まもなく決戦の時が来る。現在午後10時51分。まもなくブルーの侍たちがフィールドに出てくる。お風呂からあがってリビングでビールを飲みながらテレビの前にスタンバイした。妻と長女は1階の和室で勉強している。二男と私はリビングのテレビの前。長男は1階にいるようだ。ワールドカップ・アフリカ大会のベスト8をかけて日本代表がパラグアイと闘う。フィールドに選手が出てきた。いよいよ始まる。1人で立って君が代を歌った。
試合開始早々に大久保と駒野が積極的にシュートを打った。なかなかいい感じ。相手のパラグアイは守備が固い。個人個人のボールのキープ力も高い。日本もいつもの守備力が機能している。川島のファインセーブもあった。
本田のワンチャンスは惜しかった。思わず声が出た。決まったと思ったがわずかにゴールを外れた。結局、前半は0対0で終った。日本とパラグアイは良く似たチームだ。固い守備からカウンターで攻撃する。先取点を取れば勝利をぐっと引き寄せることになる。
イヤーいい試合である。両チームとも譲らず後半も0対0で延長戦に突入することになった。緊迫した展開が続いているが、観ていても不思議とドキドキしない。なぜだろうか。点を取られるような気がしないのだ。なぜだか分からないが、そんな気がしている。
延長戦に入ったらミスをした方が負けだろう。ワンチャンスをいかに決められるかだ。延長戦が始まる前に、控え選手、スタッフを交えて円陣を組んだ。日本らしい結束力を示すシーンだった。ここまで来たら絶対勝つんだという気持ちが強い方が勝つだろう。
延長戦はあっという間だった。30分の延長でも両チーム譲らず120分終っても0対0のまま。痺れてきた。いよいよPKである。ドキドキしてきた。川島頑張れ。
1人目、パラグアイ。決めた。2人目、遠藤。余裕。ガッツポーズ。3人目、川島もうちょっと、惜しい。4人目、長谷部。余裕。ここまで両チームとも決めている。5人目、落ち着いて決められる。6人目、駒野。外した。あ~。7人目、決められた。8人目、本田。余裕。このピンチでゆっくり蹴った。運命の9人目。パラグアイが決めれば、、、。
よくやった。日本のワールドカップが終った。泣き崩れる駒野を、松井が泣きながら肩を抱いた。顔を上げろ、駒野。選手たちが次々に駒野に駆け寄る。本当にいいチームになった。お疲れ様。いい試合を見せてもらった。
10年6月28日(月)「#1093 選挙区取材(和歌山)」
和歌山発午後6時48分のスーパーくろしおで大阪へ戻っている。連日の選挙区取材、今日も長い一日だった。朝一番から大学での時事問題の講義。今日のテーマは、先週取り上げようかどうか迷い結局「消費税増税」にしたので今週に回すことになった「大相撲賭博問題」だった。きのう特別調査委員会の勧告案が出たばかりで今日の朝刊はこの問題を一面で大きく扱っている。結果的にグッドタイミングとなった。時事問題は取り上げるタイミングも重要である。
大学の講義の後、すぐに電車に飛び乗って和歌山へ。電車の中でワンセグで昼ニュースをチェックした後、和歌山選挙区の資料を読み込みながら売店で買ったおにぎりランチを食べた。
和歌山選挙区は、自民の現職と民主、共産の新人のあわせて3人が立候補。きのう取材した滋賀と同じ保守王国だった和歌山にも、去年夏の衆院選で3人の民主党衆議院議員が誕生した。
最初に訪れたのは御坊の近くの日高川町。動員されたとみられる地元の人たちの前で候補者が街頭演説。きょうも快晴で、候補者は汗だくで真っ赤に日焼けしていた。この演説を聴くために大阪から2時間かけてやって来た。
この後また電車で1時間ほどかけて移動し紀ノ川へ。きのう選挙事務所に確認した演説場所に行ったが候補者の姿が見えない。事務所に電話すると予定が変わったようだ。すぐにタクシーで候補者を追いかけた。街頭演説を聴いた後で、果樹園や住宅街の中を走り回る選挙カーをタクシーでしばらくフォローした。
そして再び電車で和歌山市内へ移動。駅前でこの日3人目となる候補者の街頭演説に耳を傾けた。広い県内を走り回る候補者を追いかけてつかまえるのもたいへんである。暑い時期の選挙だけになおさらである。取材の最後に、候補者に名刺を渡して選挙戦の手応えについて聞こうとしたら、横にいた関係者に遮られた。「あっち(駅前の人だかり)へ行って挨拶せえ」という言葉は昨日と同じだ。取材よりも有権者への挨拶が大事という気持ちは分かるが、候補者と話している最中に遮るマナーの悪さには昨日に続いてあきれた。それだけ必死の選挙戦ということだろう。
10年6月27日(日)「#1092 選挙区取材(滋賀)」
午後9時1分の野洲発網干行きのJR新快速に乗った。せっかくの日曜日だというのに二男の少年野球にも行けず参院選に向けての選挙区取材である。7月11日の投票日まであまり日がないが、出来る限り選挙区取材をしようと思っている。少なくとも近畿2府4県の選挙区へは実際に足を運んで可能な限り候補者本人と直接話をしたい。
大阪から距離が離れている滋賀と和歌山を早いうちに取材しておきたいと思い、昨日から各候補の選挙事務所に電話してスケジュールを聞いて回った。その中で、比較的各候補の活動場所が接近していて効率的に取材して回れる滋賀に行くことにしたのだ。
参院選の選挙区は都道府県単位なのでかなり広く、一日で全候補者に会う事はかなり難しい。遊説スケジュールは当日になってから変わることも多いので、現地に入ってからもその都度、選挙事務所に電話をしてスケジュールを確認しながら候補者を追いかけるのは結構たいへんなのだ。
ところで、このブログで選挙区取材の報告をするにあたって各候補者と会って話したり演説を聞いたりした率直な印象や感想を書きたいのはやまやまだが、既に公示後なので政治的公平を守らなければならないので断念した。書く量も内容もバランスをとって当たり障りのないことを書いても仕方がないだろう。感じたままに書くことが出来れば読み物としては面白いだろうが、解説委員としては残念ながらできない。
改選数1の滋賀選挙区では、民主の現職と自民、共産、無所属の新人の合わせて4人が立候補しており、知事選とのダブル選挙となっている。滋賀は岩手、山梨と並んで自民党の国会議員が衆も参も1人もいなくなった県である。
選挙区を回った感想は、思っていた以上に静かだということだ。小選挙区制の衆院選と違い選挙区が広い参院選は目に見える盛り上がりに欠ける傾向がある。まだ選挙戦の序盤だということもあるだろう。
今日は大津と守山、野洲を回ったが、前回の参院選取材の3年前と比べてマンションや一戸建ての新築住宅が目立った。新快速を使えば大阪まで1時間である上、大阪や京都に比べて価格が安いこともあり移り住んで来る人が増えているということである。かつては滋賀は保守王国と呼ばれたが、そのような新住民の流入も選挙戦の行方に影響を与えているのではないだろうか。
最後に、取材していて気になったことがあった。初対面で挨拶した途端に「世調(世論調査)はどうなってる?読売もやってるでしょ」、「(政策について)マスコミがちゃんと書かないから駄目なんだ」と言ってきたある候補者。また別の候補者の陣営の地方議員は、私と話をしている候補者に向かって「取材なんかええから、はよ駅(立ち)へ行け」と叱り飛ばした。メディア対応も選挙戦のうちだと思うのだが残念だった。どこの陣営かは書かないけれど。
今回の舞台はなかなか見ごたえがあった。宝塚ファンはもとより、今まで歌劇を観たことがない人にもお勧めである。これぞ宝塚歌劇というミュージカルとショーの二本立てだ。これで宝塚を去る(宝塚のあと東京での公演が本当の最後である)雪組トップスターの水夏希のサヨナラ公演でもあるので大劇場は観客で埋まっていた。
ミュージカル「ロジェ」は正塚晴彦のオリジナル作品である。ナチスの戦争犯罪人に両親と妹を殺害された水夏希演じる主人公の刑事が復讐を果たすために犯人を追い詰めていくという宝塚大劇場のお芝居には珍しいストーリー(小劇場である宝塚バウホール向きの内容か)である。トップスターのサヨナラ公演だけに、暗くなり過ぎないのかなと少々心配だったが、正塚春彦らしい哀愁に満ちた品のある舞台だった。セットや舞台転換も素晴らしかった。
水夏希も、次期トップスターへの就任が決まっている二番手の音月桂も良かったが、娘役のトップで水夏希と共に退団する愛原実花が輝いていた。この若さで退団するのは何とも惜しい。トップスターが辞める時に相手役である娘役トップを同時に退団させるというやり方は昔からあったが止めたほうがよい。娘役トップはトップスターのお飾りではないのだから。
お芝居では、ブエノスアイレスの酒場で淡い恋心を抱いた主人公との思い出にとタンゴを一緒に踊りたいと遠慮がちに誘おうとする場面の彼女の演技が特に素晴らしかった。ショーでは一転してセクシーな衣装でのダンスもとても魅力的だった。最近の娘役トップでは珍しく大人の女性を演じることが出来る可能性の高い将来有望な人だけに退団が惜しまれる。
ショー「ロック・オン!」は昔から大好きな演出家である三木章雄の作品である。この人の作品は明るくてとにかく楽しい。今回のショーもオープニングから最後のフィナーレまでパワー全開という感じである。1時間ほどのショーでは、普通はどこかで趣向を変えたりするので、観客にとってはその部分で逆にだれたりするのだ。しかし、「ロック・オン!」では、これでもかこれでもかという感じで宝塚の正しいショー的要素が詰め込まれているのだ。色鮮やかな衣装、燕尾服姿の男役の群舞、客席に降りてくるスターたち、本来男役の女装(といっても元々女性なのだが)での魅力的なダンスなど、宝塚のショーの集大成である。ここ10年で観た宝塚歌劇のショーの中で最高だった。
観劇する前はトップスターのサヨナラ公演らしくない二本立てだなと思っていた。なぜそう思ったかというと、残念ながら公演ポスターの出来が良くないのだ。そのうえ、主人公の名前からとった「ロジェ」という芝居のタイトルも内容が想像できず感心しない。この二つが良ければもっと公演は話題を呼ぶのではないか。しかし、観終わった後は大満足の舞台だった。
今回は知り合いのご家族の方々と観劇したのだが、自宅を出る際に先日宝塚デビューを果たしたばかりの小学生の二男が「僕も行きたかったなあ」と小さい声で言ったのを私は聞き逃さなかった。この舞台ならもう一度観てもいいかな。
10年6月25日(金)「#1090 1次リーグ突破」
現地南アフリカとの時差は7時間。現地時間で午後8時半に試合が始まった時は、日本では午前3時半だった。サッカーのワールドカップで日本代表が決勝トーナメント進出をかけてデンマークと対戦した。
きのうも参院選の公示を取材するために朝5時起きでさすがにフラフラだった。夜中の3時まで起きている元気はなかったので早々にベッドに入ることにした。寝る前には長男から「3時に起こしてや」とお願いされた。二男はどうするのかと思っていたら、3時に私が目を覚まして寝室を出ようとすると、寝室のドアに二男の字で「デンマーク戦見たいので絶対起こして」と書かれた紙が貼ってあった。やっぱり観たいんや。
3人揃ってリビングのテレビの前で試合開始を待った。試合前の君が代斉唱の際には日本代表の選手たちと同じように息子たちと肩を組んで一緒に歌おうと思ったが、眠たそうな息子たちに冷たい目で見られた。
私の試合前の予想は2対1で日本の勝ち。不思議と今日の試合は落ち着いて観ることが出来た。とは言いながら、日本がチャンスやピンチとなる場面を迎える度に私が大きな声を上げるので、息子たちからびっくりするから静かにするようにと注意された。
最初の得点となった本田のフリーキックは凄かったなあ。噂通りの無回転シュートである。サッカーの素人の私でもその凄さが分かる。二点目の遠藤のフリーキックも絵に描いたような会心のキックだった。日本代表は一戦一戦と確実に力をつけている。
きょうの試合で最も驚いたのは日本の勝利を確信させた三点目のゴールだった。ゴール前でシュートを決めそうになった本田がシュートすると見せかけてすぐ横にいた岡崎に絶妙のパスを出し岡崎がワールドカップの初ゴールを決めたのである。本田が自分でゴールを決められる状態だったのに、あえてパスを選択して名アシストをしたのである。あの状況でパスを出すとは、その冷静さに驚いた。本田という選手の本当の凄さを見た気がした。今まで日本にいなかったタイプのとてつもない選手ではないか。何を今さら、とサッカーファンに怒られそうであるが。
岡田監督がずっと言い続けてきたベスト4という目標は実現不可能だと思っていたが、この勢いならひょっとしたらひょっとするかも知れない。今後も寝不足の日が続きそうである。
歴史的な政権交代選挙から10ヶ月。民主党政権の中間評価となる第22回参議院選挙がきょう公示された。正式な選挙戦のスタートである。菅首相が第一声を大阪であげることになったので、出張中の東京から朝一番の飛行機で大阪に戻った。首相が東京以外で選挙戦をスタートさせるのは異例のことである。
そう言えば、民主党が大勝し政権交代を果たした昨年8月の衆院選の際も、当時の鳩山代表が大阪で第一声をあげた。場所も同じ大阪・難波の高島屋百貨店前である。飛行機の関係で少し早く到着しすぎたので、近くのファストフード店で朝食をとりながら朝刊に目を通した。
菅首相が最初の遊説の地として大阪を選んだ理由は、改選数3という激戦区に小沢元幹事長の意向としてほかの2人区などと同様に民主党が公認候補を2人立てたからである。演説会場に着くと、上空を報道のヘリコプターが何機か飛んでいたが、昨年の鳩山代表の時に比べると心なしか人の集まりが悪いような気がした。
候補者らの街頭演説が始まり、その途中に菅首相が選挙カーの上に姿を現したが、手を上げた菅首相に対して聴衆からは歓声が上がらなかった。首相の演説の最中にも、人垣の後ろの通路では通行人が足を止めることなく通り過ぎていた。鳩山代表がこの地で演説した時はもっと盛り上がったとその時は思ったのだが、当時の私のブログを読み返すとそうでもなかったようだ。09年8月18日のブログには「想像していたよりも落ち着いた雰囲気だった。民主党に追い風が吹いているとも言われているが、会場ではその高揚感は感じられなかった」と書いている。人の記憶というものはいい加減なものである。結果的に政権交代が起きたから、鳩山さんの時はもっと盛り上がっていたと思ったのだろうか。しかし、聴衆の数や熱気は昨年の方が上だったと思う。昨年8月のブログにも全く同じことを書いたが、世論の風に流されるよりじっくり政策を聞いて判断したいという有権者の思いを感じ取った。
難波で取材を終えるとすぐに、菅首相を追いかけるように電車で神戸に移動した。元町の大丸百貨店前の首相の街頭演説では民主党のマニフェストも配布され、大阪よりもやや熱気が感じられた。
その後は三宮に移動して新党改革の舛添代表と候補者の桃太郎(選挙用ののぼりを立てながら町を練り歩くこと)を取材した。舛添代表が大阪に電車で移動すると聞いたので、大阪に戻る予定だった私は一緒に電車に乗り込み、大阪・梅田での舛添代表の街頭演説も聞いた。神戸の商店街で桃太郎をした際にはさすがに知名度があるので人が多く寄ってきたが、大阪での街頭演説にはあまり聴衆が集まらなかった。自民党と違って組織力のない新党では仕方がないのかも知れない。
いよいよ選挙戦が始まった。投票日まで出来るだけ現場に足を運んで、候補者や各党代表の演説や有権者の声に耳を傾けたいと思う。
この話題について書こうかどうか正直迷いながらいま書いている。だいぶ前にもこのブログで人事異動について書いたことがあるのだが、サラリーマン(私もこんな仕事をしているが、サラリーマンなのである)にとってとても微妙な問題なのである。
どこの組織でも人事異動は最も興味のある話題である。例えば、警察担当の記者をしていた時、警察の人事異動の時期になると各社の記者が走り回り幹部警察官の人事異動情報を一刻も早く手に入れようと走り回っていたのを思い出す。入手した人事情報をいち早く当事者も含めて知り合いの幹部に流す、なんてことをやっている記者もいた。
人事異動というのは自分のことは意外と最後まで知らないこともあるのだ。私もその昔、自分が人事異動の対象になっているのを事前に知り合いから教えてもらったことがあった。その異動話は結局なくなったが。
解説委員という仕事について自分が人事異動の対象になることはなくなった。将来的にはどうなるか分からないが、今のところは番組サイドから駄目出しが出ない限りはこの仕事のままで人事異動はないのだろう。
もともと社内の情報には疎いというかあまり関心がないので、社内の人事異動についてそれほど興味があるわけではない。最近気になるのは、自分が報道部長をやっていた頃にご一緒させていただいた系列局の方々や在阪局の方々がその後どういうポジションでどういう仕事をされているのかが気になるようになってきた。
3年間やらせていただいた報道部長というポジションは報道現場の最前線の責任者なので何かと気苦労も多い。肉体的にも精神的にもとてもハードな仕事である。それだけに同じ時期に報道部長をやらせていただいた方々とは何か同じ思いを共有できる連帯感というようなものがあり、今でも私はその気持ちを持ち続けているのだ。
一緒にやらせていただいた方々はほとんどが先輩方で、多くのことを学ばせて頂くと共にたいへんお世話になった。今から思えば系列や在阪の会議などで若造にも関わらず生意気なことを言いたい放題言ってご迷惑をおかけしたなと思う。
今でも報道の仕事をされている方もいらっしゃるし、他の部署で活躍されている方もいらっしゃる。多くの方が社内で出世され取締役や局長になられた方も多い。中にはなんと社長になられた方もいるのには正直驚いた。
それに比べて私は、とは言わないが、ひとり違う世界に来てしまったなと思うこともある。お世話になった方々のご活躍を再確認する人事異動の季節である。
国政選挙の前に恒例となっている各党党首による討論会が東京のプレスセンターで開かれた。毎回できるだけ出席するようにしているのだが、今回は番組出演のため残念ながらテレビで観ることになった。午後1時すぎから始まり、予定をオーバーして2時間以上行われたが、「ミヤネ屋」が2時前から始まるので途中までしか観ることができず、残りは帰宅してからビデオでチェックした。
今回は新党が相次いで立ち上がったこともあって9人という大人数での討論となった。日本創新党など政党要件を満たしていない党や、今回の参議院選挙に独自候補を出していない新党日本などは参加しなかった。
討論会ではまず各党が3分という持ち時間で参院選で問う政策などをアピールしたのだが、これだけで約30分である。自分の言葉で語りかける人もいれば、手元の原稿やメモを見ながら話す人もいる。それぞれの個性が垣間見られて面白い。
続いて、日本記者クラブを代表して新聞やテレビの編集委員や解説委員らが各党首に質問を投げ掛けていく。質問をした方々や、取材のために会場に詰め掛けた方々の中にも日頃勉強会などでご一緒させてもらっている先輩方が何人かいらっしゃった。
質問の内容は、今回の選挙の争点の一つとなっている消費税の税率アップに始まって、財政再建、沖縄の基地問題や日米同盟などの安全保障、経済成長、参院選後の連立の可能性などと続き、最後は各党が目標とする議席数で締めくくった。
政権を担当する首相であるから仕方がない面もあるが、民主党の菅代表に対する質問が相次ぎ、最初から最後まで菅さんがほとんど話していたという印象だった。9人もいるので難しいが、やはりもっと各党党首による論戦を聞いてみたかった。
今後も、各テレビ局の番組での党首討論や、幹事長や政調会長らによる討論が行われるだろうが、その際は充分な時間をとって政策についての各党の考え方の違いをはっきりとさせ、国会では充分行われなかった政策論議を行って欲しい。
明後日に公示されれば、候補者による街頭演説も頻繁に行われるので、可能な限り各地に実際に足を運んで演説を聴くとともに、有権者の反応を肌で感じようと思っている。その場に行かなければ分からない空気感というものを大事にしたいのだ。本格的な選挙取材がいよいよ始まる。今から楽しみである。
5日前にも大相撲の不祥事について書いたばかりだが、またまたこの問題である。メディアでは毎日毎日大相撲の賭博問題が取り上げられ、それに関与したとされる力士の名前が次々と出てくる。力士だけでなく、親方や床山の名前まで上がっている。一部の特別な人物が起こした問題ではなく、相撲界の体質に根ざした深刻な問題であることを物語っている。
この一連の賭博問題で気になっていることがある。多くの場合暴力団が深く絡んでいると言われている野球賭博と、賭けマージャンや賭けゴルフ、花札やトランプなどの賭け事を一緒にして議論していることである。
賭けマージャンや賭けゴルフといえども、現金をかける限りは賭博であり違法行為である。しかし、額が小さい場合は警察に摘発され罪に問われることはほとんどない。花札やトランプも同様である。違法であるかどうかと、犯罪として立件されるかどうかの線引きにはかなりの差がある。
これに対して野球賭博は見過ごすことの出来ない犯罪である。野球賭博のはっきりとした定義は難しいが、胴元がいてチームごとにハンディをつけ、てら銭をとるというのが野球賭博であり、多くの場合は胴元などとして暴力団が関与している。
今言われているように多くの力士や親方などが野球賭博に関わっていたとしたら、厳重注意や一場所の休場などで済む話ではない。解雇や部屋の取り潰しなどの厳しい処分が課される可能性のある重大な問題だ。
日本相撲協会では、第三者を交えた調査委員会で自己申告した力士らから事情を聴いて処分を決めるということだが、7月11日に始まる名古屋場所までもう日がない。理事長が言うように相撲界から全て膿を出し切ろうと思うなら、期限を切ることなくこの際徹底的に調べるべきではないか。そのために十分な日程が必要なら、残念ながら名古屋場所を開催しないことも仕方がない。
性急な調査で力士を処分した上で名古屋場所を開催し、場所が始まってからまたゾロゾロと野球賭博に関与した力士の名前が上がるようなことがあれば相撲協会自体の存続に関わることになるのではないか。
この際、自己申告した力士や親方だけを調べるのではなく、時間がかかっても相撲協会に所属する力士や親方、床山など、すべての関係者を調べるぐらいのことが必要ではないだろうか。その際に、どこまでの賭博を問題にするかは、やはり暴力団と関係があるかどうかで線を引くしかないのではないか。徹底的に調べて、相撲協会に自浄作用があるということをファンに示すべきではないだろうか。
昨夜は12時頃にはベッドに入ったのに今朝はどうしても起きられなかった。二男の少年野球の練習開始時間には間に合わず、午後から少しだけ顔を出した。
風邪をひいた訳でも、二日酔いでもないのに体にどうしても力が入らない。何とか起きることが出来た時には正午をまわっていた。妻に体の状態を告げると、「疲れすぎてスイッチが切れてるのよ」と言われた。まさに、そんな感じである。
何をやって疲れたという訳でもないのだが、少しずつ疲れが溜まっていっているのだろう。解説委員になってもうすぐ丸3年だが、生放送の後はどっと疲れる。緊張しているという自覚はあまりないのだが、十分な打ち合わせもなく生放送でしゃべるということでストレスが溜まり続けているのかもしれない。
30代のころは、少々無茶をしても何ともなかったが、40歳を超えた頃から無理が長続きしなくなった。一日、二日なら無茶もできるのだが、そこから先が続かない。突然スイッチが切れたようになり、体がとにかく睡眠を欲しがるのである。
疲れきって寝たとしても、若い時のように10時間も12時間も熟睡することは出来ない。主に仕事に関することが多いのだが、細切れで色々な種類の夢を見るのだ。夜中にトイレのために起きることも増えた。睡眠にも体力が必要だと言われるが、本当にその通りだと思う。
スイッチが切れるのは突然なのだが、急にスイッチを入れることはなかなか難しい。スイッチを入れても徐々にしか立ち上がらないのだ。何だが、後ろ向きの暗い話になってきた。
話題を変えよう。最近、若い学生たちに講義で話すのが以前に比べて格段に楽しくなってきた。若い人たちからエネルギーを貰えるような気もする。いかん、またまた歳の話である。学生時代に教員免許をとったので、いつか教壇に立ってみたいと思っていたが、大学の非常勤講師という形で学生と向き合えるようになるとは思ってもみなかった。人に物事を教えるという"スイッチ"が入ってしまったのかも知れない。
負けは負け、いくらいい試合をしても勝たなければ意味がないと言いたいところだが、日本代表は本当に善戦したと思う。明日に繋がる負けである。
サッカーのワールドカップ・南アフリカ大会の予選で日本代表が優勝候補でもある格上のオランダに0対1で破れた。テレビで試合を見終わってすぐこのブログを書いている。まだ興奮が冷め止まない。
試合早々、優勝候補と言われるだけあってオランダの凄さがすぐに分かった。パス回しをするパスのスピードが速く、とても正確である。日本がキープするボールを取りに来る時の迫力が違う。攻守共にパワーでもテクニックでも日本を上回っている。
それに対して日本は、持ち前の組織だったプレーで前半はオランダと互角以上に闘った。0対0で前半を終えた段階では、ひょっとすればこのまま引き分けで終れるかもしれないと思ったほどの健闘ぶりだった。
後半には惜しくも1点を先取されたが、その後も焦ることもなく1点を取りにいく選手交代をして最後まで攻撃的な姿勢を崩さなかったことは、今までの日本代表とは少し違うような気がした。
負けたとはいえ、試合後の選手たちのインタビューの時の表情がとても良かった。本田も中沢も闘莉王も、悔しさを滲ませながらも前を向いて気持ちを切り替え次の試合を見据えたいい目をしていた。予選突破の命運をかける次のデンマーク戦に大いに期待を持てるのではないか。にわかサッカーファンはそう思う。
それにしても、やはり国と国のプライドをかけた試合というのは本当にいいものだ。試合前の国歌斉唱で君が代を歌う選手たちを観ていつもながらにジーンときた。その時、すぐ横にいた小学生の二男に「おまえ、君が代歌えるやろな」と聞いたところ、すぐに答えなかった。高校生の長女と中学生の二男は歌えるのだが、二男は小学校で君が代を習っていないらしく正確に歌えないということが今日初めて分かった。この国の教育はいったいどうなっているのだろうか。国民に国歌を教えない小学校とはなんなんだ。二男にちゃんと君が代の歌詞を教えようと思う。
消費税が来る衆院選の争点の一つになりそうな勢いである。きのう民主党と自民党がそれぞれマニフェストを発表したが、その中で自民党が消費税について税率を5%から10%に引き上げると明記した。これに対して菅首相も民主党のマニフェスト発表の記者会見で消費税について「自民党が提案している10%を一つの参考にしたい」と一歩踏み込んで発言したことに注目が集まっている。
財務相を経験した菅首相は国の借金が増える一方の日本の財政状況に危機感を持ち、消費税のアップに理解を示すようになったと言われている。民主党の参院選向けのマニファストには「消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始」と書かれているが、税率の具体的な数字までは明らかにされていない。しかし、自民党も巻き込んでの超党派での財政再建検討会議を創設して消費税の税率アップを目指す菅首相は、今年度内に税率や改革案の取りまとめを目指すと表明した。
消費税の税率1%は約2.5兆円である。現在の5%のうち4%は国に入り1%は地方消費税として地方へ入ることになっている。そして国へ入る4%のうち、そのまた29.5%は地方交付税として地方へ配られるので最終的に国に残るのは2010年度予算の場合は消費税全体の56%強の6.8兆円である。これに対し、消費税の使い道は基礎年金、老人医療、介護と定められていて、これらの分野に対する2010年度の国の予算は約16.6兆円なので、毎年約10兆円も足りないという計算である。その上、社会保障費は高齢化社会で毎年約1兆円も自然増である。消費税を5%から10%にアップすれば12兆円を超える税収増となるが、5%アップでは増大する社会保障費をまかなうだけでほとんど終わってしまうというのが現状である。
行政の無駄を徹底的に省くと共に、国会議員の定数の大幅な削減を確実に実施するということが条件であるが、消費税の増税は避けられないと思っている。しかし、税率をアップする前に、年金、医療、介護といった社会保障のグランドデザインをしっかりと決めて国民に丁寧に説明すると共に、低所得者に配慮するために食品などについては税率を低く抑えるといった軽減税率の導入も必要である。
民主党と自民党という二大政党が選挙前にどちらも消費税のアップを掲げるという異例の展開となった。消費税については、他の党も含めて選挙戦でおおいに議論してもらいたい。社会保障も安全保障もそうであるが、国の根幹に関わることについては選挙に向けて大いに議論することは重要ではあるが、選挙が終われば党派を超えて国民が安心できるしっかりした方針を決めて確実に実行してほしい。そのことが国民の政治不信を解消していくためには不可欠である。
結局、通常国会は会期が延長されることなく会期末の昨日で幕を閉じたが、民主党の強引な国会運営には目に余るものがある。鳩山政権から菅政権に代わって内閣支持率が予想以上にV字回復したので、できるだけ早く国会を閉じて参議院選挙になだれ込みたいという思惑が見え見えである。小沢幹事長が辞任しても相変わらずの選挙至上主義である。
突然の政権交代で国会は10日ほどの事実上の空白があったにも関わらず、菅新首相の所信表明演説を受けて衆参一日ずつの代表質問をやっただけで予算委員会も党首討論も開かれずに国会が閉幕となった。当初、民主党の国対(国会対策委員会)は16日までの会期を一日延長しての衆参一日ずつの予算委員会開催か、または16日の党首討論の開催を提案した。1日だけの会期延長なら、予定通り今月24日公示で7月11日投開票というスケジュールで参院選選挙を行えるからである。
これに対して野党は、新内閣が発足したので新政権の考え方について充分議論するためにも衆参で3日ずつの予算委員会が必要だと主張した。首相が代わったのだから選挙の前に国会で充分議論して、参院選に向けて国民に選択肢を示すことは民主主義にとって非常に重要なことである。有権者からすると、参院選の日程を急ぐ必要はないのである。
しかし、民主党は結局、予算委員会も党首討論も何も開かないことを決めて強引に国会を閉じたのである。支持率の高いうちに一日も早い選挙を求める参院民主党の要望を受け入れると共に、荒井国家戦略担当相の事務所費問題などについて国会で野党から追及されるのを避けるために閉会したと言われても仕方がない。
国会最終日となったきのう、自民党など野党は衆議院で内閣不信任案を提出したが、民主党が多数を占める本会議で否決された。一方、参議院では菅首相と荒井国家戦略担当相に対する問責決議案を提出した。社民党が政権を離脱したことで参議院では与党は過半数ギリギリの122議席しか持っていない。もしも民主党から欠席者が出れば問責決議案が通る可能性があるという危うい状態だったのだが、民主党はなんと参議院の本会議を開かないまま国会を閉幕するという信じられない対応をとった。こんなことが許されていいのだろうか。
選挙のプロ、政治のプロにとっては、今回の民主党の国会戦略はある意味セオリー通りかも知れないが、こうした数の力に任せた強引な国会運営を強く批判してきたのは野党時代の民主党ではなかったのか。政治不信は高まるばかりである。
10年6月16日(水)「#1081 大相撲不祥事」
よくもまあこれだけ不祥事が続くものである。弟子への集団暴行、大麻、横綱の暴行疑惑と続いて今回の野球賭博である。何か問題が起きる度に、相撲界の自浄能力が問われ、今度こそ膿を出しきると言われてきたが相撲界の体質は何も変わっていないと言われても仕方がないのではないか。
大関琴光喜が野球賭博に手を染めて暴力団から脅されていると週刊新潮が報じたことが今回の問題の始まりだった。琴光喜は日本相撲協会に対しても、事情聴取を行った警察に対しても野球賭博に関わったことを否定したが、日本相撲協会が全力士に対して賭博に関わったことがあるかどうかのアンケートをとり、自己申告すれば厳重注意で済ますとした途端に、琴光喜は一転して野球賭博をやっていたことを明らかにしたのだ。
日本相撲協会によると、野球賭博をしていたのは琴光喜も含めて29人、それ以外のゴルフや麻雀、花札などの賭博をやっていた者も含めて全部で65人が賭博に関わっていたということである。その中には親方や複数の関取も含まれていることがわかった。65人全員は厳重注意となり、琴光喜の親方は、琴光喜の謹慎と名古屋場所の出場自粛を申し出て協会に認められた。
記者会見で詳しい内容を聞かれた相撲協会は、警察の捜査中だからと答えたが、どういう賭博をしたのか、そこに暴力団の関わりはあるのか、どの程度の頻度でいくらぐらい掛けたのか、詳細が分からないこの段階でなぜ厳重注意とするのだろうか。最も大事なのは暴力団との関わりがあったかどうかという点である。
厳重注意のタイミングといい、記者会見でのやりとりといい、日本相撲協会のマネージメント能力に首を傾げざるを得ない。警察や検察OBを外部から理事などに招いたがこれだけでは不十分ではないか。理事長も含めて組織マネージメントの中枢を外部から招いた方がいいのではないだろうか。このままではファンが離れていく。
ところで、前にも書いたように週刊新潮のスクープでこの問題が明らかになったのだが、ほとんどのメディアはこの問題を伝える際に「一部週刊誌が報じた・・・」という表現を使っている。スクープした他社メディアの名前をあえて出さない日本のやり方は残念だといつも思う。他社の不祥事の際は実名で報じるのに、スクープは名前を出さない。日本のメディアもそろそろこうしたやり方を変えるべきではないだろうか。
10年6月15日(火)「#1080 日本代表快勝」
やりました。ワールドカップ初戦で日本代表がカメルーンを破り、4度目のワールドカップ出場で海外で初めての勝利をあげた。終わってからなら何とでも言えるが、ビッグマウスの本田が活躍するのではないかなと思っていた。試合後のインタビューで本人も言っていたが、彼は何か"持っている"ような気がする。自由奔放な言動で知られているが、ゴールを決めた後で大げさなガッツポーズをする訳でもなく、日本ベンチに歩み寄って控え選手に抱きついた光景は清々しかった。彼の素顔を見たような気がした。
数少ないチャンスを冷静にものにしたのはさすがである。ゴールシーンばかりが注目されているが、ワントップに抜擢された彼がカメルーンのディフェンスがボールを回す際にあきらめずにずっとボールを取りに走り回っていたのがとても印象に残っている。その体力も凄いが、相手がボールを持っている時も気持ちを抜かずにひたすらボールを追いかけるその姿勢をみて、この選手は只者ではないとサッカーに詳しくない私でも感じた。
世界のトップレベルになっても、やはり"気持ち"が大事なんだとあらため思った。いや、世界のトップレベルだからこそ、技術レベルにあまり差が無く気持ちが勝敗の大きな鍵を握っているのだろう。
それにしても日本代表は1点をよく守りきった。1対0のまま試合時間の残りが少なくなるにつれてカメルーンの攻撃は厳しくなる一方だった。これまでもリードしている試合終了間際に同点に追いつかれたり逆転されたりという試合があったので、最後の最後までひやひやした。
どうしても攻撃陣に目が行きがちだが、体格や運動能力で勝る外国人を相手に互角以上に闘ったディフェンス陣の頑張りにも拍手をおくりたい。特に小さな体でカメルーンのエースのエトーを抑えきった長友の活躍は目を見張った。
にわかサッカーファンなので少々気恥ずかしいが、予選リーグの残り2試合もテレビの前で応援しようと思う。頑張れ日本!
10年6月14日(月)「#1079 ワールドカップ」
初めてのアフリカ大陸での開催となった2010FIFAワールドカップ・南アフリカ大会が始まった。正直言ってサッカーはあまり詳しくない。日本代表のサッカーの試合はテレビで観ることもあるが、Jリーグを観ることはほとんどない。
2002年の日韓大会では、日本代表の試合はチケットが取れなかったが、家族と共に神戸で行われたブラジル対ベルギーの試合を観に行った。その時は、ワールドカップだけあってかなり盛り上がったのを覚えている。
今回のワールドカップでは、大会直前の試合で日本代表が4連敗したこともあり、日本では今一つ盛り上がりに欠けているような気がする。治安の悪い南アフリカでの開催だけに、私の周りで南アフリカまで応援に行くという人もいない。
いま、テレビでは日本が入っているグループのオランダ対デンマークの試合をやっている。日本が対戦する国同士の試合なので、相手を知る意味でも観ているのだが、オレンジのユニフォームのオランダは当たりも強くボールのキープ力も勝っているように思う。先ほど、後半開始早々にデンマークのオウンゴールでオランダが先制した。
この試合の後、日本時間の午後11時から日本代表の初戦であるカメルーン戦が行われる。FIFAランキングでは、同じグループの4チームの中で最下位の日本であるが、きょう「ten」に出演した元日本代表の秋田さんによると、ワールドカップになったらランキングはあまり関係ないということである。
普段、サッカーにあまり興味がない私だが、今夜は家族と一緒にテレビの前に陣取って観戦することにしている。冷蔵庫にビールは冷えているし、帰宅する途中で大好きなナチョスとサルサソースも買ってきた。準備は万端である。がんばれニッポン。
こんなにゆっくりした週末はいつ以来だろうか。そう思って手元のスケジュール帳を見ると、このところ週末もずっと予定が詰まっていた。平日は番組の出演に加えて、毎週東京へ行って国会や政治情勢を取材していてとても忙しいので、週末ぐらいはゆっくり休みたいのが本音である。
しかし、実家の母の様子も気になるし、長男や二男の野球の試合や練習にも顔を出さなければならない。せめて土日のどちらかだけでも自宅でノンビリしたいと思うのだが、なかなかそうは行かないのだ。
おまけに参議院選挙が近づいてきて、今後は週末にも選挙区を回って取材する機会が増えてくるだろう。夏の大会に向けて、長男の野球のスケジュールも忙しくなってきた。二男ももっと野球の練習に顔を出して欲しいようだ。
きょうも妻と一緒に長男の練習試合を観に行って、その後で二男の野球にも顔を出そうと思っていたのだが、朝からの雨でどちらも中止になってしまった。近畿地方も梅雨入りしたようである。
昼前までゆっくりと寝て、午後から自宅の和室でブログを書いている。部屋から見える狭い庭にはアジサイの花が咲いている。雨に打たれて紫色の花びらが生き生きと輝いている。毎朝、二男と庭でティーバッティングをやっているのだが。アジサイの花が咲いているのは目に入らなかった。たまには、こうしたノンビリした時間も必要である。
ノンビリした時間と言いながら、今こうしてブログを書いているし、これが終われば次は大学の講義で話す内容のお勉強である。これも仕事といえば仕事である。講義の準備をさっと済ませて和室で昼寝でもすることにしよう。
今日は雨が降ったので、週末だというのに珍しく家族5人が自宅で顔を揃えている。夕方までノンビリ過ごして、たまには皆で外食にでも出掛けようかと思う。なに食べようかな。
久し振りに母が1人で住む実家を訪ねた。このところ、週末も忙しかったので姉に頼りきりでご無沙汰だった。長女は土曜日の補習授業、長男は野球部の練習と忙しそうだったので、暇そうにしていた二男を連れて行くことにした。
母も孫を連れて行くとたいへん嬉しそうにする。特に、優しい言葉をかけて面倒見もいい二男がお気に入りのようである。母を見ていて思うが、孫というものは本当に可愛いようだ。孫を見るときの表情が違う。愛に溢れているという感じである。
実家に行った時にいつも困るのが駐車場である。公営の団地に住んでいるので、入居者用の駐車場はあるのだが、ゲスト用の車を停める場所がないのである。これまでは管理人さんに連絡して、その日だけ停めることができる場所を教えてもらっていたのだが、最近は使われなくなった駐車スペースに柵がしてあり使用できなくなったのだ。
この団地でも高齢化が進んで入居者で車を運転する人が少なくなっているのだろう。駐車場の空きスペースが行く度に増えてきていた。管理人さんの許可を得て、そのスペースに停めさせて貰っていたのだが、そこも閉鎖するようになったようだ。
この団地では駐車場以外に車を停める場所もなく、周辺の道路も駐車違反の取締りが厳しい上、近くにコインパーキングもないのだ。我が家の場合のように、高齢の両親だけが住んでいて、その子供たちが週末に訪ねてくることも多いと思うのだが、そのための駐車スペースの手当てがないのだ。団地を管理している自治体の担当者に、どう考えているのか一度聞いてみようと思っている。
夕方から、母と二男を連れて伯母が入所している老人ホームを訪ねた。90歳を超えた伯母は、民生委員の方を中心にご近所の方々に支えられて何とか1人暮らしを続けてきたのだが体調を崩したこともあり特別養護老人ホームに入ったのだ。
それにしても、民生委員の方には何から何まで本当にお世話になってきた。本来は私たち身内がやらなければならないことをサポートして頂いて心から感謝している。こういう方々のお力があって、いま問題となっている高齢化社会が何とか支えられているのだということを初めて実感した。
母と伯母が会うのも久し振りだった。今までは母がなにかと伯母の面倒を見てきたのだが、母自身が高齢になってそれも難しくなったのだ。母や伯母のもとを訪ねる際には、できるだけ子供たちを連れて行くことにしている。母や伯母が喜ぶことがなによりだが、子供たちが高齢化社会の実情を肌で感じると共に、我々や子供の世代が母たちの世代を支えていくことの大切さを少しでも感じてくれたらと思っている。
10年6月11日(金)「#1076 所信表明演説」
新しくこの国のリーダーになった菅首相の所信表明演説を聴くために東京に日帰り出張。少し早めに国会に着いたので、知り合いの国会議員秘書に連絡をとって国会内の議員食堂でランチをとりながら意見交換。
13時過ぎから、まずは衆議院で所信表明が行われた。衆議院の本会議場では開会を知らせるベルが鳴って議員が入ってくるのだが、議長が入場してきて本会議が始まるまでに議員同士があちこちで挨拶を交わしている。記者席がある上から見ていると、鳩山前首相がニコニコしながら小沢前幹事長の座席に歩み寄り、お互い笑顔で握手した。その間、小沢前幹事長は席に座ったままだった。どちらから挨拶に行くかも含めて、2人の力関係が垣間見えて興味深かった。因みに議長が入場してくると議員は全員起立して迎えることになっているが、小沢前幹事長は座ったままだった。
菅首相の所信表明は、一言でいうと菅さんらしい実務的なものだった。鳩山さんのように自らの理想を語るという場面も印象に残るフレーズもほとんどなかった。鳩山さんの時のような世の中が変わったんだという高揚感も熱気も感じられなかった。これから国を率いてやって行くんだという決意のようなものは感じた。
それにしても自民党議員の野次がうるさい。いくら野党とはいえ、新しく就任したこの国の総理大臣が何を言うか、もうちょっと耳を傾けてもいいのではないだろうか。ほとんどの民主党議員は手元の所信表明の原稿を見ながら時折拍手をしていたが、中には居眠りをしている議員も何人かいたのには少々がっかりした。一般傍聴席は見学者で埋まっている。
所信表明では、菅首相がこれまでも記者会見などで何度も話してきた「強い経済、強い財政、強い社会保障」を政治の強いリーダーシップで実現していくことを強く訴えた。また、財政再建については、与野党の壁を越えて超党派議員による財政健全化検討会議をつくり建設的議論をすることを提案した。
印象に残ったのは、演説のおわりの部分で、何度か「ビジョン」、「リーダーシップ」という言葉を繰り返したことだ。「国民の皆様にビジョンを示し、そして、国民の皆様が『よし、やってみろ』と私を信頼してくださるかどうかで、リーダーシップを持つことができるかどうかが決まります」と述べた上で、「私は、本日の演説を皮切りに、順次ビジョンを提案していきます」と締めくくった。最近、この国のリーダーの口から、この国を将来どうして行きたいかという"ビジョン"を聞くことがあまりなかっただけに、菅首相が今後どれだけ具体的なビジョンを国民に示していくかに注目していきたい。
2時過ぎからは参議院での所信表明が始まった。あまり知られていないが、所信表明演説は衆議院と参議院の両方で、同じ演説が行われるのだ。衆議院と同じ演説なので取材する記者もぐっと少ないし一般傍聴席もあまり入っていない。
議員も衆議院に比べて欠席が多い。特に自民党議員の欠席が目立ったし、その中でも今回の参議院選挙で改選となる議員で欠席している人が多かった。選挙区に戻って活動をしているのだろうが、国会議員として本会議に出席するのは当然だろう。情けない。
情けないといえば、自民党議員の野次のひどさである。委員会などで民主党批判の急先鋒となっている近畿選出のある男性議員は、40分ほどの演説の間、ずっと野次っていた。それも野次の内容がほとんど難癖をつけているようで聞いていられない。これでは"国会の華"とも言われる野次ではなく、単なる文句である。また、議員席の最前列に座った女性議員の態度にもあきれた。何と、座席でずっと本を読みながら時折、金切り声でヒステリックに野次るのである。マスコミ業界にいただけあって声は通るのだが何を言っているのか分からない。議場の上から記者や傍聴者が見ていることを忘れているのだろうか。
いずれにしても、新しくこの国を引っ張っていくことに決まったリーダーの就任演説に対しては与野党の立場は関係なく、政治家としてもっと敬意を払うべきだと思う。政治家という存在に対して国民が尊敬の念を持ちにくい理由を政治家自身が考えるべきである。
10年6月10日(木)「#1075 グリフィー引退」
遂にこの日が来てしまった。アメリカ・メジャーリーグ、シアトル・マリナーズのケン・グリフィー・ジュニア選手が先日、現役引退を表明した。私の大のお気に入りだったグリフィーのユニフォーム姿をもう観ることは出来ない。
去年、久しぶりにシアトルに戻ってきたので、マリナーズのジャージを着たグリフィーをもう一度この目で観たいと思っていたが実現しなかった。
通算本塁打630本は歴代5位である。MVP1回、本塁打王4回、ゴールドグラブ賞10回など素晴らしい成績を残したが、グリフィーといえばなんといってもその愛嬌のある性格と華麗なプレースタイルでファンから最も愛された選手の1人として知られている。20世紀の名選手をポジション別で選んだ「オール・センチュリー・チーム」に選ばれたことからも、いかに凄い選手であるかが分かるだろう。
打てて、守備がうまく、パワーがあり、肩が強く、スピードがあるという、いわゆる"ファイブ・ツール・プレイヤー"の典型的な選手である。父親はビッグ・レッド・マシンと呼ばれたシンシナティ・レッズの往年の名選手、ケン・グリフィ・シニアである。マリナーズでは史上初めて親子で同時に先発メンバーに名を連ね、連続打席で親子でのアベック・ホームランも実現している。
イチローが最も憧れている選手でもある。99年にイチローがマリナーズの春季キャンプに体験参加した時に取材したのだが、その際に、イチローが野球少年の様な満面の笑みを浮かべながら私の目の前でグリフィーとキャッチボールをしていたのが忘れられない。その取材に家族も連れて行ったのだが、当時まだ小さかった長男を見つけてバッティング練習中のグリフィーが寄ってきて声を掛けてくれたらしい。子供が大好きなのである。
子供といえば、ロサンゼルス生まれの二男はアメリカ国籍も持っているのでミドルネームをつけることになった。私が選んだ名前はこの大選手から頂いた"グリフィー"である。二男が将来、希望通りメジャーリーガーになったら、その話題を提供できると思っている。グリフィーの勇姿をもう一度観たかった。
キーワードは"志"である。われわれメディアの世界もキャリア官僚の世界も大切なものは同じなんだと確認することができてとても有意義な時間であった。
先日、知り合いの霞ヶ関のキャリア官僚の方のご紹介で、今年4月に各省に配属されたばかりの国家公務員一種試験に合格した、いわゆる"キャリア官僚"の新人に対しての研修で講義する機会を与えていただいた。
正直言って、私でいいのかなと思った。聞けば、毎年東京のキー局の方がマスコミからの講師として講義をしているらしい。しかも講義の持ち時間はなんと2時間半である。少し長すぎないかと思った。
キャリア官僚と聞いて、私の不勉強ながらほとんどの人が東京大学法学部卒業の方々だと思っていた。実際はそうでもなかった。もちろん東京大学の卒業生が最も多かったが、出身校は様々である。その中に"我等が関西大学"の卒業生もいることも知って大いに勇気付けられた。
私の講義のテーマは「メディアとどう付き合っていくか」というものである。メディアとの付き合い方を考える前提として、メディア、特にテレビ報道の現状と課題ということについてお話した。大切なのは人間関係であり、信頼関係の構築である。どんな業界でも同じことだと思うが、人と人との繋がりの大切さという基本が全てということである。
さすがに厳しい一種試験を勝ち抜いてきただけのことはあり、講義をしていてもリアクションがしっかりしている。2時間半という講義時間の中で、質疑応答もたくさんあるだろうと予想してそのために30分間をあてたのだが、それでも足りなかった。結局、質問が数多く寄せられ予定時間を20分ほどオーバーした上、講義終了後も10人ほどの人たちに囲まれて意見交換を続けた。とても意欲的な態度に感心した。
これだけ官僚バッシングが広がるという逆風の中であえて官僚になりたいという人たちの心のうちにたいへん興味があったが、思っていた以上にみなさんこの国を何とかしたいという志を持っていることを知って嬉しかった。
これもまた出会いである。講義終了後、多くの研修生と名刺を交換したが、今後も出来るなら連絡を取り合って、この国を良くしていくために意見交換をしていきたい。
夕方5時から始まる菅首相の就任記者会見の開始30分前には首相官邸の記者会見室に到着したが、100席以上ある記者席は既に押さえられていて立ち見での会見取材となった。会見場に入ってきた菅首相も、傍らに座る仙谷官房長官、古川、福山の両官房副長官もみな心なしか緊張気味である。
解説委員になって来月で丸3年だが、この間に取材した首相は安倍、福田、麻生、鳩山に続き菅さんで何と5人目である。何ともあきれた首相の交代が続いた。この間の首相の就任記者会見や退任記者会見を何度か取材したが、その中で比較すると、今日の菅さんの記者会見は落ち着いていて意気込みも感じられなかなかのものだった様な気がする。
民主党政権になって首相記者会見もかなりオープンになり、官邸記者クラブの記者以外にも、外国人記者、ネット記者、週刊誌記者、専門紙記者、フリー記者らも参加している。外国人記者やネット記者、フリー記者らも質問する機会が与えられたが、ずっと手を上げ続けた私にはついに質問の順番は回ってこなかった。菅首相に質問したかった。
夜の10時30分過ぎからは各閣僚の記者会見を取材した。それぞれの大臣の主な発言と私の印象は以下の通りである。会見室は立ち見でいっぱいだ。
仙谷官房長官
「政治とカネについて何が一番大事か、あらゆる手段を使って選挙に当選しなければならないという考え方について、汚いカネを使ってまで当選するということは絶対にやらないというのが私の心情」、さすがに落ち着いたやりとり、安定感がある。
亀井郵政改革担当・金融相
「今国会で郵政改革法案をどうしても通して国民のための郵政改革をやりたい」、「経済が弱ってしまったこの状況で増税しても税収は上がらない」、存在感たっぷりだが清新なイメージの民主党政権の中では異質。
原口総務相
「地方のことは地方で決める、地域主権改革を真っ直ぐに進めていく」、「成長なくして強い経済なし」、弁舌爽やかだが、発言が少々芝居がかって軽い感じ。
千葉法相
「死刑制度が日本の刑事司法の中では存在している。法務大臣が執行することが仕事だと認識しているが、命を奪う刑罰なので慎重に考えていく。色々な皆さんの議論をいただくことも」、任期中に死刑執行に一度もサインをしていない。今後もサインしないつもりなのだろうか。
岡田外相
「(普天間移設の日米合意は)地元の意向だけで決まらないというのはその通りで、抑止力の問題もある」、少し痩せてやつれていて肌もあれている。激務が続いている影響か。
野田財務相
「適材適所でバリバリ仕事をしていこうという内閣である」、「23年度の予算編成はマニフェスト、中期財政フレーム、成長戦略を考えながらやっていく」、初入閣とは思えない落ち着きぶり。
川端文部科学相
「教育と科学技術は国の根幹に関わるたいへん大事な分野である」、落ち着いたベテランらしいやりとりだが面白みはない。
長妻厚生労働相
「子ども手当13000円にプラスする分は現金か保育サービスなどにするか政務三役や党と相談していく。来年度の満額支給は難しいのではないか」、いきなり用意したメモを棒読みで読み上げる。大臣になってから続く守りの姿勢継続か。
山田農水相
「口蹄疫の思いがけない事態で大臣自ら辞めて私にも責任があるが、総理からの話を受けさせてもらった」、声が小さく聞き取りにくい。慎重な言い回し。政策には精通しているようだ。
直嶋経産相
「鳩山総理がたいへん大きな決断をした。これをしっかり受け止めて国民の信頼を回復していきたい」、「成長戦略と財政再建が車の両輪となって進めていくべきだ」、細かい政策についての手元のメモを棒読みするのはベテランらしくない。
前原国土交通相
「企業団体献金を禁止したら政治とカネの問題が解決する訳ではない」、「幹事長辞めたとはいえ秘書3人が逮捕されたのは重い。(小沢氏は)政倫審に出席して堂々と主張するほうが良いのではないか」、首相からの指示6点をメモ見ずに堂々とした態度で述べた。自らの意見をはっきりと述べるのはいいが、話が長い。
小沢環境相
「環境と経済を考えた時に環境こそが成長のエンジンであると菅総理から指示があった」、弁舌ははっきりしているが、政策を推進していく力はどこまであるのだろうか。
北澤防衛相
「普天間についてだけでなく沖縄全体の負担の軽減をセットにしたい」、「(沖縄に)丁寧にお話していく。」、落ち着いた安定したやりとりだが、中身があまりないのに話が長い。
中井国家公安委員長
「(拉致問題について)集中的な情報収集、いつでもどこでも交渉するという心構えでやっていきたい」、拉致問題の答弁では声が小さいのに、政治とカネについて聞かれると声が大きくなった。この大臣で拉致問題が進展するのだろうか。
荒井国家戦略担当相
「成長戦略では、地域の雇用、経済情勢が悪化しているので地域経済についても議論していきたい」、「政治主導では政務三役が全てで官僚を使いこなすことが出来なかったのではないか」、不勉強でこの人の存在を今まで知らなかった。これから存在感をどうやって増していくのか。
玄葉公務員制度改革担当相
「政策調査会長が閣僚を兼務するのは政治史上初めての試みなので何とか成功させたい」、「これからは滅私奉公ではなくて活私奉公の時代」、初入閣とは思えない堂々とした態度。論旨明快。
蓮舫行政刷新担当相
「自分が仕分けたものを一つの形にしていくことが任務」、「特別会計がまだ残っているので(事業仕分けで)正面から取り組みたい」、記者会見場に入ってきてこちらまで緊張しているのが伝わった。さすがにメモなしでスラスラ答弁した。力が入ったやりとりに意気込みは感じられる。
閣僚記者会見の終了は夜中の1時過ぎだった。今日はオーバーワークかな。
前から機会があれば番組で発言しようと思っていたことをようやく言うことができた。参議院のあり方についてだ。きょうの「ミヤネ屋」で、なぜこんなに毎年この国の首相が代わるのかという話題を取り上げた。その中で、専門家がその理由を分析するインタビューが流れたのだが、ある大学教授の考え方が私がずっと思っていたこととほぼ同じだったのだ。それを受けて私の考えを番組で述べた。
衆議院のように解散による任期中の突然の失職がなく、一度当選すると任期の6年間身分が保証されている参議院議員が政局において影響力を発揮し過ぎることが日本の政治を歪めているのではないかと思う。6年間選挙がないということは、各党にとっては長期間に亘って参議院での勢力を保ち続けることが出来るというわけだ。参議院選挙で大勝すれば、6年間、場合によってはもっと長く参議院で実権を握り続けることができるのだ。
それに目を付けたのが自民党の田中派であり、それ以来自民党では参議院が法案の審議においても政局においても過剰な発言権を持ち影響力を行使してきた。あの小泉首相でさえ、参院のドンと言われた青木さんにとても気を遣っていたことを思い出す。現在の民主党でも、参議院議員会長の輿石さんが不思議なほど力を持っているのも同じ理由だ。
衆議院と参議院では役割が違うのである。そもそも参議院は良識の府と呼ばれ、党派性の薄い有識者が集まって衆議院の行き過ぎを是正することを求められている。参議院では党議拘束を外して1人1人の議員が自らの信念に基づいて国の重要政策に関して是々非々の判断をすべきではないだろうか。
242人という参議院の定数も多すぎると思う。100人ぐらいで充分ではないだろうか。都道府県知事が参議院議員を兼ねるというやり方も検討に値する。衆議院選挙で落選したから参議院に鞍替え立候補するということも本来あってはいけないことだと思う。
今回の鳩山首相の辞任に繋がった鳩山降ろしも、元はといえば改選を迎える参議院議員を中心に、鳩山さんでは選挙を戦えないということで始まったのだ。本来、政権選択の選挙でない参議院選挙のために首相を代えるということがあっていいのだろうか。
参議院は政局に絡むことなく、良識の府として、この国の行くべき道筋を方向付けると共に、衆議院が間違った方向に行きそうになることを正す役割に徹するべきではないか。それが出来ないなら、参議院不用論が出てきても仕方がないとさえ思う。
今朝もまた起きられなかった。小学生の二男の少年野球の遠征が朝からあったのだが、このところのハードワークでさすがに疲れが溜まり起きたら昼前だった。午前中の練習試合を観に行った妻から、二男は途中からサードを守り最初は無難にこなしていたが、一つエラーをしてからはボロボロだったとのメールが届いた。
菅新首相の人事が着々と進んでいることを伝える昼ニュースを観て、新聞の朝刊に目を通した後で昼から二男が出るかもしれない公式戦を観に行くことにした。
午前中の練習試合でエラーをした二男は試合に出してもらえないかもしれないと思っていたが、グラウンドに着いたらライトを守っていた。8番ライトでの先発出場だった。試合は相手チームに1回、2回と点を取られ0対5と早くも敗戦ムードが漂っていた。
二男の第一打席は二死ランナー2塁の場面で回ってきた。打席の二男は構えが小さく、バックスゥイングでバットを担ぐ様な悪い打ち方をしている。これは駄目だと思っていたら見逃し三振だった。最近はストライクを見逃すことがほとんど無くなっていたのだが、最後の球はボールだと思ったようだ。私の目にもボールに見えた。
二打席目は二死満塁のチャンスだった。打席に向かう前に、打席で大きく構えるようにアドバイスした。構えは良くなった。打ってくれと願うような気持ちだったが、またまた見逃し三振だった。最後の球はまた私から見てもボールくさかった。仕方がない。
二男のチームは終盤に追い上げて3対5で迎えた最終回。またチャンスで二男に打席が回ってくるような予感がしていたが、やはりその通り無死満塁で三打席目が回ってきた。最近ずっと感じていたことだが、二男の打席はチャンスにばかり回ってくる。しかも、試合を決めるような決定的な場面で打席が回ってくることも多い。そういう星を持っているのだろう。野球選手としては大事なことである。
打席に入る前に構えを大きくしてフルスゥイング、ツーストライクになったら際どい球は振るようにアドバイスした。ヒットを打てば同点、長打ならサヨナラの場面である。二男よりも観ている私の方が力が入り緊張していた。
打席での二男は多少緊張しているものの、以前と比べると落ち着いているように見えた。構えも良くなっている。ファールを何球か打ちタイミングも合ってきた。打つかもしれないという予感がした。ファールで粘ってツーストライク・スリーボールになった時、ストライク・カウントを間違えて四球で押し出しだと思った三塁ランナーが飛び出してタッチアウトになってしまった。打席の二男もベンチも呆然としている。緊張感がプツンと途切れた感じがした。二男は結局、次の球をしっかりと見極めてフォアボールを選んだ。ヒットこそ出なかったものの、息苦しいほどの緊張感の中でよく粘ったと思う。
しかし、後続の打者2人が連続三振してゲームセット。惜しい試合を落としてしまった。試合後、何人かの選手が泣いている。二男もぐっと涙をこらえていた。
二男は三打席ともチャンスに打席が回ったのにヒットを打てず試合に勝つこともできなかったが、貴重な体験だったと思う。スポーツをしていなければ、普段の生活でこれ程の緊張感に包まれる経験はなかなか出来ない。野球での上達はもとより、人間として成長する上でも貴重な経験だ。体が震えるような緊張感。長いこと味わってないなあ。
高校野球の部員や監督の不祥事による連帯責任の取り方について考えさせられるケースだと思う。近畿地方のある県の有力校が、今年の春に不祥事を起こし6ヶ月間の対外試合禁止という処分を受けた。この6ヶ月という処分期間が微妙であり、処分期間は8月8日までなので、高校野球最大のイベントである夏の大会に出場出来ないのだ。
処分が決まった当時の新聞記事によると、「今年2月、部員らの寮で生活態度を注意した教師に部員3人が頭突きなどの暴力をふるい7人が暴言を吐いたという」(2010年3月5日読売新聞)ということだ。これを受けて日本学生野球協会はこの高校の野球部を2月9日から8月8日までの対外試合禁止処分とした。
この処分の結果、この高校は今年の甲子園での選抜大会に出場する可能性を絶たれた上、夏の甲子園大会の予選にも出場できなくなったのだ。
もちろん暴力は決して許されるものではなく、当該の部員が処分されることは当然であるとは思う。しかし、野球部全体が連帯責任をとらされ、しかも春に加えて夏の大会にも参加できないというのは処分が厳しすぎるのではないだろうか。
3年生にとっては3年間青春の全てをかけて取り組んできた高校野球の集大成が最後の夏の大会である。これに出場できないということは、処分が下された時点で3年生にとっては高校野球生活が終わったも同然である。対外試合禁止でも練習は続けることができるので、最後の夏まで練習だけを続けている3年生もいるだろう。不憫でならない。彼らに最後のチャンスを与えてあげるのも教育ではないか。
不祥事を起こした学校に処分を課すのは教育的配慮からだと言われているが、教育ということを考えるなら、"最後の夏"を奪うという処分はあまりにも厳しすぎるのではないだろうか。
選手の父母らが高野連(日本高等学校野球連盟)に対して嘆願書を出して、何とか夏の大会にだけは出場できるよう求めている心情も理解できる。学校側は今からでも処分に対する不服申し立てを行うべきではないか。
以前から思っていたが、高校野球で不祥事が起きた際に問題を起こした部員だけでなく野球部全体に連帯責任が課せられることは、他のスポーツと比べても厳し過ぎるのではないか。
日本学生野球憲章には、『学生の「教育を受ける権利」を前提とする「教育の一環としての学生野球」という基本的理解に即して作られた憲章』と書かれている。そうであるならば、不祥事を起こした部員以外の野球部員の「教育を受ける権利」を奪ってもいいのだろうか。
やはり現場取材は最高である。きょうの取材場所は久し振りの国会。鳩山首相の突然の辞任を受けてきょう民主党代表選挙が行われ、続いての国会での首班指名選挙で新しい首相が選ばれることになった。夜には組閣も行われる予定というなんとも慌ただしいスケジュールである。
この日の「ミヤネ屋」に向けての番組プロデューサーから私へのミッションはかなり厳しいものだった。首班指名選挙が行われる国会から生中継でリポートすると共に、議場から出てきた与野党の国会議員をつかまえてきて生中継で話を聞くというものである。さすがの楽天的な私も気が引き締まった。自ら生中継でリポートしながら議員を引っ張ってくるのは物理的にさすがに厳しいので、優秀な後輩記者が手伝ってくれることになった。
朝から何人かの議員に取材の意図を伝えて生中継への出演交渉をすると共に、衆議院別館で開かれる民主党代表選挙の会場へ向かった。11時から始まる代表選挙の取材受付は10時から。10時に会場へ行くと早くも30人ほど列が出来ていた。30分経っても列が動かない。嫌な予感がしていると、案の定、民主党の広報担当が来てこれ以上会場には入ることが出来ませんとの説明。あきれてものが言えない。
あきらめきれずに会場へ行くと、会場の後方にある取材用の入り口からメディアが溢れている。カメラマンは撮影用の良い位置を確保するため通常は受付時間のかなり前から並ぶことが多い。会場の取材スペースはとても狭く、カメラマン席と記者席を分けるのが当たり前なのにそれをしなかったため、取材スペースは既にカメラマンで埋まっていて記者が入れない状態だった。東京の記者はみな大人しいので何も言わない。黙っていられる訳のない私は大きな声で広報担当者に対応のまずさを指摘して入れてくれるように頼んだ。すると、その声が広がり結局は1社1人ということで何人かの記者が中に入ることができた。もちろん、私も中に入った。「(報道陣が)こんなに来るとは思わなかった」という担当者に対して、私は思わず「来るに決まってるじゃないですか」とすかさず言い返した。野党の党首選挙ではないのだ。ここで選ばれた人が首相になる大事な選挙であることをまるで理解していない。こんなところにも与党慣れしていない民主党が垣間見える。
民主党の代表選挙は、これまで取材した自民党の総裁選挙に比べて落ち着いた雰囲気で拍手や歓声が上がることは少なかった。唯一、会場からどよめきが起こったのは、菅氏が政治とカネについて「私も100%真っ白という自信はない」と言った時だ。この発言には驚いた。鳩山首相の発言の軽さがあれだけ問題になったのに、菅さん大丈夫か、という思いがよぎった。
代表選挙で順当に菅氏が新代表に選ばれて、午後からの衆議院本会議でも菅氏が首相に選ばれた。菅政権の誕生である。つづいて参議院での首班指名選挙が始まったところで、国会内の廊下に設けられた中継ポイントに行き生中継に備えた。国会議事堂をバックに国会の中庭から中継したことはあるが、議事堂内の赤じゅうたんの上からの中継は初めてである。スケジュールが少し遅れていたので首班指名選挙がまだ終わらず、出てくる議員なしで私1人でのリポートが始まった。
いつもながらに原稿も書かずに出たとこ勝負の中継である。おまけに今回は何を話してスタジオの司会者とどんな掛け合いをするかの事前の打ち合わせも全くなしである。議員がいつ議場から出てくるかも分からない。それまで1人しゃべりで繋がなければならない。ドキドキものである。だから生中継は楽しいのだ。
ようやく議員が出てきて民主党議員にインタビューしている時に、なんと幸運なことに後ろから菅新首相が通りかかったのである。民主党議員が「おめでとうございます」と菅新首相と言葉を交わし握手をしたシーンがばっちりと生カメラで画面に映し出された。生中継は運である。これも日頃の行ないだろうか。
結局3人の議員に生出演して頂くことが出来て、何とか困難なミッションを終えることが出来たのである。それにしても、いつもながらに周りの方々に助けられての結果オーライの生中継だった。だから現場取材は、生中継は楽しいのだ。テレビ報道の醍醐味である。この後、東京支社に場所を移してローカルニュース「ten」への生中継を行った。そして夜には民主党本部での菅新代表としての記者会見を取材し長い一日がようやく終わった。
きょうのブログのタイトルは「菅政権誕生」だったのに、肝心のニュースの中身より生中継の裏話ばかりでごめんなさい。でも、面白かったでしょ。あ~、生中継は最高。
10年6月3日(木)「#1068 民主党代表選挙」
反小沢勢力による小沢包囲網が出来たということだろう。鳩山首相の退陣表明を受けて明日4日に民主党の代表選挙が行われることになり、菅副総理兼財務相と樽床衆院環境委員長の2人が立候補を表明した。その立候補の記者会見で菅氏は焦点となっている小沢幹事長について「小沢氏も国民にある種の不信を招いたことについて、しばらく静かにしていただいた方が本人にも、民主党にも、日本の政治にとってもいいのではないか」とまで言い切った。よくここまで踏み切ったと思う。菅氏の覚悟の程がうかがえる。
管氏が小沢離れを決心した理由は、前原、岡田、野田、枝野といった小沢幹事長と距離を置く党の実力者たちの作戦勝ちだと思う。菅氏が立候補を表明するとすぐに、枝野氏や岡田氏が政治とカネや権力の二重構造にきちんと対応するなら、つまり小沢氏と距離を置くなら、という条件つきで菅氏を応援することを早々に表明して反小沢の流れが出来上がったようだ。
今回の代表選挙の焦点は、小沢氏との距離感である。小沢氏に近いグループでは、原口総務相や海江田選挙対策委員長代理、田中真紀子元外相らを自分たちの候補として擁立しようとしたが実現せず、結果的にすでに立候補の意向を示していた樽床氏を支援することに決めたとみられる。こういう経過からして、本人に意向とは別に樽床氏は小沢氏寄りだと見られている。
これに対して管氏がどこまで小沢氏から離れるかが焦点だったが、どうも小沢離れにハンドルを切ったようだ。盟友でもある鳩山首相が最後の最後に小沢幹事長を道ずれに辞任しクリーンな民主党への回帰を置き土産にしたという思いを菅氏が受けとめたのではないだろうか。
小沢氏の政界での影響力の大きさを否定するつもりはないが、以前はともかく現在の小沢氏の力は本当にそれほど凄いのだろうか、正直疑問である。何かあった時、小沢氏が何も語らないことをいいことに側近といわれる議員たちが"小沢氏の意向"を吹聴する。そしてそれが小沢氏の直接の発言でないことを知りながらもメディアが報道し"小沢氏の力"神話が増幅されているように思えてならない。読者の皆さんは、どう思いますか?
参議院選挙まで小鳩体制で行くのでは、という私の読みは見事に外れた。鳩山首相は急遽開いた民主党の両院議員総会で辞任することを表明すると共に、小沢幹事長も辞めることを明らかにした。歴史的な政権交代で誕生した鳩山政権は8ヶ月あまりで終わることになった。
今朝、ある政治関係者からメールが入った。10時の本会議が延期になり両院議員総会が開かれることになったという知らせだった。総理はついに"決心"したのだろうかという内容だ。通常なら、衆参全ての議員を集めるということは何か重大な発表をするという意味だろうが、なにせ"宇宙人"だから、私はその場で今後も頑張るという続投宣言をするのではないかと思いつつ東京行きの飛行機に乗った。
羽田空港に着いたら、鳩山首相が辞任を表明したというニュース速報が携帯電話に入っていた。そのニュースを見たとき、なにか体の力が抜けるような気がした。この国のトップがまた短い任期で辞めるのかということに溜息が出た。
鳩山首相自身が両院議員総会での挨拶でも述べたとおり、政治とカネの問題と普天間が原因で国民の支持を失っていった。小沢幹事長も政治とカネの問題を引きずり続け、民主党への信頼を無くした大きな原因のひとつとなった。2人とも辞任するのは仕方がないとは思うが、なぜこの時期なのだろうか。参院選目前のこのタイミングで辞めれば、このままでは選挙に勝てないという参議院の改選を控える議員たちの圧力に屈した形となったと見られても仕方がない。これでは、「この顔では選挙に勝てない」という理由で国のトップである総理の首を挿げ替え続けた自民党と同じではないか。
自分が辞めるなら幹事長も一緒にと、小沢幹事長を道連れにしたことは鳩山首相の最後の意地だとして評価できると思う。しかし、そんな意地があるなら、もっと早くに小沢幹事長に対しても指導力を発揮する局面が何度かあったのではないか。
鳩山首相の両院議員総会での挨拶は気持ちがこもっていてなかなか聞き応えがあったが、このような思いをなぜもっと早くに国民に対して語らなかったのだろうか。きょうの夜のぶら下がり取材でそのことを問われた首相は「総理という職の緊張感の中で十分に自分自身を出し切れなかったところがあったかもしれません」と語った。首相を辞めることが決まって、緊張感から解放されて自分の思いを伝えることができたということなら、そもそも首相になるべき人ではなかったということだろう。
両院議員総会でもぶら下がり取材でも言った首相のある言葉が気になった。「国民の皆さんが鳩山政権に対して聞く耳を持たなくなった」というフレーズだ。「おい、ちょっと待ってよ」と突っ込みたくなる。"聞く耳を持たなくなった"とはどういうことだろうか。"国民が聞く耳を持たなくなった"のではなく、"首相が国民の声を聞く耳を持たなくなった"の間違いなのではないか。もしも"国民が首相の声を聞く耳を持たなくなった"としても、それは、鳩山政権の政策にあきれ、首相の言葉を信じられなくなったからではないか。
言葉づかいというのは本当に難しいものだ。特に政治家にとって言葉は命である。自らが言った言葉の責任を取るのが政治家である。辞任を表明しても記者のぶら下がり取材だけで済ませて記者会見を開かない鳩山首相は、やはり言葉の重さの意味が分かっていないようだ。
参議院選挙まで小鳩体制で行くのでは、という私の読みは見事に外れた。鳩山首相は急遽開いた民主党の両院議員総会で辞任することを表明すると共に、小沢幹事長も辞めることを明らかにした。歴史的な政権交代で誕生した鳩山政権は8ヶ月あまりで終わることになった。
今朝、ある政治関係者からメールが入った。10時の本会議が延期になり両院議員総会が開かれることになったという知らせだった。総理はついに"決心"したのだろうかという内容だ。通常なら、衆参全ての議員を集めるということは何か重大な発表をするという意味だろうが、なにせ"宇宙人"だから、私はその場で今後も頑張るという続投宣言をするのではないかと思いつつ東京行きの飛行機に乗った。
羽田空港に着いたら、鳩山首相が辞任を表明したというニュース速報が携帯電話に入っていた。そのニュースを見たとき、なにか体の力が抜けるような気がした。この国のトップがまた短い任期で辞めるのかということに溜息が出た。
鳩山首相自身が両院議員総会での挨拶でも述べたとおり、政治とカネの問題と普天間が原因で国民の支持を失っていった。小沢幹事長も政治とカネの問題を引きずり続け、民主党への信頼を無くした大きな原因のひとつとなった。2人とも辞任するのは仕方がないとは思うが、なぜこの時期なのだろうか。参院選目前のこのタイミングで辞めれば、このままでは選挙に勝てないという参議院の改選を控える議員たちの圧力に屈した形となったと見られても仕方がない。これでは、「この顔では選挙に勝てない」という理由で国のトップである総理の首を挿げ替え続けた自民党と同じではないか。
自分が辞めるなら幹事長も一緒にと、小沢幹事長を道連れにしたことは鳩山首相の最後の意地だとして評価できると思う。しかし、そんな意地があるなら、もっと早くに小沢幹事長に対しても指導力を発揮する局面が何度かあったのではないか。
鳩山首相の両院議員総会での挨拶は気持ちがこもっていてなかなか聞き応えがあったが、このような思いをなぜもっと早くに国民に対して語らなかったのだろうか。きょうの夜のぶら下がり取材でそのことを問われた首相は「総理という職の緊張感の中で十分に自分自身を出し切れなかったところがあったかもしれません」と語った。首相を辞めることが決まって、緊張感から解放されて自分の思いを伝えることができたということなら、そもそも首相になるべき人ではなかったということだろう。
両院議員総会でもぶら下がり取材でも言った首相のある言葉が気になった。「国民の皆さんが鳩山政権に対して聞く耳を持たなくなった」というフレーズだ。「おい、ちょっと待ってよ」と突っ込みたくなる。"聞く耳を持たなくなった"とはどういうことだろうか。"国民が聞く耳を持たなくなった"のではなく、"首相が国民の声を聞く耳を持たなくなった"の間違いなのではないか。もしも"国民が首相の声を聞く耳を持たなくなった"としても、それは、鳩山政権の政策にあきれ、首相の言葉を信じられなくなったからではないか。
言葉づかいというのは本当に難しいものだ。特に政治家にとって言葉は命である。自らが言った言葉の責任を取るのが政治家である。辞任を表明しても記者のぶら下がり取材だけで済ませて記者会見を開かない鳩山首相は、やはり言葉の重さの意味が分かっていないようだ。
2日連続となった小沢幹事長との会談を終えて出てきた鳩山首相は、「総理、続投ですか?」と尋ねる記者団に向かってニコリと微笑み親指を立てるサインを送った。続投が決まったということだろうか。この状況で親指を立てるなんて、やはり鳩山首相という人は宇宙人かもしれない。
「親指を立てる」という意味は、物事がうまく行っている、バッチリだということだ。自分自身で相当自信がない時でないと、普通はあまりしない。小沢代表と、会談に同席した輿石参院議員会長の2人から辞任に向けての引導を渡されるのではないかとの見方もあっただけに、鳩山首相の親指サインには違和感を持った。ひょっとしたらこの人は、普天間の迷走も内閣支持率の続落も首相への批判も、何も感じていないのではないかとさえ思ってしまう。
それに対して、国会内の会談場所の部屋から出てきた小沢幹事長の表情は、久し振りに見る不機嫌で怖い顔だった。会談の中身は伝わってこないが、小沢、輿石両氏の言うことが鳩山首相に伝わらなかったのではないかと思わせる憮然とした表情だった。輿石参院議員会長も記者の質問を振り切るようにして立ち去った。
民主党内から鳩山首相の退陣を求める声が高まり、3人が鳩山首相の進退について協議するのではないかと見られていた。会談が終わり平野官房長官は「きょうは改めて意見交換した」と述べた。小沢幹事長からマスコミに説明するように言われたという細野副幹事長は「きょうは3人で国会情勢について意見交換した。明日以降も協議を続ける」と説明した。会談では輿石参院議員会長が国会情勢、選挙情勢の厳しさを伝えて暗に鳩山首相に辞任を促したとみられている。
会談が行われた部屋にはまず鳩山首相が入り、続いて輿石参院議員会長がやってきた。そして2人を待たせる形で最後に小沢幹事長が部屋に到着した。誰が最高実力者かをはっきり示すシーンだ。閣議でもそうだが、皆が揃ってから最後に首相が部屋に入ってくるのがあたり前である。
自分たちで選んだリーダーを担いで衆院選で歴史的な勝利を遂げ政権交代が実現したにも関わらず、1年も経たないうちに選挙に勝てないからという理由でそのリーダーを挿げ替えようというのか。全ては選挙のために動くのか。参院選は政権選択の選挙ではない。今回の参院選は鳩山政権の中間評価の選挙でもある。鳩山政権への評価は国民が選挙で行うのが筋である。その前に政党の都合でリーダーを代えることが繰り返されていいのか。
それにしても、政局において参議院の力が大きくなり過ぎてはいないか。本来は良識の府であるべき参議院は出来るだけ党派性を排除して、政策に対して是々非々で対処すべきではないだろうか。参議院では基本的に党議拘束を外してもいいのではとさえ思う。自民党政権でもそうだったが、政局の節目で参議院が大きな影響力を発揮することには疑問を持たざるを得ない。
春川正明
はるかわ まさあき
1961年5月5日生まれ
讀賣テレビ放送
報道局解説副委員長
ロサンゼルス特派員、
チーフプロデューサー、
報道部長を経て07年より現職。
関西学院大学非常勤講師
大阪市出身