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『道浦TIME』

新・読書日記 2009_144

『渋滞学』(西成活裕、新潮選書:2006、9、20第1刷・2006、11、5第2刷)

もう3年前に出た話題の書。3分の2ぐらいまで読んで、そのまま「読みさし」になっていた・・・。本の山の下の方から出てきて、「梗塞・・・じゃない高速(道路)1000円」のせいで、かつてないほどの「お盆の交通渋滞」が出来している今、「読まなくては!」と続きを読んだ。これまでに読んだところのことは、ほとんど覚えていなかった・・・。
この本も『輿論と世論』と同じで「論文」なんですね。同じ「新潮選書」だし。文章が硬いのだ。それで読みにくかったのだけど。しかしよく読むと、単なる「交通渋滞」の話だけでなく、色んなものの、「生命のメカニズム」みたいなことにも触れて、実は計算された"渋滞"が命を動かしているとか、「そうか、『渋滞』の理論はこんなふうに考える基礎になるんだ!」と目からウロコこが落ちたのでした。


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2009、8、9読了

2009年8月25日 15:27 | コメント (0)

新・読書日記 2009_143

『仕事をするのにオフィスはいらない~ノマドワーキングのすすめ』(佐々木俊尚、光文社新書:2009、7、20)

著者はメディア関係の本を精力的に書いている。ついこの間も、著者の『2011年新聞・テレビ消滅』(文春新書)という本を私も読んだばかり「グーグル」についての本も書いていた。ネット関係にも詳しい。そこで本書だが、『仕事をするのにオフィスはいらない』、フムフム、なかなか魅力的なタイトルだが・・・つまりモバイルのネット関係の道具があれば、固定の場所(オフィス)は要らない、と。スタバのようなカフェ(無線LANが使える)や相手の会社のオフィスの隅でも、自宅でも、「どこでもオフィス」になってしまうということで。固定の場所ではないという意味で「オフィスは要らない」ということのようです。そりゃそうだな。
サブタイトルの「ノマドワーキング」の「ノマド」とは、聞き慣れない言葉だが、「遊牧民」のことだそうだ。流行らそうとしているのかな。ひと昔、ふた昔前なら「ジプシー・ワーキング」とでも名付けていたかもしれないが・・・。
そして「クラウド(コンピューティング)」という言葉も出てくる。この本を読む数日前に、日経新聞夕刊の1面トップの見出しにもなっていた。「これからのコンピューターのあり方」みたいなもので、「クラウド=雲」。ただ、これに関してはちょっと「雲」をつかむような感じで、コンピューターの最先端の使い手ではない私には、あまりカンケーナイかなあ・・・と思った。
実はこの本を読む前に、2ちゃんねるの元・管理人ひろゆき(西村博之)氏の本を読んだのだが、その中に「クラウド・コンピューティング」と「Web2、0の法則」は「ほぼ同じ」、つまり、コンピューターの次の商売を考えている人たちの「キャッチコピー」だという説があって、「そうかもなあ」と思っていただけに、それほど「ホホウ、なるほど」というふうには読めなかった。先入観があるかもしれないが。で、そのあたりは難しそうだし、飛ばし読みしてしまいました。関心のある人には、興味深い本かも。


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2009、8、14読了

2009年8月25日 15:26 | コメント (0)

新・読書日記 2009_142

『オノマトペがあるから日本語は楽しい~擬音語・擬態語の豊かな世界』(小野正弘、平凡社新書2009、7、15)

著者は1958年岩手県生まれ。現在、明治大学教授。小学館から『オノマトペ辞典』を出しているらしい。「オノマトペ」というのは、いわゆる「擬態語・擬声語・擬音語」。そしてそれは日本語の「ヘソ」なのだという。
劇画『ゴルゴ13』 に出てくる、ライターでタバコに火を着けるシーンの「擬音」=「シュボッ」の謎を追うシーンはおもしろかった。オノマトペの奥は深いですね。


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2009、8、12読了

2009年8月25日 15:25 | コメント (0)

新・読書日記 2009_141

『みんなCM音楽を歌っていた~大森昭男ともうひとつのJ-POP』(田家秀樹、徳間書店:2007、8、31)

「三木鶏郎~いずみたく~小林亜星」に至るCMソングの系譜、「井上 鑑・矢野顕子・大貫妙子」などクリエイターたちの肖像、そして「三ツ矢サイダー」~「熱き心に」に至る間に関する「大瀧詠一VS大森昭男」の対談など、「もうひとつのJ-POP=CM音楽」の歴史(民放が出来た=CMが始まったのが戦後だから、その意味では戦後史)書。分厚い。サブタイトルに「大森昭男ともうひとつのJ-POP」とあるのだが、全体を通して読むと「大森昭男」を軸に書かれた感じはしない。あとがきを読んで「へ?そうだったの?」という感じ。ただ大森は、一瞬の(あるいは一時期の)輝きを残してCM音楽界から去っていった人が多い中で、1972年から現在(本が出た時=2007年)まで40年近くにわたって、一貫してCM音楽の第一線にとどまり続けている。そういう意味では「軸」と言えるのだろう。CM音楽界の鬼才それぞれの「そうだったのか!」というような関係が読み取れるのは、貴重。


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2009、7、19読了

2009年8月25日 15:23 | コメント (0)

新・読書日記 2009_140

『輿論(よろん)と世論(せろん)~日本的民意の系譜学』(佐藤卓己、新潮社:2008、9、25発行・2009、3、5第3刷)

去年、この本が出た時から関心を持って「読みたいな」と思っていたが、いざ手に入れてからも、なかなか読み進めない。一般書というよりは専門書・論文に近い文体が、電車の中で立ったまま読み進むことを困難にさせている。だからと言って、電車で座って読んでいると眠くなってしまう...。これまで書いてきた関連の論文を寄せ集めたようで、ちょっと冗漫な感じがする。もっと、すっきりとまとめたほうが読みやすく訴求力があると思うのだが。
肝は、戦後の当用漢字で「輿論(よろん)」の「輿」の字が、表外字になってしまい、当て字として「世論」を使い始めたことで、それまで「輿論(よろん)=オピニオンリーダーの意見」「世論(せろん)=世間一般大衆の意見」ときっちりと分けられていたものが、世間一般大衆の意見がオピニオンリーダーの意見なのだと、混同されるようになり、「世論調査」の動向が政治の行方を決めてしまうよいうな「ポピュリズム」に陥ってしまったのだというが...。目の着け所はおもしろいが、一つ疑問が。では漢字を使用しない、もちろん「当用漢字」も「常用漢字」も「表外字」もないアメリカでは、そのようなポピュリズムは起こらなかったと言えるのか?ブッシュの戦争と小泉ポピュリズムは、同根のものではないのか?つまり漢字とは関係なく「時代の趨勢」というのは動いてきたのではないか?「輿論」→「世論」が原因というのは日本に特有の出来事なのか?(そうだろうけど)
ちょっと疑問が残った。


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2009、8、2読了

2009年8月24日 17:04 | コメント (0)

新・読書日記 2009_139

『経済成長という病~退化に生きる、我ら』(平川克美、講談社現代新書:2009、4、20)

最初に第三章の「テレビが映し出した異常な世界の断片」を読んだ。どこから読んでもよい本。それだけ、各項目につながりがあるわけではない。ジグソーパズルの小さな塊がバラバラにあるような感じ。


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2009、8、16読了

2009年8月24日 17:03 | コメント (0)
2009_138

『なぜ宇宙人は地球に来ない?~笑う超常現象入門』(松尾貴史、画・しりあがり寿、PHP新書:2009、6、1第1版1刷・2009、7、9第1版2刷)

新書としては、かなり分厚い本。これまで6年余り連載されてきたものを、まとめたものだそうだ。イラストの「しりあがり寿」さんと言えば、朝日新聞の夕刊の4コママンガを描いているが、新聞の4コマはかなり制限があるのか、はっきり言ってあまりおもしろくない。前の「サミット学園」ほど、ひどくはないが。これはそういった制限のない雑誌や単行本のイラストですから、しりあがりさんのイラストも絶好調です(それが言いたかったのです)。松尾さんの切れのある文章とあいまって、相乗効果を挙げている。
松尾さんと言えば「情報ライブミヤネ屋」の火曜日のパネリストとしてご出演いただいているので、「本、読みました!」と話しかけてみると、
「まあ、僕も少年時代はオカルトUFO大好き少年でしたから...でも、それで人をだましたりして商売するのはやっぱり、ねえ・・・」
というようなことを話してらっしゃいました。たしかに、たしかに。
そういう意味で、真面目に読んでほしい一冊です。

2009、8、1読了

2009年8月24日 17:02 | コメント (0)
2009_137

『外科医 須磨久善』(海堂 尊、講談社:2009、7、22)

著者が『チームバチスタの栄光』を書くときにモデルとしたのが、本書で取り上げた外科医・須磨久善だという。『チームバチスタ~』の映画化にあたって「監修」も引き受けてもらったそうだ。ふーん、凄い先生が、日本にもいるもんだ。本書は著者初のノンフィクション。「バチスタ手術」が、現在では「最先端の手術」というのではなく、世界的にはあまり行われていない手術だということを、初めて知った。また、脳死(心臓)移植がなかなか進まない日本だからこそ、その「バチスタ手術」の価値が高いのだ、とも。
須磨は、最初から心臓外科医の研修医にならずに、まずは普通の外科医になったことで、それまでの心臓外科医では思いもよらない"胃の動脈を使った心臓バイパス手術"を開発するなど、"コロンブスの卵"的に、日本や心臓外科の枠にとらわれずに、まさに世界を股にかけて活躍してきた。広い世界に眼を向けることがある意味での"専門バカ"にならずに、新しい視点を持ってその世界を開いていくことが出来るんだな、ということを改めて感じた。

2009、7、29読了

2009年8月24日 16:59 | コメント (0)

新・読書日記 2009_136

『目からハム』(田丸公美子、朝日新聞出版:2008、9、30)

ご存じ、「シモネッタ」こと、イタリア語通訳の田丸公美子さんの著書。「目からハム」というのは「イタリアのことわざ」で、意味は「目からウロコが落ちる」と同じらしい。「目からウロコが落ちる」は聖書から出たことわざだが、このイタリアの「ハム」は、もちろん「生ハム」です。ほら、パーティーで、メロンに巻いて食べたりする・・・だから、サンドイッチに入っている日本のハムと違って、薄くて透けて見えるのです。とは言え、生ハムが目にくっついてちゃ、見えにくいよねえ。
それにしても、こんなにおもしろくてためになるのに、それほど売れていない様子は残念。「良書必ずしもヒット商品ではあらず」ですね。


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2009、6、19読了

2009年8月24日 16:58 | コメント (0)

新・読書日記 2009_135

『おとなのねこまんま~あったかごはんを極うまに食べる136』(ねこまんま地位向上委員会編、泰文堂:

「かに缶のだし茶漬けまんま」「キミも韓流スターまんま」「マヨわずおツナまんま」「餃子とわかめスープのねこまんま」「鮭バターまんま」などなど、"あったかごはんを極うまに食べる136"のメニュー!
早速「マヨわずおツナまんま」の道浦アレンジ版を作ってみました。期待度は五つ星!味は・・・うーん、まだ改良の余地ありでした。でも、いろいろ作ってみるとおもしろいよね!


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2009、8、6読了

2009年8月24日 16:55 | コメント (0)

新・読書日記 2009_134

『秘密とウソと報道』(日垣 隆、幻冬舎新書:2009、7、30)

☆3つと半分は、いくらなら買っても良いのかな?☆5つなら定価の2割増し、☆4つなら定価~定価の8掛け。☆3つは定価の7掛け~半額、☆二つは定価の3、4割。☆一つは定価の一、二割。☆なしは金返せ!かな。
じゃあ、本書「☆3つ半」は、定価の75%ぐらいの価値あり。今回は740円の75%だから550円ぐらいか。


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2009、8、2読了

2009年8月24日 16:54 | コメント (0)

新・読書日記 2009_133

『世界は分けてもわからない』(福岡伸一、講談社現代新書:2009、7、20)

タイトルを見たとたんに「買いだ!」と。しかもこれは、
「脳死・臓器移植に反対の書だ」
と直感。すぐに購入。真ん中あたりでやはり「脳死・臓器移植」の話も出てきたが、「反対」ということではなくて「疑問を呈する」というスタンスのようだった。
話の転換、流れ、むずかしく気取ってるけど、おもしろい。豊富な知識に裏打ちされた"発想の豊かさ"には脱帽。たとえば、「魚に網膜の奥に反射板があるが、人間にもあってわずかに光を発しているのではないか?それが"視線を感じる"ということではないか?」というところは「ふーーん!すごいっ!!」という感じがした。
後半は、サスペンスのようでまたおもしろいし、各章が実は関連しあっていて、伏線が至る所にある。この本の構成そのものが「世界は分けても分からない」を体現している。しかし「分けても分からない」と言いつつ、「世界は、分けなくては分からない」とも。「分ける」という行為こそが「科学」であり、それを"完全否定"するものではない。しかしそれが全てでもない。「バランス」の上に成り立っているのである。
「マップラバー」と「マップヘイター」の話もおもしろかった。講談社の『本』8月号では、この本に関して著者・福岡伸一が作家の高橋源一郎さんと「科学と文学のあいだ」というタイトルで対談している。本書が「講談社現代新書」の第2000号、「キリ番」である。


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2009、7、25読了

2009年8月24日 16:53 | コメント (0)

新・読書日記 2009_132

『2011年新聞・テレビ消滅』(佐々木俊尚、文春新書:2009、7、20)

2009読書日記128で書いた『新聞・TVが消える日』(猪熊建夫、集英社新書)に比べると、こちらの本の方が、テレビ関係者である私にとっては、より身近に「フムフム」と読み進めることができた。
テレビは「"マス"メディア」から「"ミディアム"メディア」になってしまうのか?(その可能性は十分あると感じた)そして、メディアを「コンテンツ・コンテナ・コンベヤ」と分けた場合、問題は「コンテナ」部分だと。「プラットフォーム」とも呼ばれるこの部分を握るものが、果実の多くをとることが出来るのだと、著者は説く。「コンベヤ」になると「地主から小作人の立場」になるということだと。つまり取り分が劇的に減るということ。そして今後その「コンテナ(プラットフォーム)」になり得るのは「STB(セット・トップ・ボックス)」ではないかと、最新の情報もまじえながら説く。このところ、『週刊ダイヤモンド』とか『東洋経済』『日経ビジネス』とかの経済誌で書かれていたメディア関係のどれよりも、現状分析が出来ていたように思った。


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2009、7、26読了

2009年8月24日 16:51 | コメント (0)

新・読書日記 2009_131

『新明解国語辞典編くろ版・しろ版』(三省堂:2009、3、1)

うーん、ちょっとだまされた。新明解の「うめ版」というのがあって、去年だか買って読んだ。というか見た。写真家の梅佳代さんという人が、新明解の言葉をテーマに撮った写真集。今回もそういったものかなと思ったら・・・これは、この本(?)を買った人が梅さんになるのだ。つまり自分で写真を撮って貼る。つまり「アルバム」なんである。あーん、知らなかった!新聞の書評で読んで注文して取り寄せで買ったから・・・1冊1200円は、ないんじゃないの?2冊買っちゃいましたよ。皆さん、この本(?)は本屋さんで手に取って、どんなものか確認してからご購入下さい。でないと、痛い目にあいますよ。仕方がないから、写真、撮るか・・・。


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2009年8月24日 16:43 | コメント (0)