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2016 12.26

IoT×靴「Orphe」アパレルからアーティストまで 広がるコラボレーションの可能性

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2016年、さまざまな最先端テクノロジーやオープンイノベーションの取り組みを紹介してきた読売テレビの番組『ハッカテン』で登場した人物やプロダクトの魅力を掘り下げる「Hackaten Press」。今回は、今年大きな話題になったスマートフットウェア「Orphe」の開発者にインタビューを行った。

「Orphe」は、両足合計約100の個別制御可能なLED、Bluetooth通信モジュール、9軸モーションセンサーを内蔵。動きに応じて光や音が発せられ、自由度の高い豊かな光や音の表現が可能な、まさにIoTシューズといえる。
2015年にスタートしたクラウドファンディングプロジェクトで$110,000以上の資金を集めたのち、今年9月より伊勢丹オンラインストア、阪急オンラインショッピング、二子玉川 蔦屋家電、金沢21世紀美術館などで一般販売も開始。阪急メンズでの「Orphe × Mastermind Japan」「Orphe × Nona9on」モデル発売など外部ブランドとのコラボレーション、さらには水曜日のカンパネラやAKB48などといったアーティストのステージにおける使用と、様々な形でのコラボレーションの可能性が広がっている。

「Orphe」一般発売後の反響や、外部とのコラボレーションへの考え方について、株式会社 no new folk studio CTO金井隆晴氏に話を聞いた。

様々なコラボレーション先に”遊んで”もらいたい

ーまずは、Orpheに込めた開発時のこだわりを聞かせて頂けますか?

金井: ソール裏のパターンに「ネットワーク」の意味合いを込めています。靴がIoTでネットに繋がっていろんな情報をシェアして、この靴自体がアップデートされていく。靴がネットに繋がって、表現が広がっていく。そんなイメージですね。また、光るという観点から、クリスタルカットされているようなビジュアルも盛り込んでいます。
一方でアッパーの部分はシンプルなデザインにしています。これはオープンな靴のプラットフォームとして、まっさらなデザインにして様々なコラボレーション先に遊んでもらいたいという意味合いです。
「ザ・スマートフットウェア」として、システムとしても靴としても、コラボレーションしやすいものでありたいです。

ー一般販売開始後の反応はいかがですか?

金井: 上々です。Indiegogoでのクラウドファンディング時は男性の支援が多かったのですが、一般販売後は女性向けの23.5cmが品薄になったり、(期間限定で店舗でも展開した)百貨店では思っていたより高齢の方が買って頂いたりと、男女も年齢も幅広いなと感じています。

ー小売店だけではなく、美術館で販売という点も興味深いです。

金井: プロトタイプを発表したあとにまず展示のお話を頂きました。アートの文脈で展示をして、実際にミュージアムショップで購入も出来る、という形は願ってもないお話だったので、この販路は是非開拓したいと思いました。
展示は、Orpheを履いたダンサーの動きを記録して光を再現し、同時に記録した映像と連動させて展示するというものです。これを表現者しか使えないものではなく、ストリートで踊っているダンサーも使えるようなプロダクトにしたいとは考えていたので。

ー早速コラボレーションモデルも登場しましたね。「Orphe × Mastermind Japan」「Orphe × Nona9on」では本体のデザインのみのバリエーションでしたが、今後コラボレーション先によって、LEDのパターンも変えられる可能性もあるのでしょうか?

金井: そうですね、専用アプリでは好きなLEDパターンがダウンロードできるようになっているので、今後「〜モデル」限定のLEDパターン配信のようなことは簡単にできます。

水曜日のカンパネラやAKB48など、アーティストの使用も

ー一方で、水曜日のカンパネラなどアーティストがステージで使う機会も増えていますね。

金井: 水カンさんにはサンフランシスコで行われるJ-POP SUMMITでのステージで使用して頂きました。ボーカルのコムアイさんも気に入ってくださったようで、Orpheにサインしてもらった時に「天才!」と書き加えてくれました。Orpheを履いてもらっただけではなく、ウォーターボールの中にコムアイさんが入る演出もあるのですが、そのボールが光る時の制御もOrpheのシステムを使いました。このように、靴としてだけではなく、光と音を繋ぐシステムとしての活用も広げていきたいです。
AKB48さんのステージでのコラボレーションも実現しました。赤いドレスに白いOrpheというコーディネートで、専用モジュールを開発して、複数足を同時に制御し、順に光が変わっていったりといった演出を行ったんです。今後も複数人で踊るようなシチュエーションではこのシステムを使いたいですね。さらに大人数になっても制御出来るはずなので。

ファッションデザイナー 山本寛斎氏とのコラボモデルも

デジタルと人を繋ぐインターフェイスに

ー今後、デザインの変化・改良などの予定はありますか?

金井: 将来的には細部は改良していきたいですね。例えばソールの形状も何も靴のことを知らないところからデザインしていきましたが、工場で組み立てる際に「この部分の糊がはみ出さないように」と苦労した点もありました。また外部ともっとコラボレーションしやすいようにという視点でも変えていきたいですね。今は一枚革ですが、パーツごとに分かれていると「ここだけ色を変えよう」などとコラボレーションする際にデザインの幅が広がるという可能性もあるので。
バッテリーも今出来る選択肢の中で極力スリム化したのですが、もっと改善していきたいです。

ーサイト上では一般のユーザー向けにもソフトウェア開発キット(SDK)を配布されていますが、この意図はどのようなものでしょうか?

金井: エンジニアも少しずつは増えているのですが、それだけだとやりたいことに開発が追いつかないので、オープンな力を頼って可能性を広げていきたいなと。またオープンにすることでコミュニティに還元していきたいという思いもあります。DMM.make AKIBAというシェアオフィスにいることもあって、社内に関わらず面白そうなエンジニアさんがいたら、積極的にSDKを使ってもらってみたりしています。公開前のSDKなどもありますので、興味がある方がいましたら是非声かけて欲しいです。
今後、開発された新たな光や音の動きがシェア出来るような仕組みも実装していきたいと思っています。

ー金井さんが今後Orpheを通してやっていきたいことはありますか?

金井: VRですかね。「ダンスダンスレボリューション」のようなゲームのコントローラーとしても使えるようになったら面白いですよね。また、その場をダンサーの動きが支配しているような演出のステージはもっとやっていきたいです。
様々な可能性を広げて、単に”靴”だけではない、インターフェイスとしてデジタルと人を繋ぐものにしていけたらいいなと思っています。

金井 隆晴
株式会社 no new folk studio 取締役 兼 CTO

1987年生まれ。首都大学東京大学院システムデザイン研究科にて芸術工学を専攻。その後、シャープ株式会社にて、UXデザイナー、新規事業の商品企画を担当。学生時代のプロジェクトパートナーであった菊川裕也と共に、2014年に(株)no new folk studioを共同設立。スマートフットウェアOrpheをはじめ、「日常を表現にする」をコンセプトとしたプロダクトを手がける。

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