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ストーリー

第4話
7月28日(木)よる11:59

 柿崎真一(三上博史)は車のカセットプレーヤーが故障したため、河原井正(豊原功補)の紹介で、あるリサイクルショップを訪れた。だが、店主の富沢英太郎(泉谷しげる)は、店を閉じるので直せないと言う。代わりに売れ残りのカセットプレーヤーを勧める富沢。「いくらです?」柿崎が聞くと、「代金の代わりに遺言を頼まれてくれ。その遺言とレコードを娘に届けてほしい」と、富沢はレコードを差し出すが、柿崎は受け取り損ね、レコードを割ってしまう。「あっ」と叫ぶ柿崎に、「結局そういう運命なんだな、俺は」富沢は肩を落とすと、咳き込んで吐血する。「大丈夫ですか!?」と、柿崎が駆け寄ると、そこに木村巡査(胡蝶英治)が通りかかり、「殺人事件か!?手をあげろ!」と銃を向ける。「バカ!救急車を呼べ!」と柿崎。

 救急車の中で、富沢は「この預金とレコードを娘に」と、柿崎に通帳と印鑑を渡し、「璃菜にすまなかったと伝えてくれ」と言う。「何言ってるんです。元気になって自分で伝えましょうよ」と柿崎。病院に到着し、富沢が救急処置室に運ばれると、柿崎は木村巡査に傷害容疑で逮捕される。話を聞いた丸井華(森川葵)が駆けつけるが、柿崎は「割れたレコード、直してくれるところ知らない?」と呑気にいた。そこへ柿崎の顔見知りの山本刑事(樋渡真司)が現れ、柿崎は釈放されるのだった。

 柿崎と華は早速、富沢の娘・璃菜(篠原ゆき子)に会いに行く。璃菜は結婚し、平田姓になっていた。「富沢英太郎?あの人はもう他人です。一切関わりたくありません」と璃菜。遺言も割れたレコードも捨ててくれと言う。

 水谷美樹(酒井若菜)に、「オヤジのものなんて一切受け取りたくないんだって」とぼやく柿崎。柿崎と美樹は、割れたレコードを眺めていた。ジャケットには「港の丘小学校演奏会 音楽教師・岡本瑤子」とあった。「岡本瑤子?」と柿崎。

 とあるバーに行く柿崎と美樹。そこのママ、ヨーコが岡本瑤子だった。ヨーコはカウンターに「港の丘小学校演奏会」と書かれたオープンリールを置く。それは富沢のレコードの音源だった。「富沢璃菜って子、知ってる?」と柿崎。「ピアノのうまい子ね。かわいそうな子だったわ」とヨーコ。父の富沢英太郎が車で事故を起こし、同乗していた璃菜の母は亡くなった。その後、富沢は交通刑務所に送られ、璃菜は親戚をたらいまわしにされた。「あの子、一人で母親の遺体を引き取りに行ったのよ。父親に会いたくない気持ちもわかる」とヨーコ。

 柿崎は、借りたリールで新たにレコードを作り直した。その内容は、小学生だった璃菜のピアノ演奏だった。柿崎がそのレコードを手に富沢の病室に行くと、富沢は亡くなっていた。富沢の遺体と対面した柿崎は、手に握られていた紙切れをそっと抜き取る。

 富沢の遺体は、2日後まで警察署に預けられることに。山本刑事が遺体の受け取りを璃菜に拒否され困っていると、柿崎が現れる。「富沢さんの遺品だけど」と柿崎。「ダメ、一旦こっちで預かるルールだから」と、山本は通帳やレコードを所持品袋に入れてしまった。「もう…」と、柿崎が行こうとすると、木村巡査が目に入る。

 木村巡査を“誤認逮捕”と呼び、こき使う柿崎は、パトカーで富沢のリサイクルショップに送らせる。するとショップにはヨーコが来ていた。「あれ?どうしたの?」と柿崎。「なんだか心配で……」と言いながらヨーコは慌てて去っていった。柿崎が見ると、富沢が水をやっていた鉢植えが3つなくなっていた。「……」と柿崎。

 柿崎は、璃菜を富沢の遺体と引き合わせたいが、璃菜は頑なに警察署へ行こうとしない。仕方なく柿崎は、璃菜の家へ下着ドロボーに入ったかのように装い、木村巡査に自分を逮捕させるのだった。柿崎を訴えるため、警察に現れる璃菜。だが、奪った下着は美樹からもらったものとわかり、今回も誤認逮捕として釈放されるのだった。「こうでもしないと、あなたは来てくれませんからね」と、璃菜を富沢の遺体に引き合わせる柿崎。「死んだのに、まだ人を振りまわす…。知ったことじゃない!」と璃菜。「でも、お父さんから託されたこのレコード、聞いてみる価値はあると思いますよ」と柿崎。

 廃校になった港の丘小学校の体育館に、璃菜を連れていく柿崎。そこにはグランドピアノがあり、レコードに録音された演奏を璃菜が披露した場所でもあった。レコードを再生する柿崎。璃菜の演奏するショパンが流れた。しばらくすると演奏が途切れる。璃菜が演奏を間違ったのだった。「会場にいたお父さんとお母さんの仲の良さに気を取られて、間違ってしまったそうですね。瑤子先生に聞きました」と柿崎。

 だがレコードの続きに、「璃菜、大丈夫だ、頑張れ。先生、お願いです。うちの子はちゃんと弾けるんです。もう一度、最初からやらせてください」という富沢の声が入っていた。そして、璃菜の演奏が再び始まった。見事な演奏だった。

 「富沢さんも、もう一度やり直したかったんだと思います。お父さんはあの事故で失明してしまい、あなたを育てる自信を失った。それでもあの時、あなたにどんなに拒まれてもあなたに会うべきだったと、富沢さんはずっと後悔されていました」と柿崎。「勝手ですよ」と璃菜。柿崎は富沢が握っていた紙切れを璃菜に渡す。璃菜には覚えがあった。それは家族が幸せだった頃の家族写真の一片だった。「……お父さん」と涙を流す璃菜。「それが彼のラストリクエストです」と柿崎。

 そこへ美樹が、鉢植えを三つ持って現れた。ヨーコが富沢のショップからくすねたものを取り返してきたのだ。「これはお父さんが育てていたハオルシアの鉢植えです。1鉢200万はします。お受け取り下さい」と柿崎。そして璃菜は、「レコード代よ」と鉢植えの一つを柿崎に差し出す。だが、それも、河原井が「ホントに200万もするの?」と疑いながらも奪っていき……。

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