみました。その結果考えついたのは、

「発音に日本語じゃない部分がある。英語的。母音の音が違う。」

ということ。英語の部分の発音が英語っぽいかというと、決してそうではないのですが、日本語の部分が英語っぽい。たとえば、

「高い壁」

という言葉を「たかいかべ」ではなく、

「たけいけべ」

と歌っているように聞こえます。「か→け」なんですね。「A」の母音を「E」に近く発音しています。全部じゃないけど。これがカッコイイ。

また、もう一点、日本語の歌詞なのに英語っぽく聞こえる理由は、

「無声化の音が多い」

ということ。母音を大切にする日本語と違って、母音を無声化させて発音すると、とっても英語っぽく聞こえるんですね。雰囲気としては、

「息漏れが多い」

これも、テクニックなのかな。宇多田ヒカルさんも、そういう部分があるんですよね、息を漏らすような歌い方。もっとも彼女の場合は、最初から英語が出来るんだけれども。

音がハッキリ出ていれば音楽的かと言うと、必ずしもそうではないということは、『千の風になって』を歌っているオペラ歌手の人の歌い方を聴いていると、よくわかりますね。あれとは対極的な感じがします。ベルカント唱法的には正しく、オペラはあれで良いのでしょうが、「日本語の歌の歌心」としてはどうなんでしょうね・・・。これは好き嫌いですので、「絶対こうだ」とは言い切れませんが。趣味の問題は、人それぞれですし・・・。

(2010、5、24)

2010年5月25日 12:10 | コメント (0)

新・ことば事情

3998「何年経ったら老舗?2」

 

「平成ことば事情3921」で「何年経ったら老舗?」というのを書きました。その最後に「教えに行っている甲南大学の学生さんに聞いてみようっと!」と書いたのですが、ようやく聞いてみました。回答者23人。質問内容は、

(1)何年経ったら「老舗」と呼んでいいのか?

(2)どういう業種のお店に「老舗」は使えるのか?

2点です。

(1)

100年=8

*明治時代以前の創業=1人

50年以上=5

30年以上=3

*昔からある業種なら50年以上、そういうイメージのない業種は2030年ぐらい=1

20年以上=1

7080年以上=1

*江戸時代からあるもの=1

100年以上もしくは4代以上続いている(3代目で家業を潰すことが多いから)1

 

(2)

*和菓子

*旅館

*和食

*洋食

*駄菓子屋

*おもちゃ屋(天井まで品物を置いてあったり、ゴチャゴチャしていると老舗という感じ。)

*着物

*パン屋

*ラーメン店

*伝統品

*呉服店

*洋菓子店には違和感あり

*うどん店

*高級料理店

*割烹

*百貨店、喫茶店、

 

(自由記述)

     40年ぐらいだと1代で築けてしまう。100年となると2代・3代受け継いでいる

     古き良き雰囲気。先祖代々続いている。伝統がある。昔から親しまれている。

     古くから日本にある食物(醤油など)150年ぐらい。「ミスタードーナツ」は100年経っても「老舗」とは言わない。チェーン店は「老舗」とは言わないのではないか。

     スーパーとか携帯会社が長い間経っても、「老舗」という言葉は似合わない。

     木の建物、懐かしい感じ、和食・和菓子、伝統的な品々、常連さんの存在(お年寄り)

     ファストフード店もだいぶ昔からあったりするが、「老舗」というイメージは浮かびにくい。老舗は「和」のイメージが強い。

     世代を超えてずっとある店。

     携帯電話、ケーキ屋は、「老舗」とは言いにくい。

     木造&引き戸の玄関。

     「老舗のファミレス」に違和感があるのは「カタカナ+漢字」だから。

     「昔ながらの、昔からの、元祖」といったもの。

     和菓子=100年、洋菓子=30年、呉服屋=200年、()服屋=50年、花屋=30年、旅館=100年、ホテル=50年、料亭=100年、レストラン=30年。もともと日本にある業種の方が、年数が長い感じがする。

     ラーメン屋は50年で「老舗」。和菓子屋は江戸時代から。

     家の近くに53年続いている和菓子屋さんがあって「和菓子の老舗」と看板が立っていたので、50年以上。

 

というような結果でした。

総合すると、50年から100年ぐらい、また業種によっても「老舗」と呼ばれる期間は違うというところでしょうか。確かに学生さんが感じているとおりだと思いました。中には、

「日本人は感覚で分かるが、外国人には『老舗』が業種によって違うということは分かりにくい感覚なのではないか?」

という意見もありました。なるほどねー。

(2010、5、24)

2010年5月24日 21:39 | コメント (0)

新・ことば事情

3997「『雨る』は、なぜない?」

 

「ミヤネ屋」で、番組最後に森若アナウンサーが読む「お天気」の原稿は、ウェザーニュースの方が書いてくれます。その「ペラ1」の原稿のチェックをしています。その際にふと、疑問が。

「『晴れる』『曇る』はあるが、なぜ『雨る』はないのか?」

お天気では、

「はれ」「くもり」「あめ」

というのが、まあ基本形ですが、それらは「曇る」「晴れる」という動詞の「名詞形」ですよね。ともに動詞・連用形の名詞化。しかし「雨」は「雨る」という動詞の連用形の名詞かではありません。もしかしたら昔は「雨る」という動詞があった?それとも最初から「雨」は違う成り立ちなの?「はれ」「くもり」と「あめ」の違いは?について考えました。

「はれ」「くもり」はともに、「空の状態」を表しているが、「あめ」は「雨粒が落ちてくる・降ってくる」ことをさすところが違う。「雨」と同じように空から降ってくるものの場合、

「雪る」「雹(ひょう)る」「霙(みぞれ)る」

とも言いませんね。だからかな。

降ってくる「もの」には最初から名前が付いていて、その「もの」の名前が「お天気の名前」に使われたから、それに「る」をつけても動詞にはならない。最初から動詞ではないんだから、というのが私の推測です。いかがでしょうか?

(2010、5、24)

2010年5月24日 16:56 | コメント (0)

新・ことば事情

3971「『パチる』と『パクる』の違いは?」

先日、家族の会話の中で出てきた言葉の疑問に、

「『パチる』と『パクる』はどう違うのか?』

というのがあります。・・・って、どんな家族の会話やねん!?

それはさておき、思うに「パクる」は、「(アイデアを含めて)盗むこと」で、「パチる」は「物を掠(かす)め取ること」かな?

こういうときは『日本俗語大辞典』(米川明彦編)でしょう。

 

*「ぱちる」(動)=万引きする。盗む。若者語。【類義語】ぱくる・へちる()『現代用語の基礎知識1992年版』若者用語「ぱちる 取ってくる。万引きする。へくるともいう。」

*「ぱくる」(動)=(1)(「縛」から)警察が捕まえる。盗人のことば。<略>(2)かっさらう。盗む。不良のことば<類義語>ぱちる・へちる。(例)「社会観察万年筆」二八(1914)<松崎天民>「盗むことを『パクル』」・『どくとるマンボウ青春記』初めに空腹ありき(1968)<北杜夫>「盗むことを私たちは『パクる』と言った。『包む(パッケン)』からきた言葉らしいが、こういう高校生用語、あるいは松高用語はいくらでもある」・『ミネストローネに乾杯!』(1988)<花井愛子>「すぐ一谷さんのセリフをパクる」・『現代用語の基礎知識1994年版』若者用語「ちょっぱる/ぎる/じる/がめる/ぱくる/きめる かっぱらい。かってにいただく。盗む。万引きする」

名詞形の「ぱくり」も載っていました。

*「ぱくり」()=かっぱらい。盗み。不良のことば。()『東京語辞典』(1917)<小峰大羽ね>「ぱくり 『かツぱらひ』に同じ、『――る』『――書生』不良学生が無線持ち逃げするに起因す」・『新らしい言葉の字引』訂正増補(1919)<服部嘉香・植原路郎>「ぱくり 物をパックリとごまかす処から此の称が出たもの?不良少年・不良少女の常習とする処で、物をさらってゆくこと」・『半自叙伝』(192829)<菊池寛>「東京の不良少年が、パクリをするとき」・『テレビ局の人びと』(1996)<笠原唯央>「この番組にかぎらず同様な"パクリ"まがいの手口が各局で堂々と行われているわけです。」

いやあ、えらい用例が最後に・・・・。 

「ぱちる」の方が「ぱくる」より「ショボイ」感じがするのは、「ち」と「く」の個人的な語感の違いでしょうか。

意味の上での使い分けが出来ているとは思えませんが、『日本俗語大辞典』の用例から見ると、「ぱくる」の方が古い言葉(1914年の用例あり)で、「ぱちる」は新しい言葉(1992年の用例)のように思えます。また、「ぱちる」には、「パチモン」という言葉のイメージもついているのかもしれません。「パチモン」『大阪ことば事典』(牧村史陽)によると、

「パチモン」=はんぱもの。三流品」

とのことです。

(2010、5、21)

2010年5月24日 16:52 | コメント (0)

新・ことば事情

3996「ppm」

「情報ライブミヤネ屋」の「ヨミ斬りタイムズ」のコーナーで、「和歌山県太地町の町民の髪の毛の水銀含有量の検査をしていたら平均の4倍の水銀が見つかった」という記事の下読みをしていた入社3年目の山本隆弥アナウンサーが、

「道浦さん、この水銀の単位の『ppm』の読み方は、『パーツ・パー・ミリオン』でいいんですよね?」

と聞くので、

「ええ!『ppm』は『ピー・ピー・エム』だろう!そんな細かい読み方、聞いたことがないよ!」

「でも、辞書には『parts per million』と書いてありますが・・・」

「正式にはそうかもしれないけど、普通はそのまま『ピー・ピー・エム』だよ!」

結局このネタは放送されませんでしたが・・・。

私ぐらいの世代が子どもの頃は、毎日「公害」のニュースが流れていて、その中で毎日のように「ppm」が出てきましたが、若いスタッフに聞くと誰も「ppm」を知りませんでした。

一般的には「公害」は1970年代の象徴的なもの、1980年代生まれの山本アナウンサーが知らないのも無理はないかもしれません。こういう時代は、いい時代なのかもしれませんね・・・。

しかし、つい先日も「アスベスト」被害の裁判で判決が出たように、実は「公害」は終わっていない。また、新たな公害が、いつ起きるか分からない。そのためには過去の「公害」についても学ぶ必要があるのではないか。特に「伝え手」であるマスコミに身を置くものとしては。

だから「ppm(ピーピーエム)」、覚えといてください。微量の含有量を表すときの単位で、

100万分の1」が「1ppm」

です。「ミリオン(100万)でパー(割る)」という意味です。

ちなみに「%(パーセント)」100分の1」=「セント(100)でパー(割る)」ですから「パーセント」。(「ppm」はその「1万分の1」ということですね。)「%」は「100」を図形化したもの。

そして1000分の1」の単位は、「‰(パーミル)」「ミル」が「1000ですから1000(ミル)で割る(パー)」から「パーミリオン」。「1000」を図形化した単位記号です。たまに出てきます。

 

(2010、5、21)

2010年5月21日 16:21 | コメント (0)

新・ことば事情

3995「街角と町角」

 

まあ、どう書いても間違いではないとは思うのですが、時々悩むのが、

「町と街」

この「書き分け」です。イメージの違いで言うと、「町」は英語で言うと「town(タウン)」で小ぢんまりとした感じ、どっちかと言うと「田舎の町」。一方「街」は「都会」で、「city(シティー)」というイメージがあります。そこで問題は、

「まちかど」

です。これは「街角」とは書いても「町角」とは書かないような気がします。なぜでしょうか?え?「町角」も書く?そうかなあ。そうそうGoogle検索してみましょう。(520日)

「街角」=5000000

「町角」= 83800

ほら、出現頻度が「ふたケタ」違いますよ。

また、「まちづくり」の場合は「街づくり」「町づくり」、両方「あり」だと思いますが、意味合いが違うような気がします。

「街づくり」は「街区」など「都市、景観(美観)」作りといった「ハード面」を指すのに対して、「町づくり」は「コミュニティー」づくりのような「ソフト面」を指すのではないでしょうか?Google検索は、

「街づくり」=1200000

「町づくり」= 229000

私は一応、そのようなイメージでもって「使い分け」をすると思います。

(2010、5、20)

2010年5月21日 13:20 | コメント (0)

新・ことば事情

3994「吹雪と吹雪く」

 

(なんと20081217にほぼ書き終えて、そのままになっていて、すっかり季節が合わなくなってしまいましたが・・・。)

アナウンサー兼報道記者の野村明大君のブログ「野村明大の徒然なる道」を読んでいたら、こんなことが書かれていました。

『「吹雪という単語がありますよねぇ。「ふぶき」と読みます。吹雪が起こることを「ふぶく」といいます。「吹雪く」と書きます。と、ここで、僕は、いつも、疑問に感じているのですが。「ふぶき」と「ふぶく」どちらの単語が、先に出来たのか?と。

「吹く雪」=「ふくゆき」=「ふくゅき」=「ふぶき」

と、徐々に変遷していったとすれば、まあ、それは、わかります。

そうなると、「ふぶき」の方が、「ふぶく」よりも、先に「単語」として生まれたと考えることができそうです。そうなると、「ふぶく」というコトバは、「ふぶき」を動詞形のように使う中で生まれた可能性が高そうです。てことは、

「トラブル」転じて「トラブる」とか、「パニック」転じて「パニクる」とか、そういう言葉の生まれ方と似たような生まれ方ってことなんでしょうか????』

そこで私も考えてみました。

 

私は「吹雪」が先で「吹雪く」が後という「明大案」に賛成です。

いま、『漢和辞典に訊け!』(円満字二郎、ちくま新書)という本を読んでいるのですが、その中に、

「力む」

という言葉は、一番古く日本に伝わった漢字の音である「呉音」の発音である「リキ」(それより後に伝わった「漢音」は「リョク」に「む」が付いてできた言葉だとありますから、

「トラブる」「事故る」「サボる(サボタージュ(=ロシア語)が語源)」

などと同じ語構成なのではないでしょうか?

 

で、ここで辞書を引きます。『精選版日本国語大辞典』(=電子辞書)

「ふぶく」の用例は、11世紀はじめの「山部赤人集」にある、

「ふぶきつつ ゆきはふりつつ しかすがに かすみたなびく はるはきぬらし」

という短歌を用例としてあげています。

そして「ふぶき」を引くと、こう書かれていました。

「動詞「ふぶく(吹雪)」の連用形の名詞化」

ありゃ?動詞が先かあ!

まあ、普通は動詞が先かなあ。

(動詞) (名詞)

「歩く」→「歩き」

「読む」→「読み」

「走る」→「走り」

「眠る」→「眠り」

「張る」→「張り」

などなど、連用形の名詞化はありますね。

『広辞苑』も引いてみると、

「ふぶき」(古くは清音)

とあり、明大君が言うように、

「ふふき」←「ふくゆき」

という形のようです。

ちなみに「ふぶく」も「古くは清音」と書いてありました。

こんなところで、いかがでしょうか?

 

(2008、12、17&2010、5、20)

2010年5月20日 12:26 | コメント (1)

新・ことば事情

3993「空砲と空包」

5月6日の「ミヤネ屋」で、沖縄・海兵隊の訓練の様子の映像を放送しました。実はこれ、「ミヤネ屋」が独自取材したものではなく、2007年に同じ読売テレビの番組『ウェーク・アップぷらす』が取材・放送した素材をお借りしたものでした。その中のテロップで、訓練中の「銃弾」に関して、

「銃は空砲」

というものがありました。これに関して、読売新聞校閲部出身でテロップ・チェック係として報道局に来ていただいているOさんから、OA前に、

「『空砲』ではなく、『空包』ではないか?」

とご指摘を頂きました。そこであらためて『新聞用語集2007年版』で確認したところ、

「空砲」=実弾をこめていない銃砲、またはその射撃

「空包」=「実包(実弾)」の対語。音だけ出る演習弾。

となっていました。うーん、演習で使う「弾」の話だし、これはOさんのおっしゃるとおりだなと判断し、「ミヤネ屋」では、

「弾は空包」

というテロップをスーパーしました。

そのようにテロップを直そうとしたところ、編集にあたっていたディレクターは、

「『ウェーク』さんにお借りした素材だし、勝手に変えるのは・・・・」

と渋ったのですが、

「それとこれとは別。3年前の時点で間違っていたことを『借りた素材だから』ということで、間違いに気付きながら直さなければ、こちらの責任になる」

と指摘して、直しました。

スーパー1枚を取ってみても、なかなかいろいろと難しい問題もあるものです・・・。

(2010、5、19)

2010年5月19日 17:46 | コメント (1)

新・ことば事情

3992「だだ漏れのだだ」

事業仕分けの生中継で、

「だだ漏れ」

という呼び名で注目を集めた、そらの(佐藤綾香)さんという人が、513日の朝日新聞朝刊に載っていました。この言葉の「だだ」に注目!「だだ」って何?「ダダ」なら、ウルトラマンで出てきた怪獣(怪人?)でいたけど。「ダダイズム」と関係あるの?「だだ茶豆」は関係ある?「だだ」って擬態語?オノマトペ?

いろいろな疑問を抱えつつ、とりあえず辞書を引く。『精選版日本国語大辞典』。はい、電子辞書です。

「だだ」(接頭)=名詞・動詞・形容詞などの語の上に付けて用いる。めちゃくちゃであること、めったやたらに一途であること、程度の並外れてはなはだしいことの意を添える。「だだがらい」「だだくろい」などと用いる。

ホホウ、用例が「だだ辛い」と「だだ黒い」か。「だだ漏れ」はありませんね。そうそう、「だだ下がり」も聞いたことがあるな・・・あ、聞いたことがあるどころか「ダダ下がり」のタイトルで、「平成ことば事情208」で書いてるぞ、おれ。もうほとんど忘れてます。

その時は、「ニューヨークの株価が下がったことを受けて、20世紀も押し迫ったこの時期に来て、東京の株価も下がってきた状況を、20001222日(金)の『あさイチ!』で解説員の辛坊さんが、

「東京市場の株価も、ダダ下がりです」

と表現したことについて、この「ダダ下がり」の「ダダ」を調べています。えらいなあ、おれ。でも10年経っても同じところをグルグル、グルグルしている感も。そのときは「大阪弁」だと思って、『大阪ことば事典』(牧村史陽)を引いています。

[ダダ](接頭)名詞や形容詞に付いて、その意を強める。

(例)ダダがらい(やたらに辛い)。ダダくだり(ひどい下痢)。ダダもれ(はげしい水漏れ)。ダダひろい(むやみに広い)

おお、ちゃんと「だだ漏れ」が載っているではないですか!

たしかに響きは「大阪弁」の香りを感じますねえ。

強調語として「だだ」、流行らないかなあ。

 

(2010、5、14)

2010年5月19日 12:35 | コメント (1)

新・ことば事情

3991「よってみる?京阪モール約○メートル」

 

毎日通る京阪電車の「京橋駅構内」に四角い柱の京阪モールの広告看板。

最近そこに、ちょっと気になる広告が。それは、

「よってみる?京阪モール」

という大きなシンプルな文字があって、その下に少し小さく、「→」とともに、

「→約30メートル」

と書かれているのです。同じ柱の、横の側面にも同じ広告があるのですが、距離が変わっていて、

「→約29メートル」

のように書いてあります。歩きながら見ていると次の柱には、

「→約16メートル」

そしてその次はついに、

「→約5メートル」

ついつい、つられて入ってしまいそうです。いかん、いかん、会社に行かなくちゃ、遅刻だ!

そして今度は会社の帰り、京都方面のプラットホームにも看板が!そこには、

「よってみる?京阪モール  →約72メートル」

うーん、ちょっと遠い感じ。やはり30、29・・・・16・・・5メートルだと、フラフラッと入ってしまいそうけど。

おお、この広告で思い出したのは、昔、JR東京駅の八重洲口にあった、タクシー乗り場までの距離を示した看板です。いつ書いたっけ・・・・

おお、「平成ことば事情243の左98米、右64米」だ。2001年の3月かあ、9年前ですね。その後、看板は2004年には撤去されてしまったんですが・・・京阪のこの広告看板は、もう1か月以上あります。

 

(2010、5、17)

2010年5月18日 23:28 | コメント (1)

新・ことば事情

3990「主婦っぷり」

 

会社帰りにふらっと寄った、近くの書店の棚の上のほうに一枚の色紙が置いてありました。誰のものか、上の棚が高すぎて、また角度が悪く、名前が隠れてしまって読み取れなかったのですが、そこに書かれた文句は読めました。そこには、

「新婚一年、私の主婦っぷりをお読みください」

と書かれていたのです!出た!

「主婦っぷり!」

出たぞ「っぷり」アイヌ語のようですね、「アンヌップリ」とか。それにしても初めて見たな「主婦っぷり」。「ぷり」という言葉は、ちょっとかわいい感じがするから使うのかな?

Google検索では、

「主婦っぷり」=5790件

「主婦っぷり」を披露している人が数千人はいる、ということでしょうか。

 

(追記)

719日の読売新聞朝刊に、

「名古屋場所 低調ターン」

という見出しの記事が載っています。賭博問題、黒い疑惑の続出でファンが嫌気をさしたと。その記事のなかに、友綱親藩部長(元関脇・魁輝)が18日の取組終了後に語ったコメントを、

「『力士は相撲っぷりがおとなしいし、お客さんもまだ遠慮している感じ』と館内の空気を口にした。」

と書かれていました。友綱親方の言葉として出ている、

「相撲っぷり」

「っぷり」の形でした。「相撲ぶり」ではなく。この「ぶり」は「~の様子」という意味ですね。

 

(2010、5、17)

2010年5月18日 20:26 | コメント (0)

新・読書日記 2010_097

『これもまた別の話』和田誠・三谷幸吉喜、新潮文庫:2010、5、1)

199911月に出たものの文庫化。二人の対談集。『キネマ旬報』に連載されてた1年分。1年で12本の映画について語っている。二人とも映画監督の経験もあるプロ同士なので話の密度が濃い。1本の映画に50ページ、かける12で、600ページを越える大著。読み切るのに一週間かかりました。最後につい最近(今年2月)の対談がおまけでついていて、その中で和田さんが、「『アバタ』ーはストーリーは、インディアン虐殺に対するアンチ西部劇みたいなもの」と言ってる場面があったが、おとといレンタル・ブルーレイで『アバター』を見たばかりの私の感想と全く同じなのでビックリ!というか、みんなそう思うんだなあ・・・って。

それにしても、ついこないだ劇場でやってたのに、もうレンタルに!しかも、5枚でたったの1000円ですよ、お客さん!こんなことでいいんですか?きっと背景には、レンタル屋さんも、ケーブルテレビやBSCS、はたまた宅配DVD屋さんに押されて苦しいのではないか?と想像されますが、どうなんでしょうか?

『アバター』と一緒に借りてきたアニメ映画『サマーウォーズ』にも"アバター"が出てきました。「依代(よりしろ)」みたいなものですか?"アバター"は。しかも『サマーウォーズ』の中で、主人公の90歳のお祖母ちゃんが亡くなるんだけど、私の祖母も実は先週末、亡くなった。満97歳。聖路加病院名誉院長・日野原重明先生と同じ大正2年生まれ。偶然の一致にこれもビックリ!・・・合掌・・・。

あ、話がそれた。

この本で取り上げられている映画は、『ジョーズ』『赤い河』『アメリカの夜』『5つの銅貨』『ニノチカ』『男はつらいよ』『薔薇の名前』『タイタニック』『猿の惑星』『マダムと泥棒』『カサブランカ』『雨に歌えば』の12本。僕が見たことあるのは、そのうち7本。あとの映画も見たくなった!「アメリカの夜」というのが映画の手法で、「昼間の撮影なのにフィルターをかけて"夜のシーン"にすること」を指すというのは、初めて知りました!

 

 


star4

(2010、5、15読了)

2010年5月18日 17:59 | コメント (0)

新・ことば事情

3989「天神祭のだんじりばやし」

 

54日、大阪の中之島を歩いていたら、なにやら楽しそうなお囃子が聞こえてきました。あ、そうかゴールデンウイークで「中之島祭り」をやってるんだ!と気付きました。そして聞こえてきたお囃子は、どこかで聞いた音楽・・・あ、

「天神祭りのだんじりばやしだ!」

と思い出しました。

「♪タッタカ・タッタカ、タカタカ・タカタカ、タッタカ・タッタカ、タカタカ・タカタカ・・・」

というテンポの早いそのリズム、聞くとはなしに聞いていると、

「あれ?何かに似ているな」

と感じました。思い出せ思い出せ・・・と記憶の糸を手繰り寄せて行って「チーン!」とたどり着いた先にあった音楽は!!

 

なんと、

「パッヘルベルのカノン」

でした!音程(メロディライン)は無視して、「リズムだけ」を聞いて、そこに「パッヘルベルのカノン」のメロディーをあわせて歌ってみると、テンポは相当早いものの、リズムは間違いなく「カノン」でした。そうか、「だんじりばやし」も「カノン」も、

「エンドレスで繰り返すという点では同じ」

なんだなあ・・・と意外な結び付きに気付いて、ちょっとうれしくなった、今年のゴールデンウイークでした。

(2010、5、17)

2010年5月18日 12:43 | コメント (0)

新・ことば事情

3988「レタボ」

 

「レタボ」

って言葉、聞かれたことがありますか?え?「メタボ」ではありませんよ、「レタボ」。これは、

「レターボックスの略」

なんです。「横:縦」の割合が「4:3」の画面のアナログテレビの画面の上下が黒く帯のようになって、番組内容はその真ん中に「16:9」で映る形ですね。

実は読売テレビでは、今年の4月5日から、生番組を除いてゴールデンタイムのほとんどの番組が、この「レタボ」になっています。地デジを見ている方は分かりませんが、アナログを見ている方は、かなり気になってらっしゃるのではないでしょうか。おっつけ、7月5日からは、「全番組」がこの「レタボ」になります。

なぜ、こんなことをするか?もちろん目的は、

「地デジテレビへの速やかな移行を促すため」

です。結構、力ずくのような気がして、そのあたりのやり方は「どうかなあ・・・」と個人的には思いますが、いずれにせよ、あと1年ちょっとで、地上波アナログ放送は終わります。見られなくなります。今のうちに地デジテレビに換えた方がいいですよ、ということを、国を挙げてやっているというわけ。エコポイントも使えるし、ちょっとはお得です。

なおこの「レタボ」という言葉は、2001年発行の『読売テレビ放送用語ガイドライン』の付録「知ってるつもりの放送業界用語集」にも載っていませんでした。

(2010、5、17)

2010年5月18日 10:42 | コメント (0)

新・ことば事情

3987「ポテチのアクセント」

 

55日の夜、テレビを見ていたら、「ザ・たっち」の二人と「内山信二」君が、「ポテトチップス」の略称を、

「ポ\テチ」

「頭高アクセント」でしゃべっていました。「ポ\テト」と同じアクセントです。これって、「関西弁アクセント」だと、

「ポテ/チ」

最後の「チ」だけが上がる。もし、私が放送で「標準語アクセント」で言うとしたら、それをベースにした「折衷アクセント」として、

「ポ/テチ」

という「平板アクセント」で言うと思うんです。「地/デジ」と同じアクセントです。そもそも、「ポ/テトチッ\プス」なんだし、「ポ\テチ」なんて「頭高アクセント」では言わない。「マクドか?マックか?」みたいな感じのアクセントバージョンのようですが、周辺で(「ミヤネ屋」のスタッフに)聞いてみたところ・・・なんと驚くべきことに(?)ほとんどの人が、

「ポ\テチ」

「頭高アクセント」で言う、というではないですか!中には、

「関西風だと『ポ/テ\チ』ですね」

という人や、

「略すことはないですね、『ポ/テトチッ\プス』と言いますね」

と言う人もいましたが、「平板アクセント」で言う人は、なかなか見つかりません。(関西弁アクセントの「中高アクセント」での「ポ/テ\チ」は、「お/か\き」と同じアクセントですね。"類推"があるのか?)

ようやく「平板アクセント」の、

「ポ/テチ」

と言う人を見つけました。30代半ばの女性と40代前半の女性です。うーむ、このアクセントの違いは、年齢差なのか、地域差なのか?まだそのあたりがハッキリしないのですが、少なくとも40代の人は、それほど「ポテトチップス」になじみがなく(毎日食べるようなことはない)、その意味で「省略形を使わない傾向」が見られそうです。(もちろん、中には例外の方もいらっしゃると思いますが。)

皆さんは「ポテチ」、どういうふうに発音されますか?

                      (2010、5、17)

 

(追記)

アナウンス部40代前半と30代前半の女性ナウンサーに聞いたところ、40代前半の女性アナウンサーは、私と同じ「平板アクセント」で、

「ポ/テチ」

と言うそうで、「ポ\テチ」という「頭高アクセントで言ってみて」と言っても、彼女は言えませんでした。

「『ポ\テト』と同じアクセントで。『ト』を『チ』に換えてごらん」

と言ったら、ようやく、「ポ\テチ」と言えました。

また、30代前半の女性アナウンサーは、

「ポ\テチ」

でも、普段は「関西弁風」に、

「ポ/テ\チ」

「『マ/ク\ド』と同じアクセントで言う」とか。

40代後半の男性アナウンサーは、関西風に「ポ/テ\チ」だそうで、またよくNHK教育テレビの『ピタゴラスイッチ』をお子さんと見ているせいか、

「『ポ\テチ』という頭高アクセントを聞くと、『ボ\テジン』を思い浮かべてしまう」

と話していました。わっかるかなあ、「ボ\テジン」。

 

                                                      (2010、5、18)

 

(追記2)

伊坂幸太郎の原作で、今回映画化されたものに、その名もズバリ、

「ポテチ」

というのがあるようです。舞台は宮城・仙台だそうです。アクセントが気になるところです。

(2012、5、7)

 

 

 

 

 

2010年5月17日 23:40 | コメント (0)

新・読書日記 2010_096

『日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率』(浅川芳裕、講談社+α新書:2010、2、20)

 

え?そうなの?というタイトルにつられて、つい買ってしまいました、

内容はしっかりしていると思います。

「カロリーベースの食料自給率」の「ウソ」は、つまり数字が間違っているのではなく、どういうふうな数字を取り上げるかにかかっていると。世論調査などもそうですが、こういったデータを扱う場合に注意すべきなのは、完全に中立なデータというものがあるのか?ということと、もしあったとしても、どのデータのどの部分を選ぶかというところには恣意的なものが入り込むことを頭に入れておかないといけないということです。「言わない(取り上げない)」という意味での「ウソ」もあるしね。

この本によると、「日本のカロリーベースの食料自給率が41%と低く、それを上げることが必要だ」という論法には、"農水省の意図"が入っていると。また、「官僚」はどんな状況の下でもなんとか生き延びるための方策を考える、そういった職業であるというようなことが綴られていて、勉強になりました。

 


star4

(2010、5、10読了)

2010年5月17日 20:42 | コメント (1)

新・読書日記 2010_095

『日本経済の真実~ある日、この国は破産します』(辛坊治郎・辛坊正記、幻冬舎:2010、4、25)

 

読売テレビ・アナウンサーの先輩(今は解説委員長)辛坊治郎の著作。たぶん5冊目かな。幻冬舎からは3冊目(共著はまだあるかも)。実のお兄さんとの共著だそうです。

シンボウさんからありがたく1冊、サイン入りで頂きました。ありがとうございます。

パラパラッと読むと、文章のところどころが赤い(桃色)字になっていて、「参考書」のような感じ。チャート式か?

50ページぐらいまで読んでの感想は・・・そこ、ここに疑問が生じてなかなか先に読み進めない。たとえば「10万本のジーンズを1000円で売ってもうかったから設備投資して30万本のジーンズを作ったら、3倍売れる」でしょうか?単価が下がって1000円では売れなくなるのが現実ではないでしょうか?過剰生産の行く末は価格競争で共倒れになっているのでは?結局、拡大再生産の行き着く先は、破綻なのでは?技術のブレークスルーがあれば、どこまでも拡大を繰り返せるということでしょうか?56ページの「預金」には「当座預金」は含まれないんですよね?国が破綻、という目安は国債の金利何パーセント?60ページ経過。郵貯の運用で国債を買っているというのを示すのには、1行だけそう書いてくれればわかるのに、なにをぐだぐだ寄り道を・・・。

それにしても、「アホ」とか「バカ」とか「ドロボー」とかいう言葉が一杯出てきて、品位に欠けます。ちゃんと冷静に読もうとしている人は、読む意欲を失ってしまう、というのがここまでの感想。と思って、ここまでの感想をシンボウさんにメールで送ったら、

「そのへんは読み飛ばせ!早く肝心のところまで進め!」

との指示。著者が言うのだから、ここから飛ばし読みします!なんだ肝心な部分は、もっと先か。

73ページの表で言うと、国債残高が一層急激に伸びているのは、平成13年以降、つまり小泉内閣からですよね。79ページ、ハイパー・インフレと、インフレ・ターゲット論との関連は?ハイパー・インフレはだめだけと、インフレ・ターゲットはOKなの?ターゲットでインフレが止まるという保証は?石油ショックの時のインフレは?

80ページ、悪性インフレは抑制できないのですね。やっぱりインフレ・ターゲットはだめだな。アルゼンチンが世界の檜舞台に立っていたかどうかは疑問ですが、ワールドカップの檜舞台には立っています。110ページ、なるほど政府の借金を減らすためのインフレ・ターゲット論なのか。やけくそやなあ。あ、下品。

と、日曜日の昼にここまで読んでいたら『たかじんのそこまで言って委員会』が始まりました。しばらく、そっちを見よう!

 

「委員会」終了。いやあ、盛り上がってましたなあ、原口大臣対「みんなの党」の2人。さて、本。大きな話は読ませるけど、小さな例え話になると、どうも細かい疑問が次々出てくるのは、「たとえ」が良くないのでは?石油ショック後のスタグフレーションの実体も、具体的に紹介してほしい。そうでないと言葉だけで"最悪の事態"と言われても、ピンと来ない感じ。112ページ。全体で210ページあまりの本で、第5章まであるのに、第1章が122ページも占めるのは、バランスが悪くないですか?第1章も二つか三つに分けた方が良くない?118ページの数字がたくさん出てくる辺りから、わからなくなってきました。図示してほしい。法人税は4割とわかるけど、利息が3万の根拠は?配当が利息と同じなのはなぜ?手取り分を確保するために配当を減らせばいいのでは?設定の根拠がわかりません。

第2章突入!戦時中は、国民の物欲を押さえたからハイパー・インフレにならなかった?戦時中はそもそも「自由主義経済」ではなく「統制経済」だったので、比較にならないのでは?

145ページあたり。たとえ話がありえないシチュエーションなので、頭に入って来にくい。データを読み取る力と、データを疑う力が必要ですね。小泉が政権取る前、小渕政権でミニITバブルで上がった株価は、森そして小泉政権でも2年間下がり続け、2年後にようやく底を打って上がり始め、2006年にようやく小泉首相就任時の株価に戻したにすぎないと見ていたのですが。162ページのGDP成長率のグラフが2001年からになっていますが、橋本のあとの小渕内閣の時の数字はどうなんですか?下がってたんですか?結局、そこだけカンフル剤のように景気を数年間、良くできたとしとも、そのあと何十年も苦しむ種(禍根)を残したとしたら、そのやり方はまずいのではないでしょうか?何十年かどうかはまだ経ってないからしらんけど、少なくともすでに4年近くはそうなってる。(その意味では民主党の子ども手当は、やはり財政に禍根を残しますね)ここに挙げられたデータの、前のデータも調べて検証しないと、一概には断定できないなと感じます。ジニ係数の左の目盛りも、「038041」の部分しかないし、他国との比較も見ないと。小泉改革に反対するのはすべて守旧派、というわけではありません。郵政改革も、ひっくるめ方が悪い面があったけど、ポリシーは正しいのでしょう。

フー、読み終えた。

読後感、第1章がかったるい。小泉改革を評価する章がキモですね。後半の方の章の主張は概ね納得です。ところで、けさの放送でもシンボウさん、ギリシャ経済破綻を紹介するときに「コラ!」と言ってましたが、大変下品です。せっかく良いことを言っていても、ああいう一言でぶちこわしになってしまうと感じました。視聴者が恐がって引いてしまうと思います。血圧の上がらない表現法の方が、健康のためにも良いのではないでしょうか?きのうの日経朝刊に大きな広告、出てましたな。155万部と。ベストセラーだなあ。まだ「紙の本」をちゃんと買う人たちがいるんだなと感じました。

 


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(2010、5、9読了)

2010年5月14日 18:17 | コメント (1)

新・ことば事情

3986「松阪慶子さんのナレーション」

先日、大阪・中之島の国立国際美術館で開かれている「ルノワール展」(『ルノワール~伝統と革新』)に行ってきました。

「ルノワール」と言うと、その昔、年末に銀行からもらったカレンダーの絵(もちろん複写)というイメージがあり、「いまさら・・・」感もあったのですが、行ってみると、いやあ、これがなかなかよかったですよ。

「ルノワールへの旅」「身体表現」「花と装飾画」「ファッションとロココの伝統」の4つのコーナーに分かれていて、展覧会そのものが「きっちりと構成されている」感じ。単に「ルノワールの絵を集めて展示しました」というような展覧会ではなく、きっちりと分析している様子に、主催者側の「主張」を感じました。

たとえば「身体表現」のところで、年代別に並べられたルノワールの「裸婦像」は、1882年のものは肌の色が白に青みがかった「寒色系」な感じなのに対して、1887年の作品は水彩のように淡い感じの肌色。1888年は82年と同じような色に戻りますが、1891年の作品は、いわゆる「肌色」の「暖色系の色」になり、1910年には肌色が「ピンクを帯びた暖かい色」に変わり、さらに晩年の191719には、もう「オレンジ色」といった方がいいような色に変わってきています。それが目で見て分かっただけでも収穫あり。また、晩年の点描は、光の粒が大きくなっていますが、もしかしたらルノワール、目が悪くなってきていたのではないか?と思わせました。

また、「読書をする女性」などの構図のものが結構ありましたが、よく考えたら、この時代に本を読める(字が読める)ということは、かなりのインテリ。本を読んでいるという構図は、現代ならさしずめ、パソコンやケータイをいじっている感じでしょうか?さらには「i―Pad」で本を読んでいるようなものになるのでは?あ、これ、ルノワールの「i―Padを読む女」なんて絵は、パロディで「あり」かも。

さて今回は、美術展ではおなじみの「音声ガイド」を利用しました。500円で、27もの作品の説明をしてくれるのは「お得」です。

音声ガイドのナレーターは女優の松坂慶子さん。ルノワール(の美人画)のイメージにピッタリですね。最近、女優さんがこういった仕事をやるのも流行っているのでしょうか?

ただ、音声ガイドを聞いていて、アナウンサーとして気になった点がいくつかありました。一番気になったのは、

「作品」

「ク」も「ヒ」も無声化されずに、「サヒン」と全部「有声音」だったこと。これはちょっといただけないなあ。また、「背景」を、

「ハイケ

と、これも全部の音をしゃべってました。

「ハイケ

というふうに後半の「ケ」は「ケー」と長音化した方が、「キレー」に聞こえるのになあ。

また「新事実」という言葉のアクセントが「シ/ンジ\ジツ」ではなく、

「シン/ジ\ジツ」

でした。

ルノワールの絵画を楽しむとともに、そんなところにも耳をそばだててました。

627日までやっているから、もう1回ぐらい、見に行ってもいいなあ。

(2010、5、13)

2010年5月14日 16:26 | コメント (0)

新・ことば事情

3985「竹下景子さんと片岡仁左衛門さんのナレーション」

5月4日の午前10時から1120分までNHK総合テレビで放送していた、

「二本の木」

という朗読とドキュメンタリーをあわせた番組。たまたま途中から見て、感動しました。

小沢爽さんと千緒さん夫婦。2人とも病魔に冒され、ふたり支えあいながら、「死」に向かって一歩ずつ近づきながらも「生きていく」様子が、二人の手書きのノート=日記の朗読と、実際の映像を交えながら紹介されていくという構成です。つまり「がんの夫婦の闘病日記の朗読劇」ですね。「二本の木」というのは、ギリシャ神話の中の、二本の木になった夫婦の話なんだそうです。

ナレーターは竹下景子さんと片岡仁左衛門さん2人とも「俳優」が本業。「女優」と「歌舞伎役者」ですね。でもこの朗読は、演じることなく、すんなりと日記の世界に入っているように見えました。それは小沢さん夫妻を「演じている」ということなのでしょうか?その意味で言うと、「演じる」とは、

「登場人物の気持ちになりきってふるまうこと」

なのかなあとも思います。

「演じる」と言っても動作で演じるのではない、「朗読」を通じて演じていたお二人ですが、そのナレーションで耳に留まった点をメモします。

(片岡仁左衛門さん)

*「聖路加病院」を「せいか」。(「せいか」ではなく)

*「14日」のアクセントが平板で「ジュ/ーヨッカ」、「19日」が「ジュ/ークニチ」。

*「咳が続いている」の「咳」が「頭高アクセント」で、「席(セ\キ)」に聞こえた。

(竹下景子さん)

     「聖路加病院」を「せいか」。(「せいか」ではなく)

     14日」を「ジュ\ー・ヨッ/カ」と「ジュー\ヨッカ」の間ぐらい発音。

再放送してくれないかなあ。もう1度、今度は最初から見たいです。

(2010、5、13)

2010年5月14日 14:25 | コメント (0)

新・ことば事情

3984「なまこ壁」

2010324日の「情報ライブミヤネ屋」で、静岡第一テレビからの中継がありました。伊豆半島のなかの温泉宿からで、その温泉宿の「白壁の建物」(「蔵」でしょうか)の紹介で、静岡第一テレビの久保アナウンサーが、使った言葉に、

「なまこ壁」

という表現がありました。聞いたことはあるけど説明しろといわれると・・・と思って辞書を引きました。

「なまこかべ(海鼠壁)」=土塀・塗屋などの外壁で、四角な平瓦を並べて打ちつけ、目地をしっくいなどでかまぼこ形に盛り上げて塗ったもの。大名屋敷の長屋・塀、民家などに用いた。なまこ。<精選版日本国語大辞典>

ほう、あれね。ま、放送見たら、何を指しているかは分かったんだけど、そんな名前で呼ばれているとは知りませんでした。

でも「大名屋敷の長屋・塀、民家などに用いた。」「過去形」で書かれているから、今はもう、こんな作り方はしないのかなあ。マンションじゃ無理ですねえ。

しかしそれにしても、「ミヤネ屋」、いろんなことで勉強になるなあ。(=宣伝です。)

(2010、5、13)

2010年5月14日 12:24 | コメント (0)

新・ことば事情

3983「4連勤」

先日、ゴールデンウイーク明けの日本テレビ「ニュースZERO」を見ていたら、「あなたのプチ贅沢」というコーナーのインタビューに答えた若い女性が、こんな言葉を使いました。アルバイトに行っていたそうですが、そのアルバイトの、

「4連勤(よんれんきん)」

という言葉。何の説明もなしに使っていました。

「連続休暇」を略した「連休」は普通の言葉ですが、「連続勤務」を略した「連勤」というのは初耳でした。アルバイト業界では普通の言葉なのでしょうね。

学生のアルバイトではない勤務では、1週間5日「連続勤務」というのは「当たり前の状態」なので、それを指す言葉は特にありません。しかし、ほかに本業を持つ学生さん(勉学が本業)の場合、「勤務する事の方が例外的」な「アルバイト」という形態なので、「連続勤務」という言葉を表す「連勤」という言葉が出たのではないでしょうかね。働き方が変わった中で生まれた言葉のように思いますが、どうなんでしょうか?

Google検索(513日)では、

「連勤」=32万件

も出てきました。その中のトップ項目は、何と読売新聞のネット「発言小町」で、

「怒涛の12連勤」

というタイトル。パート勤務の人が「発言」しています。

「5連勤以上の人は見当たりません」

という記述も。そのほか、

「土日を潰して33連勤です」

という記述も。あかん、体、壊すで!働きすぎだと思います。

(2010、5、13)

2010年5月14日 09:57 | コメント (0)

新・ことば事情

3982「あのカピバラの声は」

 

トヨタの自動車「ノア」のCMに出てくるイノシシのような動物の声は、

「野村克也・東北楽天ゴールデンイーグルス名誉監督(前監督)ではないか?」

と、声だけを聞いていて思いました。

このCM、それまでにも見ていたのですが、そのときまでは特に気に留めなかったのです。それが、「音声」だけを聞いていたら、「あれ?」と思ったのです。

そこでネットで検索すると・・・当たり!やっぱり野村監督でした!動物はイノシシではなくて「カピバラ」でした。

結構、さまになっているというか、まったく違和感もなく、もうカピバラそのものの声で、このボソボソ声(つぶやき?ぼやき風)が、なかなか良い味を出しているのです。

「ぼやき」の活用にこんな方法があったとは!

野村監督は、たしか去年『カールじいさんと空とぶ家』の映画でも宣伝役を買って出て(?)ましたね。吹き替えもしたのかな?「声の出演」にも魅力がありますね。

 

と書いたら、何と、緊急入院されたとか。早くお元気になってくださいね!

(2010、5、13)

2010年5月14日 02:55 | コメント (0)

新・ことば事情

3981「大塚光一(元西武ライオンズ)も」

 

新聞の広告を見ていたら、「焼肉用の肉」の通信販売のこんな見出しが。

「大塚公一(元西武ライオンズ)も『うまい!!』と絶賛!」

もう少し読んでみると、

「元プロ野球選手の大塚光一さんが一口召し上がった瞬間に『肉が本当に柔らかくてうまい!』と大絶賛!」

とありました。

ここで、素朴な疑問が。

「大塚光一って誰?」

申し訳ないのですが、それほどプロ野球選手(の名前)に詳しいわけではない私にとっては、「大塚公一選手」、ちょっと難しいです。大塚さん、ごめんなさい。

もう一つの疑問は、

「元プロ野球選手と肉のうまさの関連性は?」

です。おそらく、こういった連想ゲームが成り立つと考えられているのではないでしょうか?

「プロ野球選手は、焼き肉好きな人が多い」→「"焼き肉通(ツウ)"である」→「"焼き肉通"の人が勧める焼き肉だから、うまい!」

しかしこれは、かなり善意で解釈した場合、または「大塚公一さんにネームバリューがある場合(そのネームバリューも「焼き肉のプロ」としてのもの)」に限られるのではないでしょうか?

そこで、「広告として成り立っているのか?」というこれも素朴な疑問がわきあがってきました。あ、もしかして、「こうやって注目を集めた」のなら成功ということなんでしょうか?

大塚さんには何も責任は無いと思うのですが、「広告の仕方」としては、「うーん・・・」と思いました。

 

(2010、5、13)

2010年5月13日 23:01 | コメント (0)

新・ことば事情

3980「地元住民も不安ですね」

 

56日、運転を再開した「高速増殖炉もんじゅ」のニュースを伝えたTBS『ニュース23』の膳場キャスター。VTRリポートが終わってスタジオにおりたときの最初のコメントが、

「地元住民も不安ですね。」

という一言。(「不安」だったか「大変」だったのかは、定かではありません。その前の「地元住民」という言葉に引っかかってしまったので)

それを聞いて愕然としました。

「地元住民」というひとくくりに、ちっとも気持ちがこもってない。

普通は、「人間」が見えていたら、スタジオトークでは、

「地元の方」

と言うのではないでしょうか?せめて、

「地元住民の方」

ですよね。鳩山総理よりも気持ちがこもっていない、理解していないと感じざるを得ない一言です。

もちろん、同じコメントでも、「言い方」によっては、「伝わる」のでしょうが、サラッと言って(読んで)しまっては、「絶対に伝わらない」言い方・言葉です。

膳場キャスターが思わず言ったコメントなのか、事前にスタッフと練りに練ったコメントかはわかりませんが、あまりにも「書き言葉」。ストレートニュースもかくや・・・というコメントにびっくりしたので、書き記しておきます。

翌日の朝、うちのニュースの担当女性キャスターに、

「スタジオトークで『地元住民は』というような言い方は絶対にするな。これを言ったとたんに『あ、他人事と思ってるな』と思われるよ」

と釘を刺しておきました。

その後、実はこの「地元住民」は、「読み原稿」では頻繁に出てくることに改めて気付きました。沖縄の普天間吉異説を巡る一連の動きのニュースの中でも1日に何回も出てきます。書かれた原稿を「読む」文体でなら「地元住民」で、おそらく違和感はないのですが、顔を出して「しゃべる」となると、ものすごく違和感を覚える言葉なんですね、これは。

(2010、5、13)

2010年5月13日 21:51 | コメント (0)

新・読書日記 2010_094

『表現の自由と第三者機関~透明性と説明責任のために』(清水英夫、小学館101新書:2009、8、8)

 

読みやすい。勉強になる。

BPOの前身、BRO・BRC時代から、放送と表現の自由に関して「第三者の立場」から関わってきた第一人者である清水英夫氏。本書の冒頭「序に代えて~表現の自由の落とし穴」で、「メディアはなぜ間違いを犯すのか」という原因をまとめている。それによると、

(1)  傲慢さ(謙虚さの欠如)

(2)  ジャーナリストとしての不勉強、経験不足

(3)  予断・思い込み

(4)  過剰な視聴者サービス

(5)  過剰な自己防衛

5つを挙げている。そのとおりだと思う。そして、

「本来メディアは権力の乱用や横暴から国民を守るという責務を負っている。しかし、その基本姿勢が曖昧になっているところに、国民は気付いている。」

「どうしたらメディアやジャーナリストは、信頼を得ることができるのだろうか。それは、メディアやジャーナリストが、真に市民の立場に立つこと以外考えられない。そのためには、閉鎖性を破って開かれたものにすること、自らの権力性(社会的影響力)を自覚するとともに、反権力・非権力に徹すること、そして驕りを捨てて謙虚な態度で取材や報道に臨むことであると思われる」(162ページ)

ということを肝に銘じる必要があると思う。

 

メディア関係者には☆4つ半。


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(2010、4、15読了)

2010年5月13日 20:54 | コメント (0)

新・ことば事情

3979「もんじゅの14年」

事故から14たった「高速増殖炉もんじゅ」56日、運転を再開しました。いろいろと問題はありますが、それはさておき、「もんじゅ」が停まっていた14年の間に、言葉の世界でどういう変化が起きたかを端的に書くと、「アクセントの変化」です。つまり正にこのニュースを伝えるときに14年」を、

「ジュ\ー・ヨ/ネン」「ジュ\ーヨネン」

ではなく、

「ジュ/ーヨ\ネン」

という発音で読むアナウンサーが出てきてしまうほどの長い年月だということです。14年前に、こんなアクセントで読むアナウンサーはいませんでした。たぶん。

そしてその前には15年」を、

「ジュ\ー・ゴ/ネン」

ではなく、

「ジュ/ーゴ\ネン」

と読む人たちが急速に大変増えてきたことがベースにあります。その次の段階に入ったと。「ら抜き言葉」の進行に似ている感じがします。

(2010、5、13)

2010年5月13日 19:51 | コメント (0)

新・ことば事情

3978「ヨンヒャッケン」

 

京都の祇園歌舞練場に「都をどり」を見に行って、1600円のパンフレットを買ったときのこと。1000円札を出したら係の女性がパンフレットと共に、おつり「400円」を返してしてくれたときの言い方が、耳に留まりました。彼女は400円」を、

「ヨンヒャッケン」

と言ったのです、「ヨンヒャクエン」ではなく。つまり後半の「クエン」が「ッケン」に聞こえる発音だったのです。これだとまるで、

「400件」「400軒」

のように聞こえてしまいますが。「ヒャク」の「ク」が母音の無声化になるのではなく、一足飛びに(?)「促音」(=つまる音)になるのは初めて耳にした気がします。いや、まてよ、昔おばあちゃんが、そのように言っていたような気がしてきたぞ。

そうすると京都の方は、「上七軒」も「カミシチケン」ではなく、

「カミシッケン」

と言うのでしょうか?あまり聞かない気もしますが、それはあまり「上七軒」に行かないからかもしれません。いや、あまりどころか、全然。

あ、でも「七条」のことを「シチジョウ」ではなく、

「シッチョウ」

というのは聞いたことがあるぞ。「ナナジョウ」と言う人もいますが。そうすると、この「ヨンヒャッケン」という言い方、京都では意外と広い範囲で、使われているのかもしれませんね。

 

(2010、5、12)

2010年5月13日 09:41 | コメント (0)

新・ことば事情

3977「ICU、 HCU、 CCU」

先日、某土曜日の午後、滋賀県草津市の友人が内科医として勤務する病院で、私の所属する男声合唱団とその友人が所属するオーケストラの有志とで、「ロビーコンサート」を開きました。当日は、患者さんやその家族、お医者さん・看護師さん、近所の方など、ロビーには200人以上の方が集まってくれました。

その病院の控え室から会場のロビーへ向かう途中に目にした文字=アルファベットで、初めて見るものがありました。一つは皆さんもよく知っている、

「ICU」

これは「集中治療室」ですね。これは知っています。あと2つ、初めて目にしたのは、

「CCU」と「HCU」

でした。これが「ICU」と同じガラスのドアに書かれていたのです

コンサートの後に友人の医師に聞いてみたら、

「ああ、『CCU』は『コロナリー・ケア・ユニット Coronary Care Unit)』の頭文字、つまり心臓・心筋梗塞などのケアを行うところで、『HCU』は『ハイ・ケア・ユニット(High Care Unit)』の頭文字やね。『高度治療室』。」

とのこと。何となくわかったような。あ、でもよく考えたら、「ICU」も「集中治療室」とは知っていても、何の英語の頭文字かは知らないぞ。ついでに聞いてみたら、

「『ICU』は『インテンシブル・ケア・ユニット(Intensive Care Unit)』」

だそうです。「CU」は「ケア・ユニット」の略なんですね、全部。つまり「治療室」

ちなみに友人は、このコンサートの前夜・・・というか当日の午前1時に急患でたたき起こされ、心筋梗塞の患者2人にカテーテルを通すなどの処置を「CCU」で施し、その後、朝6時半に家に帰って2時間ほど寝てから、ロビーコンサートのためにまた病院に出てきたのだそうです。お医者さんも、やはり大変なお仕事ですね・・・。

(2010、5、12)

2010年5月12日 22:39 | コメント (0)

新・ことば事情

3976「できる限り」

 

 

鳩山総理が、沖縄の米軍普天間基地移設問題で公言してきた、

5月末までの解決」

がここに来て絶望的となり、それに伴って強気だった鳩山総理の発言が揺れてきました。

512日の朝の会見の様子を伝えた日本テレビお昼の『ストレイトニュース』を見ていたら、鳩山総理は、5月末という期限」について、

「できる限り」

という言葉を使っていました。あれ?「できる限り」?ということは「出来ないこともある」ということ?「努力」を評価して、「結果」は別という論法ですか?

それを聞いて思い出したのは、

「さだまさしさんの『関白宣言』」

です。もう30年以上前の曲になってしまいましたが、そのコミック・ソングのメインの有名な歌詞に、

おれは浮気はしない!!・・・たぶん、しないと思う!・・・・しないんじゃないかな・・・ま、ちょっと覚悟はしておけ!」

というのがありましたが、「できる限り」を聞いた瞬間に、

「あ、おんなじだ!」

と思いました。いま「たぶん、しないと思う」段階ですかね?それとも、もう「しないんじゃないかな」?え?「ま、ちょっと覚悟はしておけ」ですか、既に・・・。

 

 

(2010、5、12)

2010年5月12日 19:36 | コメント (0)

新・ことば事情

3975「取引時間中に」

<去年の今頃の話から入ります>

2009410日午前、東証の平均株価が9000円の大台に乗せました。

「取引時間中に9000円台に乗せたのは18日以来」

だと、日本テレビ『ストレイトニュース』で丸岡いずみキャスターが原稿を読んでいました。この、

「取引時間中に」

というのが気になりました。「取引時間中でない時間」株価は上がり下がりするのでしょうか?

****************************************

と、2009年5月25日にここまで書いて1年が経ち2010年5月11日。また「取引時間中に」が出てきました。今度はギリシャの財政破たんを巡り、ニューヨーク証券取引所が今月、

「取引時間中としては過去最大の下げ幅を記録」

という文章です。これを見て、1年ぶりに疑問が解決しました!つまり、文字通り、

「取引時間中としては」

なんです。それ以外があるのか?という疑問に関しては「ある」。

「取引時間中以外の取引」は無いけれども、一度市場が閉まって翌日、また市場が開いた瞬間にガクっと下がって、前日の終値とくらべて、

「過去最大の下げ幅を記録」

ということはあるかな、と。その意味で、

「継続した取引時間中の下げ幅としては過去最大」

というような表現があるのでしょう。違いますかね?私はそのように解釈しましたが、どうでしょうか?

(2010、5、11)

2010年5月12日 17:35 | コメント (0)

新・ことば事情

3974「生着替え」

「生」がはびこっていることを、最近、とみに感じますが、

「あ、そういえば、こういう言葉もあった!」

と改めて確認したのが、

「生着替え」

です。ユニクロのCMに出たモデル・女優の山田優さんの様子を指して、読売テレビの朝の新番組『す・またん』の原稿で出てきました。何の疑問もなく女性アナウンサー(川田だったかな)は読んでいました。これって、

「『生』、極まれり」

という感じですよね。この「生」の持つ「俗っぽさ」、ある種の「下品さ」、ニュースでいかがなものか、と思われる原因であり、また「いいんじゃない、実態に合っていて」受け入れられる要因かと。

これ、ネットで検索すると、そのあと必ず「スパムメール」の件数が増えて閉口するので、「生着替え」の件数を調べるのはやめておきますね。

あ、そうだ「す・またん」の正式番組名も、

「朝生ワイドす・またん」

だった・・・・。

 

(2010、5、11)

2010年5月12日 12:49 | コメント (0)

新・ことば事情

3973「バック小物」

 

先日、生まれて初めて、京都・祇園の歌舞練場に「都をどり」を見に行きました。

京都には、まあ高校時代からちょくちょく行きますので、「地元」感覚がありますが、かと言って、そんなに詳しいわけでもなく。

実は「祇園」に行くのは、おそらく初めてだったと思います。意識せずに連れて行ってもらったことはあるかもしれませんが。あ、お店に行ったかどうかは別にして、そぞろ歩き。

昼間の祇園というのは、「ははあ、こういう感じだったのか」と、結構「おのぼりさん気分」で、右に左に首を振りつつ様子を伺っていました。すると目に留まったのは、

「バッ小物」

「バッセール」

の文字。もちろん「かばん」のことを指しているのですが、「バッ」と濁るのではなく、

「バッ

濁りません。「後ろ」と同じです。祇園では古くから「バッ」って、言わはったんどっしゃろなあ・・・と思いながら、祇園を歩いていたのは、おそらく私一人だと思います。

あ、「都をどり」ですか?「都をどり」は、衣装がキレイで、おはやしも上手で、ほんの1時間ほどで終わるのですが、その前に芸妓さん・舞妓さんによる「お茶のサービス」もあって、なかなか京情緒は味わえます。バスで団体さんも来ていました。1日4回公演です。4月いっぱいまでなので、もう終わりましたが。また来年、行っとくれやっしゃ。

京都では5月1日から、早くも「納涼床」が始まっていますよ。

(2010、5、10)

2010年5月11日 13:43 | コメント (0)

新・読書日記 2010_093

『考えよ!~なぜ日本人はリスクを冒さないのか?~』(イビチャ・オシム、角川Oneテーマ21:2010、4、10)

 

もし、オシムが病気で倒れないで、そのまま日本代表の監督を続けていたら・・・南アフリカワールドカップまであと1か月。23人の日本代表選手が、今日(5月10日)、「岡田」監督の口から発表された。サプライズは、特になかった。GKに川口が入ったこと、小笠原が外れたことぐらいか。「ぐらい」と言うと小笠原ファンに怒られるが、小笠原は、なぜか岡田監督の構想からは外れていた。トルシエの構想から外れた中村俊輔のように。

まだワールドカップが始まっていないのに、「オシムが監督だったら・・・」などというのはためらわれるが、うーん、どうなんだろうか。ちょっとおもしろい想像になりませんか?

「日本人は、なぜリスクを冒さないのか?」ということを再三、この本の中でもオシムは繰り返す。今日発表になった代表メンバー表を見ながら、もう一度この本を読んでみようかなと思う。

 

 


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(2010、4、27読了)

2010年5月11日 13:40 | コメント (0)

新・読書日記 2010_092

『記者クラブ崩壊~新聞・テレビとの200日戦争』(上杉隆、小学館101新書:2010、4、6)

 

ずっと「記者クラブ」と戦ってきた上杉さん。民主党政権が出来て、「記者クラブ制度」に穴があいて、ついに!・・・と思ったら、実は全然そんなことはなくて、小さな穴が開いただけだった・・・ということを実話として、民主党政権が出来てからの200日の闘いについて詳細に書かれている。

私は東京では取材活動をしていないので、その感じは肌では分からないのだが、「おそらく、そういうことなんだろうな」というのは、同じ仕事をしている者として(しかもクラブ員側として)分かる。

4月13日の朝日新聞夕刊に「初めてネット報道記者にピュリッツアー賞」が贈られたという記事が出ていたが、「マスコミ」「報道」という形が、音を立てて変化して来ているのが、ここ数年の動きである。そのなかにあって、どう動くべきか、考えさせられる本だった。


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(2010、4、7読了)

2010年5月11日 12:31 | コメント (0)

新・読書日記 2010_091

『残念な人の思考法』(山崎将志、日経プレミアムシリーズ:2010、4、8第1刷・2010、4、20第2刷)

 

タイトルの「残念な人」という表現につられて購入。帯には「頭は悪くない、でも仕事ができない」と書かれていた。確かにそういう人、いるよなあ・・・。思うに「仕事の優先順位を付けることが出来ない」「締め切り設定が出来ない」というのが大きなポイントのように思う。これはもしかしたら第二章の「二流は掛け算で考え、一流は割り算で考える」ということか?いや、私が一流と言っているわけではないですよ、もちろん。

本書の中には「ゴールの見えない話し方をすると残念なヤツだと思われる」という項目も。なるほど、昨日(5月9日)の母の日に、75歳の母が話しているのを聞いていたら、たしかにその「ゴールの見えない話し方」だったな、そう言えば。でも「ビジネス」で話をするのと、そうでないのとでは、「ゴールが違う」からな。まあ、かったるいけど。

この本はもちろん「ビジネス書」ですので、そういった方面に役立てたい方は、どうぞ。

 

 


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(2010、4、26読了)

2010年5月11日 10:00 | コメント (0)

新・ことば事情

3972「試打会」

新聞広告に、こんな文字が。

「試打会」

もちろん、意味は前後の文章からよくわかります。

「ゴルフクラブの試し打ち会」

ですね。広告の文句(コピー)には、

「メガ飛び!メガ・シャトル」

「各メーカーが自信を持ってお薦めする最新クラブが勢ぞろい!さあ、みんなで試打会を楽しもう!」

とありました。ゴルフをしない私はあまり目にしたことがないのですが、ごく普通の言葉なのでしょうか、「試打会」は?ワインなんかだと、

「試飲会」

というのがありますが、ま、同じですね。でも、野球のバットやテニスのラケットの「試打会」なんて聞いたことがないです。「試し打ち」は使いますが。とすると、この「試打会」はゴルフ用語なのか?今度ゴルフに詳しい人に聞いてみようと思います。

Google検索(510日)では、

「試打会」=95100

で、トップページの10件はすべて「ゴルフ」でした。

 

(2010、5、10)

2010年5月11日 04:42 | コメント (0)

新・読書日記 2010_090

『JAL崩壊~ある客室乗務員の告白』(日本航空・グループ2010)

 

内部告発モノなので、週刊誌を読むように大変おもしろいが、だんだん、いやーな感じがにじみ出てくる。だって同じ会社の仲間を売ってるような感じで、客観的に本当にそうなのか?と疑問を覚えざるをえない。「私情を交えず」には書かれては、いない。なぜならば、利益関係の一方の当事者だから。

飛行機の利用者の立場から言わせてもらえば、「客室乗務員の勝手な言い分」としか思えない部分も・・・。(お互い様?)他人の愚痴って、「なんだかなあ」と思ってしまう部分がありませんか?

でも、おもしろいことはおもしろい。内情はよくわかるし、「たぶん、そうなんだろうなあ」という部分も多い。こういう本って、どう扱ったらいいんだろうか?

 

 


star3

(2010、5、8読了)

2010年5月10日 23:16 | コメント (0)

新・ことば事情

3970「テロ・すり・暴力などを防ぐため」

 

地下鉄の「防犯カメラ設置理由」に、こう書かれていました。

 

「テロ・すり・暴力などを未然に防ぐため」。

 

確かに、そういった犯罪はいけません。防ぐのも賛成です。「防犯カメラ」という名の「監視カメラ」も必要かもしれません。

そこまでは認めても、ひとつ「いかがなものか」と思うことがあります。それは、

 

「『テロ』と『すり』を同列に・並列に論じる乱暴さ」

 

です。この文字を読んだときには、思わず少し笑ってしまいましたが、これは「言葉に対するテロ」ではないでしょうか。なんでもかんでもひっくるめるのは良くないと思います。

「防犯カメラ」を設置する理由として、きっちりと(丁寧に)説明した文章を載せるべきだと思いますが、いかがでしょうか?

 

(2010、5、6)

2010年5月10日 21:45 | コメント (0)

新・ことば事情

3969「肉力」

大阪・ミナミのアメリカ村で見かけたハンバーガー店の広告ポスターに、大きくこんな文字が。

「日本の、肉力。」

うーん、単純明快、力強い。でもハンバーガーを思い浮かべるというよりは、思い浮かべるのは・・・・・

「キン肉マン」

でした。これを食べるとキン肉が付くのかな?

しかし、最近なんにでも「力」をつけますねえ「肉力」って、シンプルだけど新しい感じがします。Google検索では(日本語のページ、56日)、

「肉力」=11000

でした。焼き肉屋さんやお肉屋さんの関連のサイトがたくさん出てきました。

 

(2010、5、6)

2010年5月10日 16:35 | コメント (0)

新・読書日記 2010_089

『サッカー見るプロになれる!50問50答~選手、監督、戦術ー"これだけは知っておきたい"話』(杉山茂樹、王様文庫:2010、5、20)

 

サッカーというスポーツは「やる」だけでなく「見る」、そして「語る」ことで楽しめるスポーツだという著者の主張には、まったく同意。20年前、初めてワールドカップ観戦に行ったイタリアのツアーで初めて一緒になった人と、バスの中で3時間サッカーの話をできてとても楽しかったことを思い出した。そうした「サッカー話」をするためには「見るプロ」にならなくてはならない。そのために必要な事項が50、詰まった文庫本。こりゃあ、読むしかないでしょ!

著者の杉山さんはいつも「フォーメーション」がいかに大切かを説くが、それはつまり、「チームの戦術=どうやってせめてどうやって守るか、どういうサッカーをやりたいか」の意思表示が「フォーメーション」なのだということを言っているように思った。

奇しくもきょう(510日)、南アフリカ・ワールドカップの日本代表23人が発表されたが、今のままでは目標の「ベスト4」は厳しい。巷では「下からベスト4」と皮肉られているようだが、皮肉でも何でもなく"実力"だと思う。でも、潜在能力はある。それをどう引き出すかは、監督にかかってくるという話ですね。


star4

(2010、5、6読了)

2010年5月10日 16:34 | コメント (0)

新・ことば事情

3968「汗ばむわー」

 

56日、山田花子さん(35)が婚姻届を提出したと、ファクスで報告しました。その内容は、

「結婚できて幸せ。今夜も汗ばむわー」

という言葉でしめくくられていましたので、テレビのワイドショーはそのまま吹き替えなどで伝えていました(「ミヤネ屋」も)。

それを報じた57日の各紙朝刊では、ちょっと様子が違いました。

「朝日・産経」は「汗ばむわー」まで載せていましたが、「毎日・日経」は「幸せです」までで「汗ばむわー」は載せていませんでした。読売は、そもそもコメントを直接引用の形では載せていませんでした。どうなんでしょう、この、

「汗ばむわあー」

は。

「イナバウワー」

発音が似てる気がしますが。

「汗ばむ」については最近書いた気がしたので、ちょっとさかのぼって探してみると、確かに3週間ほど前に書いていました。(「平成ことば事情3929気色ばむ」参照。)

山田さんの「汗ばむ」は、

「汗ばむような行為を行う」

という意思表明、つまり、あまり詳しくはあえて書きませんが、

「夫婦の仲が良い」

ということを「コメディエンヌの言葉」として言っているのでしょうね。それを一般紙が載せるかどうか。「『コメディエンヌ=お笑い芸人の特性を表すために載せる」のか、それは「品位を落とす(と考えたのでしょうか)のでやめた」のか、そういったところではないでしょうか。品位を落とすと考えるのなら、山田さん結婚のニュース自体を載せないという判断もあったかと思いますが、それはできないぐらいニュース・バリューがあったということなのかなあ。

「汗ばむわー」が載っているかどうかで、そのあたりがわかる・・・というか推測できるというのも、おもしろいですね。

それにしてもワイドショーで、このニュースを聞いた芸人さんの反応を放送していましたが、その人たちのコメントの山田さんへの呼びかけが、

「花子姉(ねえ)」

と言っていました。「大助・花子」の花子さんではありません、山田花子さんです。いつから山田花子は「姉」に?・・・先輩になっていたんだ、山田花子・・・。

(2010、5、7)

2010年5月 7日 20:38 | コメント (0)

新・ことば事情

3967「スカジャン」

 

「ミヤネ屋」の原稿に、「スカジャン」というのが出てきました。

「スタジャンなら知ってるけど、スカジャンって何?」

と若い女性スタッフに聞くと、

「龍の絵の刺繍などがあるジャンパーのことです」

「『スタジャン』は『スタジアムジャンパー』を略したのだけど、『スカジャン』は、何を略したの?」

と聞くと

「さあ??」

そこで調べて見ました。ネットの百科事典「ウィキペディア」には、

「スカジャン」=「スカジャンとは光沢のある化繊の刺し子地で作られ、背中に大型で派手な刺繍が施されているスタジャンに似た形状のジャケット。リバーシブルになっていることが多い。第二次世界大戦後に、日本を占領する連合国軍として横須賀周辺に駐留したアメリカ軍兵士達が自分のジャケットに和風の刺繍を入れてもらったのが始まりで、日本発祥の洋服といわれることもある。ファッションの象徴のひとつとして、現在ではファッションとして幅広い年代に愛用されている。」

とありました。なんで「スカジャン」と言うかについては「名前の由来」という項目に、語源説として、

(1)「スーベニージャケット」「スーベニアジャケット」が訛って「スカジャン」。

(2)横須賀の米軍基地の米軍兵士たちが好んで着たので「横須賀ジャンパー」が略されて「スカジャン」。

(3)横須賀のジャンパーには、よくスカイドラゴンの刺繍が施されていることが多かったので、「スカイドラゴンジャンパー」を略して「スカジャン」。

3が記されていました。ふーん、(2)か(3)だなあ、きっと。なんとなく「スカジャン」がどういうものを指すかは分かりました。私は着ない種類のものです。

国語辞典を引いてみると、『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『明鏡国語辞典』『デジタル大辞泉』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『岩波国語辞典』には「スカジャン」は載っていませんでした。『現代用語の基礎知識2010年版』『日本俗語大辞典』にも載っていなかったなあ・・・。つまり、私の手元にある国語辞典では「スカジャン」を採用したものはまだ無いということです。

ちなみに「スタジャン」『三省堂国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『広辞苑』には載っていましたが、『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』『岩波国語辞典』には載っていませんでした。

(2010、5、5)

2010年5月 7日 09:20 | コメント (1)

新・読書日記 2010_088

『下流の宴』(林真理子、毎日新聞社:2010、3、25)

 

林真理子はこの小説で一体何をいいたかったのだろうか?いまどきの草食系男子の頼りなさ?昭和の価値観の崩壊?沖縄の人はいい加減な人もいるけど根性が座ってる?林真理子に一番近いのは、心情的には主人公の48歳の女性か?つまり昭和の価値観を持ちつつ、平成の今を認識しつつ、とてもそれには同意できない心情か。母子三代の女の流れもおもしろい。あ、こうやってみると、☆2つは少ないか。3つにします。

気になった表現を、以下に。

*「幼稚園のお受験塾」「小学校のお塾だったら、もうすごいわよー」=「お」の付け方。

*「なんだよ、トッピング女じゃん」「"トッピング女"というのは、地方出身だったり、公立の学校に通っていたくせに、最後の大学だけ"男受け"のする、東京の名門女子大に通うことを意味する言葉だ」=「トッピング女」

*「あのさ、東大の大学院出てるからって、東大出てることにはならないよ。あいつはさ、確か大学は早稲田だったんじゃないの」「日本はさ、最終学歴しか問われないなら、最近そういうのって多いんだよね」

*「このところ大学院だけ高め狙う学歴ロンダリングも増えてるしさァ」=「学歴ロンダリング。

*「だけどさ、お母さんはさー、本島とシマのハーフじゃん」

「二番目の、ハーフの美しい妻と共に女性誌のグラビアにでることもある」=「ハーフ」の使い方

*「朝の早い時間や土曜日でも、ジャージーやフリースを着ている者を見たことはなかった。」=「ジャージー」と語尾伸びる。


star3

(2010、5、2読了)

2010年5月 6日 23:45 | コメント (0)

新・読書日記 2010_087

『日本辺境論』内田樹、新潮新書:2009、11、20第1刷・2009、12、5第4刷)

この本は2009年の「日本新書大賞」(だっけか?)を受賞されたそうで、おめでとうございます。「新書大賞」って、聞いたことなかったなあ、「本屋大賞」は聞いたことがあるけど。新しい賞でしょうか?

全体を通して読むと、日本は辺境の地にいたことによって培われた「中華」的ではない性質を、プラスに転じて生かして、生きていけ!そのためには「辺境人」という自覚を持てと、まあそんな感じに読んだんですが、もしかしたら違うかも知れません。というのも、文章が難しくて、私、よく理解できなかったんです・・・。

「はじめに」のところで、結構いろいろと予防線を張って「防御」してはったけど、そういう防御線が、論理構成の中にもあるような感じがして、内容がなかなかスッと頭に入ってこなかったんです・・・。人によって文体の合う・合わないがあるんじゃないかなあと実感。残念。

 

 


star2

(2010、4、20読了)

2010年5月 6日 22:44 | コメント (0)

新・読書日記 2010_086

『声に出して笑える日本語』(立川談四楼、光文社知恵の森文庫:2009、4、20第1刷・2010、4、20第8刷)

書店で平積みにされていて、「あ、新しい文庫本!」と思って買って、あとで奥付を見たら何と1年前に出ていた。いやあ、出てること知らなかったが、おもしろかったですよ、気軽に読めるし。☆4つ!

タイトルは「パクリ」っぽいですが、まあ、それは「よし」として。

談四楼さん、名前から分かるように、立川談志のお弟子さん。群馬県出身だそうです。

ネタ本としても!

 


star4

(2010、4、30読了)

2010年5月 6日 21:43 | コメント (0)

新・ことば事情

3966「お客様のご協力により」

 

地下鉄御堂筋線・心斎橋駅のトイレに入って用をたそうとしたところ、目に飛び込んできたポスターに、こう書かれていました。

「お客さまのご協力により清潔に保たれています。」

「ご協力ありがとうございます。」

「禁煙にご協力ありがとうございます。」

これまでの普通のポスターだと、

「トイレはキレイにお使い下さい」「禁煙にご協力下さい」

というような「要請」「お願い」という形のものだったと思うのですが、何年か前から見かけるようになったのがこのタイプ。つまり、

「先に礼を言うパターン」

です。当然そういった要請した行為をやってくれている、ルールを守ってくれているという視点から始めて「お礼を言う」パターンです。

確かにあまり「お願い」ばかりされても、「うるせえなあ」「わかったよ」と思うものの実行できないということがあるかもしれません。この「お礼を先に言われる」(ちゃんといつもルールを守っている人にとっては「先に礼」ではなく、「当然のお礼」になるわけですが)パターンをポスターに書かれると、

「あ、この人はおれがルールを守ってると思ってくれてるんだ。もし、おれが今ルールを破ったら、この人の期待・気持ちを裏切ることになってしまう・・・」

という気持ちを抱かせることになり、それを、

「ありがとうと言っているこの人は誰だか顔は分からないけど、なんだか悪いなあ・・・」

と思う気のいい人なら、効果覿面(てきめん)でしょう。おしゃれな感じの言い回しだと思います。

しかし、ちょっとひねくれた天邪鬼だと、

「ルールをまだ守るかどうかも分からないのに、先回りしてお礼を言うなんて、なんて押し付けがましいヤツだ。買うか買わないか分からない人に『お買い上げありがとうございます』と言っている"押し売り"のようなものだ。こんな押し付けがましいヤツの期待なんかに応えてやるものか。ええい、わざとルールを破ってやる!」

とは思わないでしょうか?え、思わない?あ、そう。

私は実は天邪鬼ですから、ちょっと、そう感じたりします。もちろんルールは破りませんが、思うことは思います。

こんな言い回し、たまにあったら「おっ!」と思う程度ですが、世の中全部こんな言い回しになったら、息苦しくありませんか?

だって、これを書いた人、本当に利用者がルールを守っているとは思っていないですよ。本当に守っていると思うのなら、このようなポスターを張る必要はないはずですから。ポスターなどなくてもきれいで禁煙、タバコの吸殻なんか落ちていないはずでしょ。そうではないから、こんなポスタ-を張ってあるわけです。ということは、ルールを守らない人たちに精神的負担を感じさせて、ルールを守らせる魂胆なんです。

ルールを守るのは当然ですし、ルールを守らないヤツは嫌だと思いますが、この言い回しにも、なんだかひっかかるところがあるという話でした。

 

(2010、5、6)

2010年5月 6日 21:19 | コメント (0)

新・ことば事情

3965「ノレン」

京都で見つけたお店の看板に、

 

「癒やし空間ノレン」

 

と書かれていました。そうかビートルズ「ジョン・レノン」、「レット・イット・ビー」、なるがままに、ゆったりと癒やしの空間・・・かと思っってよく見ると「レノン」ではなく、

 

「ノレン」

 

です。よく見ると、というか、最初から「ノレン」です、1度も「レノン」だったことはない、はずです。「のれん屋さん」だったのです!しかし・・・・これ、間違うよねえ!?ねえ!

 

(2010、5、3)

2010年5月 6日 17:40 | コメント (0)

新・ことば事情

3964「残念な人、大変なことになってます」

 

最近、「ミヤネ屋」の中の街頭インタビューに答えた女性が、

「顔が・・・ちょっと残念な感じ」

と言っているのを聞いて、びっくりしました。この、

「残念な感じ」

という表現についてです。このほかにも

「残念な人」「残念な顔」

という言い方も時々耳にします。就職試験で、

「残念ながら今回はご縁がなかったということで・・・」

ちょっと似ている気がします。

この言葉、決して褒めてはいません。積極的なプラス評価ではなく、ただただ「婉曲表現」。ショックを和らげようとしています。というより、この言葉をぶつけた相手からの反撃を封じ込める・・というか、反撃を最小限にしようというような意図が感じられる言葉。これも「気遣い」なのでしょうか?「やさしい」といえば「やさしい」でのすが・・・。自分に対する気遣いのような気も。

一方で、 きょう(428日)の日本テレビ『スッキリ!!』で紹介していた「女性のバストの経年変化に一定の傾向が見られることがワコールの研究所の研究で分かった」という話題で、街頭インタビューで「あなたのバストは?」と聞かれた30代の女性の一人が、こう答えていました。

「もう、大変なことになっています」

ええ!大変なことって・・・・どんなふうに大変なの?気になりますよね。

もしこれが「残念な人」が答えていたら・・・・それこそ大変なことですよね。

(2010、5、6)

2010年5月 6日 16:39 | コメント (0)

新・ことば事情

3963「タケシ!と叫ぶ声」

 

先日、仕事帰りに深夜の駅前タクシー乗り場の脇を通り抜けて家路を急いでいたら、急に

「タケシ!」

と呼ぶ男性の声。そして、もう1度。ちょっと酔っているのかな。発音がわかりにくい。

「タケシ」

と私には聞こえたのですが、それに応じる「タケシ」さんは、周囲にいそうにありません。そこで、ふとこう、考えました。場所が場所だけに、

「もしかしたら『タケシ』ではなく、『タクシー』と言ったのかもしれない」

と。たしかに発音は、

「タ\ケシ」「タ\クシー」

両方とも「頭高アクセント」なので、似ています。「タケシ」と「タクシー」は、

「1字違いで、アクセントも同じだな」

と気付きました。とすると、うちのアナウンサーの先輩の、

「森たけし」

さんが、もし「個人タクシー」を始めたら

「森タクシー」

だなあ!と気付いて、深夜に一人でクククッと笑ってしまいました。フルネームだと、

「森たけしタクシー」

となりますか。「まえだまえだ」のようでもあり、楽しそうですね。

特に意味はありません。

(2010、5、5)

2010年5月 6日 14:37 | コメント (0)

新・ことば事情

3962「コンピテンシー」

 

『残念な人の思考法』(山崎将志、日経プレミアムシリーズ:2010481刷・20104202刷)という本を読んでいたら、146ページに、

「コンピテンシー」

という言葉が出てきました。なんじゃらほい。

普段、接することのないカタカナの言葉です。英語の辞書を引いたら、

competency

と書くようです。意味は、

「能力・力量」

のことのよううです。知らんなあ。似た言葉には、

ability」「capacity」「facility

などが挙げられています。この3つなら、まだ分かりますが。経済学用語としては常識なのでしょうか?まだ日本語の外来語としては定着していない感じがするけどなあ。

Google検索では(5月5日)、

「コンピテンシー」=122000

でした。けっこう使われています。トップページに出ていたもので見ると、

「IT情報マネジメント用語」

だそうで、

「アメリカからきた用語で行動の審査や分析と基準の意味。人事評価の教育現場で採用事例で活用されている」

のだそうです。道理で縁が遠かったわけだ。

(2010、5、5)

2010年5月 6日 12:36 | コメント (0)

新・ことば事情

3961「ニョウホウ」

私の担当している月1度の番組『声~あなたと読売テレビ』(毎月第2土曜日あさ518530、関西ローカル)の収録で、相方のUアナウンサーが久々に大ヒットです。と言ってもリハーサルでの話ですが。彼女は、329日から始まった読売テレビ(関西ローカル)の新番組『す・またん』(月~金・520~ )の紹介をする原稿を読んでいたのです。

「その日の朝伝えるべき情報をふんだんに盛り込み、辛坊治郎のわかりやすいニュース解説や・・・」

という部分の「情報」を、

「ニョウホウ」

と言ったのです。イチゴの「ニョホウ」ではありませんよ、あれは「女峰」。これには噴き出さざるを得ませんでした。よかった、リハーサルで。でもそれから3分ぐらい笑いが止まらず、涙まで出てくる始末。皆さんも声に出して言ってみてください、「ニョウホウ」!

なんですか、この力の抜け具合は!ナ行と拗音にハ行がくっついて伸ばす音って、

「ニャハー」

とか

「ニョロニョロー」

とか、何となく脱力感の漂うものが多くありませんか?

ああ、もちろん、間違った原因は分かります。「情報」と「ニュース」頭の中でこんがらがって、「ニュース」と言おうとして、

「ダメダダメだ、ここは『ニュース』ではなくて『情報』だった!修正しなくては!」

と彼女の脳みそが指令を出したにもかかわらずとき既に遅く、「ニュース」の「ニ」の音が口から発せられた直後で、しかも修正指令も出ているので、喋っている途中から「情報(ジョウホウ)」に変えようという力技。これが、

「ニョウホウ」

の真相に違いありません!もう、私、脳科学者のようです!!

しかし「ニョウホウ」って・・・なんとなく連想するのは「紙オムツ」の世界で・・・「ニョウモレ」とか・・・。

「朝伝えるべき『ニョウホウ』」

確かに、脳が伝えないと、布団に地図を書く事態を招きかねません!

でも・・・違うんだな。

そのあと収録本番でUアナは、「朝生ワイド」と言うべきところを、

「朝生ワイド」

と言って落ち込んでいましたが、これは実は言いにくい。なぜならば、

アサナマワイド」

発音すると分かりますが、

「ア(a)サ(sa)ナ(na)マ(ma)ワ(wa)」

まで「アの母音」が5つも続くのです。しっかり口をあけて「子音」を発音しないと、「全部、ア」に聞こえてしまいます。それを意識しすぎるあまり、頼みもしないのにもう1つおまけで「な」を言ってしまったのですね。"勢い"っちゅうもんですか、"出会い頭"というか・・・。皆さんもこういった"事故"にはお気を付けくださいね。

でもまあ、こういう間違いができるのは"一種の天才だけ"で、普通の人はなかなか・・・間違えようとしても、こんなにおもしろく(しかも「わざと」でなく)間違うことはできませんが。その意味では、

「間違うのも才能である」

と、私は思います。

このネタ、思い出すだけで、3か月ぐらいはシアワセな気持ちになれそうです。笑いすぎて、腹筋も鍛えられそうです。Uさん、ありがとう!

「朝生ワイド」を確認したい方は、58日(土)のあさ518からの『声~あなたと読売テレビ』で、「朝生な」感じを是非ご確認下さい!

 

(2010、5、5)

2010年5月 6日 10:00 | コメント (0)

新・ことば事情

3960「ベンショー」

 

『声に出して笑える日本語』(立川談四楼、光文社知恵の森文庫:2009420第1刷・20104208刷)という本を読んでいたら、由利徹さん

「ベンショー、バラしてくらあ」

と言っていたと、立川談四楼さんが書いていました。「小便(ショーベン)」」をひっくり返して「ベンショー」。それを読んで私は「ハッ!」としたのです。

私が子どもの頃、関西(大阪府堺市)では、関東で言う

「エンガチョ」

(この言葉を私が知ったのは、大学に入って東京に行ってからでした)と同じ意味の言い回しに、

「ベベンジョカンジョ、カギしめた!」

というのがあって、この、

「ベベンジョカンジョ」

の意味が分からなかった。「便所」なのかなあと、子どもの頃は何となく思っていました。それから網野善彦さんの本を読んだりして、「エンガチョ」と「結界」、「けがれ」の感覚が子どもの遊びの中に入っていたことを知りました。また、牧村史陽さんの『大阪ことば事典』で、

「ビビンチョ」

という言葉が大阪弁にあって、意味は「汚らしいこと。尾篭(びろう)なこと」で、

「『ビビンチョにさわろまいか、石かねもって来い』

などと、街角で馬糞などをうっかり踏みつけたりすると、仲間の腕白どもは、こういってはやし立てたものである。尾篭のビを重ねたもの、石金はひうち石のことなどと説かれているが、尾篭と石金との関連などに付いては説明されたものがない。」

とあり、さらに大坂では「極めて下等な茶屋女」(つまり街娼、夜鷹、でしょうか)のことを、「ビンショ」と呼んだと。その「ビンショ」「下等な淫売」そう書いてあるので、そのまま)なので、うっかり手を触れると毒でもうつされる、その毒消しに「石金=火打石」を使うことをさして、

「ビビンチョにさわろまい、石かねもってこい」

と言ったのであろうと。同じ意味で、

「ビビンチョ、カイチョ、カイチョもってはしれ」

というのもあるそうで、これなんぞは、私が子どもの頃の堺のはやし言葉によく似ています。そして、大正時代には「カイチョ」が「カンチョ」になっていたといいます。ちなみに「カイチョ」は明らかに「開帳」であると、いやはや、すごい話になってきました。付いて来てます?(女性陣は、なかなか付いて来られないのでは?)

また、京都では

「ビンショあぶらしょ、天道さんに錠かけよ」

とも言ったそうです。

話がそれてしまった気がしますが、要は、私が談四楼さんの本で思ったのは、

「『ビンショー』というのは、『小便』をひっくり返した『ベンショー』から来ているのではないか?」

ということでした。ああ、話が回りくどかった。

 

(2010、5、3)

2010年5月 5日 23:48 | コメント (0)

新・ことば事情

3959「マミゲ」

 

『声に出して笑える日本語』(立川談四楼、光文社知恵の森文庫:2009420第1刷・20104208刷)という本を読んでいたら、

「ああ驚いた。マミゲとマミゲの間をゲンノウで叩かれたようだ。」

という一文が。うん?「マミゲ」?それって「まゆげ」のこと

さっそくネット検索してみると、出てきました、「まみげ」!ネットの「大辞林」で、

「まみげ(眉毛)」=まゆげ【ヘボン】

また

「あがつま語」としても、

「まみげ」=[]=眉毛 (例)「まみげを 間違って剃っちまった」

とあります「あがつま語」って関東方言のことかな?関西弁(近畿、北陸、東海、山陰、四国、北九州)では、

「まいげ」

とも言うと。そして、紀伊半島、山陽では、

「まひげ」

南九州では、

「めげ(目毛)」

関東や甲信越で、

「まみえ」「まみげ」「まみや」

奥羽では、

「かおのけ」「このけ」

と言い、「まゆげ」と言っている地域は実は少なかったと、ネット辞書webiloには書かれていました。そうなのか!

談四楼さんは群馬県出身のようですから、もしかしたら群馬方言かもし

れませんね。

あ、『広辞苑』にも載っていたわ。ひとこと「まゆげ」と。

『精選版日本国語大辞典』も載っていて、用例はなんと落語の『蒟蒻(こんにゃく)問答』<四代目・橘家円喬>(1894で、

「眉毛(まみへ)の白い中から黒い眉毛(マミゲ)が飛出して居る処の工合」

だそうです。最初は「眉毛」と書いて「まみへ」で、2度目が「まみげ」。色んな言い方があるのかな?関東のかおりのする「まみげ」でした。

で、皆さんの地域では、なんて言いますか?「眉毛」?

 

 

 

(2010、5、3)

2010年5月 5日 22:06 | コメント (1)

新・ことば事情

3958「ケンドーン・コバヤシ」

家でネクタイを選んでいたら妻が横に来て、

「これ派手やねえ・・・」

エメラルドグリーンの派手なネクタイを手に取りました。

「たしかオーストラリアで買ったんだっけ」

私はすっかりそんなことは忘れていて、

「え、そうだっけ?」

と言うと、

「そうよ。ほら、『ケン・ドーン』でしょう。」

それで思い出しました。派手な原色の色使いで知られる「ケン・ドーン」のデザインしたネクタイが、当時気に入って買ったのでした。「ケン・ドーン」、最近あまり耳にしていなかったな・・・と思うと同時に、別の人の名前が思い浮かびました。そうです、あの人です。そこで、

「ああ、ケン・ドーン・・・・・コバヤシ」

と言うと、「ケンドー・コバヤシ」を知らないであろう妻は、

「え?コバヤシさんっておっしゃるの?」

想定どおりの答えを返してきたので、

「そうやで。コバヤシやで。知らんの?」

と言っておきました。ま、彼女が「ケンドー・コバヤシ」の存在を知ることは、きっと今後もないと思いますので、特にこれによって何か困るという事態は発生しないと思います。というのもその昔、ビデオで映画を見ていたときにあらすじと出演者の名前を彼女に聞かれて、私がハリウッド俳優の名前を、

「ニコラス・ケイジ

と言った時に、

「ふーん、刑事さんなの」

と言った人ですから。

気になる方は「平成ことば事情513天使がくれた時間」をお読みください。

(2010、5、5)

2010年5月 5日 19:06 | コメント (0)

新・ことば事情

3957「ドラボンゴール」

かわいい5歳の娘の言い間違いシリーズです。もう最近は本当に、なかなかこういった言い間違い、覚え違いは少なくなっているのですが。

先日、大阪は梅田の家電量販店の玩具売り場(なんだって売ってるんですな、最近の家電量販店は。百貨店と大して変わらないし、本当に「百貨」以上あるような感じ)のなかにある「ガシャポン」(ガチャポン、ガチャガチャとも言うそうですが。「平成ことば事情1453ガチャポン」をご参照ください)コーナーに行った時のこと、一つの「ガシャポン」の絵柄を指さした娘は、

「あ、これ知ってる!『ドラボンゴール』やろ!」

「うーん、惜しい!それはね、よく似てるけど、違うねん。それは『NARUTO(ナルト)』や」

「うーん、じゃあ、これは『ドラボンゴール』?」

「それも、『ナルト』」

「じゃあこれは?」

「それは『ドラゴンボ-ル』」

ようやくたどり着き、得意そうな娘。しかしその時でも娘は、

「『ドラール』と『ドラール』の違い」

については気付いていませんでした。

かわいいから、そのままにしています。

え?あなたも気付かない?・・・・・かわいいですね。音韻転換のお話でした。

 

(2010、5、3)

2010年5月 4日 10:51 | コメント (0)

新・ことば事情

3956「美少女っぷり」

53日の日本テレビ『スッキリ!!』を見ていたら、あの珍獣ハンター・イモトアヤコさんが自分で撮影した写真展を開いているという話題を取り上げていました。その中にセルフポートレートがあって、これがなかなか美少女(少女か?24歳らしいが)、というコメントの中で出てきたのが、

「美少女っぷり」

うーん、また登場したこの「っぷり」「平成ことば事情3915『ぶり』と『っぷり』」をご参照ください)。ワイドショーは、「ぶり」より「っぷり」が好きですね。すかさず、ケータイにメモをしていたら、そのすぐあとに、今度はチューインガムのコマーシャルで渡辺直美さんが「満月」の着ぐるみを着て出演しているその演技(?)の様子をさして、

「渡辺さんの見事な満月っぷりが見られるCM

という表現が出てきました。

「満月っぷり」

ですぜ、お客さん。そんな「っぷり」は「あり」かい?もう「おちょくっている」としか思えないのですが、おじさんは。

こんな私はおかしいでしょうか?

と問いかけた憲法記念日の朝。

そうだ、昔、吉田戦車の漫画に『ぷりぷり県』というのがあったな。あれなんか、何でも「ぷりぷり」してそうだ!Google検索では(5月3日)では、

「美少女っぷり」=   6630

「美少女ぶり」 =1550000

「満月っぷり」 = 19500

「満月ぶり」  =    117

そんな言葉、ないよな・・・と思って検索したら、「満月っぷり」が2万件近くもあったのでびっくりしました!本物の満月の見事さをさして詩的表現として使われているようですが・・・どうなんだか。

(2010、5、3)

2010年5月 3日 22:58 | コメント (0)

新・ことば事情

3955「なまごえ」

 

自民党・谷垣総裁がインタビューに答えている後ろに貼ってあったポスターに、

「なまごえプロジェクト」

という文字が。なまにえ?いえいえ、なまごえ。なぜ「の」を省くのでしょうか?

「『生の声』では、いけないんですか!?」

と、レンホウ議員のように問い詰めてしまいそうな気持ちになりますね。

こういう傾向は、「生足」以降かなあ。それとももっと古くて「生中継」「生放送」以降かなあ。

最近「生ゲンカ」(平成ことば事情3919)「生ライブ」(平成ことば事情3944)という表現の是非について書いたばかりですが、こんどは何と野党第1党まで「なまごえ」ですかあ・・・しかも全部ひらがな・・・なまぬるい。じゃあ、「党首討論」も、

「生ゲンカ」

かなあ。

届いた「なまごえ」を、どのように政策に「はんえい」していくのか?どうなんでしょうか、ねえ・・・。いや、「なまごえ」という表現についてなんですがねえ。これから梅雨時を迎えるにあたって、「なまもの」にはお気を付け下さい。いや、「なまごえ」という表現についての話なんですがねえ・・・。いやあ、にえきらん。

 

(2010、5、3)

2010年5月 3日 20:57 | コメント (0)