バックナンバー

ストーリー

第1話
7月7日(木)よる11:59 ※一部地域を除く

深夜の墓地―。

 鼻歌を歌いながら墓を掘り起こす奇妙な男、柿崎真一(三上博史)。柿崎は墓の中から封筒を拾い上げ、ラブホテルで待つ女、水谷美樹(酒井若菜)の元へ向かう。美樹は、セレブな老人を患者に持つ歯科開業医。「遺言書の隠し場所を見つけたら遺産をあげるって、どんな爺さんなんだ」と柿崎が拾ってきた封筒は、患者が美樹にあてた遺言書だった。分け前を期待する柿崎だが、美樹のミスで、せっかくの相続権を一瞬にして不意にしてしまう。気落ちする柿崎。そこへ丸井華(森川葵)が突然やって来る。新聞の死亡欄から金持ちだけピックアップした華。「告別式は明日ですから、遅刻しないで下さい」と愛想がない。

 翌日、柿崎は華とともに、山岸秀雄(螢雪次朗)の告別式に向かう。喪主の山岸の娘、倫子(紫吹淳)に声をかける柿崎。「私は生前、山岸様にお世話になった弁護士の柿崎です」と名刺を渡す。柿崎は遺産相続専門の弁護士だった。傍にいる華は新米弁護士。「相続のことならなんでもご相談を」と柿崎が言うが、倫子は柿崎を怪しみ警戒する。そこへ喪服姿の立花淳子(奥菜恵)が現れる。血相を変えて「元町の泥棒猫が!何しに来たの!」と怒鳴る倫子。「なによ、こんな葬儀!妻の私は認めないわ!」と淳子。二人のケンカは泥仕合に。実は淳子は、山岸が通っていたクラブのママで、山岸が亡くなる6時間前に入籍した“6時間妻”だった。

 柿崎が遺産相続専門の弁護士と知った淳子は、柿崎の事務所『ラストリクエスト』に立ち寄る。「何と言われても法律上は私が秀雄さんの正妻。遺産の3億のうち、半分の1億5千万円を受け取る権利があるはずよ」と柿崎に相談する。華は「この女は遺産目当てで男をたらし込む危険な女」だと悟り、柿崎に依頼を受けないよう進言する。が、柿崎は早々と「お受けしましょう、マダム」と引き受ける。

 柿崎と華が倫子のもとへ話し合いに行くと、「きっとパパは意識のない中で無理やり婚姻届を書かされたのよ。当事者間に婚姻の同意がないなら婚姻は無効よ」「それにパパの日記には、亡くなる直前まで、死んだママへの思いが書かれていた。そんなパパが他の女と結婚するはずがない」と倫子。

 倫子の言い分を覆すには、山岸に結婚する意思があったことを立証せねばならない。柿崎と華は山岸のいた高級老人ホームへ向かう。そこには山岸の友人がいた。彼らは、「山岸は真面目な男だったから、淳子ママに騙されたんだ。山岸に結婚の意思なんてなかったと思う」と証言する。

 続いて、柿崎と華は、淳子の店、クラブ『泥棒猫』へ。が、そこのホステスたちも、山岸の結婚については「そんなの遺産目当てで騙されたに決まってる」と言う。そのとき、淳子の借金の取り立てだと言って、ヤクザ風の男が現れる。淳子に借金があると聞き、「やはり遺産目当て…?」と思っていると、河原井正(豊原功補)が現れる。すると男たちは、河原井を「カバライの兄貴!」と恐れて逃げていった。

 歯科医の美樹のところへ行く柿崎。山岸は美樹の患者でもあった。「山岸さん?真面目で物静かなお爺ちゃんだったわ」という美樹に、「なかなか一発逆転のネタが見つからない」と柿崎。「彼、キスするとき、入れ歯じゃカッコ悪いからってインプラントにしたのよ。よほどその人のことが好きだったのね」と美樹。さらに「ママにもいいご褒美を残すことができた」と喜んでいたという。「ご褒美?」と柿崎。「入れ歯のことよ。たぶん、ママにあげたんじゃないかな」と美樹。

 その頃、華は倫子を訪れていた。「私があの“泥棒猫”に相続を放棄させます。その暁には報酬を…」と華。倫子はそれを承諾する。

 一方、柿崎は淳子のマンションに行き、山岸の“入れ歯”を見つける。丁寧に桐の箱に入れられ、柿崎は小さなメッセージカードの封筒があるのに気付く。それをこっそり見て、自分のポケットにしまう柿崎。

 その後、柿崎のもとへ河原井が来る。「ママの借金事情が分かった。ママは山岸に金の運用を頼んでた。しかし、山岸は失敗して3千万の穴をあけた。ママはその穴埋めに、3千万借りたんだ」と河原井。「そんなことマダムは一言も…」と柿崎。「ママのプライドだろ。男に騙されたなんて、口が裂けても言いたくないさ」と河原井。

 後日、テレビや雑誌で淳子が“疑惑の女狐”“遺産目当ての6時間妻”などとバッシングを受けていた。それを見る柿崎と華。「まいったね。こんな状況じゃマダムには遺産を諦めてもらうしかない」と柿崎。「ほ、ほんと困りましたね!」と嬉しそうな華。

 柿崎は淳子のもとへ行く。「このままだと“稀代の悪女”というレッテルが一生ついて回り、クラブの評判まで落ちかねません」と柿崎。「構わないわ。でも、遺産をもらわないと結婚を認められたことにならないわ!」と淳子。「マダム。マダムは遺産相続よりも、結婚を認めてもらうことを望んでるんじゃないですか」と柿崎。「……!」何も言えない淳子。「遺産相続を放棄していただけませんか?そうすれば、マダムは真実の愛を手にすることができます」と柿崎が言った。

 クラブ『泥棒猫』で淳子の記者会見を手配する柿崎。そこで淳子は、山岸が自分の意思で婚姻届にサインしたと言った。「私が欲しかったのは、遺産じゃありません。愛です…」と淳子。だが、見ていた倫子が「冗談じゃない!パパがあんたなんかを愛するわけがない!」と言う。それを聞いていた山岸の友人たちが、淳子をかばいだす。「淳子さんは、山岸の入れ歯まで洗って尽くしてたんだ!娘のあんたなんか、山岸に会いにすら来なかったじゃないか」「ママの山岸への献身的な姿に嫉妬して、ママが“金目当てだった”とつい悪口を言ったんだ」と淳子に詫びる。すると淳子は「私は彼に少しでも長く生きていてほしかっただけ…遺産相続を放棄します!」と宣言した。驚く倫子に柿崎は言う。「生前、お父様がお使いだった入れ歯を遺品として、淳子さんにいただけないでしょうか?」「喜んで」と倫子。最後に山岸の遺影に柿崎がつぶやく。「安らかにお休みください」。

 柿崎は淳子のもとへ。「正直、マダムが山岸さんを愛していたなんて信じられませんでした。おそらく山岸さんも同じ気持ちだったと思います。…だから、あなたの愛を試すために3千万円を預かった…」柿崎は、山岸の日記にあった「ママ」が淳子であったと読み解いていた。入れ歯の箱に入っていた小さなメッセージカードを淳子に渡す。そこには山岸の淳子への愛が綴られ、淳子の3千万円を運用して得た3億円の口座番号と名義人の名前が記されていた。「手数料6千万を引かせていただき、ここに2億4千万円あります」淳子はニヤリと微笑み、柿崎から山岸の愛と遺産を受け取るのであった。

 相続争いは無事決着し…倫子のもとに行く華。「どこまでがあなたの働きかわからないけど」と言う倫子から「すべて私の計算どおりです」と報酬を受け取る華。

 柿崎が報酬6千万に喜んでいると河原井が現れ、「貸した金の利子分だけでも返してもらう」と3万円だけ柿崎に渡し、残りすべてを回収していくのだった。華も河原井に報酬を取り上げられ……。「6千万が利子ってどんだけ借金してんのよ?」とあきれる美樹で……。

バックナンバー