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#67511月20日(日) 10:25~放送
アメリカ・テネシー州

 今回の配達先は、アメリカ・テネシー州。サッカー選手として奮闘する渡ユキさん(22)へ、沖縄県で暮らす兄・ヴィクトルさん(29)、父・アキラさん(57)、母・マルシアさん(52)の想いを届ける。
 ユキさんが所属しているテネシーサザン大学は、2021年に全米優勝を果たした強豪チーム。しかもユキさんは最優秀選手賞を受賞した大学女子サッカーのトップ選手であり、最終学年となる今年はキャプテンとしてチームを引っ張っている。ポジションは司令塔であるミッドフィルダーで、ドリブルと豊富な運動量が持ち味だ。ある日ユキさんが参加していたのは、全米大会に向けた大事な試合。相手はフィジカルの強いパワータイプのチームで、激しい展開が続く。そんな中、開始10分でユキさんが華麗な足技から先制ゴールを決め、チームに勢いをつける。さらにゴールネットを揺らす豪快なシュートを放ち、2得点の大活躍でチームに勝利を呼び込んだ。サッカーから離れると、勉強も遊びもする普通の女子大生だが、オフの日でも自主練習は毎日必ず行う。「もっと出来ると思うから、100%パーフェクトの日がない。人のせいじゃなくて、結局自分がどこまで出来るかだから…」と、どれだけ練習しても、ユキさんが満足することはないようだ。
 ブラジル人の両親のもと埼玉で生まれ、小さい頃から明るく元気いっぱいだったユキさんは、ビーチサッカーの日本代表にもなった兄の影響で9歳からサッカーを始めた。兄の背中を追い夢中でボールを蹴っているうちに、みるみる才能が開花。中学・高校は名門浦和レッズのユースでプレーし、10番を背負った。その頃から次第に海外への夢が芽生え、高校2年のとき女子サッカーの最高峰であるアメリカの大学の合同トライアルに挑戦。すると、参加した全ての大学からオファーが届く。しかし当時は英語ができず、留学の条件であるTOEFLテストの点数が基準に達しなかった。あと1年しかない状況で、ユキさんが考えたのが沖縄への移住。少しでも英語に触れる機会が多い環境で会話力を身に付け、アメリカに行く準備がしたいというユキさんのために、一家は沖縄に引っ越すことを決断する。結局TOEFLの点数が足りず、オファーをくれた大学は断念。英語力は問わない今の大学が特待生として受け入れてくれたのだった。今シーズンが終われば大学は卒業。世界中から注目されるユキさんのもとには、スペイン、ブラジル、日本など10か国のクラブチームからプロのオファーが来ているという。
 アメリカでの妹の姿に、「本当に努力しているなというのは感じますね。選手としても人としても、成長しているのはとても嬉しいことです」と兄のヴィクトルさん。母・マルシアさんも「こんなに距離があるのに彼女が幸せだということが分かりました。目標を成し遂げていることを嬉しく思うし、私達も幸せな気持ちになりました」と安心した様子で活躍を喜ぶ。迷うことなくサッカーに向き合い高みを目指し続ける娘へ、家族からの届け物は日本で暮らした18年の思い出が詰まったアルバム。最後のページには父、母、兄からのメッセージもあり、ユキさんは懐かしい写真と温かいエールに涙がこぼれる。そんな彼女の今後の夢は、まずは全米大会で優勝して再び最優秀選手賞を取ること。さらに、プロのオファーを受けている中でも、憧れの選手がいるアメリカのクラブを希望していると明かし、「最終的な夢はブラジル代表の10番を背負って、キャプテンとしてワールドカップで優勝したいですね」と力強く語る。