久しぶりに(事業仕分け以来か?)、政権交代を実感させる出来事だった。日本への核の持込などを巡って日本政府とアメリカ政府との間で密約があったかどうかを調べていた外務省の有識者委員会が、3件の密約があったとする報告書を岡田外相に提出した。
長年に亘って歴代の首相や外相がないとしてきた密約があるとされたことで、政府がこれまでの政府見解を変えることになる異例の事態だ。政権が交代しなければ決して実現することのなかった画期的な出来事である。
今回、委員会が調べていた密約の可能性があるケースは4つあった。このうち、朝鮮半島で有事があった際に米軍が日本政府との事前協議なしに在日米軍の基地から出撃するという件では、それを示す日米政府の合意文書が確認され密約があったと認定された。
また、核を搭載した米軍艦船が日本の領海を通過したり日本に寄港したりした場合は事前協議の対象にせず黙認するという件ではそれを裏付ける文書は発見されなかったものの日米政府の間で暗黙の合意があったとして、また、沖縄返還の際に米軍基地の原状回復に必要な費用を日本政府が肩代わりしたという件では日本が肩代わりした事実を認定し、いずれの場合も広い意味での密約があったと判断された。
一方、核抜きとされた沖縄返還後も有事の際に米軍が核兵器を沖縄に持ち込めるという件では、当時の佐藤首相とニクソン大統領の署名入りの合意文書が佐藤元首相の自宅から見つかり本物と判断されたが、この合意は以後の首相には引き継がれておらず密約にはあたらないと認定された。いくらその後の首相に引き継がれていないといっても時の首相が署名した文書があるのだからこれこそ密約ではないかと思うし委員会の判断には疑問が残る。
日本政府は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則をずっと守り続けてきたが、このうち「持ち込ませず」が守られていないにもかかわらず代々の政権が国民に対して嘘をつき通してきたという可能性が高い。これについて岡田外相は「核持込がなかったと言い切ることはできない」と述べたが、今後も非核三原則は堅持することを明らかにした。
冷戦構造の真っ只中で、核兵器を拒絶する国民感情に配慮しつつアメリカの核の傘の下で日本の安全を守るという難しい判断を迫られた当時のリーダーたちの決断は理解できるし、外交には明らかにすべきでない事柄もあるので密約を結んだことも分かる。しかし、どこかの時点で判断を修正して、国民に対して真実を明らかにする必要があったのではないだろうか。
今回の調査の過程で、あるべき文書がいくつか発見されなかったが外務省によって廃棄された可能性が高い。これは重大な問題である。極秘情報が含まれる外交文書も30年後には原則公開されることが決まっているのだから、後世の歴史の検証に耐えうるように外交文書をしっかりと保存することは当然である。
非核三原則についても、核兵器を持たず、作らずというのは守るべきだと思うが、日本の領土に持ち込んで配備するというのではなく領海の通過や寄港については認める方向で検討しても良いのではないか。せっかく歴史的な検証を行ったのだから、今回の検証を日本の安全保障を考えるきっかけにして将来に向けて正すべきところは正すべきではないだろうか。
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