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#71810月22日(日) 10:25~放送
メキシコ

 今回の配達先は、メキシコ。プロボディボーダーとして世界で奮闘する鈴木彩加さん(28)へ、神奈川県で暮らす父・伸一さん(66)、母・恵美子さん(65)の想いを届ける。
 波の上を駆け抜け、美しく舞うマリンスポーツ・ボディボード。彩加さんは現在、夫で同じくプロボディボーダーのマックさん(27)とともに北米ツアーに参戦中で、メキシコ南部のサーフタウン、プエルト・エスコンディードで行われる試合のため現地に滞在していた。
 昨年は北米ツアーにフル参戦し、チャンピオンになった彩加さん。生まれは日本のサーフタウン・茅ヶ崎で、小学3年生の時に母の影響でボディボードを始めた。そして中学3年生で日本最年少のプロボーダーに。2018年には日本人で初めてAPBワールド・ツアー年間世界チャンピオンを獲得した。夫のマックさんは、片ひざを立てて乗るドロップニースタイルと立って乗るスタンディングスタイルのハワイチャンピオン。2017年の世界ツアーで出会った2人は2年後に結婚し、現在はマックさんの故郷であるハワイのマウイ島で暮らしている。
 モンスター級の波が押し寄せる世界有数のボディボードポイント・コロラダビーチで行われる試合は、男子が3日間、女子は2日間の勝ち抜き戦で、技の美しさを競う。試合時間は20分。波に10本乗ることができて、そのうち高得点2本の合計ポイントで勝敗が決まる。予選では、急激に海の流れが速くなるという悪条件に誰もが苦戦する中、彩加さんただ1人だけが海と一体となった素晴らしい滑りを披露。見事、決勝進出を決めた。
 ボディボード界では誰もが知る世界トップランクの女性ボディボーダーである彩加さん。だが実は、日本最年少でプロに転向した後の5年間、全く勝つことができなかった。大人たちの期待が15歳の少女にのしかかり、母と始めた楽しいボディボードはただ勝つための苦しいものになっていたのだった。そんな彩加さんを救ったのが、現在の夫のマックさん。「それまでは勝つための練習をやっていたけど、彼と出会ってからは“楽しむためのボディボード”“ライフスタイルのボディボード”になって、原点に戻った感じです」。実は、現在妊娠中。彩加さんは、「ママが毎日海に連れて行ってくれたので、私は海に育てられた。自分の子どもも海の子になってほしい」と語り、茅ヶ崎で過ごした楽しい海との生活を今度はマックさんとハワイで築こうとしている。
 自身がボディボードをしていたこともあり、「娘がオギャーと生まれて1年後には海につけていました」という母の恵美子さんは、試合を見て「彩加らしいライディングでした」と目を細める。一方の父・伸一さんはマックさんについて、「彩加以上に海が好きなんですよ」と明かす。そして「彼は本当に海で遊ぶのが好きで。そういう楽しいところの波長が合って、救いになったのかな」と当時を思い返す。
 彩加さんとマックさんは順調に勝ち上がり、ともに大会最終日を迎えた。この日も彩加さんは海と一体となり、滑り出しは好調。決勝戦はパナマの選手と一騎打ちになる。互いに連続技を繰り出し合う中、わずかに相手選手がリード。残り時間10分、ここで動きを止めた彩加さんは確実に一発逆転ができる良い波を待つが…。
 ボディボードに魅せられ、苦しめられ、いま夫婦で新たな海との生活を築こうとする彩加さん。そんな娘へ、両親からの届け物は彩加さんが子どもの頃、試合前に必ず書いていた願掛けの短冊。母が大切に保管していたもので、勝利を願う言葉がびっしり書き込まれたたくさんの短冊が1冊のファイルにまとめられていた。懐かしい短冊と母の想いに、「母のサポート、愛がなければ今ボディボードをやっていないし、ここまでこれなかった。本当に感謝を伝えたいです」と次第に涙がこみ上げる彩加さん。そして「またパパとママが好きなハワイに来てもらって、今度は私たちの子どもも含めて、みんなで楽しく波乗りを楽しめたらと思います」と両親にメッセージを伝えるのだった。