Story ストーリー

第1話

第1話 2016年4月7日(木)よる11:59 OA

  5歳の息子を持つシングルマザーで若き新人ドクターの天堂一花(剛力彩芽)は、「医療現場の最前線に立って真っ先に患者と接したい」という夢が叶い、救急医療センターで働くことになる。しかし、出勤初日に案内されたのは、救急医療の最前線の更に最前線……ドクターカー待機所だった。

  ドクターカー、それは動く病院。「救急現場に一刻も早く医師が駆けつけ、治療を行うことで、一人でも多くの命を救う!その為の緊急特殊車両、それがドクターカーだ!」と熱く語るのは救命救急センター長で理事長の息子の朝城勇介(中村俊介)。その話に目を輝かせながら聞く一花。きっとここで自分の夢が叶う、一花はそう確信していた。しかし、そんな一花と勇介を横目に他のメンバー、草野弥生(久保田磨希)、岡村克矢(伊東孝明)、権藤隼人(遠藤雄弥)の表情は暗い……。

  その夜、一花の決起集会が開かれたが、集まったのは一花と勇介だけ。場所は、一花には似つかわしくない高級レストラン。尻込みする一花をよそに馴れた感じの勇介。話の中で母と息子と3人で暮らしていることを告げた一花は、勇介から家族の為にもお金を稼げる一流の医者になれと言われる。病院でドクターカーを熱く語っていた勇介とは思えない言葉に戸惑いを感じる一花。そして「お金にはそんなにこだわりがないんで……」と言った一花に対し、柔和だった勇介の態度が急に狂気に満ちた視線へと豹変する。「どういう意味?」と聞く勇介に「お金より大切なモノってたくさんあるじゃないですか」と答える一花。それに対し「お金が人生のすべてを決めてくれるんだ。貧しい人間には患者を救うことなど出来ない」と言い切る勇介。また、勇介は、医者は患者より常に上の立場からものを観たり言ったりしなければならい。救ってあげる立場なんだから……という考えの持ち主だったのだ。

  帰り道、あまりに自分と違う考え方を持つ勇介の言葉に落ち込む一花。新しい病院でやっていけるのか不安が募る。しかし、家に着くとかわいい息子・天童一太郎(横山歩)と母・天童美奈子(東ちづる)に心配かけまいと明るく振る舞う。一太郎にドクターカーの写真を見せると「カッコいいね」と言われ、思わず笑顔になる一花。しかし、勇介の言葉が蘇りまた不安になる。そして、一太郎も腕に出来ている痣のことを一花に言えないでいた。

  翌日。暗い顔で機器チェックをしている一花のもとに勇介がやって来る。そして、ドクターカーには院長をはじめ多くの人間が反対していることを告げる。理由は、経費がかかり過ぎて採算が合わないから……昨日の勇介の言葉が頭の中で反芻する一花。「先生は、ドクターカーの導入、賛成派なんですよね?」と問う一花。その時、ドクターカーへの出動要請がかかる。一花にとって初めての出動。勇介の答えを聞けないまま一花は、ドクターカーへ乗り込むのであった。

  ドクターカー車内。一花は、事故現場の怪我人の状況を聞き、目を閉じ、状況を推測する。爆発現場の様子が断片的にイメージされる。そして、必要な医療器具を用意しながら叫ぶ。「バッグボード、アンビュー、お願いします!」一花は、断片的な報告から想像を膨らまし現場の状況を把握する力に長けているのだ。そんな、一花を憎々しげに見る勇介。

  事故現場に到着した一花は、真っ先に飛び出す。しかし、凄惨な事故現場を前に足がすくんで動けない。「役立たずが!邪魔!消えろ!」と勇介に罵倒される一花。また、ドクターカーを救急車代わりの搬送車として使用しようとする勇介に意見する一花だったが、「お前のような世間知らずの未熟者が持論など語るな!」と一喝されてしまう。結局、一花は現場で何の役に立つことも出来なかった。そしてドクターカーもまた同じだった。打ちひしがれている一花に「君は証明してしまったね。ドクターカーなんて、現場では役に立たないってことを」と言う勇介。ドクターカーは経費ばかり掛かる金食い虫……、それが勇介の本心だった。そして、一花が責任を感じて辞めることを狙っていたのだ。

 翌日、ドクターカー待機所には一花の姿はない。「辞めてくれたようだね」と勇介。そこへドクターカーの出動要請が入る。「建設現場で転落事故発生!重傷者多数の模様!」これがドクターカー最後の出動だなと決めつける勇介。するとその時、一花が現れた。「清掃および点検終了!すぐに出動できます!」そして勇介に「これが私の責任の取り方です」と言い放つ。一花を乗せたドクターカーが転落事故現場に向かっていく……。果たして一花は、ドクターカーで患者の命を救うことができるのか!?ドクターカーの運命は!?

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