今回のお届け先はオーストラリア・ケアンズ。犬専用のドッグホテルで働く高田めぐみさん（34）と、福岡県に住む母・文子さん（63）をつなぐ。現在はイギリス出身の事実婚のパートナーと暮らしているめぐみさんだが、2人ともまだ永住権を取れておらず、このままではオーストラリアで暮らすことができなくなるという。母は「オーストラリアに住むという夢が叶ってほしい」と願いながらも、パートナーについては、正式な結婚という形を取らないことに納得ができない様子だ。
　1日に100頭もの犬を受け入れることができるケアンズ最大のドッグホテルで働くめぐみさんは、犬たちの餌の世話から犬舎の清掃、入浴、散歩…と大忙しだ。しかし、彼女が働けるのは週に2日だけ。めぐみさんが現在持っているビザでは、いくらやりたい仕事があっても、就労できる時間に制限があるのだ。
　 日本では警察犬の訓練学校や動物看護学校に通い、卒業後はペット雑誌の出版社で働いていためぐみさん。学生時代からオーストラリアの犬のトレーニング方法に興味を持っていたことから、28歳の時に一念発起。オーストラリアへと渡った。ペット事情を学ぶのが目的だったが、自然豊かなオーストラリアで暮らすうち、「この国の大自然の魅力を日本に伝える仕事がしたい」と夢が膨らんできた。そのためにも、一日も早い永住権取得を望んでいる。
　そんなめぐみさんがパートナーのダブさん（32）と暮らすのは、広大なマンゴー畑の中に建つ一軒家。現在2人はダブさんの学生ビザでこの国に滞在し、ダブさんは畑のオーナーから苗木の手入れや水やりなど、マンゴーの木の管理を任されている。いずれはオーナーに永住権取得の保証人になってもらえることを望み、ダブさんはこの仕事に従事しているのだ。一方、ドッグホテルのオーナーは、めぐみさんの熱意ある仕事ぶりを高く評価し「保証人になってもいいと思っている」と明かす。どちらか一方が永住権を取れれば、2人とも永住可能になるのだが、現在オーストラリアは失業率が高く、外国人が取得するのはなかなか難しいのが現状だという。
　そんな状況にあって、めぐみさんはダブさんとの将来についてどう考えているのか？「結婚という形はとっていないけれど、結婚しているのと同じことだと思っている。でも、母や兄弟にしたら、理解できないところはあると思います」。計画では32、33歳ぐらいで永住権を取って、１，２年で自分のビジネスを軌道に乗せ、35歳ぐらいまでには子供を産みたいと思っていたというめぐみさんだが、「最近はそれも難しいのかな…と思うようになった」と、不安な気持ちを明かす。一方、ダブさんは「すべては永住権が取れるかどうかにかかっている。でも、もし取れなければ、日本に住むことも考えている。めぐみとはずっと一緒に居たい」と打ち明ける。その言葉に、日本の母は少し安心した様子を見せる。
　「夢の実現の最後が100％としたら、永住権が取れてもまだ40～50％ぐらい。そこからが本当のスタート」。そう語るめぐみさんに届けられたのは、普段はまったく裁縫をしない母が1週間かけて手作りしたエプロン。その裏には針と糸で「夢よ叶え！永住権」という文字が刺繍されていた。めぐみさんは、「母は、いつでも私の背中を押してくれる。ここにもその気持ちが表れていると思う」と言って、感謝の涙をこぼすのだった。