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『道浦TIME』

新・ことば事情

3954「ディシプリンがありコレクティブにプレーする」

サッカー日本代表・前監督イビチャ・オシム氏の新著『考えよ!~なぜ日本人はリスクをおかさないのか?』(角川Oneテーマ21)を読んでいたら、盛んに出てきたのが、

「ディシプリン」と「コレクティブ」

という言葉です。たとえば、

「彼にはディシプリンがあり、よりコレクティブにプレーするから、簡単にディフェンスラインから抜け出す。」

「確固たるディシプリンをブンデスリーガの厳しい環境の中で身につけたのかもしれない。」

「そこでプレーする選手は、コレクティブなプレーを知らねばならない」

「コレクティブであることを日本の特徴として、さらに伸ばしていかねばならない部分だが」

というように。これが分かるようで分からない言葉でしたので、調べてみました。

まずは、ちょっとおいしそうな「ディシプリン」。

discipline=【名】(1)訓練、鍛錬、修養、訓練(学習)法、修養法(2)規律、しつけ、風紀、統制、抑制、自制(3)懲戒、懲罰、折檻、(宗)苦行(4)(正式)学科、学問(分野)

【動】<人・動物>を訓練(鍛錬)する、<人・動物>を・・・するようにしつける(2)<人>を≪・・・の理由で>懲戒する。

 

全然、おいしそうじゃありませんでした。

続いて、「コレクテイブ」ですが、これって、

collective」「corrective

2種類がありました。どうやらcollectiveのほうらしい。

collective=【形】(1)(正式)集めた、収集した、集合的な(2)<移民などが>集団の、団体の、<所有権などが>共同の、共通の(3)集産主義の(4)(文法)集合的な【名】(1)共同体(2)集産主義社会、集団農場

などと書かれていました。これは「コレクティブハウス」などで聞いたこともあったし、想像通りでした。

しかし、サッカーも外来語というかカタカナ語が分からないと、ようわからん時代になったんでしょうかねえ・・・・。

 

(追記)

井ノ川欽浩さんという方から、

「『文藝春秋』6月号イビチャ・オシム「なぜ日本人指揮官は勝てないのか」に出てくる「ディシプリン」の意味が判らなかったので検索したらこのサイトがありました。参考になったのですが、綴りが「dicipline」となっていましたヨ。正しくは discipline」でしょう。何度も英和辞書引いて出てこなかったもので。」

とご指摘を戴きました。井ノ川さん、ありがとうございます。直しました。

ついでに「おしいそうな」「おしそうな」になっていたので、これも直しました。

(2010、5、28):

 

 

(2010、4、28)

2010年4月29日 10:28 | コメント (1)

新・読書日記 2010_085

『漢字の相談室』(阿辻哲次、文春新書:2009、6、20)

 

去年出た本だが、買ったあと本の山の「積んどく」の下の方に入っていたが、5月に阿辻先生の講演を聞く機会が出来たので、「ならば、読んでおかねば」と読み出すと、読みやすいしおもしろい。

今年秋に新しくなる「改訂・常用漢字」の審議委員のお一人である阿辻先生、いったいどのような考えでいるのか?と思い、読んだ。

現在の常用漢字表で「しんにゅう」は、点が1つの「1点しんにゅう」を採用しているが、新しく常用漢字表に加わる漢字は、点が2つの「2点しんにゅう」のままで入ってくるのです。これに私は、納得がいかない。阿辻先生は、

「『康煕字典』では『2点しんにゅう』だから、『2点しんにゅう』が伝統的には正しい」

というお考えと、

「既にパソコンでは、今度常用漢字表に新たに入る漢字は『2点しんにゅう』になっているから、それに従うしかない」

というお考えのようですが、特に教育現場では「伝統的に正しいか正しくないか」ではなく、「わかりやすさ」が求められると思います。

これまでは「1点」と「2点」の違いに関しては、

「常用漢字であるか、そうでないか」

という単純なわかりやすい理由付けが出来ましたが、今後同じ常用漢字表に「1点」と「2点」が混在すると、

「新しく入ったのは2点で、前からあるのは1点」

というややこしい事態になってしまいます。

よく言うのですが、たとえイチローであろうと、WBCで日本代表として出場するときは、「JAPAN」のユニホームを着ます。マリナーズのユニホームではなくて。新しい「伝統的に正しい」漢字たちも、「常用漢字表」という「代表チーム」に入るときは、そのユニホーム(1点しんにゅう)を身に付けるべきではないでしょうか?

今回の常用漢字表の改訂では「書けることよりも、読めることを重視」という、パソコン普及に伴う改訂になったと思いますが、この「1点か2点か」という問題は、特に「手書き」で問題が出るのです。そして、教育現場は「手書き」です。「常用漢字」とは「高校卒業までに身に付ける漢字」ですから、教育現場と密接に関わっています。

この本を読んでもその点に関しては、私の意見はこれまでと変わりませんでした。

 


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(2010、4、26読了)

2010年4月28日 23:42 | コメント (1)

新・読書日記 2010_084

『民主党政治の正体』(渡辺喜美、角川SSC新書:2010、1、24)

「民主党さん、パクっていいですよ!」と帯に。デフレからの脱却、政権交替後の民主党の実態、官僚主導に結局呑み込まれている民主党・・・だから公務員制度改革が必要!というようなことが書かれた、最近、注目度が高まっている「みんなの党」代表・渡辺喜美さんの著作。

最終章の具体的な提案はおもしろかった。

 

 


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(2010、4、23読了)

2010年4月28日 17:30 | コメント (0)

新・ことば事情

3953「10分・15分で」

「橋下知事が東京で、ぶら下がり取材に応じました。10分、15分で素材送ってきます!」

と報道フロアに女性デスクの声が響きました。この中の、

10分、15分」

という言い方って、糸井重里さんの言う「オトナ語」なのかな?と思って『オトナ語の謎。』という本を紐解きましたが、載っていません。そこでハタと思い出しました。この「10分、15分」という言葉を初めて耳にした時のことを。

それは、社会人1年生の頃、タクシーに乗っていたときに、タクシーの一斉無線で、配車係のおじさんが、

「東天満、亀井様(仮名)、10分、15分」

と言っているのを聞いたのが、おそらく「初めて」だったと思います。言わずもがなですが、10分、15分」の意味は、

10分から15分ぐらい」

ということで、実際に「10分~15分」という時間を表すとは思いますが、それ以外にも、

「『すぐ』ではないし、56分よりは時間がかかるが、まあ、そこそこ短い時間で」

というニュアンスも言っていると思います。それにしても、

15分・20分で」とか510分で」

にくらべると、10分・15分で」の方がよく使われている気がするのですが、気のせいでしょうか?ネット上では(Google検索=427日)

10分・15分で」=265万件

5分・10分で」 327万件

15分・20分で」=215万件

5分・10分」も結構使われているのですね。「1、2分で」「2、3分で」「3、4分で」「4,5分で」「5、6分で」も使われているはず。右側の( )内は使用頻度順位です。

「1、   2分で」=3950000件(1)

「2、   3分で」=2470000件(3)

「3、   4分で」=1670000件(4)

「4、   5分で」=3400000件(2)

「5、   6分で」=1040000件(6)

「6、   7分で」= 526000件(8)

「7、   8分で」= 813000件(7)

「8、   9分で」= 153000件(9)

「9、   10分で」=1410000件(5)

これらは前半の数字に「分」は付きませんが、10分・15分」だと前半の数字にも「分」が付きます。「9、10分」は、話し言葉でも使われているかどうかは疑問です。

それにしてもいまや、自分でも使うようになったかなあ・・・・。やっぱり「オトナ」になったということか。

(2010、4、27)

2010年4月28日 15:29 | コメント (0)

新・ことば事情

3952「隠れた人気」

 

427日のスポーツ紙にこんな見出しが!

「メロン熊が人気~夕張の土産品の座狙う」

そして大きな「メロン熊」の顔写真が。メロンとヒグマが合体した北海道は夕張の新キャラクターだそうです。本文を読んでみると、

「新キャラクター『メロン熊』が隠れた人気で、メジャーな土産品の座を狙っている」

とのこと。この中の、

「隠れた人気」

という言葉ですが、これって、本当に「人気」なんでしょうか?「メジャーの座を狙っている」ぐらいですから、まだ「すごい人気」ではなく、

「知る人ぞ知る」

といったところなんでしょうね。この「隠れた人気」によく似た表現としては、

「静かなブーム」

というのがあります。以前書きましたね。(「平成ことば事情1500静かなブーム」参照

この「メロン熊」は、去年9月に登場して年内に完売、今年4月から種類を増やして再登場したとのこと。去年は商品第1弾のマグネット(380円)が、3か月で1000個売り切れたそうです。結構かわいいです。本当の「人気者(物?)」になって「隠れた」ではなく「表に出てくる人気」になるかもしれませんね。

Google検索(427日)では、

「隠れた人気」 = 691000

「知る人ぞ知る」=1580000

「静かなブーム」= 156000

でした。「静かなブーム」よりは「隠れた人気」の方が、「人気」がありそうです。

 

(2010、4、27)

2010年4月28日 12:26 | コメント (0)

新・ことば事情

3951「1937年7月の読み方」

 

報道局の後輩で元アナウンサーのS君から、メールが届きました。

19377月は、『ななねん・しちがつ』と読むべきでしょうか?それとも『しちねん・しちがつ』が適当でしょうか?」

これに対してこう返事のメールを送りました。

「『ななねん・しちがつ』か『しちねん・しちがつ』か、どっちも可能だが、時代を考えると『しちねん・しちがつ』かな。太宰治の作品に、皇紀2600年を控えて、100年後の2700年には『にせんななひゃくねん』と言うようになったら嫌だ、という会話が出てきますから、昭和10年代まで東京では『なな』は異端だったのでしょう。」

そうすると、もう一つ数字の読み方に関する質問が。

「『それから9年後の昭和19年、彼女は19歳になっていた』は、『くねんご、じゅうきゅうねん、じゅうきゅうさい』ですよね?」

これについては、

「『くねんご、じゅうきゅう(く)ねん、じゅうきゅうさい』。1937年という西暦と、元号の昭和19年が同時に出てくるの?あと、日テレは『1999年』は『センキューヒャクュージューくねん』ですね。」

と答えました。どう放送されたかは分かりませんが。

 

(2010、4、21)

2010年4月28日 10:00 | コメント (0)

新・ことば事情

3950「八角弁当の八角」

 

「水了軒」が、破産申請をして事業を停止するという記事が、421日の朝刊に載っていました。

こう聞いてもご存知ない方も多いかもしれませんが、「水了軒」は1888(明治21年)創業の大阪の老舗・駅弁屋さんです。特に代表的なお弁当は、

「八角弁当」

文字通りこれ、私は結構好きで、新大阪駅から新幹線に乗るときなどには必ず買っていたのですが、もう食べられなくなるのかなあ。

以前、その「八角弁当」を買ったときのこと、

「ハッカク弁当下さい」

とお店の人に言うと、その売り子のおばさんが、

「はちかく弁当ですね」

と言うではないですか!

「はい・・・・そうです」

とは言ったものの、

「私は『ハッカク』と言ったのになぜ『はちかく』と言い直すのだろうか?」

と疑問に思っていました。そして

「もしかして『八角弁当』は、正式には『はちかく弁当』というのか?」

という疑問が残ったままでした。

けさ、会社に来ると報道業務のNさんが、

「水了軒が破産したけど、『ハッカク(八角)弁当』のことを、けさのテレビのニュースで『はちかく弁当』と言ってたで」

と教えてくれました。そこで、

「ああ、あれはもしかしたら正式には『はちかく』なのかもしれません」

という話をしました。

なぜ、そうなるのか、考えました。

大阪の人間は「母音無声化」がないので、「八角」は、

「『はちかく』と『無声化せずに』」

言います。標準語では「はちかく」と言うと、

「『ち』の音が『無声化して』聞こえにくくなる」

ので、それが長い間に促音の小さい「っ」になって「はっかく」になったと考えられますが、無声化のない大阪では、そのまま「はちかく」で残ったのではないかと。ただ、梅田のDDハウスにある 「なにわ炉端・八角」は「はっかく」です。と店舗情報も含めて答えました。

「6」と「8」の無声化と促音化の関係については、「平成ことば事情2656」で書きましたので、読んでみてください。

 

(2010、4、21)

2010年4月27日 22:24 | コメント (0)

新・読書日記 2010_083

『日本語教のすすめ』(鈴木孝夫、新潮新書:2009、10、20)

もう随分前だが、鈴木先生に、インタビュー取材の依頼をしたことがある。電話をかけて「『虹は本当に7色か?』というお話を是非!」とお願いしたが、

「それはもう何十年も前に、僕の中では終わった話だ」

と言って取材は断られました。しかしそのあと、最近あった「自動車の運転マナーの悪さ」の話を、延々1時間ほど聞かされた。「これだけ話し相手になったのだから、もしかしたら私のことを気に入ってくれて、取材を受けてくれるのかな?」と思って、

「あのお、それで『虹』の話は・・・」

と言うと、

「それはさっき断りました!」

とキッパリ・・・。

しかしこの本は、これまでの鈴木先生の業績というかお話を、コンパクトに1冊にまとめてある。こういうことをテレビでやりたかったのに!

私がこの本で初めて知った話としては、「『逆転勝ち』という言葉はあったが『逆転負け』という言葉は、以前はなかった」という話。ちょっと調べて見たい気になった。 

 


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(2010、4、18読了)

2010年4月27日 19:08 | コメント (0)

新・ことば事情

3949「核サミットの呼称」

アメリカのオバマ大統領の呼びかけで世界47か国がワシントンに集まった「核サミット」。メディアによって呼称が違いました。

日本テレビ・読売テレビ系列では、

「核セキュリティーサミット」

と呼びましたが、新聞各社は本文では、

(読売)核安全サミット

(朝日)核保安サミット

(毎日)核安全保障サミット

(産経)核安全保障サミット

(日経)核安全保障サミット

と綯っていました。(見出しでは「核サミット」「保安サミット」などもありました)

主流は「核安全保障サミット」ですが、つまり原語(英語)で、

security(セキュリティー)」

にあたる部分を、どう日本語に置き換えているか、というのが違ったのです。

日本テレビ系列は、そのまま外来語「セキュリティー」読売新聞は「安全」、朝日は「保安」、毎日・産経・日経は「安全保障」でした。

新聞は「字数制限」が厳しいので、出来るだけ字数を減らそうとして「安全」(読売)、「保安」(朝日)という言葉になったと思いますが、「略しすぎでは?」というところは「安全保障」にしたのでは?テレビは新聞ほど文字数の制限が厳しくないことと、「安全保障」と言うと、国連の「安全保障理事会」と間違いやすいという配慮があって「セキュリティー」になったのではないかな、と推測しています。

テレビ各社の表現は、また聞いておきますね。

(2010、4、15)

(追記)

NHKは、

タイトル表記「核安全サミット」

コメント(読み)「核セキュリティーサミット」

だそうです。

TBS系列(JNN)は、「核安全保障サミット」。(共同通信によれば英文では、

the Nuclear Security Summit』)

とのことでした。

 

(2010、4、26)

2010年4月27日 14:40 | コメント (0)

新・ことば事情

3948「サプライ品」

 

電器量販店のチラシを見ていたら、

「サプライ品」

という文字が。初めて見る言葉です。どんなものが「サプライ品」なのか、よく見てみると、

「電球・管球、各種メディア、電池、パソコンサプライ」

こういったものが「サプライ品」なんだそうです。要は、

「消耗品」

ですね。ちょっと昔だったら「ビデオテープ」とか「カセットテープ」「フロッピーディスク」などのことですね。今は「CD―ROM」「DVD」「ブルーレイ」なども。それはここでは、

「各種メディア」

と記されていたものでしょう。また「電球」は知っていますが、

「管球」

というのは、あまり見慣れない言葉です。

新しい言葉を知らないと、買いたいものも探せなくなるかも。ちょっと自分は、時代に遅れてるなあと感じた、1枚のチラシでした。

「サプライ」、英和辞典で引くと、

supply」=【動詞】(1)<人・機関などが><(足りない)物>を供給する、配達(支給)する。(2)・・を補充する、埋め合わせる、・・・の代役(代行)をする、<必要>を満たす、(パズルなどで)<空所>を埋める

【名詞】(1)供給物、供給量、支給物(量)(2)(しばしば~ies)必需品、糧食、備蓄、ストック(複合語で)・・・用品、【軍】補給品、在庫(貯蔵)量(品)(3)供給、支給(4)(英)【~ies】歳出、国費(5)代理、補欠

で、これで言うと軍隊用語の「補給品」に近い感じもしました。

(2010、4、19)

2010年4月27日 12:40 | コメント (0)

新・ことば事情

3947「映画会社"を"急行」

4月22日の『ズームイン!!SUPER』で、最近映画を「字幕」ではなく「吹き替え」で見る人が増えているという特集をしていました。その理由をリポーターの堤信子さんが取材していたのですが、その中のコメントで、

「映画会社<を>急行」

というものがありました。これはあきらかに、

「映画会社<に>急行」

が正しいですね。その後「急行」がキーワードだったらしく、堤さんは、

「制作会社<に>急行」

「映画館<に>急行」

と、「急行」を繰り返していましたが、そこでは「に」でした。最初の「映画会社」だけ「を」と読み間違えたのか??それともなぜか「映画会社」だけ「を」と原稿に書かれていたのか?それは分かりませんが、「映画会社<を>急行」には強い違和感を覚えました。これが、

「映画会社を"急襲"」

なら正しい使い方だと思いますが。

最近、こういった場面で使われる助詞の乱れが目に付きます。日本新聞協会新聞用語懇談会放送分科会で改定作業中の『放送で気になる言葉・改訂新版』の改訂原稿でも、この問題「<に>か?<を>か?」を取り上げています。

まだ確定した原稿ではありません(たたき台)が、ここに載せておきます。

****************************************

「"に"?"を"? 正しい助詞の使い方」

展覧会のニュース原稿の中で使われた、

「作品"を"見入っていました」

というフレーズが気になりました。これは正しくは、

「作品"に"見入っていました」

でしょう。「見る」だけなら、その直前の助詞は「を」で「~"を"見る」に

なりますが、「見入る」となると、後ろの「~入る」の方が支配的で、複合語と

しては「~"に"見入る」の方が自然であろうと思います。

同じようなケースで、スーパーに男が押し入り、店員にカッターナイフで切り

つけたというニュースで、

「店員の女性"を"切りつけた」

という表現が出てきました。これも「切る」だけなら「を」でいいのですが、

「切りつける」となったら「に」の方がしっくりきます。一般的には「へ=

方向」、「を=目的」、「に=目的+方向」を表します。「切りつける」は、「目

的」に加え「方向性」が出てくるので「に」を使った方が良いのです。

こういった「助詞の使い方」については、国立国語研究所編『新「ことば」シ

リーズ14・言葉に関する問答集―よくある「ことば」の質問』(2001年)や、

日本語・フランス語教師・野口恵子氏の『バカ丁寧化する日本語~敬語コミュニ

ケーションの行方』(光文社新書、2009年)の中でも触れられています。

いずれにせよ、複合動詞の"前"の「助詞の使い方」には、注意が必要です。

(2010、4、22)

2010年4月27日 10:32 | コメント (0)

新・読書日記 2010_082

『1Q84 BOOK3』村上春樹、新潮社:2010、4、16)

発売が416日、翌日に買いました。売り切れではありませんでした。クイクイ読めちゃうね。「BOOK1」と「BOOK2」では、ヤナーチェクの曲が話題になったけど、「BOOK3」でもいろんな音楽が出てきます。たとえば「シューマンの『謝肉祭』」とか、『見上げてごらん夜の星を』も出てくるけど、これは歌詞がちょっと間違っていますよ。

そのほか、村上春樹はやはりおしゃれというか、服装をかなり丁寧に描いています。

「ヨットパーカのフード」(283ページ)

「ツイードの上着にカシミアの薄手のセーター、やはりカシミアのマフラー、ウールのズボンにスエードの靴。」(296ページ)

「体操用のジャージの上下みたいなものを来て、汚いスニーカーをはいていた。」(344ページ)

など。おもしろかったのは、

「タイトルがすばらしい。白紙でも売れそう」(75ページ)

という一文。とても皮肉で辛らつな表現。そういう本、あるよねえ。また、

「雨に濡れた疥癬(かいせん)病みの、尻尾のちぎれた犬」

というのは、独特の汚い感じの表現。

「二級品のミイラのようなひからびた相貌の男」

「いかにもうまそうに吸った。セブンスターもそれくらいうまそうに吸われると本望だろうと牛河は思った」(75ページ)

というのもおもしろい表現。

「麻布の屋敷に住むその老婦人」

と、「老婦人」なんて言葉も古風ですな。なんとなく「イギリス」を感じる文章です。

え、小説の内容?それは読んでください。書くと、面白みがなくなるでしょ?


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(2010、4、19読了)

2010年4月26日 22:14 | コメント (0)

新・ことば事情

3944「忖度と民意」

「忖度」

と書いて、

「そんたく」

と読みます。結構、難しい言葉ですね。漢字も簡単なようで難しい。

「ミヤネ屋」に出演中の大田アナウンサーが、今年の3月下旬に、

「これまであまり聞いたことがなかったのに、小沢・民主党幹事長のニュースでよく耳にするようになった、新しい言葉です」

といって教えてくれました。私は特に気が付かなかったのですが。

もちろん「忖度」という言葉は知っていますが、確かにあまりふだん使う言葉ではないですね。難しいし、「忖度」しないほうだし。どちらかと言うと、

「損得」

の方がかかわりがあり、さらに

「どんたく」

だと楽しくなっちゃうけど。時計は、

「チクタク」

辞書を引いておきましょう。『広辞苑』です。

「そんたく(忖度)」=「(「忖」も「度」もはかる意)他人の身中をおしはかること。推察。(例)「相手の気持ちを忖度する」

小沢さんは、誰の気持ちを「忖度」しているのでしょうか?・・・・検察?

あ、そうそう、小沢さん・・だけではないんですが、

「民意を大切に」

という言葉を聞くたびに、なんだか違うような気がしていたのですが、最近、「もしかしたら・・・」と思うことがあります。

「実は『民意』と言っているのでは、ないんじゃないか?」

それに近い音の言葉ではあるのですが、「民意」ではなく、英語で

 

 

me(ミー)」

 

 

と言っているのではないかという気がします。民草としては・・・。

 

(2010、4、20)

2010年4月26日 21:30 | コメント (1)

新・ことば事情

3945「しゅむ」

 

いよいよ422日(木)、「ミヤネ屋」とセブン-イレブン・ジャパンのコラボ商品「おにぎり」2種類が発売になります!(なりました!)宮根さんが提案したアイデアに基づいて出来上がったのは、

(1)青じそ御飯の ちりめんおかか...126円(税込)

(2)韓国 焼肉...126円(税込)

2種類。『セブン-イレブン』と『イトーヨーカドー』で全国一斉発売なんです!

その記者会見が、きょう(21日)「ミヤネ屋」本番終わりのスタジオ内で行われました。

その際に宮根さんが、

「ごはんにしゅんだ焼肉のタレがおいしいのよ!」

と話しました。この、

「しゅんだ」

ですが、「関西弁」ですよね?わっかるかなあ・・・「しゅむ」共通語では、

「染む」「染みる」「染み込んだ」

ですね、きっと。宮根さんは番組内で、

「1か月で1500万個売る!」

と豪語。あとでセブン-イレブン・ジャパンの方に聞いたら、他のおにぎりで一番売れているものは、

105円のツナマヨ」

でその数は、

700万個」

う・・一番売れているおにぎりより21円高くて、しかもその倍以上を売る・・・ハードル高いなあ・・・。

一体、1日に何個売れば1500万個になるのか?も、セブン-イレブンの方に宮根さんが聞いたら、

2種類のおにぎりが各店舗で、1日各40個売れないと、30日で1500万個にならない」

のだそうです・・・。クーッ、大丈夫やろか?

スタートダッシュが大切だそうですが、明日「雨」らしいしなあ・・・。

おっとそれはさておき、「ことば事情」的には「しゅむ」です。牧村史陽『大阪ことば事典』に載っていました!

     「シュム(浸む・染む)」=しむの訛である。染む。にじむ。名詞は「シュミ」(例)身にシュム、酒のシュミ、シュミぬき(染抜き) また塗薬などが皮膚に沁む場合などにもいう。

ああ、たしかに、

「傷口に薬がシュム!」

って言いますね!『広辞苑』にも「しゅむ」が載っていました!(用例は略)

「しゅむ」=(シム(染)の転。多く「しゅんだ」の形をとる。)(1)染まる。(2)強く刺激されて痛いように感ずる。しみる。(3)盛んになる。佳境に入る。(4)地味だ。けちけちしている。みすぼらしい。

うーん、古語かなあ。大阪弁の「シュム」と微妙にニュアンスというか用途が違うみたいですが・・・。

ま、何はともあれ、「ミヤネ屋おにぎり」発売です!これを読んだ人は、みんな買うようにしてくださいね!お願いします!!

(2010、4、21)

2010年4月23日 12:00 | コメント (1)

新・ことば事情

3943「痛烈なダメージを及ぼす可能性」

 

420日の「ミヤネ屋」の原稿で、

「不況に苦しむ日本経済に、痛烈なダメージを及ぼす可能性」

という一文が出てきました。これを見て何かひっかかった。

これは「可能性」ではなく「おそれ」ではないか?つまり、

「痛烈なダメージを及ぼすおそれ」

ではないかと思って、そのように変えて読みました。

放送後、もう一度原稿を見直していたら・・・あれ?やっぱりまだおかしい。「なんか読みにくいな」と思っていたら、これ、

「ダメージを・・・」

のあとは

「与える」「受ける」

が来ますよね。「及ぼす」は来ません。それに、

「痛烈なダメージ」

もなんかおかしい。「痛烈な」の後に続く言葉で一番ピッタリ来るのは、

「(痛烈な)批判」

でしょう。この場合は、

「強烈なダメージ」

の方がいいな。「強烈なダメージを受けること」が「痛烈」ですから、正しくは、

「不況に苦しむ日本経済に、強烈なダメージを与えるおそれ」

でした。たった1行の、しかも単語が助詞を含め「5つ」しかない文節で、「3つ」間違ってました・・・・。まいった!

(2010、4、21)

2010年4月23日 10:22 | コメント (0)

新・ことば事情

3942「アーメーマー」

4月15日地球一周の「アースマラソン」に挑戦中の間寛平さんが、サンフランシスコで前立腺がんの放射線治療するため、「アースマラソン」を2か月中断することを発表しました。

寛平さんと言えば、さまざまなギャグの持ち主。このニュースを伝える映像でも、海外で(たぶんイランで)、

「アーメーマー!」

と言っている姿が流されていました。

で、詩人の谷川俊太郎さんと、同じく詩人・和合亮一さんの対談集、『にほんごの話』を読んでいたら、「オノマトペ」について話題にしていました。「オノマトペ」というのは「擬態語・擬音語」のことですね。そこに、「アー」「マー」「パー」というような言葉は、赤ちゃんが一番発声しやすい言葉で、

「喃語(なんご)」

というんですね。これが、間寛平さんの「アーメーマー」に似ている。つまり「アメマ」は、「幼児の喃語(なんご)と同じだ」ということに改めて気付きました。

寛平さんのギャグも、そういう意味では「意味がない音」が結構あるので、それはある意味では、大変高尚なのかもしれません。もしかしたら、草野心平の詩集『蛙』の位置まで行ってる?あの詩は「蛙語」で書かれていますからね、人間には意味が分からない。

寛平さんは「おバカ」に見えて「おバカ」でない。だから「おバカ」に見せるのが下手で、「バカ」に見えてしまうところが、ちょっとイヤな部分でもあるのですが。

元気に「アースマラソン」に復帰されることを、お祈りしています!

 

 

(2010、4、19)

2010年4月21日 14:29 | コメント (0)

新・ことば事情

3941「『小豆』の読み方」

先日『かんさい情報ネットten』で、和菓子のお店の紹介の中で、

「小豆」

を、お店の人の言い方をそのまま使って

「しょうず」

とナレーターが読んだら、視聴者の皆様からたくさんお叱りの言葉を受けました。

「『小豆』と書いたら『あずき』に決まっているやないか。アナウンサーなのに、そんなのも知らないのか」

「子どもが『小豆』は『しょうず』と覚えたらどうしてくれる!」

など、かなり厳しいご意見です。

実は「小豆」は、一般的には「あずき」と読みますが、専門家(和菓子や相場師)のなかでは、

「しょうず」

と言うこともあるのです。と言ってもそれは一般的ではないので、そのあたりについては、

「専門家が言っているから」

と、そのまま何の説明もなく使うのではなく、

「北海道産のあずき=十勝ショウズ」

と説明をすれば問題がなかったかと思います。そういう意味では、

「普通の人は99%、『小豆』を"しょうず"と呼ぶことを知らないはずだ。"しょうず"とも読むのなら、きちんと補足説明をするべきだろう。子供がこのテレビを見た時に疑問を持つじゃないか」

というようなご意見は正にそのとおりもっと気を使って情報を伝えないといけないと、改めて肝に銘じたのでした。

ご意見をわざわざお寄せくださった皆さん、有難うございます。

(2010、4、19)

2010年4月21日 10:27 | コメント (0)

新・ことば事情

3939「もし、舛添さんと東国原知事が新党を作ったら・・・」

もし、舛添さんと東国原知事が「新党」を作ったら・・・・・・・・・オススメの「党名」があるんです・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たちあがれ毛根」

 

 

 

 

 

 

 

失礼しました・・・・・。

(2010、4、15)

2010年4月20日 23:59 | コメント (1)

新・読書日記 2010_081

『にほんごの話』(谷川俊太郎、和合亮一、青土社:2010、3、3)

詩人・谷川俊太郎と、同じく詩人の和合亮一の対談集。和合さんが谷川さんに対してへり下っていて、おもねっているように感じられて・・・・でも時々、自慢というかアピールするところが、若者的な言い方で言うと、ちょっとウザイ。「上から目線」で言うと、鼻に付く。気持ちはわからなくもないが。そういった対応を谷川がバッサリ切るところは痛快だが、大人気ないようにも感じる。「やめてくださいよ、もう・・・」と照れていることのあらわれか?

あとで帯のところに書いてあった、和合の生年を見ると1968年。対談のときは、まだ30代。親子ほど年の離れた偉大な詩人・谷川に萎縮しているか?それだけ谷川と年が離れているのであれば、こういった接し方も仕方がないかなあと、ちょっと納得。しかし、後半の対談に進むにつれて、距離が近くなっているように感じられた。

 

 


star3

(2010、4、17読了)

2010年4月20日 20:50 | コメント (0)

新・ことば事情

3938「『たちあがれ日本』のアクセント」

NHKの原田邦博さんから、平沼赳夫さん・与謝野馨さんらが立ち上げた新党、

「たちあがれ日本」

アクセントに関して、こんなメールをもらいました。

「平均年齢およそ70歳の新党『たちあがれ日本(にっぽん)』ですが、最近、ある民放で、『たちあがれ・日本』

と、2語で読んでいるアナウンスを聞きました。

『立ち上がる』のアクセントには『平板』と『中高』がありますが、いずれにしても1語になれば、

『タ/チアガレニッポ\ン』

となります。それを『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』と2語に分けていたのです。

仮に2語でも、『平板』なら、『タチアガレ・ニ/ッポ\ン』となり、違和感はないでしょう。『新党日本』は『シ\ントー・ニ/ッポ\ン』と2語にならざるをえないでしょうが、『たちあがれ日本』は1語のほうがいいのではと感じました。」

 

私は、こう返事のメールを打ちました。

「これに関しては、名称が決まった瞬間(私がまだそのニュース知らない間)から、あるアナウンサーが、『2語意識』の

『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』

なのか、『1語意識』の

『タ/チアガレニッポ\ン』

なのか?と質問してきました。私は『2語意識』の

『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』

だが、慣れてくれば、『1語意識』も『あり』で、今はどちらも間違いではないだろうと答えました。(ご指摘どおり、)

『立ち上がる』

のアクセントは『NHK日本語発音アクセント辞典』も、秋永先生の『新明解日本語アクセント辞典』も、

『タ/チアガル』(平板)

『タ/チアガ\ル』(中高)

2種類が載っているので、『タ/チアガ\レ』でも良いのではないでしょうか?

また『平板』では『強調』することが出来ませんから、そのためのアクセント変化と考えることも出来るのではないでしょうか?『平板』だと、みんなの党の渡辺喜美さんが聞き間違えたように、

『立ち枯れ日本』

に聞こえてしまうおそれがあるのでは?」

 

そして、きょう(4月14日)のスポーツ紙に、70歳の元衆議院議員が「たちあがれ日本」に参加して、

「また平均年齢が上がっちゃった」

という見出しが出ていましたが、それを見て私が思い出した(思いついた)キャッチフレーズが、

「60、70、喜んで」

でした。

(2010、4、14)

(追記)

NHKの原田さんから「補足」です。

「理論上は『タ/チアガ\レニッポン』という1語もありえます。後半の『ニッポン』のアクセントは消失するという考え方です。『レ』で一気に落ちるのではなく、『レニッポン』で徐々に下がるというイメージです。『自由民主党』が『ジ/ユ\ウ・ミ/ンシュトー』ではなく、『ジ/ユ\ウミンシュトー』という1語になるのと同じです。(「ミンシュトー」は「平板」なので違和感は少ないでしょうが)」

とのことです。納得。

(2010、4、19)

2010年4月20日 20:24 | コメント (0)

新・ことば事情

3937「大人のキリンレモン」

コンビニで新製品を見つけたので買ってしまいました。その名も、

「大人のキリンレモン」

だって、大人だもーん。

で、家に持って帰って冷蔵庫に隠しておいたら5分もしないうちに、中学1年になったばかりの息子がめざとく見つけて、

「お・・・これ何?」

「何って、見たらわかるやろ、『大人の』キリンレモンや」

「・・・ちょっと、ちょうだい」

「人の話を聞いてんのか?『大人の』って言ったやろ。子どもはあかん」

「でもあれ、アルコールは入ってへんのやろ。じゃあ、ちょうだいや!」

「あかん。大人になったら飲み!」

「えー!ちょうだいやあ!」

「しょうがないな、ちょっとだけやぞ。キミも4月から電車も大人料金になったからな」

ということで、コップに少しだけ入れてやりました。

グビッ・・・。

「ふん、そんなに甘(あま)ないな」

「そりゃ、そうや。なんと言っても『大人の』キリンレモンやもん」

と言い張る私は、大人?子ども?

キリンさんへお願い。「子どものキリンレモン」も出してくださいな。

 

(2010、4、19)

2010年4月20日 17:33 | コメント (0)

新・ことば事情

3936「『やわらかい』のプラス評価」

グルメ番組を見ていると、女性リポーターが何かを口に入れると、

「やわらか~い!」

と言います。これは当然、

「やわらかい=おいしい=プラス評価」

ということでしょう。さすれば、

「固い」

という表現はプラス評価にならないのでしょうか?「やわらかい」が、グルメで「プラス評価」になったのは、いつからなんでしょうか?

「やわらかいトンカツ」

「おいしい」んですよね?たしかにおいしいですが、

「歯ごたえのあるトンカツ」

は、おいしいんでしょうか?おいしいという表現になるんでしょうか???

「トンカツ」でダメなら「ステーキ」はどうでしょうか?「やわらかいステーキ」と「歯ごたえのあるステーキ」はどちらがおいしいのか?どちらが、プラス評価が高いのか???

うーん、難しいですねえ。なかなか答えは出ませんが。(調べないと分からない)

とりあえず、メモしておきます。

 

(2010、4、19)

2010年4月20日 16:33 | コメント (0)

新・ことば事情

3935「『遊んでいた』のアクセント」

 

227日、テレビ朝日の「スマステ」を見ていたら、「ドラえもん」の特集をしていました。その中でドラえもんの生みの親である、藤子F不二雄さんが、「テレビ朝日開局35年番組」で、「実写で」ドラえもんたちとコラボをした時の映像を流していました。1989のものです。今から21年前。その中で、今はなき藤子F不二雄さんが、

「遊んでいたもんなんだよ」

という言葉を、

「あ/そんでい\た、も\んなんだ/よ」

と話していました。藤子F不二雄さんの出身地はたしか富山県。富山ではこういった、

「~してい\た」

というように「いた」で下がるアクセントを使うのでしょうか?共通語アクセントでは、

「あ/そんでいたもん\なんだよ」

となると思うのですが。

10年ぐらい前に、あの日本テレビの小栗泉キャスターが、これと同じアクセントの言葉遣いをしていたのが印象的で、当時、

「訛ってるんじゃないか?」

と思った記憶が強いのですが、それと同じようなアクセントでした。

(2010、4、19)

2010年4月20日 14:30 | コメント (0)

新・ことば事情

3934「准教授と助教」

 

20074から、大学「助教授」が、

「准教授」

に変わりました。これを200746日の『ズームイン!!SUPER』で、読売テレビの辛坊治郎解説委員は、アクセントが、

「ジュ\ン・キ/ョージュ」

2語で読んだと、当時、NHKの原田さんから報告がありました。原田さんは、

「1語なら『ジ/ュンキョ\ージュ』になるのではないか?」

というご意見でした。(その後3年が経過して、原田さんの仰るとおりのアクセントで定着していると思います。)

その年の9月に、名古屋で開かれた「新聞用語懇談会・放送分科会」でも、「日々の事例」として、共同通信の委員から、以下のような質問が出ました。

「春の学校教育法改正に伴って

『助教授→准教授』

『助手→助教』

また、地方自治法改正に伴って、

『助役→副市長村長』

『出納長、収入役→会計管理者』

というような新しい呼称は、各社どうしているか?」

これに対して各社の意見をまとめると、

「『准教授』は使っているが『助教』はまだ出てきたことがないという社が大半。『准教授』は肩書きとして『山田准教授』のように苗字の後につけて使えるが、『助教』は肩書きとしては使いにくく、『○○大学助教の山田さん』のようになるだろう」

とのこと。

読売テレビの『ニューススクランブル』(当時)で、私がナレーションを担当したものでは、既に「助教」が出てきましたが、その時は、

「○○大学助教の山田さん」

のパターンで読みました。なお、まだ本人が、

「『助教授』という呼び名にしてくれ」

というケースもあり、その場合はご本人の意向に従っているというのが各社の現状でした。

また「助教」ではなく「助手」が残っている大学もあるので、その確認をしっかりしなくてはいけないということでした。

一方、市町村の場合、「副市長」は逮捕される「副市長」が出たりして結構、頻繁に出てきているので、各社使っているようでした。ただそれ以前のことも出てくるとちょっとややこしいですが、

「副市長が助役の時」

のような表現にしているということでした。

その後見かけた表現では、

「副教授」「副校長」

という言葉も!さらにその1年後の2008711日の毎日新聞には、

「阪大助教を逮捕」

の見出しが。刃渡り18センチの包丁を所持していたということで「銃刀法違反容疑」だそうです。あまりいい表現ではなく「助教」が出てきちゃいました・・・。

 

この原稿、3年ほどほったらかしにしていたので、ここで、一応まとめておきます。

 

(2010、4、19)

2010年4月20日 13:29 | コメント (0)

新・ことば事情

3933「『ひこ』と『へこ』」

今年も甲南大学で前期期間、「マスコミ言語研究Ⅰ」という講座を持たしてもらっています。

開講に当たって、受講者(2回生から4回生)に、「ことばと私」というタイトルで、言葉に関する思い出を書いてもらいました。その中に、

「祖母は丹波の出身で、食べ物を食べていて、のどにひっかかってむせることを『ヘこに入る』と言います。それが方言なのかどうかは分かりませんが、祖母が昔からずっと言っているので、わが家でも使います。以前、友人と食事をしていたときに『へこに入った!』といったら『何それ?』と言われました。それで『「へこに入った」って、うちの家族しか使わないんだ』と思って、それからは『へんなところに入った』と言うようにしています」

というものがありました。それを読んで私は、

「『へんなところに入った』も、ヘンな誤解を受けそう・・・」

と思うと同時に、

「うちの母が『"ひこ"に入った』と言っているのと同じだ!」

と思いました。私も「ひこに入った」は、母の方言(三重・伊賀上野)と思っていたのですが、これは共通語なのか?「へこ」か「ひこ」か?どちらかが訛っているのですね。

で、『精選版日本国語大辞典』を引いてみると「へこ」はありませんでしたが、「ひこ」はありました!

「ひこ(小舌)」=「口腔(こうこう)の奥、咽喉(いんこう)の上に垂れている肉。のどびこ。のどちんこ。口蓋垂(こうがいすい)」

「小舌」と書いて「ひこ」と読むくんだ!

さらに『広辞苑』にも、

「ひこ(小舌)」→「のどびこ」に同じ。

「のどびこ」=「口蓋垂」の俗称。

「口蓋垂」=「咽喉の上部から下垂する円筒形の軟性突起。発音器官の一つで、上下に運動して呼気の流れを決める。懸壅垂(けんようすい)。のどびこ。のどちんこ。」

なんと「ひこ」「へこ」は「のどちんこ」のことでした!でも「のどちんこ」には入らないので、結局「ひこ(へこ)に入った」の意味としては

「のどの(食道のほうではなく)気管に入ったときに言う言葉」

のようですね。Google検索では(419日)

「ひこに入る」 =3

「ひこに入った」=2

「へこに入る」 =0

「へこに入った」=1

「小舌に入る」 =1

「小舌に入った」=0

でした。(「入る」「入った」を平仮名にして「はいる」「はいった」にしたら、1件もありませんでした。)「ひこ」も「へこ」も、ネット上ではほとんど使われていない言葉ですね。共通語だとしても、死語に近いのかもしれません。なお1件だけ出てきた「へこに入った」は、

「黒豆茶と和菓子の但馬遊月亭・店長代理スタッフの中島さん」

のブログでした。やはり、甲南大学生のおばあちゃんと同じ「但馬」です!中島さんがお店で「へこに入った」という言葉を使ったところ、

「湯村の方言でしょ」

と言われたそうです。中島さんは20のようですが・・・方言かなあ・・どうなんだろ、方言というより古語なんじゃないのかな?「へこ」はともかく「ひこ」は共通語のようだし。丹波の人は、彦根のマスコット「ひこにゃん」のことも、

「へこにゃん」

と言うのかな?

(2010、4、19)

2010年4月20日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

3932「ちょったけ」

 

5歳の娘の「赤ちゃん言葉」が、随分減ってきました。

もう、普通のオトナのような言葉を使うので、赤ちゃんぽい、その時期特有の言葉が減ってきて、ちょっと残念。それが子どもの成長ということですが。

そんな中で久々に見つけたのが、

「ちょったけ」

という言葉。もちろんこれは、

「ちょっとだけ」

の意味です。「ちょっとだけ」は、「促音」とタ行の音、そして濁るタ行(=ダ行)の音が続くので、言いにくいのでしょうね。おそらく「方言」としては大人にも、この「ちょったけ」というのは使われているような気がします。

人間の脳は、5歳で大人の9割方、完成してしまうのだとか。うれしくもあり、ちょったけ、さびしくもあり・・・。

 

(2010、4、19)

2010年4月20日 12:14 | コメント (0)

新・ことば事情

3931「『ボウガン』か?『ボーガン』か?」

4月13日、奈良公園の鹿に矢を放って殺したとして、文化財保護法違反容疑で三重県のラーメン店店主が逮捕されました。この「矢を放った武器」の表記が、各社違います。

4月13日から14日にかけての新聞記事を見ると、

(読売・時事)   =ボウガン

(産経)      =矢

(朝日・毎日)   =ボーガン(洋弓銃)

(日経・日刊・報知)=ボーガン

でした。

読売テレビは最初、

「ボウガン」

としましたが、第2報からは、

「クロスボウ」

としました。報道のS記者によると、「ボウガン」は「ボウガン社」の登録商標なのだそうです。使ってもいいそうですが。しかも今回逮捕された男が使ったのは、「ボウガン社のものではない」ということが分かったそうなので、そのような措置を取ったとのこと。

テレビ各社の知り合いに聞いたところでは、

(MBS)=「ボーガン」

NHK)=「洋式の弓であるボーガン(表記は不明:音だけ)」

~「ボウガン」は和製英語で、本来は「クロスボウ」。以前登録商標だったという説があるが、確認できない。企業名や団体名であることは事実です。NHKではわかりやすさから「ボーガン」を使用している。「洋式の弓の"ボーガン"」などと説明して使っている。表記は実際の発音に合わせて「ー」にしている。

(ABC)=ABCの原稿を検索した限り「ボーガン」というのがあった。(それで放送したかどうかの確信はないが。)しかし、英語でbowなら「ボウ」だと思うので「ボウガン」の方が良いのではないか。ただ、株式会社ボウガンが商標登録しているものなので、これも微妙。

ということでした。

個人的には「ボー」とすると「棒」みたいで、二重母音部分を「ウ」で記す「ボウ」と書きそうな気もするのですが、「虹」の英語

「レインボー」

の最後の「ボー」は「bow=弓」の意味。その表記は、「レインボウ」ではなく「レインボー」ですから、この場合も「ボウ」ではなく「ボー」で良いような気がします。

ネット上ではGoogle検索によると(419日)、

「ボーガン」 =384000

「ボウガン」 =554000

「クロスボウ」=167000

「クロスボー」= 67200

でした。

(2010、4、19)

2010年4月20日 10:13 | コメント (0)

新・ことば事情

3930「17日間の読み方」

31日、「17日間」に亘って日本中を熱狂させたバンクーバーオリンピックが閉幕しました。それを伝えた「ミヤネ屋」の原稿に、当然、

17日間」

という言葉が出てきましたが、これを女性のナレーターさん(外部スタッフ)アナウンサーは、

「ジューナナニチカン」

と読み、読売テレビの局アナである男性アナウンサーは、

「ジューシチニチカン」

と読みました。これが217日」の「17日」なら、

「ジューシチニチ」

で統一するところですが、「間」が付いて「17日間」になると微妙。そもそもは、

「ジューシチニチ」

なんですが、「シチ」は「イチ」と聞き違うおそれがあるので、ラジオ局、特に関西の局では、

「ナナと読むのが正しい」

としている放送局もあるようです。読売テレビのようにテレビ単営局(ラジオを持っていない放送局)では「シチ」が主流という違いもあるので、対応がむずかしいところですね。

と、スタッフにメモで知らせたところ、翌日の原稿の「17日間」の「17日」には、ちゃんとルビが振ってありました。

「お、昨日のメモを読んでくれたんだな」

と思ってよく見ると、ルビの平仮名が、

「じゅうひちにち」

になっているではありませんか・・・・

関西人は「7」を「ひち」と言いますし書きますが、正しくは「しち」なんですう。そこまで、気をつけないといけなかったか!

(2010、3、4)

2010年4月19日 23:07 | コメント (0)

新・ことば事情

3929「気色ばむ」

 

4月14日の「ミヤネ屋」で、司会の宮根誠司さんが「気色ばむ」を、

「きしょくばむ」

と言ったところ、視聴者センターに、

「『けしきばむ』ではないのか!」

という電話があったそうです。たしか普通は「けしきばむ」と読みますね。「きしょく」と読むのは「気色悪い」というケース。簡単な漢字ほど、結構何通りも読み方があって難しいというケースがあります。たとえば、

「人気」

これも、

「にんき」「ひとけ」

の2通りの読む方が考えられます。「人気がある」だと「にんきがある」でしょうが、「人気がない」だと「にんきがない」「ひとけがない」の2通りが考えられます。つまり文脈・コンテキストによって読み方が変わるので、そこだけ取り出したら「どちらも正解」と言えるけど、文脈に戻すと「どちらかは間違い」になってしまいます。

「気色ばむ」

に関しても国語辞典を引いてみたところ、なんと

「きしょくばむ」

という読み方の言葉も載っているではありませんか!『明鏡国語辞典』には載っていませんが、『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』には載っていました。

「きしょくばむ」=(1)得意になって意気ごむ。意気軒昂となる。(2)怒りの気持ちを顔色に出す。けしきばむ。<広辞苑>

(2)の意味だと「けしきばむ」と同じですねえ。

ところで、この「気色」のあとに付く「ばむ」ですが、他に思いつくのは、

「汗ばむ」

ですね。ほかには、うわばむ?いや、どうしても「ばむ」というと、落語のご隠居さんと八っあんの「うわばみ(大蛇)」をめぐる会話を思い出す。

八「なんで『うわばみ』ってんですかい?」

隠居「う・・・それは・・・昔『うわ』というものがいたと思いなさい」

八「思いました!」

隠居「それが・・・『ばむ』んだな」

八「へえー、『うわ』てぇーのは、『ばみ』ますかね?」

隠居「ばむ!」

八「絶対ですか?」

隠居「絶対だ!」

八「なんで断言できるんですか?」

隠居「"ばま"なきゃ『うわばみ』にならない」

小学生の時に初めて聞いたときは、意味がよくわかりませんでしたが。

ほかの「ばむ」は「ついばむ」?違うな。

「気色ばむ」も「汗ばむ」も、名詞プラス「ばむ」という形ですね。つまり、

「気色+ばむ」「汗+ばむ」

「汗ばむ」はありますが、「涙ばむ」はないですね。同じような意味の言葉では、

「涙ぐむ」

はあります。「ばむ」も「ぐむ」も、「うっすら、にじむ程度の量」で、流れ出したりはしないですね。「気色ばむ」も「うっすら」なんでしょうか?

ここで、『精選版日本国語大辞典』「ばむ」を引いてみました!載っていました!

「ばむ」=ものの性質や状態を表すような名詞、またはこれに準ずる動詞連用形や形容詞語幹などに付き、これを動詞化する。そのような性質をすこしそなえてくる、また、そのような状態に近づいてくるの意を添える。「なさけばむ」「汗ばむ」「けしきばむ」「老いばむ」「おかしばむ」「よしばむ」「赤ばむ」「黄ばむ」など。

 

おお、「黄ばむ」は知っています!「なさけばむ」「老いばむ」「おかしばむ」「よしばむ」「赤ばむ」は知りません。

それにしても、色に関して言うと、なぜ「赤ばむ」「黄ばむ」はあって「黒ばむ」「白ばむ」「青ばむ」がないのでしょうか?「黒」は「黒ずむ」はあるな。「紫ずむ」もありそう。

「ばむ」って、なんだかおもしろいですね。

『逆引き広辞苑』「ばむ」を調べると(便利だな)、

「青ばむ」「赤ばむ」「戯(あざ)ればむ」「汗ばむ」「貴(あて)ばむ」「怪しばむ」「老いばむ」「おかしばむ」「隠ろへばむ」「枯ればむ」「嗄(しゃが)ればむ」「気色(きしょく)ばむ」「黄ばむ」「気ばむ」(これは違うかな)「黒ばむ」「気色(けしき)ばむ」「懸想(けそう)ばむ」「心ばむ」「戯(ざ)ればむ」「白(しら)ばむ」「痴(し)ればむ」「白(しろ)ばむ」「好きばむ」「煤(すす)ばむ」「血ばむ」「塵(ちり)ばむ」「萎えばむ」「情けばむ」「生(なま)ばむ」「馴ればむ」「鈍(に)ばむ」「濡ればむ」「辺(ほとり)ばむ」「優(やさ)ばむ」「痩せばむ」「窶(やつ)ればむ」「由(よし)ばむ」「脇ばむ」

以上、38もの「ばむ」が載っていました!「黒ばむ」「白ばむ」「青ばむ」、すべてありました!私が知らないだけでした!「血ばむ」は使ったことありますね。あとは、あまり使ったことがありません。

「ばむ」は「~のように見える」というような意味もあるようですね。

「ばむ」、おもしろーい!「おもしろばむ」?

ばむばむ。

ついでに「涙ぐむ」の「ぐむ」を『広辞苑』で調べたら、

「ぐむ」(接尾)=「体言について五段活用の動詞を作る。『・・・を含む』『・・・のきざしが見える』の意。」

として、用例では「涙ぐむ」「芽ぐむ」を使っていました。

それから「黒ずむ」の「ずむ」は、『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』の見出し語にはありませんでした。 

(2010、4、15)

2010年4月19日 21:05 | コメント (0)

新・読書日記 2010_080

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(川上未映子、講談社文庫:2009、11、13・単行本は2006年12月ヒヨコ舎刊)

詩人だなあ、表現が。句点の少ない長い文章は、頭の中の思考がまとまろうと格闘している様子の実況生中継、というと格好良いが、要は「脳みその垂れ流し」。メンタルヘルスで言うと、「懺悔」か「告白」か、心の重しを降ろすような感じ。

実はこの書かれている文体・内容・雰囲気が、私の高校・大学時代の「日記」に似てるのだ。その意味では「青春の書」と言えると思う。中島みゆきのオールナイトニッポン的な感じ、と言えば、ある世代にはわかってもらえるかも。狼になりたい、とまあそんな感じです。


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(2010、4、14読了)

2010年4月16日 14:52 | コメント (1)

新・ことば事情

3928「EU車」

 

昨年来の「子ども店長」ブームはまだ続いているのか、もう定着してしまった感もありますが、

「また子ども店長が出てる」

とコマーシャルを見て思ったら、あれ?これは女の子、しかも「店長」じゃなくて「報道担当者」?記者会見で堂々としゃべっています。しかもあの「子ども店長」(男の子)と同じく「自動車」のコマーシャル。「フォルクスワーゲン」です。ハハーン、2匹目のドジョウかなと思っていたら、

「エコカー減税対象車」

なのをPRしていて、コマーシャルの中の「記者会見の記者」から、「外国車であるにもかかわらずエコカー減税対象車」であることに関して質問が。

「EU車なのに?」

それを聞いて驚いたのは私。

え?「EU車」?「ドイツ車」ではなくて!?そんな言い方・呼び方があるのですか?

「くくり」の問題でしょうか?もう「ドイツ車」って言わないのかな?Google検索(4月15日)では、

「EU車」 = 6万6900件

「ドイツ車」=47万5000件

で、まだまだ「ドイツ車」が優勢ですが、「EU車」も使われているようです。それだけ「EU」という存在が定着してきた表れなのですね、きっと。

(2010、4、15)

2010年4月16日 13:43 | コメント (0)

新・ことば事情

3927「混欲」

「ミヤネ屋」の人気コーナー・高田純次さんの「高田タクシー観光」。今回訪ねた場所は「鹿児島県」。その原稿をチェックしていたときのこと。

番組では、まず必ずと言っていいほど「銭湯」に髙田さんは行くのですが、その原稿では、こうなっていました。その露天風呂は、

「白い浴衣を着て入る、混欲の露天風呂なのです」

と書かれていました。ん?「混欲」?・・・そりゃあ、

「混浴」

だろうが。

「混欲の露天風呂」

って・・・「酒池肉林」?なんでっしゃろ、ごっついあぶない感じがしまんなあ・・・なんでベタベタな大阪弁になるんやろか?

あ、原稿はしっかり「混浴」に直しておきました。危ない、危ない。

 

(2010、4、14)

2010年4月16日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

3926「妊活」

「ミヤネ屋」の森若アナウンサーが、

「これってもう、『ことば事情』で取り上げていましたっけ?」

と言って教えてくれた新しい言葉、

「ニンカツ」

おそらく漢字では、

「妊活」

と書くのでしょう、「忍者活動」の略の「忍活」ではないでしょう。

森若アナウンサーの説明によると、友人からのメールに書かれていたとか。昔?だったら、

「子作りに励む」

とでもいうようなシーンで使われるのではないかと。これ、いわゆる「不妊治療」は含まれないような気がすると言っていました。

それにしても最近・・・ここ10年ぐらいで、

「就職活動」→「就活」→「シューカツ」

「結婚活動」→「婚活」

が定着したかと思ったら、

「リカツ」

なる言葉も出てきて、これは、

「離活」(離婚活動)

だそうですが・・・。僕らが若い頃は、

「部活」=クラブ活動

「学活」=学級活動

ぐらいしかなかったような気がしますが、

「○活」

という言葉は、造語力が豊かなんですね!またリズムが4拍というのも、略語として落ち着きがいいのでしょう。Google検索(4月14日)で、件数の多いものから並べると、

「婚活」      15000000

「部活」      8790000

「就活」   = 7550000

「シューカツ」=  255000

「シュウカツ」=  18 5000

「妊活」   =  156000

「学活」        124000

「離活」      =  62300

でした。やはり「婚活」が群を抜いています。続いて伝統的な「部活」。中・高生にとっては一番よく使う「活」でしょう。「就活」「シュ-カツ」「シュウカツ」も、大学生にとっては身近な言葉。そしてなんと、「妊活」は、その次にランクイン!「学級活動」の「学活」を上回っています!こんなに定着しているとは知りませんでした。少子化、食い止められるかもしれませんね。

それにしても「就活」は、「就職活動」の「1・3」番目の文字で出来ているのに、「婚活」は「結婚活動」の「2・3」番目の文字というのはなぜ?一方で「離活」が「1・3」番目なのは、もし「2・3」番目だと「婚活」になってしまうのを避けたからでしょうけど。

 

(2010、4、14)

2010年4月16日 10:32 | コメント (0)

新・読書日記 2010_079

『一勝九敗』(柳井正、新潮文庫:2006、4、12第1刷・2009、8、20第11刷・単行本は2003年11月新潮社刊)

昔、プロ野球・大洋ホエールズの監督をしていた関根潤三さんの著書に『12敗の哲学』とか何とかいう本があって(=『一勝二敗の勝者論』でした)、

「1勝2敗では、絶対、優勝できへんやん!」

と思ったことがありました。

水前寺清子さんの『三百六十五歩のマーチ』の「3歩進んで2歩下がる」という歌詞を、間違って、

「3歩下がって2歩下がる」

と言った某アナウンサーのケースもそうですが、「1勝2敗」では絶対、前には進めません。

でもこの本は、あの連戦連勝のようなファーストリテイリング、つまり「ユニクロ」(私のパソコンは初め「湯に黒」と変換した)の柳井会長の著書で、「1勝2敗」どころか「1勝9敗」、勝率わずか1割という大胆なタイトル。「9勝1敗」の間違いではないか?と思いましたが。

柳井さんは、中小企業からポリシーを持って、世界と戦える企業を育て、「経営」というものを学んでいった、その中でいっぱい失敗もしている。が、「取り返しのつかない失敗」はしないようにして、新しいことに素早く取り組み、早いうちに(致命的ではない)失敗をしていくことが今後の飛躍につながると説くのですが、問題は「致命的でない失敗」ばかりをできるのかどうか・・・ですね。うまくそういうふうに出来るのであれば、失敗も進んでするでしょうが。「その1敗」が「致命的」だったら・・・と普通の人間は恐れてしまうのではないでしょうか。でも大変勉強になる1冊でした。これが438円(税別)とは安い!


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(2010、4、13読了)

2010年4月15日 22:08 | コメント (0)

新・ことば事情

3925「おされな」

川上未映子さんの『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社文庫:20091113・単行本は200612月ヒヨコ舎刊)という本を読んでいたら、

おされな空間およびマンハッタン調空間での挙式と披露宴八十人お呼びで諸費用三百二十万円。」

という記述が。この、

「おされな」

というのはもちろん、

「おしゃれな」

の意味です、ちゃんと言うのであれば。

「おしゃれ」と「おされ」はどう違うのか?

「おされ」というのは、「おしゃれ」の価値・意義は認めつつ、それを素直に受け止めることには抵抗があり、わざと「しゃ」という拗音を発音せずに「さ」にすることで、「違和感を表そう」としている言い方ではないでしょうか。また、世間一般の感覚と同じように「おしゃれ」ということに「照れ」「衒(てら)い」があり、ちゃんとした発音をわざと避けているとも言えるかもしれません。

「ばっちり」→「ばっちし」

というように語尾をちょっと変えるのも、従来の言い方をそのまま使うことには抵抗があり、カスタマイズしているという点では、似ている部分があるかもしれません。(ちょっと違うか。)また逆に、

「~です→~でちゅう」

のように、わざと「赤ちゃん言葉」のような拗音を使うのも、「おしゃれ→おされ」とは逆の方法ですが、「照れ」「衒い」を隠すという意味で、意図するところは似ている気がします。Google検索では(4月15日)、

「おされな」=2540000

「おされ」 = 438000

「オサレな」= 396000

「オサレ」 =1070000

「おサレな」= 120000

「おサレ」 =  34800

でした。「おされな」は結構ネット上では使われているのですね。念のため、

「おされな、おしゃれな」=180000

でした。オオーッ。

そう言えば、『ビッグコミックスピリッツ』で連載されている『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平)というマンガで、少し前の連載で、

「オサレ帝王(エンペラー)」

とかなんとかというのが、テーマになっていたことがありましたね。

(2010、4、15)

2010年4月15日 19:06 | コメント (0)

新・ことば事情

3924「乾煎り」

「ミヤネ屋」の「愛のスパルタ料理塾」のコーナーで出てきた、

「乾煎り」

という言葉。そもそも何と読むのでしょうか?

調べてみると、

「からいり」

と読むようです。意味は、

「水や油を使わずに材料を煎ること」

ナベやフライパンに材料を入れて火にかけ、材料を転がしたり、混ぜ合わせたりしながら過熱することを言うのだそうです。

「コンニャク」などを「乾煎り」するのは、

「余計な水分を飛ばすことが目的」

で、「ゴマ」の場合は、

「香ばしさを引き出すため」

「乾煎り」をするのだそうです。

ふーん、料理の世界も、知らない言葉と知らないことが一杯だなあ!

(2010、4、13)

2010年4月14日 16:20 | コメント (0)

新・ことば事情

3923「『博士号』の読み方」

 

201033日、「ミヤネ屋」のスタッフS君から、

「博士号」

読み方について、

「『はかせごう』でしょうか?それとも『はくしごう』でしょうか?」

と聞かれたので、こう答えました。

「一般的に『博士』を読むときは『はかせ』でOKですが、学術的な『博士論文』『博士課程』『博士号』は『はくし』と読みます。ちなみに昨日(3月2日)の夜放送の日本テレビ『世界仰天ニュース』でも、"IQ200で、12歳で全米10大大学のロヨラ大学を主席で卒業し、現在19歳の矢野祥くん"の紹介で、『博士号』を『はくしごう』とナレーターは読んでいました。」

たまたま、「はくしごう」、耳に残っていたんです。そうしたら翌日にこういう質問が来るなんて・・・日ごろからいろいろと、気を付けておくものですね。

 

(2010、4、13)

2010年4月14日 14:19 | コメント (0)

新・ことば事情

3922「シナジー」

32日、NHKBS1を見ていたら、セブンアンドアイ・ホールディングスの社長が、タワーレコードの株20%を買ったことに関して会見で、

「シナジーも含めた」

と発言しました。この、

「シナジー」

って何?「エナジー」なら知ってる「エネルギー」のことでしょ。「シナジー」は・・・・

「シネルギー」?

なんじゃそりゃ?それとも・・・・

「萎爺」?

なわけないか。字幕スーパーでの意味のフォローもありませんでした。もう、外来語として定着しているということでしょうか?経営関連用語では常識?

『広辞苑』を引くと、載っていました!さすが国語辞典!

「シナジー(synergy)」=「経営戦略で、事業や経営資源を適切に結合することによって生まれる相乗効果のこと。」

ああ、そうか「相乗効果」か!

聞いたことがあるような気がしてきました。でも「相乗効果」なら「相乗効果」って言やあいいのに。いま、「そうじょうこうか」と打って変換したら「僧正校歌」だって。ハハハ。

『ジーニアス英和辞典』では、

「(主にビジネスで2者以上の会社(人)が協力することによる)相乗作用(効果)」

うーん、やはりビジネス用語のようですね。たしかに「シナジー」と言った方が「相乗効果」よりカッコいいもんな。中身は一緒でも「かしこい」ように聞こえる気がします。

(2010、4、13)

2010年4月14日 13:18 | コメント (0)

新・読書日記 2010_078

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』(千住文子、新潮文庫:2008、5、1・単行本は2005、10)

日経新聞夕刊で、テレビ東京の大橋アナウンサーが書いている書評を読んで購入。大橋アナウンサーの書評、2度ほど読んだが、なかなかのもの。人を読む気にさせる。すごい。

で、新刊かと思ったら、文庫が出たのでさえ2年前という本。でも、良質の推理小説を読むかのようなドキドキ感があった。

著者は、あのバイオリニストの千住真理子・日本画家の千住博・作曲家の千住明という芸術家3兄弟を産んだお母さん。これがまた、なかなか文章がお上手で、びっくりです!

それにしても、千住家の"結束の強さ"は、映画『ゴッドファーザー』の世界の「ファミリー」を想起させた。芸術家一家だからというより、こういった「家族のつながり」というのは、日本もイタリアも「伝統的には共通した家族のありかた」であったのではないか?ストラディヴァリもイタリアの人だし、何か精神としてつながるものがあるのかも、と感じました。

 


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(2010、4、9読了)

2010年4月14日 10:03 | コメント (0)

新・読書日記 2010_077

『星の旅人~スペイン「奥の細道」』(黛まどか、角川文庫:2009、9、25・単行本は2000、11光文社から刊行)

 

ブラジル人・パウロ・コエーリョの小説『星の巡礼』を読んで、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅に出ることになった著者は、著名な女流俳人。なんで「西国八十八ヶ所巡り」のお遍路じゃないんだろ?クリスチャンでもないのに・・・と、ちょっとだけ思ったが、ま、人の好き好きだし、それは。

やはりこういう旅は、旅の伴侶・道連れが大事だし、また自らを見つめ直す良いきっかけにもなりますよね。19995月から7月にかけて、黛さんに一体なにがあったのだろうか?

私も1996年に、サンチャゴ・デ・コンポステーラに行きました。でも歩いてではなく、マドリードから1日中電車に乗って。それでも結構、腰が痛くなったのに、800キロ以上も歩いて行くんだもんなあ・・・すごいです。

たしかに、松尾芭蕉の「奥の細道」も、一種の「巡礼」だったのかもしれない。

 


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(2010、4、12読了)

2010年4月13日 22:30 | コメント (0)

新・読書日記 2010_076

『許すな!悪文と不正発音~正統的な日本語能力養成のために』(赤塚伊三武、大学教育出版:2007、9、10)

タイトルが扇情的。タイトルだけ見ると、ゲシュタポか特高か(どんな年代やねん!)!?

とにかく、

「ああ、こういう視野狭窄で突き詰めたら、反感を買うだけなのになあ」

と同情したくなるような感じ・・・。『北風と太陽』の話を思い出してしまうような。

でも、「一体どんなことが書いてあるのか」と興味を持って買ってしまったのだった。

そして、途中まで読んで投げ出していたのだが、頑張って2年ぶりぐらいに引っ張り出してきて、最後まで読んだ。

すると、一つ一つの「ミスのチェック」は、日ごろ私がやっていることと同じようなことであった。かなり「執拗に」・・・というか、「24時間」言葉のこと日本語のことを考えてらっしゃるのだなあと、そのご苦労や如何に、と思った。

しかしそのわりには、本の中で、「ダメ」としていた「すべき」止めを「あとがき」で使っているし、ちょっとご自分の姿勢との間で一貫性がないのではないかなあと思わせる部分も。

ドキッ!

ということは、私も・・・・と、失礼ながら「他山の石」とさせてもらって、わが身を振り返るきっかけにしたいものだと思いました。

 

 


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(2010、4、5読了)

2010年4月13日 22:00 | コメント (0)

新・読書日記 2010_075

『マスコミはもはや政治を語れない~徹底検証:「民主党政権」で勃興する「ネット論壇」』(佐々木俊尚、講談社;2010、2、25)

勉強になりました。レベルが高い。

でも緊急出版だったのか、表紙カバーの著者略歴に「早稲田大学政治学部卒」とあるが、「政治学部」はない。「政治経済学部政治学科」ならある。奥付は「政経学部」とちゃんと書いてある。著者の責任ではないが。

著者はこれまでも「ネット」とメディアに関する本をたくさん書いて、その後も取材を精力的に行っている。先鋭的な意見をバンバン表していて、読むたびに勉強になる。

でも私が「ネット論壇」に関する知識がないからかもしれないが、「ネット論壇」については少し過大評価しているような気もする。いや、もちろん全面否定する気は、全くなく、

「たぶん世の中の流れはそうなのだな」

とは思うのだけど、結局は「変化のスピード」の話になりますか。

この本を読んだすぐ後に、上杉隆さんの『記者クラブ崩壊』(小学館101新書)を読んだので、もう世界はすべてツイッター&ネットで変わってしまったかのように感じたが、リアル社会すべてが、そういうわけではないと。

ただ、ツイッターはかなり変化をもたらす道具のようだということは、十二分に分かった。

4月13日の夕刊に、独自の紙面を持たずにインターネットなどで記事を発表している非営利報道機関「プロパブリカ」のシュエリ・フィント記者が、ネットメディアとしては始めて「ピュリツァー賞」を受賞したという記事が出ていたが、そういう意味では2009年ー2010年は、ネットメディアにとって、記念すべき年になるのかもしれない。

 

 


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(2010、4、5読了)

2010年4月13日 21:00 | コメント (0)

新・読書日記 2010_074

『妻を看取る日~国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録』(垣添忠生、新潮社:2009、12、20第1刷・2010、3、10第9刷)

 

著者は、作家でエッセイストの嵐山光三郎さんと、桐朋中学・高校の同級生だという。その嵐山さんのエッセイで紹介されているのを読んで、購入。

驚いたのは、著者と亡くなった奥さんとの年の差。なんと●歳(本書を読んでね)も離れているのだ。ふーん、当時としてはかなり衝撃的な結婚だったのではあるまいか。

また奥さんも、凄く魅力的な、強い人だったのだなあということが偲ばれた。

奥さんを亡くして「うつ」になってしまったあたりの話は、

「えらいお医者様でもそういうことがあるのか」

と、たぶん共感を持って読めるのではないか。

一読の価値があると思います。

 


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(2010、4、5読了)

2010年4月13日 20:43 | コメント (0)

新・ことば事情

3921「何年経ったら老舗?」

「昭和初期から続く老舗の和菓子屋さん」

という表現が、先日「ミヤネ屋」で出てきて、ちょっと「?」と。

「昭和初期から」で「老舗」なのか?と。以前、

「戦後すぐから営業している老舗」

という表現があって、このときは「ちょっと待った!」とストップをかけたことがあります。今回のポイントは2つ。

(1)   何年以上営業したら「老舗」か?

(2)   業種によって、その年月は長かったり短かったりするのか?

 

(1)   は単純に、そのお店が何年続いているかということですが、(2)はたとえば新し

い業態のお店(たとえばケータイショップ)だと、他の業種の店よりも短くても「老舗」と呼んでもいいのか?ということです。つまり、

「創業15年のケータイショップの老舗」

OKか?ということです。"比ゆ的"には「OK」なんでしょうか?

辞書を引くと、「老舗」の説明に使われている言葉共通しているのは、

「代々続く」

「先祖代々」

「何代も同じ商売を」

というような感じで、

「一代じゃ、ダメ」

ということは分かりました。

「終戦後すぐに、現社長が裸一貫で作り上げた業界の老舗」

成り立たないということですね。「最低でも三代」ぐらい続いていないと「老舗」とは言えないのではないでしょうか?そうすると親子でなくて、前のオーナーから権利を譲ってもらって同じ店名で続けて3代目、というケースはどうするのか?「老舗」でいいのか?

うーん、なかなか難しくなってきました。

そうだ、来週、甲南大学の授業で、学生さんに考えてもらおう!

(2010、4、13)

2010年4月13日 20:05 | コメント (0)

新・読書日記 2010_073

『日本はなぜ貧しい人が多いのか』(原田孝、新潮選書:2009、9、20第1刷・2010、2、5第11刷)

これで1200円は安い!!

11刷はすごい!売れてるんですねえ、こんな『お堅い本』が。

タイトルは扇情的で「トンデモ本」のように見えるが、中身は、かなりしっかりしている。というか、えー、難しい。

データを駆使して分かりやすく解いてくれているが、はっきり言って理解できないものも多かった。にもかかわらず、全体として言いたいことはよくわかった。つまり、

「巷間、言われていることを鵜呑みにしてはいけない。」

「データの解釈は恣意的に行われると、まるで逆の結果を出すこともあるので、どの切り口で事実と向き合うかという姿勢を大切にしなくてはならない。」

こういったことを言ってはるのではないでしょうか?違いますかね?

 

 


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(2010、4、3読了)

2010年4月13日 17:42 | コメント (0)

新・読書日記 2010_072

『衆愚の時代』(楡周平、新潮新書:2010、3、20)

タイトルの「衆愚」に共感を覚えて購入したが・・・うーん、最近の「新書」には「週刊誌の特集記事を、ちょっと2週間分ほどまとめただけ」のような、内容が薄いモノがあるが、そんな感じ。「週刊誌」を読んでいると思うと、納得。

著者は作家で、その思うところ感じるところを思う存分吐き出しているのだが、それだけでは「衆愚の時代」を変えていくことは出来ないのではないか?提案していることもあるが、実現できるのかなあというように感じました。残念。

 

 


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(2010、4、2読了)

2010年4月13日 16:41 | コメント (0)

新・読書日記 2010_071

『欲しがらない若者たち』(山岡拓、日経プレミアムシリーズ:2009、12、8)

 

ちょっと前に書評でも見かけて、本屋さんでも見かけたが「また若者分析か」と思って手に取らなかったのだが、その「書評」がたまたまスクラップの山から出てきたので、「じゃあ、注文してみるか」と購入。

読んでびっくりしたのは、著者はこの本が出る直前(2009年10月)に40代の若さでなくなっているのだ!つまり「遺作」ですね、この本は・・・。

全体としては、統計などから「モノを欲しがらない現代の若者」像を描き出し、現在の不況を脱出するには、そして新たな時代の経済を打ち立てるにはどうすれば良いかにつながる話が書かれていて、興味深い。

 


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(2010、4、4読了)

2010年4月13日 15:41 | コメント (0)

新・読書日記 2010_070

『日本語は亡びない』(金谷武洋、ちくま新書:2010、3、10)

 

もう当然、本が好きな方ならわかると思いますが、昨年評判になった水村美苗さんの『日本語が亡びるとき』に対するアンチテーゼとして書かれています。私も『日本語が亡びるとき』に対しては「そうかあ?」と疑問を抱いていたので、共感して購入。

著者の名前、特に意識せずに購入、読み始めて「ああ、この金谷という人は『日本語に主語はいらない』の人なのだ」とわかりました。カナダ・モントリオール大学で日本語教師をしている人だそうです。(『日本語に主語はいらない』は、2冊も買ってしまったのに、まだ読んでいないのですが・・・)

前半の『日本語が亡びるとき』に対する反論の部分も、まあおもしろいのですが、私が注目したのは後半。「二人のみゆき」。いえ、鳩山幸さんではありません。日本語をいきいきと、生かし続ける活動を続けている二人の「みゆき」、つまり「作家の宮部みゆき」と、「シンガーソングライターの中島みゆき」の作品の分析を通じて、日本語がいかに素晴しく、滅びるはずがないのかを解いていく。これ、面白くないはずが、ないじゃあ、あーりませんか!やっぱり、中島みゆきはスゴイと思いました。

 


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(2010、3、31読了)

2010年4月13日 14:39 | コメント (0)

新・読書日記 2010_069

『人間の器量』(福田和也、新潮新書:2009、12、10第1刷・2010、2、10第7刷)

福田和也という著者の本はあまり読んだことがないが、名前だけは存じ上げている。

「うーん、どうしようかなあ」と思ったけど、評判にもなっているようだし「人間の器量」という大きなタイトルに「読んでみるか」とチャレンジしてみた。

さすがに著者は知識も広く「そうだったのか」と思うことが一杯だったが、その取り上げている人物が、「それでいいの?」という部分もあって・・・まあ、どうでしょう、好き嫌いは分かれるのではないでしょうか?

取り上げられた人物が、著者の言うように「器量が大きい人」というところは認めても、それで、「その人(の生き方)が好きか?」と聞かれたら「NO」と答えるような「器量の大きな人」も出てきて・・・器量が大きくても人間的にダメな人もいるんだなということが分かった。

 


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(2010、3、28読了)

2010年4月13日 13:39 | コメント (0)

新・読書日記 2010_068

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海、ダイヤモンド社:2009、12、3第1刷・2010、1、14第3刷)

 

少し前に書評で読んで「おもしろそうだなあ」と思って購入。これ、表紙がちょっと恥ずかしい・・・女子高生マネージャーのマンガのイラストが、「ロリコン」風で、いつもは電車の中でもカバーなどかけないで本を読む私も、これだけは、紙のカバーをかけて読んだ。

内容は、高校の野球部のマーネジャーになった主人公の女子高生が、「マネージャーってなんだろう?マネジメントって何?」ということを、一冊の本を読むことで実践していき、チームは段々と強くなり・・・という"小説"仕立て。

著者はもともと放送作家で、「AKB48」のプロデュースもしたという。師匠は、あの秋元康さんだそうです。ま、そういうことで、エンタテインメントとして読める。勉強になりました。ドラッガーの『マネジメント』、読もうと思いました。

 


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(2010、3、26読了)

2010年4月13日 12:38 | コメント (0)

新・読書日記 2010_067

『バルサ対マンU~「世界最高の一戦」を読み解く』(杉山茂樹、光文社新書:2010、3、20)

いやあ、いいですね、杉山さん。前に読んだ『4―2―3-1』もいいなと思っていたら10万部のベストセラー(シブイ!)だったそうです。サッカーファンなら読むべし!の1冊ですね。それにしても「マンU」という略称は、すっかり定着してるなあ・・・。

 

去年のチャンピオンズリーグの決勝戦は「バルサ(バルセロナ)対マンU(マンチャスターユナイテッド)」という、夢のような対決であった。この試合をペン(キーボード)による実況中継のごとく描きながら、実はそのプレーが行われた背景としてこんなことがあるのだと、過去のサッカーの歴史を縦糸として、現在の世界のサッカーを横糸として紡いで解説していくという、サッカーファンにとっては"たまらない"1冊。

もう、ドキドキしながら読みました。

改めて「フォーメーション」の大切さが分かった気がする。「フォーメーション」は、監督の、そしてチームの「意思」を表現したものであり、形から入るのではなく、「理念」がそこに表現されるべきなのだと。

同じように見える「4-2-3-1」のフォーメーションが、日本代表では「4-5-1」になってしまっているので、中盤がゴチャ付いて「前が弱い」という読み解きには、思わず「なるほど!」と膝を打った。

で、案の定、セルビアに0-3の完敗ですわ。こちらがやらなあかん試合運びを、セルビアの1軍半ぐらいのチームにやられてしまったと・・・。

「3バックも試してみなければ・・・」と岡田監督は試合後に話していたそうですが・・・本番まであと2か月しかないのに、大丈夫やろか?


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(2010、3、24読了)

2010年4月13日 10:36 | コメント (0)

新・読書日記 2010_066

『朝イチでメールは読むな!』(酒巻久、朝日新書:2010、3、12)

タイトルが衝撃的!だって、朝イチでメール読んでますもん、私。それで仕事が始まっているのに、それがダメだって・・なんで?と読みたくなる。著者はキヤノンの子会社の社長。その会社では「朝イチでメールを読むのは禁止」とか「会議は立ち話で」など、一般的な常識とは違うことをして成果を挙げているとか。確かに理由を聞いてみると「なるほど」と思う部分もあるので、自分のところに合うものであれば、参考にして取り入れても良いなと思った。


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(2010、3、17読了)

2010年4月13日 09:35 | コメント (0)

新・読書日記 2010_065

『女子と鉄道』(酒井順子、光文社文庫:2009、7、20)単行本は2006年11月刊)

去年出た文庫本ですが、新古書店で見つけて購入。お、おもしろい!大変楽しく読ませていただきました。表紙の絵のペンギンは、あの「スイカ」のペンギンを描いたのと同じデザイナーさんによるイラストだそうです。なかなか、かわいい!

また、「言葉」ウオッチングでも大量の収穫が!それぞれ「平成ことば事情」でも取り上げるつもりですが、一応、こちらにもメモしておきます。

*「発売直後は、各キオスクで売り切れになる品が続出するほどの人気っぷりで」(129ページ)=「人気っぷり」・・・「人気ぶり」ではなくて。

*「甘味のある八丁味噌の後には絶対にブラックのコーヒーが合うのです。コメダ珈琲等、中京圏では喫茶店文化が発達していますが、それは八丁味噌のせいではあるまいか、と思ってみた次第。」(117ページ)=「喫茶店文化」というくくりでの認識に共感。

*「あぶくま号が再びいわき駅を発車するまで、お昼を食べたりレンタカーを借りたりして、準備は万端。」=「準備は万端」という体言止めの実例。

*「店というのはメディアの一種であると、私は思っています。ある雑誌の編集方針に共感する不特定多数の人がその雑誌を購入するように、ある店の料理なり雰囲気に共感する不特定多数の人が、その店を訪れる。」=「店」が「メディア」であるという捉え方は斬新。「切手はメディアである」とする郵便学者・内藤陽介さんにも通じるところが。

*「『えーっとタンゴ鉄道ってのに乗ってみたくってぇ、えへへ』と、明らかにキョドりつつ、言い訳をします。」=「キョドる」は若者言葉でしょうね。

*「願わくばもう少し缶が長いと、さらに電車感が強まるのではないかと思っておりますが」=「願わくは」ではなく「願わくば」。最後、濁ってます。

*「『カシテツ』こと鹿島鉄道」=「カシマ・テツドウ」の略し方が「カシ・テツ」。うーん、なるほど。

*「足元でうなりをあげるエンジンが、相当量の熱を発している。『床暖、ですな』『いやー、久しぶりに暑い電車に乗った』」=これは「ディーゼル機関車」だから、「電車」じゃないんじゃないの?と思いましたが。それと「床暖房」の略語としての「床暖」の使用例。

*「ド暑い平日の昼下がり」=「暑い」の強調形で、「ド」が付きますか。

*「乗車時に磁石で方位を確認しつつ、軌道のカーブっぷりなどを確認し『曲がってる!』などと思ったりするのがまた楽しいらしい。」=「カーブっぷり」という「っぷり」の付き方!

ね、収穫があったでしょう?

え?「そんなところにひっかかるのは、おまえだけ」?・・・かも知れません。

 


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(2010、4、11読了)

2010年4月12日 19:28 | コメント (0)

新・読書日記 2010_064

『日本人だけが知らない日本のうわさ~笑える・あきれる・腹がたつ』(石井光太、光文社新書:2010、2、10)

『世界の日本人ジョーク』のような本かと思ったら、そういった一面をあるが、それだけではなかった。確かにジョークも紹介しているが、その一方でもう少し深く、日本人がどう見られているかなどについて書かれた本。勉強になりました。

 

 


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(2010、3、8読了)

2010年4月12日 18:30 | コメント (1)

新・ことば事情

3920「嵐電のアクセント」

 

視聴者センターのKさんからメールが来ました。

「視聴者から『かんさい情報ネットten』で放送した『「嵐電」100周年』について、『"嵐電(らんでん)"のイントネーションが、関西人でもしないようなアクセントで放送されていた。正しいアクセントを嵐電の会社の人に聞くなり、地元の人に聞くなりしてから放送をしてはどうか。夕方のNHKは聞きやすい自然なアクセントだった。』という意見が5件届いたが、コメントをいただけないか?」

とのこと。「番組内容に関する視聴者の意見については、番組のCPに聞くべきだと思う」と断った上で、こういったメールを返しました。

 

『この問題は難しくて、「地名」などに関して、地元では「平板アクセント」で言う傾向が全国各地にあって、それと共通語アクセントが違うケースはよくあります。例を挙げると、

   (地元アクセント)   (共通語アクセント)

名古屋 ナ/ゴヤ         ナ\ゴヤ

高知  コ/ーチ         コ\ーチ

長野  ナ/ガノ         ナ\ガノ

富山  ト/ヤマ、ト/ヤ\マ   ト\ヤマ

姫路  ヒ/メジ         ヒ\メジ

などが有名です。地元では「平板アクセント」でも、共通語でアクセントがわからない地名に関しては「頭高アクセント」で読む傾向があるのです。もっとも「姫路」の本当の地元アクセントは、

「最初の『ヒ』の音から最後の『ジ』の音まで『3音全てが高い』アクセント」

ですが、こういったアクセントパターンは、共通語アクセントにはありません。

「嵐電」は、地元で「平板アクセント」だと聞きましたが、これは共通語アクセントの「平板アクセント」である、

「ラ/ンデン」

ではなく、おそらく、

「ランデ/ン」

という、最後の「ン」だけが高くなるアクセントではないでしょうか?これも共通語アクセントには、ないパターンです。

また、大阪の人のアクセントで「嵐電」を読むとおそらく、

「ラ/ン\デン」

でしょう。

あるいは年配の方の中には、

「ラン/デ\ン」

という方もいらっしゃるかも。

大阪弁のアクセントパターンには「3拍中高」(例:「テ/レ\ビ」「ラ/ジ\オ」「マ/ク\ド」「カ/ン\クー」)というのがあって、それに当てはめると、こうなる可能性があります。

人は、自分が使っている言葉は「絶対だ」と思い込む傾向があるので、なかなか、ことはやっかいです・・・。」

ということで、納得してもらいました。視聴者の方が納得したかどうかは、分かりませんが・・・。

(2010、4、7)

2010年4月 8日 18:15 | コメント (0)

新・ことば事情

3919「生ゲンカ」

 

『ミヤネ屋』で昨日も出てきて、「そんな言葉あるのか?」と思いながらも今日は" "(カッコ付き)の読み方で読んでしまいましたが・・・・。菅大臣と亀井大臣の・・・

「生ゲンカ」

って・・・・どやさ???「生放送」はあるけど。「ケンカ」の前に付くのは、普通は「兄弟」「親子」「夫婦」など「ケンカをする当事者の関係を示す言葉」ではないでしょうか?あ、「口ゲンカ」もあるか。やはり『おもいっきりテレビ』の、

「おもいっきり生電話」

の影響でしょうか?Google検索(330日)では、

「生ゲンカ」=628

「生げんか」= 8

とネット上でさえ、ほとんど使われていない言葉でした。使ってしまいました・・・

こういうふうに『ミヤネ屋』のスタッフにメールしたところ、原稿を書いたディレクターから、こんなメールが。

「"生"ゲンカについてですが・・・絶対そんな言葉、存在しないですよね(笑)

 とはいえ、菅VS亀井の面白さは『生放送というリアルタイムでケンカしたこと』なので、敢えて『生中継』『生放送』などをもじった言葉として書きました。 ニュアンスが伝わるように軽快に読んでくださった道浦アナ、ありがとうございました!

正しい日本語としては確かに間違っているのですが、ナレーションという音で表現できるテレビのVTR原稿は多少『遊ぶ』のもアリかなと思うのですが、遊びすぎでしょうか・・?」

うーん、そこまで考えていたのならカッコ付きで「許容」かなあ。まあそう思ったからこそ、「生ゲンカ」部分を立てるようにして読んだわけですが。

そのほかの、原稿をチェックしたデスククラスからも次々とメールが!

「この原稿のチェックを担当しました。かつて、松任谷由実がインタビュー記事で、自分が伝えたいニュアンスが今の日本語に無い場合、新しい言葉を作る(創る)のも、また大切なことだと言っていました。言葉を『守る』ことの重要性はよくわかっているつもりですが、言葉を『創造』していくことの重要性も、同じように感じます。現職の大臣、しかも党首クラスの大臣が生放送でケンカをするのに、『生ゲンカ』というのは、このVTRのこのナレーション部分に際しては、まさに的確な表現であったと思います。『生中継』とか『生放送』という言葉を理解できる人なら、『生ゲンカ』という造語のニュアンスは、ちょっと皮肉な意味合いをこめて伝わると思います。 生で電話すれば『生電話』だし、現職の大臣が生中継でひたすら掃除するという番組があれば、『現職大臣が異例の"生掃除"』でもいいと思います。そして、現職の大臣が生でケンカすれば、『生ゲンカ』でしょう。ステレオタイプな言葉を使い、表面的なナレーションを書いてくるディレクターが多い中、このように、目線を与えてくれるナレーションは、とても良いと思います。ディレクターの皆さんは、逆にこの論議を参考にして、本当に伝わる言葉とは何か、ということを考えてほしいと思います。」

「僕も月曜日にこの原稿をチェックしました。その日の原稿で、一番、コレだ!と思ったフレーズです。」

さらに、私の前日にこの原稿を読んだHアナウンサーからも!

「すでに前日・月曜放送の原稿で『生ゲンカ』が出てきていました。読み手としては下読みの段階で、『お、読み慣れない言葉が出てきたな』てな感じで、さぁ、扱いをどうしようかとチェック。要は『視聴者に伝わるか、伝わらないか』なので、この文脈なら伝わる、と判断して、「 」付きのニュアンスで少々強調し、そのまま使いました。伝わる、と判断した背景には、テレビ朝日の番組『朝まで生テレビ』の存在があります。このタイトルは、番組の売り物である政治家の過激的討論のイメージと直結していて、いまや「生OO」ということばは、テレビなどの媒体を通して赤裸々な主張をする表現としては一般化しています。特に今回の場合、菅大臣と亀井大臣という、まさに政治家中の政治家である閣僚の赤裸々主張であり、内容も過激的討論そのものだったので、『生ゲンカ』は、初見の言葉ながら、ほとんどの人に無理なくそのニュアンスを伝え得る言葉だと感じました。

言葉に工夫をして新たな表現を生み出し、より視聴者に内容を細かく伝える努力はすばらしい。しかし、新たに造られた言葉が頻出するのは好ましくないでしょう。視聴者が混乱し、番組を落ち着いて観られなくなります。今回のように、時折、ハマる新語を出して『お、やるな』と思わせる程度にお願いします。」

これに対して私は、ほぼ同じ思いですが、一つだけ付け加えさせてもらうと、

「品位」

ということです。「生ゲンカ」は、新しく作った言葉ということもあり(なじみがないから?)どうしても「品位」の点では一歩譲らざるを得ない感じがします。それだけに、「伝わる、伝わらない」に加えて、「場面を考えて使う」必要があるのではないでしょうかと思いました。

 

(2010、4、8)

2010年4月 8日 16:14 | コメント (0)

新・ことば事情

3918「バッチグー」

323日の日本テレビ『ニュースゼロ』で、この1年間に7回取り上げた、北九州市立湯川中学の三学期の様子を放送していました。中学3年生たちにとっては「高校受験」という大きな大きな「試練」の時期。いわゆる「十五の春」を迎える時ですから、この取材の内容も、ついつい引き込まれるようなものになっています。

食い入るように見ていたら、高校受験、試験当日の体調を聞かれた中3の女の子が、

「バッチグー」

と言うではないですか!

「バッチグー」!まだ「死語」ではなかった!少なくとも北九州市では!と感激しました。意味はご存知ですよね、「バッチリ」+「グッド」。

Googleで検索してみたら(47日)、

「バッチグー」=86500

でした。これは多いのか少ないのか?「そこそこ」というところでしょうか。正直、ビミョー。米川明彦先生の『日本俗語大辞典』によると、

「バッチグー」(連語)=(「バッチ」は「ばっちり」の略、「グー」は英語「グッド」の変化したもの)とても良い。見事に決まっている。タレントの森口博子が盛んに使って広まった。若者語。◆『現代用語の基礎知識1992年版』若者用語「バッチグー/バッチ とても良い。万時好都合。バラドルの森口博子がはやらせたという」

とありました。

そうだったのか、森口博子!「バラドル」という言葉も懐かしい!(最初「薔薇ドル」と変換されました・・・なんだか意味が違ってきそう)

しかも1992年版」の『現代用語の基礎知識』ですから、書かれたのは1991年=平成3年」それから19年が経過して、現在15歳の中学3年生が使っている、ということは、お父さんとお母さんが青春時代=若者だった時に使っていた「バッチグー」を家庭でも使っていて、それが子どもたちに広まったとも考えられますが・・・。ちなみに『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『明鏡国語辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』には、「バッチグー」は載っていませんでした。『現代用語の基礎知識』も「2010年版」にも載っていませんでした。

                        (2010、4、7)

  

(追記)

森口博子さん、今年8月のミュージカル「アニー」に出演されるようです。スポットCMに出演されていました。

 

                    

(2010、4、14)

2010年4月 8日 10:59 | コメント (0)

新・ことば事情

3917「テンション全開」

「ミヤネ屋」で、柳沢慎吾さんを紹介したVTRの原稿とテロップで、

「テンション全開」

という言葉が出てきました。これに違和感が・・・。これは、

「ハイテンション」(あるいは「テンションが上がる」)

と、

「パワー全開」(あるいは「エネルギー全開」)

混交した形なのではないでしょうか?

雰囲気は分かりますが、よく見ると、ちょっと"意味不明"ですよね。

Google検索では(47日)、

「テンションン全開」 = 19700

「ハイテンション」  =2230000

「テンションが上がる」=2010000

「エネルギー全開」  = 48100

「パワー全開」    = 360000

でしたが、あれぇ?「テンション全開」が2万件近くも!どうなってるんだ?OKなのか?「テンション全開」。でも「ハイテンション」「テンションが上がる」がともに200万件以上使われていることから考えると「テンション全開」の割合は、まだ1%未満ですよね。「テンション」は「張り詰めている」んだから、それが「全開」しちゃったら、緊張の糸が切れてしまうのではないか?とも心配します。

 

(2010、4、7)

2010年4月 8日 10:33 | コメント (0)

新・ことば事情

3916「寒空のもと?した?」

ドキュメントのチーフ・プロデュサーS君から質問を受けました。

「ホームレスの人たちの生活に関しての原稿の読み方なんですが、『寒空の下』と書いて、『した』でしょうか?『もと』でしょうか?」

うーん、難しいなあ・・・「運動会」の場合は、

「青空の下(もと)」

だし、「日本国憲法」

「法の下(もと)の平等」

音楽では、

「♪双頭の鷲の旗の下(もと)で」

(これは、もしかしたら「した」だったかも)

で、ともに「もと」と読むけど、この場合、

「寒空の下(もと)」

と読むと若干の違和感が。なぜ違和感が生じるか・・・考えてみました。

結論。

「もと」と読む場合は、その「下」の漢字の前にあるものの「庇護下」にあって、何らかの恩恵を受けている場合に使う。つまり、「青空=好天」という恩恵に恵まれて「運動会」が無事に、中止にならずに開かれるし、「憲法」の護りによって「平等」が担保されるという恩恵がある。「双頭の鷲の旗」つまり、「軍旗」の下(もと)「統率される」「グループとしての一体感」を形成するというプラス効果がある場合には、「下」と書いて「もと」と読む。そうでなく、単に物理的にポジションとして、「下」にある場合は普通に「した」と読むのではないか。

反対語で考えると、「した」の反対は「うえ(上)」ですが、「もと」の反対は「はし(端)」ではないか。そうすると「もと」は「元」であり(あとで、これは「許」であることがわかりましたが)、「中心」=求心力があるように感じます。

そう考えると、ホームレスの人たちは「寒空」によって、なんら恩恵を受けていない、それどころか、「寒空」はホームレスの人たちにとってはマイナス要因として働いているので、この場合は「もと」とは読まずに、「した」と読むべきであろう。

こういう結論を出してS君に伝えました。

今までに、ここまで考えて読んでいたかと言うと・・・ここまでは考えていなかったね、実際。でも感覚的には、何となくそう感じていたように思います。

ここまで書いてから「もと(下・許)」を、辞書で引きました。

*『広辞苑』②影響の及ぶ範囲。(例)「両親のもとで育つ」「一定の条件のもとで成立する」「警察の監視のもとにある」

*『精選版日本国語大辞典』(三)その影響や支配を受ける範囲。(例)『青年』(191011)<森鴎外>「(略)鋭い一瞥の下(もと)に」:『自由と規律』(1949)<池田潔>「(略)如何なる制度のもとに運営されているのであろうか」

*『デジタル大辞泉』③その規制や支配力の及ぶところ。(例)「厳しい規律のもとで生活する」「監視のもとにおかれる」

 

やはり「影響力「支配力」というのがポイントのようです。プラスかマイナスかは関係ないかな。それと同時に、『デジタル大辞泉』には、「もと」の1番目の意味として、

①「物の下の部分。またそのあたり。した。(例)「旗のもとに集まる」「桜のもとに花見の宴を設ける」

とあるほか、

②そのひとのところ。そば。(例)「親のもとを離れる」

とあります。この①の「旗のもとに集まる」は単に「した」ではなく「理念を同じくする人の方に」という意味合いを持っていると私は思いますね。それと②の「もと」は、単に「そば」ということでなくて 「影響力」「支配力」も関係していると思うけどな。どうなんでしょうか。

なかなか、奥が深いですね、「した」と「もと」。

 

(2010、4、7)

2010年4月 7日 20:23 | コメント (0)

新・ことば事情

3915「『ぶり』と『っぷり』」

峰竜太さんの奥さんの海老名みどりさんの様子をさして・・・

「鬼嫁っぷり」

という言葉が、「ミヤネ屋」の原稿とテロップで出てきて、違和感を覚えました。いえ、「鬼嫁」の部分にではなく、「っぷり」という部分に違和感を覚えたのです。これは、

「鬼嫁ぶり」

ではないでしょうか?

うーん、これも芸能関連だと「許容」なのかなあ・・・つまり、もともと「っぷり」となるのは、

「飲みっぷり」「食べっぷり」「泳ぎっぷり」「走りっぷり」

のように「動詞の連用形」のあとに「ぶり」が付く場合に、促音便で「っぷり」となるので、「鬼嫁」という名詞のあとに「っぷり」が来ると、ちょっと私は違和感があるのですが・・・。「慣れ」の問題でしょうか?

と思っていたら翌週、今度はあの「大橋のぞみちゃん」が「コナン」の声優に!の話題で、

「声優っぷり」

という表現が。これも本来なら

「声優ぶり」

だと私は思います。そこでスタッフにこんなメールを出しました。

『先日、×「鬼嫁っぷり」→○「鬼嫁ぶり」に直したばかりなのに、また出てきました、「○○っぷり」。芸能ディレクターは、この「○○っぷり」という表現が好きなのですね。中には違和感のある「○○っぷり」がありますが、昨日読んでいた本、あの『負け犬の遠吠え』で有名なエッセイストの酒井順子さんの『女子と鉄道』という本の中に、なんと、

『「あまり豪快に寝るからこっちが恥ずかしい」と一緒にいる親をして言わしめるほどのド寝っぷりでした。』

というふうに、

「ド寝っぷり」

なる言葉を発見!うーん、この範囲まで来ると相当なものですが・・・「ド寝っぷり」が許されるのなら(まあ、品位はありませんが)「鬼嫁っぷり」「声優っぷり」なんて可愛いものだと思えました。どうしましょうねえ。次回の用語懇談会の会議で、各社の状況を聞いてみます。

・・・あ、でもわかったぞ!「っぷり」は、「ぶり」の強調だけど、どういう言葉に付くかというと、やはり「動作を表すもの=動詞」に付き、しかも「語幹が2文字以上のもの」に付く傾向があるんだ!だから「声優」「鬼嫁」のような「名詞」には付きにくく、また「ド寝っぷり」の「寝る」は動作だけど語感が「ね」の1文字だから本来は付きにくくて、違和感を覚えるんだ!語幹が2文字以上で、

「走りっぷり」「食べっぷり」「歩きっぷり」「読みっぷり」「勝ちっぷり」「負けっぷり」「投げっぷり」

など、動作に付く場合は、違和感がありません。』

皆さんはどうお感じになりますか?

                                                  (2010,4,6)

 

 

(追記)

その後も『女子と鉄道』(酒井順子、光文社文庫:2009、7、20・単行本は2006年11月刊)の129ページに、

「発売直後は、各キオスクで売り切れになる品が続出するほどの人気っぷりで」

と、

「人気っぷり」

が、また179ページには、

「乗車時に磁石で方位を確認しつつ、軌道のカーブっぷりなどを確認し『曲がってる!』などと思ったりするのがまた楽しいらしい。」

というように、

「カーブっぷり」

が出てきました。酒井さんは、「っぷり」がお気に入りのようです。

 

 

 

(追記2)

『クマと闘ったヒト』(中島らも&ミスター・ヒト、メディアファクトリー:2010、8、25。単行本は2000年刊行)を読んでいたら、元・相撲取りでその後レスラーになった龍虎さんについての解説文で、

「『料理天国』などの番組で、グルメっぷりを発揮。」(119ページ)

というように、らもさんの筆と思われますが、

「グルメっぷり」

というのが出てきました。2000年に刊行ですから、10年前ですね。

 

 

 

 

 

 

 

(2010.4、6)

2010年4月 7日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

3914「若林氏、あきれた声」

 

参議院で、他人(隣席の青木幹雄議員)のボタンまで押してしまった若林・元農水大臣。

確かに私達が大学の頃(30年近く前)は、授業(講義)の出欠を取る際に、友達の代わりに返事をする、

「代返」

というのがありましたが、「国会」の場での「代返」は聞いたことがありません。それが許されるなら、その人の分の議席は必要ないことになりませんか。

ところで、このニュースを伝える記者の喋りを聞いていたら、何度聞いても

「若林は」

「呼び捨て」にしているように聞こえるのです。これは、

「わかばやしし」

と、「し」が2回続くためで、2度目の「し」が聞こえにくくなっているからです。同じようなことは、大阪府にある、

「高石市」

でも起きますが、これが、

「高石氏」

だと起きません。アクセントパターンが違うからです。「高石市」は、

「高石市」=「タ/カイシ\シ」

という「し」と「し」の間にアクセントの谷が来るアクセントに対して、「高石氏」は、

「高石氏」=「タ/カ\イシシ」

アクセントの谷が「か」と「い」の間に来るので、「し」が2回続いても言いやすいのです。アクセントが下がりながら、しかも無声化の「し」音の次に、同じ「し」の音を出すのは、プロのアナウンサーでも発音しにくいです。

この記者はそのあと、

「若林の地元・長野のあきれた声です」

と言うではありませんか。これは、

「若林氏の地元・長野の人たちの『あきれた』という声です」

あるいは、

「若林氏のあきれた行動に対する地元・長野の人たちの声です」

と言うべきでしょう。「長野のあきれた声」だと、そのインタビューに応じた長野の人の意見の内容が、「あきれた内容」ということになってしまうではないですか!

ちょっと、あきれました。

(2010、4、2)

2010年4月 2日 20:07 | コメント (0)

新・ことば事情

3913「モンサンミッシェルの表記は?」

 

読売テレビの広報担当のKさんから質問を受けました。

「『モンサンミッシェル』のカタカナ表記は、どう書けばいいのでしょうか『=』や『・』は入れるんですか?」

「うーん、『=』は新聞や放送では使わないことになってるけど『・』はどうかなあ・・・調べておきます」

と答えて、実際調べたら、『新聞用語集』や新聞各社の用語集の「外国地名の例」には、見当たらないのです。

うーん、こまった。Google検索(319日)してみたら、

「モンサンミッシェル」  =331000

「モンサンミシェル」   =215000

「モン・サン・ミッシェル」=609万件

「モン・サン・ミシェル  =309万件

でした。用語担当の各社の知り合いに、以下のようなメールを出して聞いてみました。

「フランスの観光名所で『モンサンミッシェル』というのがありますが、これの表記は、どのようにされているでしょうか?

『モンサンミッシェル』

『モンサンミシェル』

『モン・サン・ミッシェル』

『モン・サン・ミシェル』

など考えられると思いますが・・・いかがでしょうか?『=』は使わないですよね?」

さっそく、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんから、

「過去に統一したことはないようなのではっきりしないのですが、もし私が問い合わせを受けた際には、『モンサンミシェル』と答えるように思います。」

というお返事を。

そこで、その日はタイムアップ。Kさんには、

「『モンサンミシェル』でいいのではないでしょうか?調べたけど、出ていません。

いま、各社の用語委員にもメールで聞いている途中です。」

と返事したところ、Kさんも、いろいろ調べていたようで、

「お手間を取らせて申し訳ございません。代理店経由で読売新聞さんに確認したところ、読売さんでは『モンサンミシェル』とつなげての統一表記だそうです。

新聞広告用の番組内容紹介は、これに準じて『モンサンミシェル』にしようと思っております。フランス語では「Mont Saint-Michel」=「聖ミカエルの山」という意味なんですね。まだまだ知らないことばかりです。」

という返事が。すぐそのあとに、読売新聞の関根健一さんから、

「この10年の使用例を読売のデータベースで調べたところ、

『モンサンミッシェル』=5件

『モンサンミシェル』=4件

『モン・サン・ミッシェル』=4件

『モン・サン・ミシェル』=5件

でした。この程度の頻度だと、統一表記を決めるほどではないようです。

もし、サミットの会場にでもなったら別ですが。その際は政府の発表する表記を勘案して、取り決めることになります。原則をいえば、

(1)2語以上から成る地名でも『・』は使わない。

(2)つまる音『ッ』ははっきりしているもの以外は省略。

なので、『モンサンミシェル』ということになるでしょう。ただ、今のところ紙面に登場するのは、観光キャンペーンや、歴史書からの引用が多く、その場合は、当該引用元の表記を尊重した結果、割れているわけです。『山』『聖』『天使ミカエル』という語源を知ると、それぞれの間を区切りたくなってしまうのでしょうか。」

というメールが。結局、塩田さん、関根さんそして広報のKさんの意見が一致して、

「モンサンミシェル」

という表記に落ち着きそうです。皆さん、ありがとうございました。

(2010、3、23)

(追記)

その後、産経新聞の清湖口さんからもメールが届き、

「お尋ねの件ですが、産経ハンドブックでは扱っていない地名で、データベースに当たったところ、『モンサンミシェル』が最多だったものの、『モン・サン・ミシェル』『モン・サン・ミッシェル』も散見しました。「=」は使っていません。有名な観光地でもあり、統一する必要がありそうですね。」

ということでした。

(2010、3、25)

2010年4月 1日 22:51 | コメント (1)