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ストーリー

第7話
8月25日(木)よる11:59

 柿崎真一(三上博史)は、島田百子(木下美咲)という若い女性と出会い、意気投合してラブホテルに向かう。だが柿崎は、百子の「1億円の宝くじに当たった」という話を聞いているうちに睡魔に襲われ、眠ってしまう。その間、百子は誰かに電話で呼び出され、柿崎を置いて出て行くと、その直後、交通事故で亡くなってしまった。

 百子の通夜に行く柿崎。父親の島田太一(中丸新将)が、「……失礼ですが、娘とはどういうご関係で?」と柿崎に尋ねる。「昨晩知り合って意気投合しまして……」と柿崎。「馬鹿な子だ。最後までそんなことを」と島田。その時、百子の母、美奈子(銀粉蝶)がやってきて、棺桶にすがりついて泣き出す。美奈子に「帰りなさい!君が殺したようなもんだ」と鬼の形相で怒鳴る島田。だが、「遺産はもらうわよ。百子、1億円の宝くじを当てたんでしょ」と言い返す美奈子。

 島田は柿崎に、美奈子にだけは百子の遺産を渡したくないと相談する。島田は中学校の教頭で、美奈子とは美奈子の不倫が原因で離婚していた。「あれは、百子が一番多感な時に家庭を壊した女だ。私はこの十年、必死に百子を育て上げた。遺産を受け取るのは私だ」と島田。「しかし、元の奥様には二分の一の遺留分が発生します」と柿崎。「百子は母親の不倫が原因で、現実から逃げて遊び歩き、酒に溺れて、あなたのような男と付き合い……。そして赤信号に飛び込む羽目に。だからあいつが百子を殺したようなもんだ。殺人者に遺産を相続する権利はない!」と島田。

 柿崎は、百子の住んでいた団地へ行く。百子が死んだと聞いて、近所の老人たちが驚いて集まって来る。「モモちゃん、外国の人と付き合ってたんじゃないかな」と隣人は言う。さらに百子の部屋を探っていると、大量の紙包みが見つかる。「密輸?10キロはあるな。末端価格でいくらになるんだ?」と柿崎。

 柿崎が事務所に包みを持ち帰ると、華は「先生、この件からは手を引きましょう。やばすぎます」と華。そこへ河原井正(豊原功補)も現れ、「末端価格10億ってとこだな。預かってもいいぜ、先生」と言う。だが「これは遺産だから、教頭に返す」と柿崎。

 柿崎に呼び出された島田は、紙包みを見せられて驚く。「『人の役に立つ人になれ』と教えてきたのに……」と島田。柿崎は、その包みが本当に百子が密輸したものか、知らずに所持していたものか、調べようと言う。だが島田は、知られざる娘の生活の全貌を知ることに恐れをなす。華がそんな島田から「取引先と連絡を取っているはずですから」と百子のスマホを取り上げる。そこには、百子がクラブで髪を振り乱して踊っている動画もあり、「これが百子ですか……」とア然とする島田。

 島田とそのクラブに行く柿崎と華。そこにはアラシュという男がいた。アラシュが取引相手だと気付いた柿崎たちが追いかけると、アラシュは『ごはんの家』という一軒家の方へ逃げていった。そこには美奈子がいて、“人に優しく”を合言葉に数人の子供たちの面倒を見ていた。「この人を知りませんか?」と華がアラシュの写真を見せるが、「知らないわ」と美奈子。「本当は知ってるんだろ!その男と百子の関係を!お前のせいだ。お前が百子をこんなバカな人間にしたんだ!」と島田。「なんですって!?俺が育てたって豪語していたくせに。私から親権を奪い、面会する権利まで奪ったくせに!」と美奈子。

 その時、百子のスマホに、アラシュから電話が入る。紙包みを埠頭まで持ってこいと言うアラシュ。島田が行こうとすると、美奈子が「あなたは教員よ?教え子や学校まで巻き込むことになる。あたしが行くわ」と美奈子。柿崎が付き添い、埠頭へと向かうことに。道すがら、美奈子は柿崎に、過去に一時の気の迷いで浮気してしまったこと、島田の不器用なまでに仕事に熱心なところに惹かれたことなどを話した。「まだ好きなんですか?」と柿崎。「大丈夫なのかな、百子を失って。…あなた、子供は?」と美奈子。「娘が一人、妻の母のところにいます」と柿崎。柿崎には12歳の娘が一人いる。だが、柿崎の妻は自殺して亡くなっていて、娘に母の自殺の理由を尋ねられることを恐れ、柿崎は娘を避けているのだった。

 埠頭に着くと、アラシュがいた。アラシュは柿崎を突き飛ばし、美奈子と紙包みを奪っていく。「美奈子さんを人質にとられた!」と華と島田に連絡する柿崎。アラシュは美奈子と引き換えに身代金1億円を要求した。島田は百子の1億円を持って、華とともにアラシュのもとに向かった。するとアラシュが出てきて、島田を抱きしめる。「モモガ シンデ カナシイデス」とアラシュ。アラシュは、百子の同士だと言う。そして紙包みの中身は、麻薬ではなく、サフランだった。「え?」と島田。「僕がいつ、麻薬だとか覚せい剤だとか言いました?」と柿崎。百子は宝くじの当選金で、このサフランをアラシュから買おうとしていたのだった。「いくらなんでも1億は高すぎるだろう」と島田。「僕の国に学校を作るためです」とアラシュ。柿崎は言う。「百子さんは中東に人道援助で行っていたんです。そこで彼と知り合った。だが内戦が激しくなり、帰国を余儀なくされた。それでもなんとか学校の資金を貯めようと、彼の国で栽培が盛んなサフランを輸入しようと考えたんです。でも思ったほどの利益は出なかった」と柿崎。「だから宝くじを買ったの?」と美奈子。「実は宝くじを買ったのは、百子さんじゃないんです」と柿崎。

 柿崎は、島田と美奈子を団地へ連れていく。そこで百子は、孤独なお年寄りたちの話し相手となって暮らしていた。そのお年寄りたちが、百子の夢を応援するため、宝くじを買ったのだった。「百子さんは、島田さんの“人の役に立つ人になれ”、美奈子さんの“人に優しく”を実践していました。あなたたちの子供に生まれてよかった……それが百子さんからあなたたちへのラストリクエストです」と柿崎。

 柿崎が事務所に戻ると、河原井が待ち構えていた。柿崎が「ハズレ」として百子から受け取っていた宝くじが、前後賞で1000万円になると言う。「マジで!?」とそれを奪い合う、柿崎、華、河原井で……。

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