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2016 07.20

角勝(Filament Inc.)×ハッカテン「”日常をテクノロジーで変えることができる”と気づくきっかけに」

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最先端テクノロジーとオープンイノベーションをテーマとした読売テレビのスペシャル番組『ハッカテン』のキーパーソン達へのインタビュー。

今回は、前回の放送で「大阪をHackせよ!」というテーマで行われた番組内ハッカソンで、大阪城チームを率いたFilament Inc. 代表取締役CEOの角勝(すみ・まさる)さんが登場。

長年大阪市の職員として勤務したのち、様々なオープンイノベーションの機会作りを担う会社Filament Inc.を設立。大阪に深い縁がある角さんが感じた「ハッカテン」という番組の意義と、現在大阪を拠点に取り組んでいる活動とは。

「やろうと思ったら出来る感じ」を大事にしてアウトプットした

前回の「ハッカテン」で、角さん率いるチームは「大阪城をもっとおもしろく!」をテーマに、大阪城を歴史とテクノロジーのテーマパークとするべく様々なコンテンツ開発に取り組んだ。地面に撥水スプレーで描いた絵が、水を吹きかけることで浮かび上がる「レインワークス」の仕掛けを使った謎解きゲーム、ある一定のスピードを超えると車輪に絵柄が表示される自転車「FUKUSHIMA Wheel」を使った対戦ゲーム、「面型脈波センサー」を組み込んだ刀を握って写真を撮ると、脈波によって「武将」「商人」などに変身できるARフォトブース「真拍刀」など、最新テクノロジーを駆使したユニークなサービスのプロトタイプを開発した。

ー「ハッカテン」の収録の過程で印象に残ったシーンはありますか?そして、どういった点が印象に残りましたか?

ハックの対象が大阪城にもかかわらず、いわゆる大阪城(の本丸)にはそもそも入れないし、建物にはほとんど何も手を付けることができないということが判明したシーンですかね(笑)。あと、そういう制約の多い条件下で、どれだけ出来るかを考えたことは印象深かったです。また撮影当日、実際にやってみて、外国人の観光客の方が楽しんでくれて思い出を持ち帰ってくれたことはとても嬉しかったです。

ー「ハッカテン」という番組があることの意義については、どのように感じられましたか?

「家から会社に行って仕事をしてまた家に帰る」…人間というものは、そんな自分たちの生活の動線から離れて新しいことをするのはなかなかできないものです。ましてや自分の生活を変えてくれるかもしれない新たなテクノロジーについて意識する機会なんてものは、さらに稀です。しかし、今回のように大阪の日常の中にある場所に密着してチャレンジする様子を放送すれば「日常をテクノロジーで変えられるんじゃないか」ということを視聴者に気づいてもらえる機会だと思いました。

実際に、番組を見てくれた友人が、家族で大阪城に行った時にお子さんから「あの写真撮るやつやりたい!!なんで今日はやってないの?」(脈波センサーを使ったARフォトブース)と駄々をこねられた、という話を教えてくれたんです。それってありがたいことですよね。大阪城に行ったら、そういうものが日常的にあると思ってくれたんだろうな、と。

実は今回のアウトプットでは「やろうと思ったら出来る感じ」を大事にしていました。うちのチームには学生もいましたし、僕自身、エンジニアでもなく特別なスキルもない。スペシャリストじゃなくても、ちょっとしたやる気と努力でこういうことが出来る、テクノロジーによって日常を変えられるという点を伝えたいと思っていました。

ーこんなロケや企画があるといい、など「ハッカテン」に期待していることはありますか?

いわゆる田舎まちをハックしたらまた違う面白さがあると思います。僕の出身が島根県の平田市というところだったのですが、お隣の出雲市に合併されて、平田としての元々の文化がなくなりつつあると聞きました。ほっといたら誰も気に留めないような小さな町のちょっとした特徴がクローズアップされるような、それをネタに面白いものを作っていくような企画がいろんな土地で出来たらいいですよね。

また、もし新たに企画をするならば大きな社会課題を改善することもやってみたいです。少し前、アイスバケツチャレンジが流行りましたよね。これは、ALS(筋萎縮性側索硬化症。体中の筋力が低下する難病)という病気を一般に認知してもらうためのアイデアでした。バケツの水を被るという”画の力”だけで、本当に多くの人にALSが認知され、寄付金なども急激に増えたそうです。

テレビ番組であるからには、このようなアイデアとテレビの持つ画の力、それを組み合わせた企画が出来たら面白いなと思います。

ハッカソンは「意識を変える場」でもある

ー角さんが現在力を入れている活動についても教えてください。

「ハッカテン」って、大きく言えば「まちをハックする」というテーマだったと思うんです。つまり、まち全体をテクノロジーを使った創意工夫でより良くするということ。

僕のやりたいことはまさにそういうことなんですが、本当にまちをハックするにはリアルな場所が必要だと思いました。前回の「ハッカテン」の時のようなチームが生まれてプロジェクトを進めるためのアジトのような場所です。

そう思い仲間とともにこの4月から大阪に「The DECK」(ザ・デッキ)というコワーキングスペースを作りました。ハッカテンの大阪城チームにはエンジニアだけでなく、学生から大企業の企画担当者までいろいろなポジションの方が参加していましたが、「The DECK」の特徴も、個人から企業まで、さまざまなポジションの方が参加できること。まさにオープンイノベーションのための基地みたいになっています。

そうそう、「ハッカテン」大阪城チームの一員だった学生さんが一人、「The DECK」のアルバイトスタッフとして働いてくれていますし、同じくチームに参加してくれていた井登さんが所属されているインフォバーンさんも企業パートナーとして「The DECK」に参加してくださっています。「ハッカテン」のシーズン2のスタジオとしても使っていただいてますし、「ハッカテン」にご縁をいただいた場所でもありますね(笑)。

これからはこの「The DECK」というリアルの場で継続して大阪の街をハックしていこうと思っています。

ー「The DECK」の手応えはいかがでしょうか?

まずは人の輪が出来つつある手応えがあります。先日はオープンイノベーションに関心のある大企業の方を沢山集めて、悩んでいることや、ノウハウの共有をする機会を作りました。その時には組織としての見解ではなく、個人としてどう思っているかという意見をやり取り出来たので、大きな価値があったなと思っています。いきなり組織同士ではなく、組織に属する個人同士の信頼関係があるとオープンイノベーションは進むんですよね。まずは利害を超えた信頼関係が必要です。

ー今後の構想についてもお聞かせ下さい。

「ハッカテン」の企画のベースにもなっているハッカソンは、プロトタイプを生み出すことももちろんですが、人の意識を変える場でもあると思います。ハッカソンでは、限られた時間で自分のパフォーマンスを最大化して、いいものを作り上げなければいけません。となると、決められた枠組を一旦取っ払って考えなければいけません。そういう意識を持ってもらえる機会として、大企業でのハッカソンも実施していきたいですね。「The DECK」でも様々な企業の人が繋がるようになってきていますし、テクノロジーとは縁もなかった人もその輪の中に入りつつあります。

これらの動きを通して、イノベーションやテクノロジーという概念をもっと広く、日常的に感じられるようにしていけたらいいなと思っています。

ー大阪での活動をするにあたって、「大阪」ならではのメリットだと感じている点はありますか?

いろんな街のイベントでファシリテーターをする機会があるのですが、大阪はパネリストと観客の距離がとても近く、親密な空気感になりますね。それによ ってパネリストも「ここでしか言わないけど」ということを言ったりするんです。大阪だといつも内容が”濃く”なりますね。

ー今後、大阪・関西をどう盛り上げていきたいですか?

大阪は恵まれているなと思うのは、ものをつくる会社が多いことです。これだけ沢山ものをつくる会社があるところから、まだ見たこと無いようなものが生まれてくる可能性がある。「こことここを繋げたら新しいものが出来るんじゃ?」という雰囲気が大阪にはあって、仕事をしていてワクワクします。会社と同様に、そういった「生み出す」ことが出来る人、意識を持った人を増やしていきたいですね。

角勝
Filament Inc. 代表取締役CEO

Filament Inc代表取締役CEOにして元大阪市職員。前職では「大阪イノベーションハブ」の立ち上げと企画を担当し、西日本を代表するイノベーション拠点に育てた。現在は、共創による新規事業創出や人材育成を主導するオープンイノベーションオーガナイザーとして活躍。多くの企業と顧問契約を結ぶとともに、イノベーションイベントのスペシャリストとして年間50を超える案件に携わる。1972年生まれ。

イノベーションの発火点を目撃せよ!:ハッカテン(シーズン2 放送決定!)

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