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2016 12.06

グッドデザイン賞 金賞も受賞
乾電池×IoT「MaBeee」一般発売後の反響・構想

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2016年、身近にIoTを具現化するツールとして大きな話題になった「Mabeee」(マビー)。単三サイズの電池ボックスで、中に乾電池を入れると、連動したスマホアプリを通して、乾電池で動く製品をコントロール出来るというプロダクト。スマホを振ったり、傾けたり、声の大きさに反応させることで、おもちゃを動かしたり、ライトを点灯させたりと、乾電池で動く製品の新たな使い方を楽しむことが出来る。

ローンチ当初はクラウドファンディング「Makuake」での支援を募る形だった「MaBeee」。その後8月には一般販売を開始、9月にはニッセイ・キャピタル、みずほキャピタルを引受先とした1.2億円の資金調達も実施。直近の展開と今後の構想について、ノバルス株式会社 代表取締役 岡部顕宏氏に話を聞いた。

一般販売開始—これからの季節、クリスマス需要を開拓していく

ーまず、改めてこの「MaBeee」のアイデアがひらめいた時のことを聞かせて頂けますか?

岡部: 思いついた瞬間があるというより、「おもちゃをスマホで動かしたい」「プラットフォームとして誰でも使えるものをやっていきたい」などといった様々な要素の組み合わせでした。

元々、今でいうIoTのような、ハードウェアとソフトウェアが融合したようなことは昔からやりたいと思っていました。最初はコンテンツやサービスを作る側にいたのですが、当時(2002年頃)はコンテンツにまだハードウェアが追いついていなかったので、「こういうことをやりたい」と思っても、それができないことが山ほどありました。またそれに対応する知識もなかったので、ものづくりの会社でゼロから学んでいこう、ハードウェアを通した事業企画をやろうと、セイコーに入りました。

その後「こういうことをやりたい」と思ったものに対して、どんな点が難しいかや何が出来るかの肌感覚が分かったのちに、MaBeeeに繋がるアイデアも思いついたんですね。モニター調査を公民館でやったり、アンケート調査をやったりして、ある程度ニーズが把握出来たところで会社を作り、クラウドファンディングもスタートさせました。

ー最近の最も大きな動きとしては、一般販売を決めたことだと思いますが、小売店の反応はいかがですか?

岡部: 最初に約140店舗で展開、2016年12月時点には約500店舗ほどで展開予定です。家電量販店はもちろんですが、おもちゃ屋さん、ボビーショップさん、書店さんなどですね。書店は工作の書籍との関連購買を見越してです。またソフトバンクさんの銀座店やNTTドコモさんのグランフロント大阪ではディスプレイ展示もして頂きました。新しいスマホの周辺機器としての取り扱いですね。

ー流通サイドと商談をしていく中で、引きになった部分はありますか?

岡部: クラウドファンディングの成功は、一つの要素としてありました。実際にこれだけ多くの方に応援して頂いたと実績を見せることは大きかったと思います。

ークラウドファンディングでは目標金額50万に対して640万の支援額を獲得。リターンも他の商品やグッズとの組み合わせではなく「MaBeee」本体の「×本セット」のみと、シンプルで潔いですよね。

岡部: 他社の商品とのセット販売などもしようかと考えたのですが、まずはMaBeeeだけでどこまでいけるかを見ようと思いました。

ー販売後、どういったシーンで使用されていることが多いと感じますか?

岡部: やはり電池で動くおもちゃ、ミニ四駆や電車玩具ですね。また夏休み期間中ですと工作に使う需要もあったので、夏休み最終週まで工作教室を実施もしました。

また、次はクリスマスに向けての使い方を提案しています。クリスマスのホームパーティーに使うようなイルミネーションで、音声によって明るさを変えられる点を活かして「もっと元気に歌わないとライトがつかないよ」という楽しみ方をしたり、時計モードでタイマーを設定して「3、2、1、0」で点灯させたりといった楽しみ方も出来ます。

B to B需要も見据えて

ー9月には資金調達もありましたが、資金の用途はどのようにお考えでしょうか?

岡部: マーケティングと開発です。開発という面では二つあります。一つはアプリを例えば”ミニ四駆風”など、人気の用途ごとに進化させていくことです。もう一つは新しいハードウェアの開発も検討していきます。

ー今後の展開で考えている点が他にもありましたら、教えて頂けますか?

岡部:「Powered by MaBeee」と呼んでいるのですが、B to Bとしてプロダクトの中にMaBeeeを埋め込みたいというお話もいくつか頂いています。

ーB to Bの場合はどういった業界からの反応が多いですか?

岡部: 非IT業界が多いですね。あらゆるものがネットワーク化されるのがIoTのいいところではありますが、開発へのハードルが高い面もあります。「うちではそういったものは設計出来ないけれど、乾電池製品なら作ったことがあるよ」というメーカーさんからの反応があります。

B to Bは長期的な話になるので、まずはB to Cでのシーズンごとの使い方を提案していきながら進化させていければと考えています。

「グッドデザイン金賞」にも選出

ー2016年の「グッドデザイン金賞」(2016年度に選ばれたすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、特に優れたデザインと認めるもの:クッドデザイン賞公式サイトより)にも選出されましたが、選出にあたっての理由はどのようなものだったとお考えですか?

岡部: 「この手があったか」という評価を頂きました。IoTは何かしら知識が求められ、ブログのように、ログインするだけで記事を書けるような手軽さまではまだないですが、乾電池を介することで、ある意味IoTの作り手にもなれる。半完成といいますか、企画や使い方次第で手軽にIoTを楽しめるということだと思います。

並み居る企業の4,000以上の製品中から創業1年足らずの私たちのような会社の製品を見い出し注目いただけたことは大変光栄です。グッドデザイン賞金賞を誇りにさらに進化して参りたいと思っています。

ー最後に、岡部さんが描く将来像についてお聞かせ下さい。

岡部:ちょうど先日グッドデザイン賞の展覧会を見ていると、25年ほど前に、NeXT Computer,Inc(後にアップルが買収)のコンピューターが受賞していたんです。当時はまだワープロがメインで、そこから徐々にマルチメディアへの流れがあり、今やスマホがありPCがあり、何個ものコンピューターに触れるようになりましたよね。IoTも、今から25年後まで考えると、一人が持っているIoTのプロダクトは10個なのか100個なのか、確実に増えていると思います。その中でMaBeeeを活かしたプロダクトが何個もあればいいなと思います。

ノバルス株式会社 代表取締役 岡部顕宏

アスキー広告局、スクウェアの新事業子会社での宣伝企画、事業企画を経てセイコーインスツル入社技術本部 新事業推進部にて、国内時計業界初となるBT-Watchの規格策定や電子マネー端末の事業化などを推進。

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