09年8月31日(月)「#792 政権交代」

  朝早くに起きてシャワーを浴びた。2~3時間ウトウトしただけで、ほとんど眠れなかった。先ほどまで取材に走り回っていたので、ベッドに入ってからもなかなか寝付けなかったのだ。ホテルをチェックアウトして日本テレビへ向かう。途中のコンビニで新聞各紙を買い込む。日本テレビから未明に伝送してもらった取材済のテープを受け取って羽田空港へ。台風が近づいており東京は朝から激しい雨だった。
  機内で新聞6紙を丹念に読み込んでいく。特に各紙の社説や解説記事を注意深く読む。各紙が今回の衆院選の結果をどう評価しているのか、たいへん参考になる。
  それにしても、もの凄い勝ち方だ。民主党の獲得議席は308議席に上った。投票前の各メディアの世論調査によると300から320議席と出ていたが、ある程度のゆり戻しがあって最終的には295~305議席を獲得するのではと予想していたが、その予想を上回った。対する自民党は119議席という歴史的大惨敗で、結党以来初めて第一党の座を明け渡した。
  民主党が勝ったというより、自民党が負けたというべきだろう。民主党や鳩山代表を熱烈に支持するというより、自民党に一度退陣して欲しいという国民の強い声が政権交代を実現したのだと思う。
  それにしても、予想に反して静かな選挙だったと思う。取材に入った選挙区でも、麻生、鳩山の最後の訴えを取材した池袋でも、民主党の開票センターでも、心の奥底から湧き上がるような高揚感というものは感じなかった。有権者は一歩引いて冷静に候補者の声に耳を傾け、マニフェストに目を通して、一票を託すべき候補者や政党を選んでいたように感じた。
  眠い目をこすりながら今日もミヤネ屋とtenに出演した。寝不足でフラフラだったが、歴史的な選挙を現場で取材して自分自身が感じたことを番組でコメントした。やはり私はスタジオでただコメントするよりも、現場に出向いて実際に取材したこと、感じたことを報告する方が向いているように思うし、実際そのほうが好きだ。今後も出来るだけ現場に出て行きたい。

09年8月30日(日)「#791の(5) 投票日」

  既に日付が変わっているので正確には8月31日だ。いま午前0時25分。まもなく鳩山代表の記者会見が始まる。民主党開票センターの私の席の周りには中国語やロシア語が飛び交っている。外国特派員が母国に向けて生中継やリポートを送っている。政権交代が決まった今回の選挙結果は既に世界中に伝わっている。
  0時50分、鳩山代表の共同記者会見が始まった。300を超える議席を得た選挙結果について「数に奢ることない政治をやっていきたい。」と決意を述べた。
  質疑応答の中で、幸運にも鳩山代表に直接質問できる機会を得た。私が聞いたのは、鳩山代表の目指す国のあり方、国家ビジョンについてである。友愛、官僚政治から政治主導へ、地方主権などを主張しているが、マニフェストを読む限りどのような国を目指すのかがよく分からない。具体的には今までどおり経済的に世界のトップランナーを目指すのか、それとも経済的にはそこそこでも1人1人が幸せを感じるような国を目指すのかということを質問した。これに対して鳩山代表は「政治の役割は弱い方々に光を当てることで、1人1人の幸せを追求する政治を目指す」と答えた。その言葉を信じて民主党政権に期待したい。
  地位は人を作るというが、鳩山代表は代表になってから落ち着きが出て貫禄もつき、ぐっと信頼感が増したように感じる。どんな総理になるのか楽しみでもある。
  1時20分に会見が終わって素材を伝送するために日本テレビへ向かった。素材送りは専門スタッフに任せていまホテルに戻った。時刻は午前2時をまわっている。
  300議席を超える民主の空前の圧勝と自民党の惨敗で政権が交代するという歴史的な選挙を、民主党、自民党双方の開票センターで取材できることが出来てなにより良かった。こんな経験はめったに出来ることではない。貴重な経験をさせてくれた番組スタッフ、そして夜中まで一緒に働いてくれたカメラマン、音声マンに感謝したい。
  今後は鳩山政権がどの様な国を作っていくのかしっかりとチェックしていきたい。それにしても、民主党の取材、鳩山代表の会見、自民党の取材、麻生総理の会見、そしてまた民主党に戻って鳩山代表の会見、と走り回る間にこのブログを5回に分けてライブで書き続けた。やりすぎた。疲れた~。

09年8月30日(日)「#791の(4) 投票日」

  鳩山代表のテレビ各社への出演が続いていたが、麻生総理の記者会見を取材するためにタクシーで永田町の自民党本部へ向かった。会見の場所は本部4階にある記者クラブの狭い会見場。到着するとすぐに麻生総理が会見場に入ってきた。大慌てで麻生総理をバックに顔出しを撮影。狭い記者会見場は大勢の記者とカメラマンでぎっしり埋まっている。
  選挙戦の応援で走り回った麻生総理は真っ黒に日焼けしている。背筋をピンと伸ばしてたいへん厳しい表情でテレビ各局の生中継の質問に答えていく。各局から選挙の敗因について聞かれ、「長年つもり積もった自民党に対する不満、不信だと思う」と述べた上で、自民党総裁を辞任する意向を示した。
  総理の両側に自民党の幹部がずらりと並んでいたが、誰もが能面のような無表情で惨敗に打ちひしがれているという感じだ。しかし、総理が生中継で受け答えしている時に、横に座った幹部が携帯電話で会話したり、携帯メールをしたりしていたのには驚いた。民主主義には健全な野党が重要なのだが、自民党はこの苦境から立ち直れるのだろうか。
  1時間に亘った記者会見が終わって麻生総理が厳しい表情で会見場を去っていくと、会見場の背景となっている候補者のボードに付けられた当選を示すバラの少なさが目についた。午後11時10分の時点で、近畿ブロックの中でバラが付いていたのは兵庫の1人だけだった。自民党のここまでの惨敗を目にすると、世の中が変わるんだということを実感する。

09年8月30日(日)「#791の(3) 投票日」

  午後9時半すぎ、鳩山代表が開票センターに姿を現した。民主党の幹部がずらりと顔を揃えて当選が確実となった候補者の名前の所にバラの花をつけていく。
  9時40分、鳩山代表の記者会見が始まった。「勝ったとしても奢らずに、いかに国民の勝利に結び付けていくか」と述べた。バラの花を付けるときは、報道陣の要望にも応えて笑顔も見られたが、会見では今後の責任の重さを感じているのだろう。笑顔は見られず厳しい表情だ。
  鳩山代表の共同会見は、この後各社の特番に順番に生中継で出演するために10分足らずで終わった。

09年8月30日(日)「#791の(2) 投票日」

  午後9時まえ、開票センターの壇上に小沢代表代行が出てきた。テレビ各局の特番のための生中継に分刻みで順番に出演していく。放送中は何を聴かれても開票がまだ終わっていないからと慎重な言い回しで厳しい表情だが、各局の切り替えに合わせて生中継でのやり取りのためのイヤフォンを入れ替える際には、面倒くさいなあといった仕草で満面の笑顔ももれた。小沢さんの会見中にも、民主党の控え室から拍手がもれてくる。また重要選挙区で当選確実が出たのだろう。
  一方、自民党の細田幹事長はテレビの中継で、幹事長はじめ党四役が辞任する意向を示した。
  開票センター内の私の席は、テレビ各局の生中継エリアのすぐ横である。各局のリポーターの中継回数が増えてきて、会場内はバタバタしてきた。テレビでは、自民党の大物政治家が各地で落選したと伝えている。もうすぐ鳩山代表が記者会見のために出てくる予定だ。

09年8月30日(日)「#791の(1) 投票日」

  いま私の頭の上ではスペイン語が飛び交っている。六本木のイベントホールに臨時に設けられた民主党の衆議院選挙開票センター。党本部が手狭なため衆院選の際はいつも外部の場所を開票センターにしているという。この開票センターを取材するメディアは事前申請で1000人を超えている。冒頭で書いたように、外国メディアもたくさん取材に来ている。午後8時で投票が締め切られるとテレビ各局の選挙特番が始まり会場内を自由に動き回れなくなるので、保険のために事前に会場雑感のリポートを収録した。
  今日は、このブログも特別版として、時間の経過とともに民主党開票センターから歴史的な日の模様を生中継感覚でお伝えしていこうと思う。
  午後8時。投票時間が締め切られると同時にテレビ各局が出口調査と独自取材に基づく各党の獲得議席予想を放送したのだが、日本テレビが民主320議席以上と放送すると開票センターの報道陣から「ウォー」という地鳴りのような歓声が上がった。現在、壇上では民主党の野田選挙対策委員長がテレビの生中継に答えている。壇上の裏側にある部屋には民主党幹部が控えているのだが、テレビの選挙特番を観ているのだろう。時々、そちらからも歓声が聞こえてくる。

09年8月29日(土)「#790 最後の訴え」

  きのう取材した選挙区のもう1人の有力候補の街頭演説を聴きに行った。予定時間の15分ほど前に現地についたが既にかなりの人が集まっている。動員がかけられているようだ。候補者が姿を現すと一斉に拍手が起きた。支援団体の人達だろう。応援弁士が、ずっと他党の批判をしていたのがとても気になった。厳しい選挙なのは分かるが、選挙戦最終日になってもネガティブ・キャンペーンをやっているのは残念だ。この選挙に勝利して何を実現するのかについて訴えて欲しい。
  午後から東京に入った。選挙戦最終日の最後の訴えを聴くためだ。自民党の麻生総裁と民主党の鳩山代表が、同じ池袋駅前で同じ時刻に選挙戦を締めくくる演説を行うことになったので、どんな雰囲気なのかこの目で確かめるために池袋に向かった。自民党のホームページには早くから麻生総裁が最終日の最後の演説を池袋で行うと書いてあったので、民主党が鳩山代表の最後の演説をわざと同じ場所、同じ時刻にぶつけてきたのだと思われる。勢いの違いを見せつけたいということなのだろうか。
  事前の予定によると、両党とも演説会は夜の7時からだが、麻生、鳩山両氏の登場は7時半の予定だ。全ての選挙戦が終了する午後8時に向けて、最後に両党のトップが演説で締めくくるということになっている。麻生総裁は東口、鳩山代表は西口で、JR池袋駅を挟んで両側で同じ時刻に激突する。
  6時半頃に東口に着いたが、既に多くの人で混雑している。演説を聴こうと集まってきた人も多いだろうが、そもそもこの時間帯の東口は駅の乗降客の行き来でたいへん混雑しており、たまたま通りかかった人達が総理の演説があることを知り立ち止まっているという感じでたいへんな混雑になっている。日の丸を振ったりプラカードを掲げたりする人も見られ、組織的に動員されている人も多いのだろうか。
  7時前に西口に移動した。鳩山代表の演説場所は駅前ではなく、駅前から100mほど離れた駅前広場である。こちらは駅から少し離れているので、当初は東口ほどの混雑ではなかったが、鳩山代表が演説を始める頃にはもの凄い数の人達が広場に集まってきた。ところが、集まった数の割には静かなのである。選挙戦を取材していて感じるあの静けさと同じである。選挙の結果によっては新しい総理大臣になるかもしれない話題の人の注目の演説を聴きに来ているのだろうが、小泉、安倍の時のように登場しただけでワーッと歓声が上がるような熱狂的な盛り上がりはない。鳩山代表が何を話すのか、じっくりと耳を傾けるという感じなのだ。演説を聴いている人達の顔を見ていると、皆とても真剣なのだ。政治への無関心がよく指摘されるが、今回の選挙には本当に関心があるのだなと感じた。
  鳩山代表の演説が始まる頃になると、すっかり日が暮れた上空には演説会場を取材する多くのヘリコプターが飛んでいた。その数を数えるとなんと9機も上空を旋回していた。選挙運動の終了まであと15分あまりとなった7時45分頃に、麻生総裁の演説を聴くため西口から東口へと向かった。距離にして500mほどか。走って4~5分。東口に着くとちょうど麻生総裁の演説が終わったところで、街宣車から降りて集まった多くの群集の中に入り握手を始めていた。東口ももの凄い熱気に包まれていた。
  残念ながら麻生総裁の演説は聴けなかったので、再び西口に走って戻ると、鳩山代表の演説はまだ続いていた。選挙運動終了の午後8時ギリギリまで演説が続き、最後の演説が終わると聴衆から大きな拍手が起きた。演説が終わり集まった人達と握手した後、ワゴン車から身を乗り出して手を振りながら会場をあとにする鳩山代表に対して歓声が上がった。この国が変わるかも知れないという熱気を感じさせられる盛り上がりだった。
  長かった選挙戦は終了した。あとは国民の審判を待つばかりである。明日は民主、自民両党の開票本部を現場で取材して、歴史的な選挙の行方を見守る予定だ。

09年8月28日(金)「#789 選挙戦」

  昨夜は早くに寝てしまった。自宅では滅多にお酒を飲まないのだが、昨日はなぜか夕食の際にお酒を飲みたい気分になったので缶ビールを1本だけ飲んだ。相当ストレスが溜まっている証拠だ。外で飲む時はあまり酔っ払わないのだが、家で飲むとビール1缶だけで気持ちよくなってしまう。急速に眠気に襲われてそのままベッドで寝てしまった。
  今朝は早めに起きてシャワーを浴びた後、東京へと向かった。日本テレビで選挙について情報交換した際に「選挙特番たいへんだね」と言われた。その後、毎週出席している勉強会へ。毎回とても勉強になる有意義な会である。ここでも「今週末は選挙特番で忙しくなりますね」と言われた。
  東京に来た時に時々食べに行く店で江戸前の天丼を食べた後、大急ぎで羽田空港へ。今回は選挙区周りがほとんどできていないので、近畿で全国的に注目されている選挙区に入って取材することにしたのだ。
  伊丹空港から空港バスを乗り継いで選挙区へ。夕方からある候補が駅前で街頭演説を行うというので聞きに行った。その候補が到着するまで少し時間があったので駅前商店街の喫茶店に入って情報収集。店の人に話を聞くと、注目選挙区だけあって、各党の候補が商店街にも選挙運動でよく回ってくるらしい。
  候補者が駅前で演説を始めると、駅の乗降客が立ち止まって耳を傾けている。陣営のスタッフがマニフェストを配り始めると、ほとんどの人が受け取っている。市民の選挙への関心の高さが窺える。候補者はさすがに選挙戦最終盤とあって声がかれている。駅前の商店街を練り歩いたあと、反対側の駅前でも街頭演説を行ったが、こちらにもたくさんの人が集まってきた。演説を聞く人達はみな真剣な表情だった。
  この後、この候補者の選挙事務所に行って秘書の方と情報交換した。久し振りに選挙事務所に取材に行ったが、有権者へ電話で投票をお願いするスタッフがみな携帯電話で掛けているのを見て驚いた。今時は、固定電話を臨時にひいたらお金が掛かるので携帯電話を使っているのだろう。明日は同じ選挙区の他の候補者の街頭演説を取材する予定だ。

09年8月27日(木)「#788 インフルエンザ」

  涼しくなって秋ごろからまた猛威を振るうのではと思われていた新型インフルエンザの感染者がここにきて急に増えている。厚生労働省は今月21日に「流行入り」を宣言した。医療現場では新型かどうかを判断するPCR検査(遺伝子検査)を全て行っている訳ではなく、実際の感染者は相当な数に上っているのではないかと推測される。
  新型インフルエンザ用のワクチンは国内で5300万人分が必要とされているが、国内にはワクチンを製造するメーカーが4社しかなく、年末までに製造可能な数は1300~1700万人分だとされている。足らない分は海外のメーカーから輸入することになるのだが様々な問題が指摘されている。それにしても、当初からワクチンが不足することは分かっていたはずなのに、今になってなぜばたばたしているのだろうか。
  ワクチン接種は100%安全ということはなく、必ず一定の割合で副作用がみられる。季節性インフルエンザのワクチンの場合でも100万人に2人程度の確率で副作用が出ると言われている。新型インフルエンザ用のワクチンの場合は、その確率がどうなるか定かではない。その上、海外製のワクチンの場合は国内製とは成分が違うため予想できないような副作用が起こる可能性があると指摘する声もある。その安全性をどう確保するかが課題だが、臨床試験(治験)に時間をかけているとワクチンが間に合わないので、舛添厚労相は国内で簡略化した臨床試験を行った上で承認する意向を示している。
  また、海外からワクチンを輸入する場合は、副作用が出た場合の補償が問題となる。現在の予防接種法では、新型インフルエンザのワクチン接種は義務ではなく、その判断を個人にしてもらう任意接種なので、副作用が出た場合に国が補償することは難しい。一方で、海外メーカーは副作用が出た場合に責任を問われない免責を輸入の条件にするだろうから、その対応が難しい。舛添厚労相は、今回の新型インフルエンザに限って国による補償や免責を認めるための特別な法律を作って対応する方針も示している。これまでの国の政策を考えると思い切った決断だと評価できる。
  WHO(世界保健機関)は、衛生状態が良くない発展途上国でのワクチン不足を懸念しており、先進国が金にまかせて買い占めるような状態になると国際的にも批判される可能性もある。現在、国が検討会を開いて、ワクチンを優先的に接種する対象を決めているが、本格的な感染拡大に向けて、厚生労働省はワクチンをはじめ、医療体制などについて万全な体制をとることはもちろん、国民に対しての十分な情報公開が必須である。

09年8月26日(水)「#787 選挙の前」

  政権選択が最大の焦点となり、政権交代が起こるかもしれない歴史的な選挙と言われている割には、世の中は静かだ。もちろん、候補者らは連日全力で選挙戦を闘っているのだろうが、いつもの選挙に比べてもあまり熱気が伝わってこない。
  その理由はいくつか考えられる。まず、実質的な選挙戦の長さだ。麻生首相が事前に解散を予告するという異例の展開で始まり、解散から投票日まで憲法に規定された40日以内という規定のぎりぎりいっぱいを使った過去最長の日程になったこともあり、公示された時点で既に選挙戦は後半ということになっていた。公示後に一気にヒートアップするという従来の流れがない。
  次に、03年以来、国政レベルでのマニフェスト(政権公約)選挙も今回で5回目を迎え、マニフェストがようやく定着してきたことも影響しているのではないか。とにかく名前を連呼して知名度を上げるドブ板選挙も相変わらず行われているが、マニフェストを有権者に配って政策を選んでもらうという流れも確実に出てきている。
  そして、メディアの問題。前回05年の小泉首相による郵政選挙の際に、「郵政民営化に賛成か反対か」というワン・イシュー(1つの争点)選挙になった。郵政民営化に反対する議員を公認せず、刺客を送り込むという小泉劇場をメディアが集中的に取り上げたことが自民党の大勝に繋がったのではという反省から、メディアは今回の選挙報道に対してとても冷静である。メディアに関しては、公示後は公平性を気にするあまり各党の政策の表面をさらっと紹介するだけで政策の中身をじっくり報道できないという課題も抱えていると感じる。さらに、有名芸能人の相次ぐ薬物事件一色の報道の影響で選挙報道が横にやられているという憂慮すべき事態も起きている。
  さらに各メディアが実施した世論調査の結果も影響しているのではないか。ほとんどのメディアが民主党が300議席、320議席を上回る大勝の可能性があると報じたことで、テレビの選挙報道はより慎重になったとも思える。
  一方で、世の中のムードに流されることなく、有権者1人1人が政策をじっくり検討したいという雰囲気を感じる。国民の意思を表すためにも、実際に投票所へ行くことが重要である。日曜日に用事がある人は、期日前投票を利用しましょう。

09年8月25日(火)「#786 帰国」

  急に家の中が賑やかになった。妻と長女と二男がアメリカから帰国して、長男と2人きりの静かな生活から、5人の騒がしい日常に戻った。久し振りに家族全員が揃って愛犬ベルも嬉しそうだ。
  空港に迎えに行った時、およそ1ヶ月ぶりに会う二男は今にも寝てしまいそうなトロンとした目をしていた。ロサンゼルスとの時差がかなりあり、到着した時間は現地時間でいうと朝4時だった。起きているのが精一杯という感じだった。
  久し振りに会った二男は毎日サマーキャンプに通っていたので、真っ黒に日焼けしている。実際はそんなことないと思うが、少し背も伸びたように感じた。心身ともに成長して逞しくなったような気もする。
  自宅に戻って、この1ヶ月のアメリカ生活について詳しく聞こうとしたが、「帰ってきたばかりで疲れているから、今日は勘弁して」と言われた。小学生なのに大人のような口のききかたをする。英語はどれくらい理解できたのかと聞くと、「100%、いや95%ぐらいかな」と自慢げに答えた。さすがに1ヶ月アメリカ人に囲まれて生活していたので、英語には自信を持ったようだ。
  妻と長女はロサンゼルスで買い物を楽しんできたようだ。地元のディスカウントショップなどで、良いものを安く買ってきたと自慢している。向こうに4年間住んでいたので、地元の買い物事情には詳しいのだ。
  家族で現地に住んでいた頃に親しくしてもらっていたアメリカ人や日本人の友人の家族らと食事をしたりして楽しい時間を過ごして来たようだ。長男も「行きたかったなあ」と羨ましがっている。今回は私も最初から行く気がなかったが、帰国して楽しかったと言っている妻たちを見ると、私も行きたかったなと思う。
  夏休みはいつになったらとれるのだろうか。選挙が終わったら終わったで、また忙しくなるだろう。秋休みかな。

09年8月24日(月)「#785 薬物報道」

  自分も出演している番組でもほぼ毎日放送しているので説得力がないが、酒井法子容疑者と押尾学被告の薬物事件の報道は少々やり過ぎではないかと思う。芸能界の人気者が相次いで逮捕されたのだから、当初は大騒ぎになるのは仕方がないと思うが、来る日も来る日も同じニュースばかり。大きな動きがなくても、連日テレビやスポーツ新聞、雑誌などで取り上げられている。
  状況があまり変わっていないにも関わらず連日放送するので、スタジオでコメントを求められた際には困ってしまうこともある。「もうそろそろこの話題もいいんじゃないですか」と、意地悪なコメントをしたくなる気持ちをぐっと抑えて当たり障りのないコメントをしていることもある。
  確かに2つの事件とも謎が多い上、登場人物も多く、供述が二転三転し先が読めないので芸能ニュースとしては興味が尽きないようだが、世の中にはもっと伝えるべきニュースがあると思う。ましてや、いまは政権選択を焦点とした歴史的な衆議院選挙の真っ只中である。公示後なので選挙報道は各党の公平性が求められ、ニュースの扱いが難しいのだが、もっと選挙に関するニュースをやってもいいのではないかと感じる。
  そう思うならブログに書くのではなく、番組のプロデューサーやディレクターに意見を言ったらいいのではないかと思われるだろう。全くその通りだが、番組に出演者する側になってから、出来るだけ番組内容に口を出すのは控えようと思っている。自分が制作側だった時に、出演者にあれこれ言われるのがあまり好きでなかったことも影響していると思う。
  これだけは言っておかなければならないと思う時はアドバイスするが、それ以外はぐっとこらえていることが多い。自分でも、遠慮せずに言うべきだと思うこともあるが、後輩達に好きに作って欲しいと思ってしまう。
  何がニュースと感じるかは、ジャーナリストの胆の部分だ。誰かに言われて変えるようではいけないと思う。ニュース選びは自分の価値観をぶつける勝負の場なのだ。

09年8月23日(日)「#784 成長」

  最初にお断りしておく。このブログで自分の子供について書く時は、いつも親ばかになってしまうが、今日は特に親ばかな内容である。ご容赦ください。
  ここしばらく中学生の長男との2人きりの生活が続いている。3週間ほど前に小学生の息子が1人でアメリカへと旅立った。ロサンゼルスでアメリカ人の親友の自宅にホームステイして毎日元気にサマーキャンプに参加している。その二男を迎えに行くために、妻と高校生の長女がロサンゼルスに行ったのだ。迎えに行くことを口実に、母娘で仲良く2人きりの旅行を楽しんでいるとも思えるのだが。
  ということで、長男と2人の生活が続いているのだ。長男は野球部の練習と塾で毎日忙しくしている。夜も2人で食事を共にできない日もある。朝も、お互いバタバタと出て行くので、なかなかゆっくり話をする時間もない。
  こうして2人で毎日過ごしていると、長男は成長したなあとつくづく思う。身長は165センチを超え、足のサイズも大きいので体はまだまだ大きくなるだろうが、精神的にももの凄く逞しくなってきた。おはよう、行ってきます、ただいま、いただきます、ごちそうさま、おやすみなさい、という口やかましく教えてきた挨拶がきちんとできるようになってきた。当たり前のことだが、これまではなかなかできていなかった。
  勉強しなさいということも無くなってきた。当初は心配した塾通いも、とても積極的だ。毎日野球の練習を終えて帰ってくると、自分でユニフォームを洗濯することも習慣になった。夜更かしせずに、次の日のことを考えて自分で寝るようになった。
  朝のごみ出しや、家の掃除など任されている家の手伝いもきちんとやってくれる。そして何よりも、私や妻、祖母など年上の者や、姉、弟といった兄弟など周りの者に対して、思いやりのある接し方ができるようになってきたと感じることが多い。
  昔から周りの人達に対して気遣いができる優しい子だったが、今年になったあたりから急に落ち着きが出てきたようだ。妻の育て方、子供への向き合い方もいいのだろう。
  本当に親ばかの文章で、読者の方々には申し訳ない。アメリカかぶれなので、愚息などと言わず、身内であってもいいものはいいと恥ずかしげもなく言ってしまう。
  先日、長男を連れて姉の家で食事をする機会があった。その時は、年頃になっている長男は恥ずかしがってほとんど喋ろうとせず、携帯電話ばかりをいじっていたので、私が厳しく注意した。そのやり取りを見ていたのだろう、翌日に姉からメールが届いた。
  長男はこれまで色々なことを我慢ばかりしてきているので、そのことを理解して頭ごなしに怒るのでなく、長男の心のうちを理解してやったほうがいいというアドバイスだった。長女は初めての子供だったので愛情いっぱいに育てられ、二男は末っ子なので甘やかされて育ってきた。真ん中の長男は、2人に挟まれ色々と我慢を重ねてきているのだ。さすがに男の子3人を育て上げた姉である。貴重なアドバイスをしてくれた。
  もうすぐ妻と子供2人は帰国する。それまでに長男と男同士の会話を2人だけで楽しみたいと思っている。

09年8月22日(土)「#783 GNK」

  いま新幹線で大阪に向かっている。久し振りに乗ったひかり号はほぼ満席である。今朝は7時前に起きて朝風呂に入った後、朝食を食べて朝刊各紙に目を通した。毎日新聞は衆院選の見通しについて民主党が320議席を超える勢いだと伝えている。民主党の前評判はどこまで上がるのだろうか。
  分科会に分かれた討論では、20世紀から21世紀になって、この国は何を目指すべきなのかというテーマで話し合った。私が参加した分科会には、大学教授、ジャーナリスト、経済評論家、企業経営者、自治体トップなどが参加しており、午前中いっぱいかけてのフリーディスカッションだ。
  レベルが高すぎてなかなか発言できない。高度成長期に品質の高い商品を低価格で大量に生産し海外に輸出して外貨を稼ぐというビジネスモデルで成長を遂げてきた日本は、そのビジネスモデルをアジア諸国に奪われた。少子高齢化が進み経済的にも苦しみ、格差が拡大して閉塞感が漂う日本は、これから先、どういう国家戦略を持って、どのような国のあり方を目指すべきか。それぞれが自分の考えを述べていく。
  こんなレベルの高いメンバーの中で何を話そうかと迷ったが、いつも自分が思っていることを素直に話すことにした。このブログでも以前に何度か書いたことがあるが、"心の時代"がやって来ているのではないかということだ。
  礼儀正しさや、謙虚さ、他者への思いやりなどが今まで以上に求められている時代である。こうした日本人の良さである心のあり方を大切にする国を目指すべきだという持論を述べた。では実際にどうするのかというと難しいが、日本人がどんどん海外に出て行って、その国のためになる国際貢献をする。お金をいかに稼いでいかに使うかも大事であるが、そればかりでなく、他国のために貢献して、世界から尊敬される国、憧れられる国を目指すべきではないかという内容だ。日本から海外に出て行くためには、日本も海外からの人や物をどんどん受け入れることが必要であり、日本という国が外国に対してもっとオープンになるべきである。
  それぞれの分野の第一線で活躍されている諸先輩から、何を甘っちょろい理想論を述べているのかと思われるのではと心配しながらも、自分の思っていることを正直に伝えることにした。
  午前中いっぱいの分科会の後でランチをとったが、食事の間も意見交換が続く。食事の際には大手銀行のトップの方の横に座ったので、今後の経済情勢の見通しについて聞いた。こんなチャンスはめったにない。
  ランチの後は、全員が集まっての締めくくりの全体討論である。どうしようかと迷ったが、ここでも分科会で話した"心の時代"についての考えを述べた。あまり反応はなかったが、これからは国全体でどれだけの物やサービスを生産するかというGDP(国内総生産)よりも、日本の強みである他者を思いやる心をどれだけ生み出すかというGNK(グロス・ナショナル・こころ)を増やすことを目指すような国づくりをするべきだと言うと、GNKという発言の瞬間だけ軽い笑い(失笑かもしれない)が起こるなど反応があった。
  一流の人ばかりの中に入ると、自分自身の教養のなさ、見識のなさ、力不足を痛感させられる。生放送以上に緊張し、疲れを感じたが、得るものがとても大きかった貴重な2日間であった。新幹線の車内からこの原稿をHPに送った。世の中、便利になったものである。

09年8月21日(金)「#782 合宿」

  いやー、まいった。レベルが高すぎる。講師の人の話が半分ぐらいしか理解できない。恥ずかしながら、その教養レベルの高さについて行けない。若い頃にもっと勉強しておけば良かったとまたまた思った。
  年に一度の泊り込み合宿。朝5時すぎに起きて、新幹線に揺られ、在来線に乗り換えて、最後はバスに乗り勉強会が開かれる施設に着いた。去年、初めて参加させていただいた時はとても緊張したが、今年は去年ご一緒させていただいた方々も多く、幾分リラックスできる。
  ある企業が社会貢献活動として何十年も続けているこの勉強会には、財界、学術界、官界、言論界などから多くの方が参加している。普段はなかなかお会いする機会のない企業のトップの方や、いわゆる有名人の方も多い。参加者の中で、おそらく私は下から2~3番目に若いので、参加させていただくだけで恐縮してしまう。
  今日は2人の講師の方の講演を聞いた後で、質疑応答を交えたディスカッションを行った。それぞれ各界を代表するような方ばかりなので、その中身のレベルはとても高い。勉強になることばかりだ。
  夜は立食で夕食をとりながらフリーで会話を楽しむ。その後は、お酒を飲みながら、最近の政治や社会問題などについての議論が続く。きょうの会話の中でよく出た話は、新聞各社が報じた衆院選に向けての世論調査の結果についてである。3紙とも民主党が300議席を超える勢いだという報道に、皆の関心が集まっていた。
  夜の11時ごろまで会話が続き、温泉に入った後で部屋に戻りこのブログを書いている。明日は分科会に分かれてまた討論が続く。こんな凄い方たちの集まりに加えていただいて光栄だが、自分の日々の勉強が足りないことを痛感させられる。明日の討論が楽しみである。

09年8月20日(木)「#781 友人」

  友人というものは本当に有難いものだ。利害関係も損得勘定もないのに、いつも気にかけてくれる。逆に言えば、利害関係や損得勘定がないだけに、いつも相手のことが気になるのかもしれない。
  先日、昔からの親友からメールが届いた。番組に出演している私を観てくれて、痩せていたのが気になって連絡をくれたようだ。最近、テレビを観た人から「痩せたね」と言われることが多い。ここのところは体重を計っていないが、番組が忙しくなってから数キロ痩せたのは事実だ。特に顔が痩せたようで、よく指摘される。顔が疲れているという声もよく聞く。画面に疲れが出ているようでは、プロの出演者としては失格だろう。
  メールをくれた親友も、画面で観ると疲れているので、一度病院で診てもらったほうがいいとアドバイスしてくれた。お互い若くないのだから、体にだけは気をつけようという文面を読んで、彼との出会いからこれまでを思い出した。
  知り合ったのは幼稚園の頃。自分でははっきりと覚えていないが、親から聞かされたところによると、彼が友達と揉めているのを私が助けに入ったのがきっかけだったらしい。親同士も親しかったこともあり、小学校、中学校とずっと仲良しだった。お互い、車や電車が大好きで、畳のへりを道路に見立ててミニカーを走らせたり、材木の切れ端に絵を描いて作った電車を庭で走らせたりと、楽しい思い出がいっぱいだ。
  高校、大学時代は私が野球ばかりやっていたこともあり、一緒に遊ぶことも少なくなったが、社会人になってからもたまに一緒にお酒を飲んだりしている。
  いつも頻繁に連絡を取り合っている訳ではないが、お互い心の隅のどこかで相手のことを気にかけている。こんなことがあった。父が亡くなる直前に病院で看病するために泊り込んでいた時に、彼が突然見舞いに来てくれた。誰も居なくなった夜の待合室で、たわいもないことを話しただけで彼は帰って行ったのだが、看病でくたくたになっていた私は本当に救われた。何も連絡していないのに、私の体や心の疲れ具合が全て分かっているかの様だった。親友とはそういうものなのだろう。彼が本当に苦しい時に、何かしてあげられたかどうかは私には分からないが。
  どうしているのかなあ、と気になる友人が何人もいる。子どもの頃からの友、中学、高校、大学で野球をやってきた仲間、ずっと一緒に仕事をしてきた同僚、社会に出てから知り合った友、と多くの人の顔が浮かぶ。友人っていいものだ。これからも大切にしていきたい。

09年8月19日(水)「#780 特派員赴任」

  このブログでよく特派員の話を書いているが、それだけ海外特派員時代が楽しかったからである。とくに赴任地がロサンゼルスだったことが恵まれていた。アメリカ各地だけでなく、中南米各国を取材して回り、多くの人に出会って取材し日本に伝えることができた。
  特派員経験者は帰国すると、自分の赴任期間がどれだけ忙しくていかに苦労したかについて話すことが多いが、私の経験からすると特派員ほど楽しい仕事はない。もちろん、ちゃんと仕事をすればとても忙しいし、習慣も言葉も全く違う異国の地で苦労の連続だが、仕事だけでなくプライベートも含めて家族と共に貴重な異文化経験ができるのだから、これほどやりがいがあってお奨めのポジションはない。いつも若い記者達には、特派員を目指すようアドバイスしている。
  読売テレビでは、現在ニューヨーク、上海に記者1人ずつ、パリに記者1人、カメラマン1人の合計4人の特派員を出している。そのうちパリ特派員が交代することになり、新しく赴任する特派員の壮行会に出席した。
  特派員が赴任するときにいつもアドバイスしていることがある。一つは、くれぐれも赴任中、家族を大切にするようにということである。これは私の反省に基づいている。国が違っても取材し放送することに変わりないので仕事については、そんなに心配することはないのだが、妻も子供も家族にとっては環境が全く変わりストレスが溜まるのだ。特派員は自分のペースで仕事できるまで赴任して半年ほどかかるので、それまでは家族のことを気にかける余裕はない。しかも、出張続きで家を空けることも多い。その間、家族は現地の生活に慣れるために日々闘っているのだ。特派員も原則、土日は休みなので、その時にできるだけ家族を連れて観光したり買い物に行ったりしたほうがいい。夏と正月の休みはしっかりとって、家族を連れて1週間ほど旅行に出るべきだ。その個人旅行での経験が仕事にも必ず役立つのだ。
  次に、仕事のやり方である。特派員になると、あるニュースが飛び込んで来た時に、取材するのかしないのか、どこまでするのか、リポートか中継か、と自分1人で判断することを求められる。慣れるまでは迷うことも多い。その時、迷ったら必ず積極的に素早くやってみることだ。行ってみてたいしたことがないニュースだったらすぐに撤退する。これが肝心だ。そして特派員にとって重要なのは支局の助手選びである。優秀な助手をうまく動かせれば、特派員の仕事の8割は終わったも同然だ。私はそう思って助手選びに全精力を注ぎこんだ。
  今回旅立つ特派員にも、上記のようなアドバイスをした。私も特派員として精一杯頑張った結果、異文化を知り、外から日本という国を見つめることで、自分自身も成長できたと思っている。可愛い後輩にも、是非、同じ様な経験をして欲しい。
  そして、赴任する彼に最後にかけた言葉は「死ぬなよ」というものだった。そんな大袈裟なと思うかもしれないが、中東をはじめとして戦場取材を経験するかもしれないし、世界中どこでもテロに遭遇する可能性もある。私が赴任するときに、ある人から同じ言葉をかけられたのだが、その時私はその言葉の意味をいまひとつ理解できなかった。しかし、赴任してすぐにペルーの日本大使公邸人質事件の取材中に、銃撃戦の中を走りライフルで撃たれそうになった時は死を覚悟して頭の中で走馬灯が回ったのだ。
  世界に飛び出して行って特派員として悔いない様に頑張れ。日本から応援してるよ。

09年8月18日(火)「#779 公示」

  いよいよ公示の日がやってきた。公示がいよいよ、というのも馴染みがない表現だが、今回は麻生首相の解散予告という異例の展開となったため、実質的な選挙戦が既にスタートしていて後半戦になっているのだ。その中での公示なのだ。
  因みに、公示というのは衆議院や参議院の国政選挙が正式に始まることを意味し、国政選挙の補欠選挙や地方自治体の首長選挙、地方議員の場合は告示という。
  今回の選挙は、どの政党にこの国の政治を任せるかを決める政権選択選挙である。93年に非自民の細川連立政権が誕生したが、この時の選挙結果では自民党が第一党であり、選挙後に第二党以下の野党が連立して政権が生まれた。有権者は選挙の前に細川政権が出来ると思って投票した訳ではないのだ。自民党と社会党という55年体制が出来てから、衆院選で野党が第一党になり政権が交代したことはない。自民・公明の政権を維持するのか、民主を中心とした野党の連立政権を選ぶのかという歴史的な選挙になるのだ。
  公示日の今日、与野党の党首は全国各地で第一声をあげたが、政権交代を目指す民主党の鳩山代表は大阪のミナミの繁華街である難波で演説を行ったので取材に行って来た。鳩山代表が演説を開始する予定時間の30分ほど前に駅前に着いたが、既にかなりの数の人が集まっていた。民主党が選挙で勝利すれば総理大臣になるかもしれない代表の第一声ということで、多くのメディアが詰めかけ、上空には取材用のヘリコプターも数機飛んでいた。
  しかし、演説会場となった難波駅前は想像していたよりも落ち着いた雰囲気だった。民主党に追い風が吹いているとも言われているが、会場ではその高揚感は感じられなかった。4年前の総選挙の際に小泉首相が街頭演説をした時の聴衆の異様な盛り上がりを心のどこかで期待していたのかもしれない。会場で配られるマニフェストを積極的に受け取る人が多かった。世論の風に流されるより、じっくり政策を聞いて判断したいという有権者の思いを感じた。
  8月30日の投票日までの選挙期間は12日間。この国の将来を決める大事な選挙である。比例で支持する政党を選ぶと共に、小選挙区では候補者1人1人の人格、識見、志などをチェックして自分たちの代表に一票を投じる。皆さん、必ず選挙に行きましょう。

09年8月17日(月)「#778 コメント」

  このコラムもブログになってもうすぐ4ヶ月。ブログになっても私の文章なんかにコメントを寄せてくださる読者の方がいるのかなと少々心配だったが、ありがたいことに毎日コメントをいただいている。
  私の書いている内容に対して賛同の声をいただくこともあるし、厳しいご批判を頂戴することもある。そうか、そういう見方もあるのかと勉強させられる事も多い。毎日どんなコメントを寄せていただけるのか楽しみになってきた。
  解説委員という立場もあるし、会社の看板も背負っているオフィシャル・ブログなので、内容によっては思ったままを素直に書くことができない場合も多い。何でも思うがままに好きなように書けたら楽だろうなと思うこともあるが、プライベートのブログではないのでそういうわけにも行かない。
  読んでくださる方々のことを考えると、もっとニュースについて解説したり、テレビでは語り尽くせなかった裏側などを書いたりしたほうが喜んでもらえるかなと思うこともある。しかし、週末を中心に、ついつい家族のことなどプライベートについての自分の思いや心情を書いてしまう。
  お堅い人物だと思われているテレビの解説委員が、プライベートも含めて身の回りの出来事を正直に書いているのが面白いと言ってくださる方もいるが、一方ではコラムではなく単なる日記だとの指摘も受ける。
  いずれにしても、皆さんから頂くコメントは本当に励みになっている。ありがとうございます。今後も皆さんのご期待にそえるよう、"無難でない"内容を書き続けていきたいと思っている。

09年8月16日(日)「#777 親子三代」

  777回と縁起の良い数字が3つ並んだ。この3日間、母と長男と私で一緒に過ごした。1つ1つの数字がそれぞれの世代を表しているように思える。親の世代、私たちの世代、子どもたちの世代が皆幸せに暮らせていることに感謝したい。
  いつも私の体調を診てもらっている指圧の先生のところに母と長男も連れて行った。何年か前に母も診てもらったことがあり、今回が二度目だ。長男はこのところ、時々私の治療に同行している。私に似て体が硬いので、若いときから体の手入れが重要だ。
  母は久しぶりの指圧治療がとても気持ち良かったようだ。最近少し丸まりかけていた母の背中が、治療後にすっと伸びている。長年、苦労や心配をかけてきたので、母の体のことがいつも気になっている。
  長男は中学生になったこともあり、気恥ずかしいのか母とあまり積極的に話そうとはしない。しかし、母に対しての息子の言動を見ていると、愛情にあふれていて微笑ましい。姉の息子たちや我が家の子どもたちを見ていると、祖母のことが大好きなようだ。
  実家に行ったりして母と会う時には、できるだけ子どもたちの誰かを連れて行くことにしている。離れて暮らしているので、子どもたちが祖母と一緒に過ごす時間をできるだけ持って、色々なことを学んで欲しいと思っている。
  今までお盆という季節をあまり意識したことはなかったが、今年は少しの時間だったが3世代で一緒に過ごすことができてよかった。10年以上前に亡くなった父にも子どもたちの成長ぶりを見せてあげたかった。天国から(お盆だから地上から)見ているかな。

09年8月15日(土)「#776 観劇日記」

  終戦記念日のきょう、母親孝行を兼ねて久しぶりに宝塚大劇場を訪れた。前々から歌劇を観に連れて行って欲しいと言われていたが、ようやく実現した。長男も誘ってみたが、「いいわ」の一言で断られた。どうやら親子三代の宝塚ファンは実現しそうにもない。
  私の場合は、両親が昔から歌劇のファンだったので、物心ついた頃には既に宝塚を観るのが当たり前になっていた。自分の子供もファンになって欲しいと思い、最初に生まれた長女は幼い頃から何度か劇場に連れて行ったがあまり興味がないようである。2人の息子は全く興味を示さない。野球好きへの洗脳には成功したが、宝塚は駄目だったようだ。
  きょうの出し物は雪組公演で、芝居の「ロシアン・ブルー」とショーの「リオ・デ・ブラボー」という2本立てだ。最近劇場に足を運ぶ機会がなかなかなかったので、久しぶりの宝塚だ。以前、雪組のスターの皆さんとはミヤネ屋でご一緒させていただいたことがあるので、久しぶりの宝塚が雪組とは、これも何かのご縁かもしれない。
  芝居もショーも若い演出家の作品で、所々に新しさを出したいという意欲が見えたが、どちらかといえば宝塚の伝統を踏襲した宝塚らしい作品だった。トップスターの水夏希をはじめ彩吹真央、音月桂というアクア5(トップスター以下5人のユニットでオリジナル曲のCDを出すなど独自の活動をしている)の3人はいつもながらに輝いていたが、この公演からトップ娘役になった相手役の愛原実花は経験不足からか物足りなかった。水夏希は唄も芝居も上手で存在感があった。正しい宝塚のスターという感じだ。
芝居はコメディーなのだが、全体に笑えるところが少なすぎる。最近の宝塚は若くして退団する人が多く、芝居が上手い渋い脇役が育つ環境がないのではないか。コメディーをやると、劇団としての層の薄さが見えてしまう。ショーは私の大好きなラテン・ショー。なかなか良かったが、もっとラテンらしい濃い内容をこれでもかと詰め込んでも良かったのでは。ちょっとお上品過ぎた様な気もする。
  内容について厳しいことも書いたが、芝居もショーもそれなりに楽しめる出来栄えだった。観終わった後、母がポツリと言った。「歌舞伎もええけど、やっぱり宝塚やね」。母と2人の観劇は、よく家族みんなで行った子供の頃の宝塚を思い出させた。お盆なので、歌劇大好きだった亡き父も天国から楽しんだことだろう。

09年8月14日(金)「#775 お盆」

  このところなかなか母に会う機会がなかったので、お盆ということもあり暫くぶりに実家へ。今回は長男を連れて2人で行った。長男はクラブ活動で忙しいので私の実家に行くのは久しぶりだ。
  毎日一緒に暮らしていても長男の体は日々大きくなっているように感じる。久しぶりに会った母はその成長ぶりに驚いていた。実家近くのお寿司屋にでも3人で行って、たまには親孝行でもしようかと思っていたところ、姉から電話が掛かって来て、姉の家で皆で食事しないかと誘われたので母と長男の3人で向かった。
  既に独立して家を出ている姉の息子もお盆で帰ってきていて、姉夫婦も交え6人で食卓を囲むことになった。前から予定していた訳ではなく、たまたま一緒に食事をしようということになったのだが、これがお盆というものなのかも知れない。亡くなった父親やご先祖様たちが皆を一同に集めたのではという気がする。
  姉夫婦と甥っ子にも、長男はやはり大きくなったなあと言われていた。そう言えば、最近、長男の顔つきが変わってきたような気がする。子供の顔つきでなくなり、少年から青年の表情に変わりつつあるのだ。逞しくなって嬉しい反面、子供の顔つきでなくなるのが少々淋しい気もする。
  親戚が集まってひとつの食卓を囲むというのもいいものだ。子供達が逞しく大きくなっていくのを見るのは楽しみだが、その分、親達は確実に歳を重ねていく。お盆には色々なことを考えさせられる。

09年8月13日(木)「#774 信頼」

  人間関係においては信頼というものが最も大切なのではないかなと思う。あの人が言うことだから間違いないだろう。あの人に頼まれたのだから少々無理をしてでも何とかしたい。人と人との付き合いの中には損得勘定を抜きにした信頼というものがあるのだ。
  信頼してもらう、ということもとても重要である。この人に任せておけば何とかしてくれる。結果がどうなっても、この人を信頼して任せたのだから後悔することはない。人は周りの人から信頼されることで、その信頼に応えようと頑張る力が出てくるものだと思う。
  こちらが心から信頼していれば、相手も自然と信頼してくれるというケースが多い。相手のことを信頼していないと、その気持ちがちょっとした態度や言動に出て相手に伝わってしまうことがあるのかも知れない。
  信頼関係というものはお互いを信じあう心だ。気持ちの問題である。気持ちの問題であるだけに、ちょっとしたことで誤解を生む可能性もあるし、誤解が誤解を生むという展開もよくあることだ。人間同士の心の繋がりの問題だから、一度もつれてしまうと悪い方向へと向かいがちだ。
  人のことを責めるのは簡単だが、自分にもどこか至らないところがないのか見つめ直すことが必要だろう。自分自身の力不足を感じる。

09年8月12日(水)「#773 党首力」

  はっきり言って全く面白くなかった。周りには寝ている人もいて、期待はずれの討論だった。東京のホテルで21世紀臨調が主催する麻生首相と鳩山代表の党首討論が開かれたので取材に行ってきた。21世紀臨調は正式名称を「新しい日本を作る国民会議」といい、パンフレットによると経済界、労働界、学識者、自治体関係者、報道関係者、弁護士、NPOなどの有志が集まって政治改革の推進や民主主義のインフラ整備を目的に活動を続ける提言体、運動体である。
  きょうの討論は、最初にそれぞれ10分ずつスピーチし、鳩山代表から麻生首相への質問30分、逆の質問30分という方法で行われた。07年の参院選の際には安倍首相と小沢代表で行われその際には地上波テレビが生中継したが、他の野党からクレームがつき今回はCS放送とネットでの生中継になったということである。
  討論の内容は、双方ともこれまで演説や会見などで述べてきたことばかりで、取り立てて新しいことはなかった。麻生首相は民主党の財源や安全保障などについて無責任だと追求し、鳩山代表は公務員の天下りについて批判しこれまでの4年間の自民党政治の問題点を指摘した。
  麻生首相は濃紺のネクタイを締めた地味ないでたち。対する鳩山代表は黄色と銀色の派手なネクタイで見た目を重視しているようだ。最初のスピーチでは、麻生首相が手元の原稿を見ながら話したのに対し、鳩山代表はメモを見ずにずっと前を向いて話し続けた。しかし、今日の鳩山代表は、声に張りがなく迫力不足で聞いている人に伝わってくるものがなかったのが気になった。麻生首相は、質問の番になって鳩山代表を攻める時の方が生き生きとしていた。まるで野党の党首のようだというのは言いすぎだろうか。
  そしてなにより違和感があったのは、最初から最後まで2人が全く目を合わさなかったことだ。討論中どころか、麻生首相は入場してきた時に、すぐ横に座っていた鳩山代表を無視し、討論が終了し鳩山代表が握手するか挨拶しようと歩み寄ったにも関わらず、麻生首相は鳩山代表を見ることもなく会場を去った。麻生首相はそこまで追い込まれているのか、はたまた人間の器なのか。握手を求める相手候補を無視した映像が動画投稿サイトで話題を呼び批判された小泉進次郎氏の二の舞にならなければいいが。

09年8月11日(火)「#772 天災」

  天災は忘れた頃にやってくる。台風9号が日本列島を襲い、兵庫や岡山で河川の氾濫や土砂崩れが起き多数の死者や行方不明者が出ている。ゲリラ豪雨のような短時間に猛烈な勢いで降る雨が街を襲い、あっという間に河川の流量が増えて大きな被害が出る。最近の大雨による被害のパターンは同じようなものが多いように感じる。
  台風9号が近畿から関東に向かっている中、きのうの夕方飛行機で東京へ向かった。案の定、飛行機の出発が40分ほど遅れた。伊丹空港から四国や中国地方など西日本へ向かう便の欠航が出ていた。伊丹から羽田に向かう便も軒並み出発遅れとなっている。東京に着くと、まるで大阪のような生ぬるい蒸し暑さだった。
  大阪での番組出演にそなえて今朝早くの飛行機で大阪に戻ることになっていたが、台風9号が関東に近づきつつあったので、新幹線に切り替えたほうがよいかなとも思ったが、とにかく早く起きて様子をみることにした。
  今朝6時ごろに起きてテレビをつけると。静岡で震度6弱の地震があったとのニュースを各局が伝えていた。そういえば、夢の中でものすごく揺れている場面があった。あれは夢ではなく現実だったのだ。恥ずかしながら、疲れていたせいか、地震の揺れで目が覚めることはなかった。
  テレビは新幹線が安全確認のため東京と名古屋の間で不通になっていると伝えている。飛行機は通常どおりに運航しているようだ。予定していた便に羽田から乗ったが、台風の影響で羽田空港がたいへん混雑しており、滑走路で30分以上待たされることになった。結局、伊丹に到着したのは1時間遅れだった。
  本社に着くと、地震の影響で東名高速道路の路面の一部が崩れて通行止めになっているというニュースをやっていた。静岡あたりで地震が起きると、どうしても東海地震ではないかと心配になるが、今回は東海地震との関連はないようだ。
  あまりこういう予想はしたくないが、近畿にもそろそろ大きな地震が来るのではないかと思ってしまう。今後30年以内に東南海地震が起きる可能性は60~70%、南海地震は50~60%と想定されている。家具の転倒防止など、もう一度我が家の地震対策をチェックしようと思う。

09年8月10日(月)「#771 薬物汚染」

  夫が突然逮捕されて失意のうちに失そうした悲劇の存在から、本人も夫と一緒に覚せい剤を使用していたのではないかと疑われる容疑者へ。このところ、テレビのニュースは覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕された酒井法子容疑者のニュースでもちきりである。
  夫が路上で警察に職務質問され下半身に隠し持った覚せい剤が見つかり逮捕された。電話でその場に呼び出された酒井容疑者にも警察は持ち物検査と尿検査を求めたが拒否し、警察へ任意同行を求められたにも関わらず、子どもを預けているので後で出頭するといって車に乗って行方をくらましていた。
  その後、10歳になる子どもは子どもの同級生の家に預けられていることが分かり無事が確認されたが、酒井容疑者の行方は依然分かっていなかった。そして6日目になって親族と弁護士に付き添われて警察に出頭し逮捕されたのだ。
  最初はあいまいな供述をしていたが、警察の取調べに対し「昨年夏ごろから主人に勧められて覚せい剤を使用していた」、「夫と一緒に覚せい剤をあぶったりパイプで吸ったりしていた」などと容疑を認めているという。夫も「夫婦で覚せい剤を使用していた。私が勧めた」と供述しているという。
  酒井容疑者の自宅マンションからは微量の覚せい剤と吸引に使用したとみられるストローやパイプなどが押収され、ストローについていた唾液はDNA鑑定の結果、酒井容疑者のものと一致した。しかし、逮捕された酒井容疑者からは尿検査で覚せい剤の陽性反応が出なかった。一般的に覚せい剤を使用しても3日から1週間で体内から排出され尿検査をしても反応が出ないことが多いとされている。逃走の結果6日目に出頭した酒井容疑者は、尿検査で陽性反応が出なくなるまで逃走していたと思われても仕方がない状況だ。
  また、合成麻薬を使用したとして麻薬取締法違反の疑いで押尾学容疑者も逮捕された。一緒の部屋にいた女性が全裸で死亡しており、この女性からも薬物反応が出ている。この女性との関連についての押尾容疑者の供述は二転三転している。単なる薬物事件でなく人が死亡しているという重大な結果を招いているのだが事の真相はまだまだ藪の中である。
  それにしても、芸能界の第一線で活躍している有名人たちがなぜこれほど簡単に薬物に手を出すのだろうか。一般人には分からないストレスやプレッシャーがあるのだろうが、若者や子どもたちへの影響を考えると事態は深刻である。薬物を常習していたとすれば、周りの人たちが気づかない訳がないと思うのだが、誰も本人に注意できるような環境ではないのだろうか。入手ルートの解明が進めば、さらなる逮捕者が出る可能性も否定できないのではないか。

09年8月9日(日)「#770 テレビに出る」

  こんな事を書くと生意気だとか思いあがっていると感じる方もいるかも知れないが、最近気になっていることを正直に書くことにする。テレビに出るようになって2年が過ぎ街で時々声を掛けられるようになった。自意識過剰かも知れないが、街を歩いていても時々私の顔を見て反応している人がいるような気がする。
  テレビを見ていただいている知らない方から、街で初めて声を掛けられた時のことは今でも強烈な思い出として残っている。夜に繁華街の交差点で横断歩道の信号が青になるのを待っていた時に、見知らぬ女性からいきなり手をとられて「春川さん」と話し掛けられた。見たところ同年代の女性だったので、最初は学校の同級生かとも思ったが、話を聞くとテレビを見て下さっている人だった。この時は正直、軽いショックを受けた。
  ある時はこんな事もあった。番組の若いスタッフを連れてご飯を食べに行ったのだが、お酒を飲みながら番組のことやスタッフのこと、会社のことなどを本音で語り合っていた。そして食事が終わりお勘定をお願いしたら、お店の人に「いつも番組見てますよ」と声を掛けられた。スタッフらと周りを気にせずに話していたことをずっと聞かれていたかも知れないと思うと少し後悔した。
  最近よく声を掛けられるようになったことを知り合いに言うと、「それだけテレビに出ていたら当たり前だ」と言われた。とはいうものの、自分はタレントでも有名人でもなく仕事としてテレビに出ているという意識しかないので、見知らぬ人に声を掛けられると戸惑ってしまうのだ。
  午後から夕方の番組にしか出ていないので、私の顔を知っているのはほとんどが主婦や学生の人たちだ。サラリーマンなど昼間にテレビを見ない人たちから声を掛けられたことはほとんどない。
  テレビ局の視聴者センターやこのブログなどに多くのコメントを寄せていただけるようになったのと時を同じくして、街で声を掛けられることも多くなったような気がする。それだけ多くの方々に見られているということを考えると身の引き締まる思いだ。
先日、会社近くの商店街を歩いていると年配の男性からすれ違いざまに突然声を掛けられた。「解説委員、あんたの言うてることは正しい」とのお言葉はちょっと嬉しかった。

09年8月8日(土)「#769 中学野球」

  朝一番の飛行機で東京から戻った。伊丹空港に降り立った途端、その暑さに驚いた。夏に東京から大阪へ到着すると、その湿気の多さに体が反応する。まるで東南アジアの街のようだというのは言い過ぎだろうか。
  昼に自宅に着いてランチを食べた後、長男の野球の練習試合を見に行った。車に乗った途端、汗が滲んだ。車外の温度を示す温度計は39度を指していた。この暑さはいったいなんなのだ。今日の近畿地方は本当に暑かった。
  数日前に、長男の中学の野球部の練習試合があることを知り、見に行こうかなと言ったところ、長男は「絶対にこんといてや、やめて」という反応だった。二男はいつも野球の試合や練習を見に来て欲しいというのだが、長男は嫌がる。中学生なので、同級生に対して恥ずかしいのだろう。
  そんなことを気にする私ではない。少し離れた中学校での練習試合を見に行ったのだが、長男が嫌がっていたので、あまり目立たないようにしてコッソリ見ようと思っていた。グラウンドに着くと、試合前の練習をしていた。今日から甲子園が始まったが、高校野球と違って中学の野球はまだゆるい雰囲気の中で行われている。試合前という緊張感はない。
  少し離れて練習を見ていたが、選手たちがこっちを見ていると思ったら「ミヤネ屋」という声が聞こえてきて何人かに挨拶された。まずい、ばれてしまったようだ。誰かが「春、お父さん来てるで」と息子にも教えてしまった。ばれてしまったので、監督さんにも挨拶した。
  息子のチームは1年と2年だけで50人近くいる大所帯だ。試合に出るのだろうかと思っていたら9番センターで先発メンバーに入っていた。長男が中学の試合用のユニフォームを着てグラウンドに立っているのを見たのは初めてだ。体もだいぶ大きくなった。
  第一打席はランナー1塁で回ってきた。だいぶ良くなったが構えがまだまだ甘い。バッターボックスの構えを見ればだいたいそのバッターの技量が分かる。スゥイングを見てもバットを振っていないのが分かってしまう。初球、2球目と甘いストライクを見逃した。フルカウントからエンドランで打った打球をセカンドがはじき出塁した。その後に盗塁もきめ、内野ゴロの間に好判断で本塁に戻ってきた積極的な走塁はよかった。因みに、後で聞くと、初球、2球目と見逃したのは、待てというサインが出ていたらしい。今時は中学野球でも1球1球サインを出すのには驚いた。
  二打席目に打席に向かう際には、バックネット裏にいた私の方を見ていた。それだけ余裕があるのだろう。思い切りのいいスゥイングで打球は左中間を抜け二塁打となった。久し振りに長男の野球の試合を見たが、目の前で長打を放ってくれてなかなかやるなと感心した。三打席目は四球でまた盗塁した。同級生のピッチャーがなかなかの素質の持ち主で、長男が守るセンターには打球が一度も飛ばなかった。そのピッチャーはうまく育てば将来プロ野球選手になれるほどの素質を持っていると感じた。
  親ばかで恐縮だが、今日見た限りでは、長男のチームは打撃も守備もなかなかのもので、もっと緊張感が出てくればかなり強くなるのではと感じさせるものがあった。見に来るなと言っていた長男も、帰宅後はとても機嫌が良く、「あのヒットどうやった」と何度も聞いてくるので、「今日のブログに書いとくから」と答えると嫌がっていた。これからもちょくちょく見に行きます。

09年8月7日(金)「#768 地方分権」

  地方分権に注目が集まっている。地方分権改革については、これまでも全国知事会や地方自治体の首長らがその実現を求めてきたが、大阪の橋下知事や宮崎の東国原知事らが中心となってメディアを通じて地方分権の必要性を強く主張したこともあり、衆院選の争点の一つとして注目されている。
  橋下知事が"ぼったくり"と表現したことで国直轄事業負担金の問題点が世間に明らかになり、ますます地方分権に光があたった。また、全国知事会として衆院選の各党のマニフェストを評価、採点することになり、各党が少しでもいい評価を貰おうと、従来より地方分権に力を入れたマニフェスト作りに励んだのではと思われる展開となっている。
  その地方分権改革について、全国の知事や市長らと自民、公明、民主の政策責任者が公開討論する会が東京の憲政記念館で開かれたので取材に行ってきた。知事や市長が、各党のマニフェストの中の地方分権に関する内容に関して質問しその考えを聞くという内容だった。各知事や市長の話す内容を聞いていると討論会というより、各党に地方が求める政策を実行するよう約束を迫って言質をとるというような印象を持った。
  各党への質問は、次期衆院選で勝利し政権を担当するかもしれない民主党に集中した。その民主党の担当者は、自民や公明がマニフェストに明記したのに、民主党が明記しなかったことで知事らから批判された"国と地方の協議の場の法制化"をマニフェストに書き加えることを明らかにした。そして、もしも民主党が政権を取ったら、首相を中心とした政治主導の新たな組織を作って地方の代表にも加わってもらい地方分権推進委員会以上のことをやりたいと訴えた。対する自民党は、地方分権一括法案を今年度中に国会に提出し成立させ、2017年には道州制を導入すると民主党との違いを訴えた。
  地方分権に関しては、衆院選の争点の一つではあるが、これで全てが決まるわけではない。社会保障も雇用も経済も外交も安全保障も選挙の重要な争点だ。地方分権が全ての改革の原点であるという考えを聞くと、4年前の衆院選で郵政民営化が全てを改革するとされ、その是非だけで選挙の流れが決まったことを思い出す。地方分権も含めて、各党の様々な政策、そしてこの国をどこに導くのかという国家ビジョンを吟味して一票を投じることが求められているのではないか。
  きょうの公開討論会を聞いて最も印象に残ったのは、マニフェストに足らない点、間違った点があるなら修正すべきではないかとある市長が主張し、3党ともマニフェストの修正に柔軟性があってしかるべきことに同意した点だ。政策は企業でいうと商品であり、商品に欠陥があれば直すのは当たり前だという市長の発言には説得力があった。

09年8月6日(木)「#767 逮捕」

  関西大学野球部OBの1人として極めて残念だとしか言いようがない。関西大学野球部の4年生部員が恐喝未遂の疑いで兵庫県警に逮捕された。容疑は、高校時代の野球部の後輩で現在は他の大学の学生と共謀して、振込め詐欺に使う通帳を作るよう別の大学生に命じたが、拒否されたので現金250万円を支払うよう脅したというものだ。本人は大筋で容疑を認めた上で、恐喝にあたるとは思わなかったと供述しているという。
  最近、大学体育会の不祥事が相次いでいるが、容疑内容が事実であるならば、悪質性が高い誠に深刻な犯罪である。振り込め詐欺グループと付き合いがあり背後には暴力団がいると言っていたとされている。また振り込め詐欺グループに通帳などを集めて提供する「道具屋」という役割をしていたともみられており、とても学生の犯行とは思えないほど卑劣なものだ。
  逮捕された昨日は取材で東京におりたまたま番組出演の日でなかった。番組に出演していたら、当然私はコメントを求められていただろう。自分が体育会出身ということもあり、今までも大学体育会の学生による犯罪について厳しいコメントをしてきた。ましてや自分がOBである野球部の不祥事である。いつも以上に厳しい内容のコメントをしただろうと思う。
  実際、自分がその時、番組に出演していたらどの様なコメントをしただろうかと考えた。関西大学野球部OBの1人として謝罪したのだろうか。いや、コメンテーターの立場としては私が謝罪するのは違うのではないかと思う。犯行の反社会性を指摘した上で、これだけ大学体育会の不祥事が続くことに関して、体育会という組織に何か背景事情があるのではないかとコメントしたのではないか。そして関西大学野球部OBの1人として、極めて残念で事態をたいへん深刻に受け止めていると話したのではないだろうか。
  新聞報道によると、現在野球部には約130人もの部員がおり指導者の目が行き届かなかったのではないかとあったが、私達の現役時代にも部員は100人を超えていた。大学野球部は高校と違い学生の自主性が重んじられているので、指導者だけの責任にはできない。自分は野球部の一員だということを誇りに思い自覚と責任を持つ必要がある。
  私達の頃もお酒を飲んで騒いだりもしたが、犯罪に手を染めるようなことなど考えられなかったし、野球や学業以外のことを考える余裕もなかった。今回の事件は個人としての犯罪のようだが、その原因や背景に関わるような事情が野球部という組織になかったのかどうか。立ち止まって見直すことが求められているのではないか。それにしても誠に残念である。

09年8月5日(水)「#766 クリントン訪朝」

  日本の拉致被害者の家族の方々はどのような思いでこのニュースを観たのだろうか。アメリカのビル・クリントン元大統領が電撃的に北朝鮮を訪問し、3月に北朝鮮国境で拘束され米朝の懸案事項となっていた2人のテレビ局女性記者をアメリカに連れて帰ることに成功した。
  2人の女性記者は3月に中朝国境で北朝鮮に身柄を拘束され、裁判にかけられて労働強化刑12年の判決を受けた。しかし北朝鮮は2人を収容所には送らずに招待所に滞在させていた。アメリカとの政治的取引の材料にしようとの思惑があったのだろう。
  アメリカ政府は人道上の立場から2人の早期解放を求めていたが、その間、北朝鮮は核実験やミサイル発射などを行い対外的に強硬姿勢を示し続けてきた。最近になってクリントン元大統領の妻でもあるヒラリー・クリントン国務長官が2人を恩赦で解放するように求めていた。恩赦という言葉を使うということは、2人の罪を認めるということも意味する。そこまでは譲歩して、北朝鮮側の柔軟姿勢を求めていた訳だ。
  アメリカ政府は、2人の解放問題と北朝鮮の核問題は全く別だと言ってきたが、北朝鮮にとっては2つの問題を完全に切り離す訳が無く、以前から望んでいるアメリカとの2国間交渉のきっかけにしたいと考えていたに違いない。
  アメリカの元大統領が困難な事態打開のために北朝鮮を訪問したのはこれが初めてではない。94年にカーター元大統領が訪朝し金日成主席と会談して、当時緊張が高まっていた核問題について打開策を話し合ったのだ。その当時の大統領は、今回訪朝したクリントンだった。
  アメリカ政府は、今回の訪朝は完全なクリントン元大統領の私的なものだとしているが、政府が関わっていない訳が無い。金正日総書記に対するオバマ大統領のメッセージを口頭で伝えたとされている。子供の遣いではないのだから、それが外交交渉というものだろう。北朝鮮は金総書記の特赦という形で2人の記者を解放し、アメリカが元大統領を派遣したことに応えてみせたのだ。
  それにしても、アメリカ政府の対応の素早さには感心する。2人の自国民を救い出すために元大統領が飛行機で行って連れて帰ってくるのだ。小泉元首相も現職の時に電撃的に訪朝し拉致被害者を連れて帰ったことが思い出されるが、その後は拉致問題は全く進展していない。
  先日、民主党の鳩山代表が、将来、首相を退いたら政界を引退すると言ったが、日本の代々の元首相の方々はいったい何をしているのだろうか。国の特使として海外に行くことは時々あるが、元首相が外交でも内政でも重要な役割を果たすことがあまりない現状は淋しい限りだ。1年や2年で辞めるようでは、諸外国から名前も顔も覚えられていないだろうが。自国民の安全を最優先するアメリカという国の強さをあらためて思い知らされたクリントン訪朝であった。

09年8月4日(火)「#765 勉強」

  日々勉強。知らないことばかり。若い時にもっと勉強しておけばよかった、本をもっとたくさん読んでおけばよかったと思ってももう遅い。知識は少ない。経験はそこそこ。人脈はまあまあ。やはり勉強するしかない。
  自分の勉強不足をあらためて感じるようになったのは解説委員になってからだ。解説委員というのは、世の中のことは何でも知っているという立場だ。もちろん専門というものもあるが、専門以外のことでも基本的な知識は持っていて、番組内で急にコメントを求められても何とか話せるだけの最低限の知識は持っていることを求められている。
  しかし、世の中のことを何でも知っているなんていうことはある訳が無い。ではどうするか。勉強するしかないのだ。知らないことは自分で調べる。専門家に話を聞く。実際に現場に行ってみる。詳しい人に話を聞いて、詳しく書かれた本を読んで知識や情報を吸収するしかないのだ。
  その勉強をする上で最も役立っているのは勉強会だ。私がいま定期的に出席している勉強会は7つほどだ。それ以外にも不定期の勉強会にもいくつか参加している。ほとんどすべて東京で開かれている。政治家や官僚、経済人、評論家など、その時々の話題に合わせて注目されている人達が講師として話をしてくださる。いずれの勉強会もたいへん勉強になるものばかりだ。
  その勉強会は、残念ながらいずれも誰でも自由に参加できるというものではない。私の場合は、勉強会を主催している人や参加している人などからの推薦やお招きで出席できるようになったのだ。みなさん、私が解説委員になって東京に来たのを歓迎してくれて、それならと紹介して下さったのだ。有難いことだ。本当に感謝している。
  最近になって、若い人達から勉強会を紹介して欲しいと時々言われるようになったが、誰でもどこへでも紹介するという訳にはいかない。その人が本気で勉強する気があるのか、その勉強会に参加するのに相応しい人かどうかを自分なりに判断した上でしか紹介できない。紹介するということが、そういうものなのだということを逆の立場にたって初めて分かった。
  自分の場合も、色々な人に助けられて勉強する機会を与えていただいたのだから、その恩返しの意味でも、熱心な若い人達にも求められれば可能な限り学ぶ機会を紹介できたらと思っている。常に勉強、一生勉強。

09年8月3日(月)「#764 裁判員裁判」

  ついに一般の裁判員が参加する裁判員裁判の公判が東京地裁で始まった。最初の裁判員裁判は全国のどこの裁判所で最初に行われるかが注目されていた時、大阪で始まるのではないかと思っていたが予想は外れた。最高裁判所、法務省のお膝元でもあるし、取材するメディアの数も最も多いので東京にした可能性もあるのではないかと思う。
  テレビ各局は定時ニュースでこのニュースを大きく扱ったが、NHKが10時の選任手続きが始まる時間に合わせて同時進行で特別番組を放送したのには少々驚いた。この国の司法制度が大きく変わるのだから、ビッグニュースではある。番組編成に柔軟性を持たせやすいNHKならではの取り組みだろう。
  審理の対象となったのは、いわゆる隣人殺人事件である。裁判は東京地裁で行われるので、東京地裁が管轄する地域で選ばれた裁判員候補約28000人の名簿の中から選ばれた100人のうち70歳以上を理由に辞退していた人などを除いた73人に事前に呼び出し状が送られた。辞退が認められた人や引越しなどで呼び出し状が届かなかった人らを除く49人が裁判所への出頭を命じられたが、2人が出頭せず47人が東京地裁にやってきた。
  この47人を対象に裁判員を選ぶ手続きが行われ、辞退を希望する人ら3人について検察官や弁護人も立ち会って裁判長らが面談し2人の辞退が認められた。そして残った45人の中からパソコンによる抽選で6人の裁判員と、裁判員が病気などで役目を続けられない時に交代する補充裁判員3人が選ばれた。裁判員6人のうち5人が女性で1人が男性だった。補充裁判員は全員男性だった。
  メディアの取材に対し、裁判所にやってきた裁判員候補だった人や、抽選で選ばれなかった人たちのうち同意した人がインタビューに答えた。
  裁判が進行中、メディアは裁判員への接触を禁じられ、裁判終了後も裁判員には法律で守秘義務が課せられる。法廷で見聞きしたことは語ってもよいが、裁判官らと法廷外で話し合う評議の中身については一生話してはいけない。ただ、裁判員を経験した感想については述べてもいいし、裁判が終われば本人が承諾すれば名前を明らかにして取材に応じることも可能だ。
  メディアは、選任手続きや評議などが問題なく行われたどうかを検証するために、裁判が終了した後に、裁判員に記者会見に出席して取材に応じてもらえるようお願いすることになっている。裁判員制度は、必要なら3年後に見直すことが法律で決まっており、そのためにも選任手続きや評議に関する可能な限りの情報公開が求められている。

09年8月2日(日)「#763 ホテル」

  ホテルに泊まるのが大好きだ。ホテルだけでなく旅館に泊まるのも楽しみだ。要するに旅が大好きだし、どんな宿泊施設に泊まるのかも興味があるし、宿選びには力を入れる。どこに泊まるかで旅行の楽しさが決まると思っている。
  いわゆる定宿といわれるホテルや旅館はない。できるだけ色々な所に泊まりたいので、同じ場所を訪れる場合でも毎回、ホテルや旅館を変えることが多いのだ。
  仕事柄、毎週のように大阪と東京を往復しているが、東京に泊まる際にも毎回ホテルを変えている。夜の会食の場所の近くに泊まることもあるし、次の朝が早い時には移動に便利な所を選ぶこともある。
  快適なホテルに泊まった際には、今後はここにしようかなと思うこともあるが、もっと快適なホテルがあるかも知れないと思い、次はまた新しいホテルを試すことが続いている。
  ホテルを選ぶ際に最も重視しているのは、値段と快適さの兼ね合いだ。最高級ホテルが快適なのは当たり前。格安のホテルは、あまり快適でないのは仕方がない。だから、この値段でこの快適さは納得がいくというホテルに出会えた時は素直に嬉しい。
  他にもホテル選びのポイントはいくつかある。部屋の居心地の良さや、お風呂やトイレでリラックスできるかどうか。インターネットの環境や、朝刊などのサービス。最寄り駅からのアクセスの良さや朝食のビュッフェの充実度なども気になる。
  しかし、最も重要だと思っているのは、やはりホテルマン、ホテルウーマンのもてなしの心だろう。宿泊客に快適に過ごして貰うためにいかに心配りしているかということだろう。いい人に出逢った時には、また泊まりたいと思う。やはり人なのだ。

09年8月1日(土)「#762 1人旅」

  可愛い子には旅をさせよとはよく言ったものだ。子供がなかなか親離れできないのと同様に、親も子離れするのは簡単ではない。子供はいつまでも子供だし、少しでも長く手元に置いて可愛い可愛いとしたいものだ。
  しかし、その一方で子供たちは日々確実に成長している。久しぶりに会った知人や友人の子供さんが少し会わない間に驚くほど成長していることがよくある。毎日一緒に生活している自分の子供たちでも、ある日とても成長しているのを目の当たりにすることがある。成長というのは、肉体的な成長もあるが、精神的にしっかりしてきたなというものもある。
  今年の春に野球のWBCを観戦するために小学生の二男と共にロサンゼルスへ行った際に、特派員時代に住んでいた街のショッピング・モールで偶然にアメリカ人の親友に会った。その際に、その友人の高校生になる息子が今年サマーキャンプのリーダーになるので、うちの二男にもこの夏にサマーキャンプに参加しないかと誘ってくれた。
  サマーキャンプというのは、学校の夏休みに平日の朝から夕方まで子供たちが集まって指導者の下で、乗馬、アーチェリー、泥んこ遊び、ロッククライミング、水泳、キャンプなどの野外活動を行うものだ。アメリカでは夏休みに、小さな子供たちがサマーキャンプに参加することが多い。うちの子供たちはみなアメリカに住んでいた頃や、帰国してからも遊びに行った時などにサマーキャンプに参加してきた。
  そのサマーキャンプへの参加を誘われて、うちの二男は「イエス」と返事したのだ。その後、話はあっという間に進み、小学生の二男が1人で飛行機に乗りロサンゼルスまで行って、親友に空港まで迎えに来て貰って親友の家にホームステイさせて貰うことになった。春に決まったのでまだまだ先のことだと思っていたが、あっという間に出発となった。
  本当に小学生が1人でアメリカまで行けるのかと少々心配だったが、航空会社が成田での乗換えから出国手続き、機内での世話、アメリカ到着時の入国審査と預けた荷物の引き取り、そして迎えに来た人に責任持って引き渡すまでをやってくれるサービスを実施しているのだ。
  二男は少しは不安がるだろうかと思っていたが、「ちょっと緊張してきた」と笑いながら元気に手を振って飛行機に乗り込んで行った。親が思っている以上にしっかりしていて根性がすわっているようだ。「無事着いたよ」と、アメリカから元気な声で電話してきた。頼もしい男の子に成長しているようだ。英語ばかりの生活を経験して英語力も伸びるだろうし、人間的にも一回り成長して帰ってくるだろう。可愛い子には旅をさせよ。

09年7月31日(金)「#761 自民党マニフェスト」

  自民党本部の会見場は熱気でムンムンしていた。今日、自民党が党本部でマニフェストを発表したが、会見が始まる時間に少し遅れて到着すると会見場はメディアで溢れていて麻生首相の姿はほとんど見ることができなかった。
  会見場の入り口でマニフェストの要約版を手に入れたが、その中身を見て正直驚いた。これってマニフェストなんだろうか。冊子のレイアウトや中身を見てみると、まるでマンション販売のパンフレットのようだ。デザインが斬新でパッと見た感じが軽いのだ。とても政治家が考えたレイアウトとは思えない。広告代理店のクリエーターが大きな役割を果たした内容だとしか思えない、というのは言い過ぎだろうか。
  マニフェストの表紙には麻生首相の顔はない。「改めます」、「伸ばします」との文字が書かれているだけだ。マニフェストの表紙に党首の顔が出ていないのは異例だ。
  そのマニフェストの中身を読んでみると、数字の少なさが目についた。マニフェストというと、どの様な政策を、いつまでに、どういう財源で実行するかを有権者に約束するものだが、今日発表された自民党のマニフェストには、いつまでという期限や財源についての数字があまり書かれていないのだ。
  民主党のマニフェストについて、自民党は財源が書かれていないと強く批判したが、その自民党のマニフェストに財源が充分書かれているとは思えない。今日の会見では、案の定、財源についての質問が出た。これに対して麻生首相は答えず、代わって答えた園田政調会長代理は、「公約は従来の政策の継続・強化を前提にしており、毎年の予算編成の過程で新たな政策の財源は生み出す」と答えたがその回答に説得力は感じられなかった。
  しかし、評価できる点もある。経済の回復後に、消費税を含む税の制度を見直すことに言及したことについては、政権を担う政党としての責任を感じることができる。自民党マニフェストのキーワードは「責任力」だ。
これで各党のマニフェストが出揃ったので、各党はマニフェストを基にしておおいに政策論争をして欲しい。麻生首相は今日の会見で「どうかこの8月を日本を考える1ヶ月にしてください」と述べた。この国の将来を決める上で重要な1ヶ月である。

春川正明

はるかわ まさあき
1961年5月5日生まれ
讀賣テレビ放送
報道局解説副委員長
ロサンゼルス特派員、
チーフプロデューサー、
報道部長を経て07年より現職。
関西学院大学非常勤講師
大阪市出身